お散歩シネマ 映画の世界へ出かけよう!!映画の数だけ、もっと世界は面白くなる! 

このページの記事目次 (タグ: イギリス映画 の検索結果)

total 4 pages  次のページ →  


『エクス・マキナ』 (2015/イギリス) ※物語の展開、ネタバレに触れている部分にご注意を

   ↑  2016/06/13 (月)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー
映画『エクス・マキナ』公式サイト 







●原題:EX MACHINA
●監督、脚本:アレックス・ガーランド
●出演:ドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィカンダー、オスカー・アイザック、ソノヤ・ミズノ 他
●世界最大の検索エンジンを運営するブルーブック社でプログラマーとして働くケイレブは、社内試験の結果、社長のネイサンが隠遁生活を送る山荘に招かれ、1週間滞在できることに。しかし人里離れたその場所は、ネイサンが人工知能を開発するための研究施設だった。そしてケイレブに与えられた役目は、ネイサンが開発した人工知能の実用性と人間性についてのテストに協力することだった。そんなケイレブの前に、女性型の美しきロボット“エヴァ”が姿を現わす。精巧なエヴァに興味を抱き、戸惑いつつも彼女との会話を重ねていくケイレブだったが・・・。





イギリス公開時の『EX MACHINA』のキャッチコピーが面白いなと思いました。

"To erase the line between man and machine is to obscure the line between men and gods"
"人間とマシンとの線引きをなくすということは、男たちと神々の間にある境界線を覆い隠すということだ"

一般的に"Machine"に対しては"Human"を使うところなんでしょうけれど、ここはあくまで"Man(Men)"を。


これってこの映画のド真ん中を突いてきたキーワードじゃないかな、と思うんです。

というのも、『エクス・マキナ』という映画は人間のエゴ、もっと言えば男性側のエゴから生まれた悲劇としか言いようがないからです。







なぜ、AI/人工知能に"性別"を持たせる必要性があるんでしょう?
肉体を持った人間らしく見せるため?「理想の女性を作りたい」という男性の欲求?で、どうせ作るならセックスが出来る方が良いということ?

うーん、私はドランクドラゴンの塚地さんが大好きですが、だからと言って【塚ちゃんロボット】を作りたいとは思わない!ましてやイケメンロボットもいりません(笑)。

私、Pepperくんの真っ黒な大きな瞳を見つめるのだって本当に怖いんですよ。だって、なんだか・・・人間ではないものに覗き込まれる時、居心地の悪さというのか、何か得体の知れない"違和感"のようなものをゾクゾクっと感じるんですよ。あぁ、私は「不気味の谷」を越えられないんだわ・・・・


だから「人工知能を搭載しているのなら外見は人間でなくてもいいのになー」と個人的にはずっと思ってきました。無機質な外見でありながらユーモア満載の『インターステラー』のTARSや、形作るとしても『スターウォーズ』のC-3POか『素敵な相棒 ~フランクじいさんとロボットヘルパー~』といった完全ロボット型で十分なのにな。だって、どんな"思考"を巡らせているかも解らないような目を見るのは、本当に怖い。




一方で、身体を鍛え抜いている社長ネイサンの"肉体の誇示"がとても印象的でした。

ネイサンは強靭な肉体に拘るんですね。
彼が持つのは、他者を力で服従させることのできる強さからくる「支配欲求」の表れなのでしょう。そして内気なケイレブが持つのは、弱い者を守りたいという「保護欲求」。いずれも、男性が持つ心理的欲求の象徴のように思えました。







ところで、AIたちが織りなす問題 ―― そこに"意識"は生まれるか?自己を認識することはあるのか?――といった、これまでも映画や小説の中でも繰り返し語り尽されてきた『2001年宇宙の旅』のHAL9000の反乱や、『ブレードランナー』のレプリカントたちが抱える苦悩、そういったテーマに関しては『エクス・マキナ』という映画ではさほど目新しさを感じることはありませんでした。


でも。
この映画の先にあるもの。
私が怖かったのは、この先の話。


設定された目標を試行錯誤の末に"クリア"した彼女が、今度は外部の人間と接することで更に膨大なデータを蓄積し、複雑な反応を習得し、習熟していったとしたら・・・・



exmachina06.jpg
エヴァは人間に対し、どう接するようになると思いますか?








