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『ゴースト・イン・ザ・シェル』 (2017/アメリカ)

   ↑  2017/04/23 (日)  カテゴリー: SF、宇宙、怪獣








●原題:GHOST IN THE SHELL
●原作:士郎正宗『攻殻機動隊』
●監督:ルパート・サンダーズ
●出演:スカーレット・ヨハンソン、ビートたけし、マイケル・カルメン・ピット、ピルー・アスベック、チン・ハン、ジュリエット・ビノシュ、桃井かおり 他
●電脳ネットワークと肉体の義体化が高度に発達した近未来。世界最強の捜査官、少佐。悲惨な事故から生還した彼女の体は、脳の一部を除いて全身が義体化されていた。少佐はタフで有能な精鋭メンバーを擁する公安9課を率いて、凶悪なサイバーテロ犯罪に立ち向かっていた。ある時、ハンカ・ロボティックス社の関係者が何者かに襲われる事件が発生。捜査を進める少佐の前に、クゼという凄腕のハッカーの存在が浮かび上がってくる。事件の真相を追ってクゼに迫っていく中、いつしか自分の脳に残るわずかな記憶に疑念を抱くようになっていく少佐だったが・・・。



GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 [Blu-ray]


原作や元ネタを知っていると「ここはあのシーンだな!」とか「さらっと流したもんだなー」とか色々思いめぐらすこともありましょうが、今作につきましてはワタクシ、原作コミックは未読で、おまけに押井守監督の「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」も未見なんです。

なんだか本当にスミマセン・・・


熱烈な原作ファンが多いということで「私は知らないんです」と無防備に言い難い雰囲気がネット上には充満しており、なんとなく居辛い・・・。すみません。

「めざましテレビ」でスカヨハとたけしさんのインタビューを目にして初めてこの「攻殻機動隊」という世界観を知ったほどでしで、これまで一切触れたこともありませんでした。というわけで、原作に縛られることのない完全なフリーダム状態。今作品一本勝負で観て参りました。

じゃあそこまでしてどうして観に行ったかといいますとね、チケットが当たったのですよー!それで、子どもの新学期が始まってから公開6日目のシネコンへ行ってきたのですが・・・・なんと、私と他のおじさんの計3名しかいませんでした。おまけにエンドロールが終わって明かりがついたら、広い劇場内にいたのは私1人だけ!平日午前中の映画館ってこんな感じだったのか。







“自分のアイデンティティーを探す旅”に見えました。
1927年のドイツ映画『メトロポリス』に始まって、『ブレードランナー』『未来世危機ブラジル』『マトリックス』など近未来ものに浸ってきた私にとってはこの『ゴースト・イン・ザ・シェル』という映画、ものすごーくオーソドックスでシンプル、とても解り易いお話に感じました。「原作知らないので意味不明だったらどうしよう」とか「敷居が高すぎて意味不明だったらどうしよう」とか「キャラクター知らないから意味不(略)」とか心配ご無用でした。逆に拍子抜けしてしまったほど。

機械(シェル)に覆われた義体の中において、唯一人間のパーツである脳(=ゴースト)を残した少佐が、自分の心や魂、記憶を探りながら人間と機械との狭間で感じる孤独や葛藤・・・・的なことは何か言っていたような気もしますが、それほどガンガン刺さってくるほどでもなく「笑わないスカヨもいいんじゃな~い?」くらいにしか感じられませんでした。

思うに、恐らく原作が持つストーリー性やメッセージ性よりも映像の方に比重が置かれているからなんだろうなと感じました。それとやっぱりハリウッド的に非常に解り易く作られたから、ということもあるでしょうね。




アジア的近未来風景は、本当に美しかったです。
この映像に併せて、あの「ビョンビョンビョンミョンミョ~ン」と鳴り響く音楽なんて『ブレードランナー』そのもので、初めて観たというのにどこか懐かしい気分にも。

黒澤明監督の『酔いどれ天使』とリドリー・スコットの『ブレードランナー』を合わせたような世界観を作り上げたというルパート・サンダーズ監督の言葉通りでした。残念ながら原作との比較はできないのですが、きっと実写化にあたってはかなり丁寧に映像化されたのだろうと感じられました。