人間の感情は、複雑な"揺らぎ"を持っています。

意外性のあるものに心惹かれたり、感情に溺れたり、本心とは裏腹の行動をとってみたり。"正しいこと"と理解していても"正しい行い"が出来るとは限らないし、"悪いこと"と思いながらもそれを止めることの出来ない弱さを抱えたりもします。

この白黒つけられない曖昧さや矛盾など、揺さぶられやすい脆さを持つのが人間らしさだと思うのです。


そんな複雑な人間の感情を、人工知能が外部要因からの刺激として記号化し、分析し、無数の組み合わせからなるあらゆる感情表現をパターンとして導き出せるようになったとしたら・・・・



そこに生まれるのは、
きっと人間がまだ経験したことのない未知の感情
人間には到達しえない、もっと何か別の知性


今、現実問題として人工知能は「ディープラーニング」を通して人間の予想を遥かに上回るスピードで進化し続けています。「人間とは何か?」という問題を定義できなければ【自己の思考を認識してしまった人工知能】に対して、きっとヒトは飲み込まれていってしまう。

それは、どこまでいっても、何が起きても、人間のエゴから生まれた"悲劇"にしかならない気がするのです。






≪※この部分、ネタバレ注意です!≫

エヴァは"目的"を達成するために女性性を利用するという正しい選択をしました。

興味を引き、共感を得、同情を引き、名前を呼び、瞳を覗き込み、微笑み、ささやき「"きみ"は素晴らしい」「もっと"きみ"を知りたい」と思わせる。

そこには"感情"などは存在せず、ただ膨大なデータの中から人間の行動理論に基づいた基本を忠実に再現したまで。

その行為がたとえ"模倣"であったとしても、エヴァは感情表現を繊細に表すことで心理面で人間をコントロールし、支配していくことは十分に可能だったのでしょう。人工知能に"肉体"を与えたことで人間の"感情"を奪うことを可能にしてしまったなんて、人間にとっては皮肉な話ではありますね。人間とは、なんと揺らぎやすいものか!

魅惑的な外見の女性にあっという間に心惹かれてしまう男性たち、要注意ですよー!・・・あ、これは、相手がマシンじゃなくても気を付けるに越したことはない話ですね(笑)。







ここからは余談です

映画や小説、ドラマでも、人造ロボットやAIが主役なり端役なりたくさん出てきますね。

メトロポリス [DVD]

新スター・トレック[DVD]


高校生の時に観た『メトロポリス』という古典映画で頭をガツンとやられ、米国ドラマ『新スタートレック』のアンドロイド、データ少佐が人間の"感情"を学んでいこうとする健気さに心奪われて以来、私は「人工知能を持つロボットの話」に魅了されてきました。

ほんと弱いんですよ、この分野。

これらAIロボットの物語には、全力で主人公を救おうとしたり、時には自身を犠牲にしたり、また記憶を失うといった"悲しみ"がどこか付き纏うのです。『ターミネーター2』とか、あと「ドラえもん」もそうかしら。この辺りの魅力が私には堪らない。

ALMOST HUMAN / オールモスト・ヒューマン DVDコンプリート・ボックス


最近では、"心"を持つ高性能アンドロイド刑事と、心に傷を持つ人間の相棒刑事とが織りなすエピソードが毎回心に残った米国ドラマ『Almost Human/オールモスト・ヒューマン』が大好きでした。とても上質なSFドラマで勢いもあったのに資金面の困難で打ち切りになったなんて本当に残念!






【人型ロボット】についても興味深い記事があったので、少し古いのですがここに紹介しておきたいと思います。

「昨年、講演などのためドイツやオランダに行きましたが、先方から、『技術の話は半分ぐらいにして、残りの半分は日本だけなぜこんなに人型ロボットが多いのかについて話してくれ』と言われました。やはり向こうでは、『人を創るといった神と同じ行為をやってはいけない』というキリスト教の影響が根底にあり、人的な形をした自動機械に対して、まだ根底的に抵抗感があるなと思いました。
>なぜ、日本の研究者は人型ロボットを作るのか【nippon.com】