雛人形が出てくるシーンが2度ほどあるのですが、私このカットがとても好きでした。それまで隠すように置いていた雛人形のカバーを外すというほんの僅かなシーンなのですが、これってきっと日本の文化を知らなければこの嬉しさは伝わらないだろうなと。ハリウッド映画でこういった繊細な表現を織り込んでくれたことが、とても嬉しかったです。







で、結局のところ【公安9課】というところのチームワークというのもはサッパリ解らなかったのですが、この映画は"少佐の魂の旅"を描いたものなのだと思えばこんな感じなのかな。

そう!あと、北野たけしさんの髪型が「世界まる見え!テレビ特捜部」と同じなので、登場するたびに「なんだコノヤロウ!」ってピコピコハンマー出してきそうでかなり集中力が途切れました。・・・・・それとですねぇ、大変申し訳ないのですがたけしさんが喋っている日本語のセリフが聞き取りづらくて、ここだけは英語字幕があってギリギリ助かりました。日本語を聞きながら字幕を読むというシュールな展開。


そうだ!思い切ってついでに言ってしまうとですね、スカーレット・ヨハンソンの髪型もすきバサミを入れるのに失敗したシャギーカットにしか見えなくてちょっとムズムズでした。おまけにどうしてなんとなくズングリムックリしているんだろう??と、観ている間ずーっと疑問でした。言ってしまった!(笑)

あ、でもいいんですよ、スカヨハだってお母さんなんですから別にどんな体型でも構いません!私だって人の体型のことをとやかく言える立場じゃございませんが、でもさでもさ「日本のアニメだから日本人体型にしたんだろうか?」とか「もともとあんな衣装(?)なのかな?」とか一人悶々と思い悩んでいました。が、さっき検索してみたら、なんだアニメ版の素子さんなんて超ナイスバディじゃないですか。いったいこれってどういうこと!?どういう実写化なんだ??

もちろん【アニメ体型】なんてとてもあり得ませんが、でも日本の女優さんがナチュラルに演じられば一番よかったのかもしれませんね。あ、でもそれだと世界規模で展開しなければならないマーケットではきっと売り込みが掛けられないんだろうなぁ。そう、だからこそそんな中でよくぞ日本発のアニメを実写化してくれた!というところに落ち着くのかな。きっと、オトナの事情がいろいろと渦巻いているんでしょうね(笑)。



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  2017/04/23 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『トランス・ワールド』 (2011/アメリカ) ※未見のアナタ、今年一番のラッキーさんです

   ↑  2016/12/21 (水)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー







トランス・ワールド


●原題:ENTER NOWHERE
●監督:ジャック・ヘラー
●出演:サラ・パクストン、スコット・イーストウッド、キャサリン・ウォーターストン、ショーン・サイポス、クリストファー・デナム
●あらすじ:記載いたしません




今回はレビューを書かないことにしました。
この映画については、もう本当に何も申しますまい!

わたくし、ものすごーーーーーく『トランス・ワールド』という映画を紹介したいのですが、何か一つでも言ってしまうとこの映画の醍醐味が全て崩れ去ってしまう。

簡単に説明してみるとですね、「一体どうなっているんだ」→「お、そうくるのか」→「だったらこうなるんでしょ」→「えーそっちにいくのかぁ!」という映画です。ってどういうこっちゃ。・・・・あぁダメダメ、わたし絶対に言えないわ。言いたいけど言えないわ!



舞台はココです。
映画についてはもうこれしか書けません。


できれば、レンタルなどの際には"ジャンル"に囚われることなく鑑賞されることをオススメいたします。事前の「あらすじ」検索なんてモッテノホカ!何の予備知識もない真っ新な状態でぜひぜひご鑑賞ください。







この『トランス・ワールド』という映画はですね、クリント・イーストウッドの息子でイケメンの若手俳優 スコット・イーストウッドも出演しているのに、日本では"劇場未公開&DVDスルー作品"だなんてちょっと勿体ない気がします。

WildestDreams.jpg
Taylor Swift - Wildest Dreams
↑テイラー・スウィフトのミュージック・ビデオで初めて見た時、お父さんの眼差しと本当によく似ているなぁと思いました。



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さらに!イケメンといえばですね、この映画で最も興味深いのは脚本を書いたショーン・クリステンセン(Shawn Christensen)、この人です。