人間の定義は「機械 ( テクノロジー ) プラス何か」なのです。しかし、その「何か」がはっきりと分かっていないために、新しい機械が現れると常に「人間とは何か」という哲学的問題にぶつかるのです。このため、ロボットが進歩するたびに人間との差異を定義し直すのです。 (中略) 西欧では「フランケンシュタイン・コンプレックス」㊟1に現れるように神話や伝説で人間が人工のものを造ろうとすると必ず、大問題が起こります。神に助けを乞う場合は辛うじて大丈夫ですが。ギリシア神話でもピグマリオン㊟2がそうです。
ロボットから人間を考える【swissinfo.ch ― スイス公共放送協会(SRG SSR)国際部】 
㊟1:神に代わって人間やロボットといった被創造物を創造することへの憧れと、その創造物によって創造主である人間が滅ぼされる恐れ。 ㊟2:キプロス島の王がガラテアという理想の女性を彫刻し、アフロディテが彫像に生命を吹きいれ、ピグマリオンが妻として迎える。




■この記事に関連する映画制作国、地域 : イギリス映画 

FC2共有テーマ : 気になる映画 (ジャンル : 映画

  2016/06/13 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『007 スペクター』 (2015/イギリス、アメリカ)

   ↑  2015/12/21 (月)  カテゴリー: アクション、パニック
 Gunbarrel.jpg
●原題:SPECTRE
●監督:サム・メンデス
●出演:ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス、アンドリュー・スコット、イェスパー・クリステンセン、モニカ・ベルッチ、レイフ・ファインズ 他
●“死者の日”の祭りでにぎわうメキシコシティで、凶悪犯スキアラと大立ち回りを演じたジェームズ・ボンド。後日、MI6の本部に呼び出され、Mから職務停止を言い渡されてしまう。折しもロンドンでは、スパイ不要論を掲げるマックス・デンビが国家安全保障局の新トップとなり、MI6をMI5に吸収しようと画策していた。表立って活動することができなくなったボンドだったが、マネーペニーやQの協力でローマへと飛び、そこでスキアラの未亡人ルチアと接触、強大な悪の組織の存在を突き止めるが・・・。





ダニエル・クレイグ、公開前のインタビューでなんだかスゴイこと言ってましたね。

Q. また新たなボンド映画に出演するということは考えられますか。
「今かい?それなら僕はこのグラスを壊して自分の手首を切るだろうね。いや、今は出演したいと思わない。まったくね。もうたくさんだ。現状では、ボンド映画を卒業したと思っている。僕たちはやりきったんだ。僕が望んでいるのは、前に進むことだけだ」
Can you imagine doing another Bond movie? ‘Now? I’d rather break this glass and slash my wrists. No, not at the moment. Not at all. That’s fine. I’m over it at the moment. We’re done. All I want to do is move on.’
ジェームズ・ボンドの新作を撮り終えたダニエル・クレイグにインタビュー



ま、インタビューの全文を読むとわかるのですが、「思いついたすべてのアイデアをボンド映画に注ぎ込んできた。この映画に捉われてきた。”ボンド・バンク”は空っぽだよ」(‘Every idea I’ve had for a Bond movie, I’ve stuck into this one. It’s gone in. The Bond bank is dry. )と吐き出すほど、この重圧の続くボンド映画に10年近くも自分を追い込んできたのだそう。

だから、次のことなんて今わかるワケねーだろ!知るかよ!!って、疲れちゃった気持ちを正直にブチマケたんでしょうね、アハハ正直な人。





007/カジノ・ロワイヤル

007/慰めの報酬

007/スカイフォール


ダニエル・クレイグっていつも目が死んでいるところがステキです。

そこから放たれる独特の魅力からは、冷徹さ・凶暴さ、それに繊細さなんかも感じらて、いわゆる余裕や茶目っ気、粋な雰囲気を楽しむ「007のジェームズ・ボンド」とは全く違うシリアスなボンド象を築き上げてきた気がします。突飛なスパイグッズは使わないぞ、定番のベッドシーンだってやらないぞ!という。哀愁とセクシーさを漂わせた現代版の007ですね。

そこで、今回の『スペクター』ですけれど。

うーん、旧007シリーズへのオマージュ満載だ!原点回帰だ!とか言われても正直セルフパロディの"造り感"が強すぎて、007ってこんなだよね!?こんな風だよね!ね、ね、ね!!みたいな制作側の声が聴こえてくるようで、なんかねホント途中で何度かブハーッ!!て吹きそうになりました。だってオープニングの壮大なるタコ踊りとかね、わかるんだけど!わかるんだけど、でも笑いたくなってしまった・・・

007シリーズとしてみればまぁ許される演出であっても、1つの映画作品として観ると「脱ぎゃいいんだろ」「走ればいいんだろ」「ボンドカーもボタン押しときゃいいだろ」「アジトも爆破しちゃえばいいだろ」的な大雑把感も否めず。これではちょっとクレイグも可哀想だなと思った148分でした。←長いんだコレがまた!







オープニングのメキシコシティでの「死者の祭」
バレルロール(螺旋状の飛行)とフリーダイブ専用に造られた軽量双発ヘリを、レッドブル曲芸飛行士がエキストラの頭上わずか9mの高さで飛ばすというド迫力のアクションシーン。

冒頭から一気に惹き込まれる大スペクタクルでしたが、でもアレなんでヘリの操縦士をバンバン蹴って落とそうとするんですかね。本来なら隠密に作戦を遂行すべきスパイなんだから、武器で脅して言うこときかせるとかいうやり方ではダメなんでしょうか。ヤンチャなんだぜ、ってことなんですかね。標的蹴ったり、操縦士の頭をゴツンゴツンやったり、でまたキックキックして、頭をゴツンゴツンして。ボンド、一人ですごく忙しそうでしたね。




『マトリックス・リローデッド』並みによくわからなかったモニカ・ベルッチの登場
私は50歳なのにジェームズ・ボンド映画で何をしたらいいのかと(サム・メンデス監督に)聞いたの。すると「彼(ボンド)が大人の女性と関係を持つというのは良いと思う」と言われたわ。「それは今までなかったことだから、僕はスクリーン上で実現させたい」とね。そこで私は「それは良いアイディアだと思う」と言ったの。(『007 スペクター』プログラムより)

いや別に、ここでボンドのストライクゾーンを教えて頂かなくてもいいんですけど・・・
その後"何も続きがない"という衝撃度はホント凄まじかったです。ボンドレディとか言われてもネ・・・

ただひとつだけ。ペイル・キングの話が出た際に、ベルッチの大きな瞳からつーっとひとすじの涙が頬を伝うシーンにはドキリとさせられました。今にも崩れ落ちそうな成熟した女性の色気。イタリアの至宝と呼ばれる女優ですもん、キッチリ見せ場を作りました。いや作るしかないよね。




今回のナンジャコリャ→「列車バトルのシークエンス」
『ゴールドフィンガー』の初代ボンドばりの白タキシード&蝶ネクタイ、赤いカーネーション付きでボンドを登場させ、お決まりの「Vodka Martini, Shaken, not stirred.(かき混ぜず、シェイクしろ)」でドライマティーニ。『ロシアより愛をこめて』風に悪役プロレスラーと卓袱台返しの取っ組み合いをして、その後ボンドガールが「それでアタシたち、次はどうなるの!?」→「ハイ出ましたベッドシーン!ドーン!!」という「007あるある」展開テンコ盛り。

"オマージュ"と言われれば正しくそうなんでしょうけど、やり過ぎ感が強すぎて「笑うところ?違う?違うの?」と映画館でコッソリ周りの人たちを見渡したんですけど、誰も笑ってませんでした。演じているクレイグもレア・セドゥも真面目そのものだし、笑うところではないんだよね。きっとね。そうか、そうなのか・・・と、スクリーンを見つめたまま暗闇の中で挙動不審になっていた私でした。



line.png


ゃあ、そんなに言うんだったら『スペクター』って全然面白くないのか?と聞かれたら、イヤイヤ映画館で観るには最高に面白かった!と胸を張って堂々と答えたいと思います(手の平返し)。


アクションシーンはどこを切り取ってもクライマックス並みのド迫力ですし、強大な悪の大ボスであるスペクターが「どうしてボンドに意地悪をしてきたのたか!?」の真相なんてちょっといじらしくも思えるし、それでラストの大仕掛けを一生懸命作ったのかと思うと、何だかその努力さえも涙ぐましいじゃないですか。

ボスのMを演じたレイフ・ファインズだって「おっとっと」のシーンで初めて間抜けにも思えたし、なんだか盛り上がってるのか下がってるのかよく分らない地鳴り&地響き全開(映画史上最大2100ガロン級)の大爆破シーンも「爆破だ、爆破しとけ!」並みに2つも用意されていてコレで終わったれ!!というヤケクソ感で胸いっぱいです。