第85回(2013年)のアカデミー賞では、短編映画『リッチーとの一日』(原題:Curfew)「短編実写賞部門」のオスカーを獲得した監督であり、脚本家であり、俳優でもあるのですが・・・・もともとはニューヨークにあるアート専門大学「プラット・インスティテュート」出身で「ステラスター*」というバンドのVo&Gとしても活躍。いや、画家&俳優志望でもあったので絵も描ける!というマルチな才能を持つアーティストです。


こういった才能と技術のある人の創造性が爆発すると「こんな世界観が生れるのかー!」と『トランス・ワールド』を観て改めて思いました。ショート・フィルムの世界からは個性豊かで将来性のある人が次々に現れていますから、どの分野にしろこれからの活躍が楽しみな方ですねー。


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今回、私は『トランス・ワールド』の"原題"に惹かれて(『ランダム 存在の確率』で出てきた「The "door to nowhere"」という言葉が偶然重なった)パパっと借りただけだったので、ほぼ予備知識ゼロのまま一気にこの映画の世界に引き込まれてしまいました。

人間って、"非日常"の中に身を置いたり体験したりするとストレス解消になるといいますもんね。正にピッタリ!

『トランス・ワールド』は、アイディア勝負&低予算という中で、各ジャンルの"映画あるある"やアイテムを巧く取り入れ「やりたいことを遣り切ったのだな!」と思わず感心してしまう映画愛に溢れるなかなかの秀作です。映画好きな方なら思わずニヤリ!としちゃうかも。

映画との出会いもきっと巡り合わせなんでしょうねぇ。

私、観てヨカッタな!と思いましたよ。今年最後の"オススメ映画"ということにしたいと思います。年末年始のお時間のある際にでもぜひどうぞ。



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  2016/12/21 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ランダム 存在の確率』 (2013/アメリカ) ※後半にネタバレ(大盛り)ございます

   ↑  2016/12/14 (水)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー






ランダム 存在の確率 [DVD]


●原題:COHERENCE
●原案、脚本、監督:ジェームズ・ウォード・バーキット
●出演:エミリー・フォクスラー、モーリー・スターリング、ニコラス・ブレンドン、エリザベス・グレイセン、アレックス・マヌジャン、ローレン・マハー、ヒューゴ・アームストロング、ローリーン・スカファリア
●エムは、友人リーとマイクのホームパーティーに、恋人のケヴィンと一緒に参加する。おいしいお酒や料理に舌鼓を打ちながら、久々に顔を合わせた男女8人は不思議な彗星についての話題で盛り上がっていた。そんな中、突如として停電となり8人はパニック状態に陥る。エムたちは不安な気持ちを抑えられず、隣家の様子を見に行くことにするのだが、そこにいたのは全く同じ家にいる全く同じ自分たち8人の姿だった。次々と引き起こされる不可思議な現象に疑心暗鬼になる彼らだったのだが・・・・。数々の国際映画祭を席巻、多くの賞を受賞した話題作。監督はアニメ映画「ランゴ」の原案を手がけたジェームズ・ウォード・バーキット。





"88分"でサクっと観られる、パラレルワールドを軸とした【SFサスペンス】!

日常の中に潜む捻じれや、何気ないところに見え隠れする非現実感が観ているうちにじわ~っと襲ってきて、この謎解きに夢中になってしまいました。仕事に疲れた心身や勉強の息抜きなどに丁度良いかもしれません。



独創性に飛んだ映画製作者たちが、ごく僅かなもので多くを作り出せるという証だ」とロジャー・イーバートのサイトでも言われたように、この映画、チャレンジングです。

ちょっと変わった作りの映画なんですよ。

ただですね、私も「これぞ傑作!!」と強気に言い切れないところもありまして、ま、それは総勢8名という登場人物たちの特徴がこの短時間で存分に活かしきれていなかったからかもしれません。というか、私の頭では整理が追い付かなかったよ。

ま、この部分の受取り方次第では、観ているあなたの「世界線」もここで分岐していくかもしれませんけどね!ウフフ








『ランダム 存在の確率』という映画では、量子力学でいうところの「シュレディンガーの猫」の例(50%の確率で生死が分かれる箱の中の猫は、箱を開けるまでその生死は確定していない)がちょこっと出てきますが、物語のベースはきっとここにあるのでしょう。


「観測されていない物質は、あらゆる可能性として複数の場所に同時に存在している」


つまり、その晩の彼ら8人は「箱の中の猫」というワケなんですね。
色々な可能性を持った"8人"が同時に無数に存在し、さらに彼らの行動・選択が互いに干渉し合ってしまうのです。

実は初見の際、私は「まーありがちなラストかなー」なんてポヤ~っと考えていたのですが、何かがオカシイ????と気になって久々に再見した時・・・・・ゾッとしました・・・・

coherence04.jpg
自分が見続けていたものも信用できない物語です。『ランダム 存在の確率』という映画は"観測者"が存在しない(できない)映画なもかもしれません。



因みに物語のヒントとなる"手がかり"は、この映画を何度か観直しているうちに劇中沢山散りばめられていることに気が付くのですが、これはジェームズ・ウォード・バーキット監督と共に原案を練り上げたアレックス・マヌジャン(アミール役)二人だけしか知らなかったのだそう。

つまり、俳優たちは何も知らずに"ヒント"を演じていたというわけなんです。このあたり、完全なネタバレになってしまいますのでそれはまた後ほど・・・・・








ではでは、ここで少しこの映画の特徴について書いておくことにしましょう!


アイディア勝負の映画を撮りたかった

『ランゴ』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』のショートフィルムなど製作費が高額となるメジャー作品に携わってきたジェームズ・ウォード・バーキット監督は、リソースを低く抑えられる映画作りをしたかったのだとか。そこで、1年かけてパズルのようになっているこの物語をチャート化したり登場人物の動きをまとめたりしたのだそうです。で、予算もですがスケジュールもタイトで、撮影期間はなんと僅か5日間!
因みに撮影場所は監督のご自宅です。お金かかりませんもんね!
A Super-Spoilery Interview With the Director of 'Coherence,' the Twistiest Movie of the Year 【YAHOO!MOVIE】


とにかく揺れる!&ブレる!
タブレットで観るぶんにはそれほどでもなかったのですが、再見時にテレビ画面で観たらちょっと"映像酔い"しましたよ。実はこれ、様式的に狙っていたわけではなくて、俳優たちは次に何が起こるか分らない状態のまま演じていたため、彼らの予測できない動きに対して柔軟に対応していた結果なのだとか。でもさ、私のSONYのホームビデオカメラだってこれほどブレないですわよ。
Coherence (2013) Trivia【IMDb】


あまりに自然な演技
そう、これは見物です。
彼らが雑談しながら笑い声を上げたり、ハプニングに対して悲鳴を上げたり口論を始めたり。まるで自然なんですね。それが時にグダグダにも映るのですが(笑)。

実は、彼らには完璧な台本は渡されておらず、毎日少しずつ別々のメモが渡されていただけなのだそうです。


例えば、ケヴィンには「外に出て確かめて来ようとする」というメモが渡されているにもかかわらず、エムには「彼を外に出してはいけない」と書かれていたそうで、つまりこのシーンの二人の小競り合いは本気だった!というわけなんですねー。
At one point Maury [Sterling]'s notes told him he's going to go leave to check out.Then Emily's note was “Don't let him leave.” So they got these two conflicting pieces of direction.Maury's going to leave. Emily has to make him stop.
Fantastic Fest 2013: James Ward Byrkit & Emily Foxler on Coherence




それと、これは結構衝撃だったのですが・・・・彼らは「箱の中」に何があるのか知らなかったのだそう。 グロースティックライトも何を意味するのかを知らず、いつケンカが勃発するかも知らなかった、と。
I would say just about everything. They didn’t know what was in the box; they didn’t know what the glow sticks meant; they didn’t know when a fight was going to break out.
A Super-Spoilery Interview With the Director of 'Coherence,' the Twistiest Movie of the Year



この映画では、人が何かを選択したり意思決定することでタイムラインが変化し分岐していくということになっていましたが、実際の映画撮影の際にも、この"人は物事に対してどのように反応し、行動を選択するのか?"というものをリアルに見せてくれたのではないかと思います。







※それでは以下は『ランダム 存在の確率』のネタバレ・内容に深く関わります。
未見の方やこれからこの映画を観よう!と思われる方はお控えいただくことを強くオススメいたします。





    ↓ ネタバレ注意 ↓


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  2016/12/14 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ファインディング・ドリー』 (2016/アメリカ)

   ↑  2016/09/16 (金)  カテゴリー: ドキュメンタリー、アニメ





●原題:FINDING DORY
●監督、脚本:アンドリュー・スタントン
●製作総指揮:ジョン・ラセター
●声の出演:ドリー(エレン・デジェネレス/室井滋)、ニモ(ヘイデン・ロレンス/菊地慶)、マーリン(アルバート・ブルックス/木梨憲武)、ハンク(エド・オニール/上川隆也)、デスティニー(ケイトリン・オルソン/中村アン)、ベイリー(タイ・バーレル/多田野曜平)、クラッシュ(アンドリュー・スタントン/小山力也)、シガーニー・ウィーヴァー(シガーニー・ウィーヴァー/八代亜紀)、ギル(ウィレム・デフォー) 他
●カクレクマノミのニモは故郷のグレート・バリア・リーフで、心配性の父マーリンと大親友のドリーと楽しい毎日を送っていた。そんなある日、何でもすぐに忘れてしまうドリーが、ひょんなことから幼い頃の記憶を取り戻す。それは離ればなれになってしまった家族との思い出。すぐに会いに行かなきゃと、いても立てもいられないドリー。わずかな手がかりを頼りにカリフォルニアの海へと旅立つのだったが・・・。





「ドリーは誰の目にもわかるような障害を持っています。しかし、彼女は発見するのです。自分の強さは、その独特な脳の中にあるということを。」
(アンガス・マクレーン監督)は言います。「そんな強さが見える人もいるでしょうし、隠れていて見えない人もいるでしょう。」
How 'Finding Dory' could change the conversation around disabilities
“Dory has an obvious disability, but she finds out what her strengths are in her particular brain," he says. "For some people, those strengths are visible and for some might be hidden."(co-director Angus MacLane)



ピクサーが"障がい"をモチーフに映画を作ったことに驚いた!しかも軽やかに!

うーん、なにしろ私も"人の親"というものになって今年でやっと8年ですが、それは障がいを抱える子どもと共に成長してきた8年でもあったりするわけなのです。

我が家の娘、チビハナさんは生まれながらに脳機能の発達に偏りがあるため、"独特"な記憶力を持つ発達障害を抱えています。そのため、時々ものすごくビックリさせられたり、或いは本人共々戸惑ってしまうこともあったりするのですが、本当にありがたいことに周囲の方々に恵まれて娘はスクスクと育ってくれています。
 
そんなチビハナさんと一緒に映画館で鑑賞。







この映画の主人公、ドリーはチビハナさんとは逆なのですが、やはり脳に記憶障がいを持っています。

短期間しか記憶が持続せず、何でも忘れてしまうんですね。チビハナさんのように偏りがあるものの事細かに覚えているのも脳にとっては大変な負担なのですが、逆に"覚えていられない"というのも非常に辛いでしょう・・・

だから、ドリーの両親の懸命な子育てを見ていたら過去の自分を見ているようで胸がギュっと締め付けられました。

ドリーの将来を思ってママがこっそりと泣いていたり、お友達とのコミュニケーションのための"訓練"を遊びの中で一生懸命行っているパパの姿。お魚さんのお話なのに、私、この辺りでもう泣きそうでした。





でもね、結局、親が心配して心配して心配して心配して、心配したりないくらい心が押し潰されるほど(勝手に)悩んでいても、実は子どもって自分でどんどん世界を切り開いていってしまんですよね。



障がいって本当に不思議なもので、それが得意分野だと「個性」になって、不得意なものだと「障がい」と言われる面があります。そして、その人自身の性格によって、周囲の人たちの捉え方も変わってきます。これは私が子育てをしている中でなんとなく感じていることなので、誰にでもあてはまるわけではないかもしれませんが・・・


ドリーは明るく朗らかで、楽しいことが大好き。
忘れてしまうことがあっても「あれ、ごめんね!」なんて言って笑い飛ばしてしまう。
困ったことや出来ないことがあったら「助けてください」と言える勇気がある(障がいを持つ子にとって、これが最初の訓練になります)。

普通、人が「できない」と思うことでも「やってみよう!」とチャレンジしていく強さがある。無謀とも言います。でも、他の人には想像もつかないような奇抜なアイディアを思いついたりもする。←で、これが驚愕のラストとなるわけですが(笑)。


だからこの映画では、ドリーの「障がい」は「個性」として活き活きと描かれているのではないかな、と思うのです。






他のキャラクターも考えてみたらみな同じ。
タコのハンクは足が7本しかなく、ニモは片方のヒレが生まれつき小さかったりします。


それに、この2頭だってそう!

弱視のためになかなか勇気を持てないジンベエザメのデスティニーと、エコロケーションという最高の能力を持っているのに「自分には出来ない」と思い込んでいるシロイルカのベイリー。でも2頭が一緒になれば、視野も世界もぐんと広がるのです。

1人だと困ってしまうこと、出来ないこと、苦手なことがあったとしても、それぞれのかけがえのない個性が集まれば想像を超える化学反応を起こす。X-MENだってそうだし、名探偵のモンクさんだってポワロさんだってそうでしょう(笑)。程度の差こそあれ、皆ちょっと人から見るとヘンテコなところがあるはず。

チビハナさんは、「ニモ」の時より「ドリー」の方が好きなんだそう。親しみがわくのかな。







因みに、ピクサーも「障がいあっても素敵!がんばれる!」なんてヤボなことは言わず、意地悪なアシカのフルーク&ラダーというキャラクターも登場させています。

ちょっとトボけたアシカくんが、この2頭に意地悪されて邪魔者扱いされているシーンが繰り返されるのですが、彼もなかなか根性がありますので3頭ひっくるめていいトリオなのかも。こういうことは実社会でもありますからね。

「お友達と順番!仲良くしようね!」的なことは、しまじろう先生に任せておけばよいでしょう。最後に勝つのは"強かさ"ですから(笑)。








↑コチラは同時上映された短篇『ひな鳥の冒険』。

浜辺に寄せる波、ひな鳥の柔らかな毛並み、なんという画の美しさ!
「かわいい子には旅をさせよ」と云いますが、こうやって子どもは大きな世界を知っていくのでしょうねぇ。親って難しいな。



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  2016/09/16 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

縦列駐車とシチューと 『しあわせへのまわり道』 (2014/アメリカ)

   ↑  2016/07/12 (火)  カテゴリー: コメディ






しあわせへのまわり道 [Blu-ray]


●原題:LEARNING TO DRIVE
●監督:イザベル・コイシェ
●出演:パトリシア・クラークソン、ベン・キングズレー、ジェイク・ウェバー、グレイス・ガマー、サリタ・チョウドリー 他
●マンハッタンに暮らす売れっ子書評家ウェンディ。順風満帆な人生を歩んでいた彼女だったが、ある日突然、21年連れ添った夫との結婚生活が破綻してしまう。すると、これまで夫に運転を任せきりで免許も持っていないウェンディは、離れて暮らす娘に会いに行くこともできないことに気づく。そこで、タクシー運転手をしながら副業で自動車教習の教官もしているインド人ダルワーンの個人レッスンを受けることに。夫への怒りと離婚のショックでなかなか運転に集中できないウェンディだったが・・・。





全力で逃げ出したくなるようなベタベタな邦題がつけられていますが、車の運転だけでなく人生も学んだというアラフィフ女性のお話ということで、髪を乾かしながらチラチラと観始めたはずが、いつの間にか体育座りになって見入ってしまった・・・・



アメリカ映画やドラマを観ていて薄々気が付いていたこと・・・そう、それは、米国で自動車運転免許を取るために"教習所"に通うシーンって見たことがない!

運転免許の取得方法や運転規則などは州によって多少異なるそうですが「筆記」→「仮免」取得の後は、路上で誰かと一緒に練習したり自動車学校のインストラクターにレッスンをお願いしたりして、最終テストには自分で車を用意して臨むんだそう。


そうか、アメリカって教習所内の練習ってないのね・・・・いきなり"路上"で走るだなんて、私なら確実に気絶している・・・・・・


いや、でも、本当に(笑)。



渋々車に乗り込んだ主人公が初めて運転席に座り、インド人インストラクターに言われるがまま「まずはシートベルト」「はい安全確認して」「左ウィンカー出して」(→ワイパー動く)、「ハンドルを左いっぱいにきって」「ギアを"D"に」「じゃアクセル踏んで」と言われ、生まれて初めて車を自分で動かすシーン。「・・・動いたわ」

で、いきなりブレーキ踏んで"I think I don't like this."って言っちゃうんです。だって怖いんですよ、自分が車を動かしたということが。そりゃもう解りすぎて、私も一緒に気が遠くなりましたもん。自分のことじゃないのにね(笑)。







離婚をきっかけに車の運転教習を受けるハメになった中年女性が、偶然出会ったインド人の教官(原作はフィリピン人インストラクター)との交流を通じて自らの人生を見つめ直していく姿を描いた、ちょっとビターなコメディドラマ。

この映画を観ていると、マンハッタンって、タクシーや地下鉄・バスなどが充実しているので、日常生活を送る上ではさほど車での移動って重要ではないのだろうなと思いました。

でもその"日常"をある日突然失ってしまった時、やっぱり困ってしまう。自分でやらなくちゃいけない!ということに気が付いて。


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正直に言うとね、この主人公ウェンディという女性にはあまり共感はできなかったんです。


夫の心が自分から離れていった理由がまったく理解できず、傷つけられた自分のことだけが可哀想で「私の何が悪かったの?」「どこがいけないの!?」と罵るだけ。苦虫を噛み潰したような表情で「夫は戻って来るわ」と過信できるほどのプライドの高さ。

しかも、路上教習中「考え事をしていた」とかで事故に遭いそうになること数回。

ちょっとね、ワタクシこの辺りでキレそうになりました。だってこれダメでしょ絶対!インド人インストラクター、ダルワーンの言葉じゃないですけれど「人生で何が起こっていようと、それを路上に持ちこんではダメだ」でしょう。






でも(だからこそ、かな?)、縦列駐車がうまくいかないウェンディに対して、ダルワーンがそれを"シチューの味付け"に例えてヒントを与えてくれた時。初めてウェンディが車の中で微笑んだシーンがとても印象的でした。


本当にさり気ないシークエンスなんだけれど、たぶんウェンディはこの時に自分の中で"カチ"っと当てはまる何かを見つけたんだろうなと思うんです。"言葉"を愛していたウェンディだからこそ、ダルワーンの言葉はちゃんと心に届いていたんでしょうね。


2人を取り巻く状況はそれぞれに切実ではあるものの、でもそれをことさらドラマチックにはせず、サラリと抑制を利かせて描いているところが好きでした。



そして、それは終幕にも・・・・



“Seatbelt first”
いつのときも繰り返し繰り返し耳にしていたダルワーンの言葉が、隣席から聞こえてくるようなラストシーン。車を運転する人なら、誰もが持っている瞬間なのかな。

ウェンディは一度"日常"を失って、そしてその失意の中から得た"日常"から再び離れることに。でも今度は、次の新しい一歩のために。

原作、監督、編集者が女性という作品ならではの繊細さと優しさがある一方で、どこかリアルなドライ感さえも感じさせる甘くはない物語。観終わった後は、これからやってくる夏の風を感じられるドライブに行きたくなるかも!




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因みに・・・
2002年7月22日にアメリカ「ザ・ニューヨーカー」誌に載せられたキャサ・ポリットのエッセイ『Learning to Drive ~A year of unexpected lessons.』が、この映画の原作となっています。

Learning to Drive ~A year of unexpected lessons. By Katha Pollitt【The New Yorker】

キャサが長年のパートナーと別れてから免許を取得するために車の運転を習ったこと、それが離別の痛手から回復する助けになったことなどの実体験が、軽妙なユーモアを交えて綴られています。因みに原作では"ビーフシチュー"が"味付け"になっています。


・・・ま、右左折のハンドル捌きで精いっぱいだった私からすると「全体をよく見て、予測して、観察が大事!それは人生と同じ!」とか言われても、ほほーぅそんな余裕なかったわい!とか思ってしまうんですけどね(笑)。



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最後に・・・
ベン・キングズレーの【エスニック・ルーツ】は、どの出演作でも最大限に活かされているのがわかりますね。彼のその幅の広い演技力には毎回脱帽です。


今回のインド人は勿論、アラブ人やフランス人、ロシア人や謎の外国人と何でもOK!キングズレーが登場すると画が引き締まります。今作は共演のパトリシア・クラークソンとの相乗効果で、品の良いオトナの映画に仕上がっていたと思います。



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  2016/07/12 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit
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