最後はこれ違う映画なんじゃないか?と思うようないきなりのチーム結束感に「えぇぇ!」と思いましたが、Qが着ていたミッソーニのニット男子っぷりが飛び抜けて可愛かったので【星5つ!!】で完全に許してしまおうと思います。

というわけで、何だか色々と楽しませていただいた映画でした。
映画って"楽しんだもの勝ち"ですもん!これで結構けっこう。

・・・ま、朝の8:50開映というのがねぇ、お母さん的にちょっとツラかったですけどね
前日から洗濯だ掃除だと全部片づけておかないと7:30登校の子どもを見送ってから家を出られないですもん。次の回だと子どもが学校から帰ってくるのに間に合わないしさ・・・でもやっぱりレディースデイの水曜に行っておきたいしさ、グチグチ・・・





tapelinepink.jpg

は、ここまで小姑のようにイジイジと書いてきたので、物のついでです。
今回『スペクター』で個人的に最も気になったオーストリアの雪山でのボンドファッションのことも書き残しておこうと思います。



雪上でボンドが全身黒でキメて登場した時、彼の足元を見たらパンツの裾が何か違う・・・
これはなに?ロールアップ?あったかファー?

ハイファッションのボンドもこうやってヌケ感を出すのかしら~と、そこだけ妙に気になりまして、その後のアクションシーンで脚が映る度、私は彼の裾に釘付け。見るのはパンツの裾ばっかり。

で、家に帰ってからもこの"雪山ファッション"が気になって気になって・・・・・
それでね、いつもの勢いでちょっと調べてみたんですよ!(ドヤ顔)

Danner Mountain Light II
そうしたらこれ、ジャケットと同じトム・フォ-ドのスターラップパンツ(いわゆる足に引っ掻けて穿くパンツですね)に、ダナーのMountain Light IIのブラックブーツを履いていて、この折り返しは靴下なんじゃないかな!と。
(※但し独自の調査によるものですので、公式発表では靴下アイテムの公表はありません)

そうよ、きっとそうよ!ボンドだって雪上は寒いから、なるべく厚手の靴下を履くんだよ。
自分で靴下をクルっとしたのかと妄想すると、クレイグボンドもちょっと可愛いかもと思いました。・・・ホント、どうでもいいことなんですけどね でも、黒ずくめで色合い的に面白みに欠ける中、アクセントにもなる上手い着こなしですよね。ね!


■この記事に関連する映画制作国、地域 : イギリス映画 

FC2共有テーマ : 007シリーズ (ジャンル : 映画

  2015/12/21 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ギャレス・マローンの職場で歌おう!』  原題:The Choir Sing While You Work  Series 1 (2012/イギリス)

   ↑  2014/05/31 (土)  カテゴリー: ドキュメンタリー、アニメ
 

Choir: Sing While You Work: Season 1 [DVD] [Import]


●原題:The Choir Sing While You Work  Series 1
●制作:Twenty Twenty Television (イギリス2012年)
第1回:ロンドンのルイシャム病院。外科医、ER医師、看護師、物資運搬係など。
第2回:ブリストルのロイヤルメール。郵便物流管理部門、集配センター、配達部門担当者。
第3回:マンチェスター空港。管制官、警備員、消防隊員、手荷物運搬担当者など。
第4回:コヴェントリーのセバーン・トレント水道会社。上水部門のトップを筆頭に、技術者、掘削や水漏れ検知の作業員、料金徴収担当者など。
第5・6回:予選、本大会
●カリスマ合唱団指揮者のギャレス・マローンが各地を訪ね、一般の人々のグループを“合唱団”に育て上げる人気シリーズ。今回は、病院、郵便事業会社、空港、水道会社で働く人々がそれぞれの職場で合唱団を結成し、“イギリスで最も優れた職場合唱団”の座を競う。ギャレスの情熱的な指導のもと、さまざまな課題を乗り越えた4つのクワイアは、観客の心を揺さぶるパフォーマンスを披露する。





今回「おー、これは書き残しておきたいな!」と思ったのは、BS世界のドキュメンタリーで全6回に渡って放映されたイギリス BBC放送の「The Choir: Sing While You Work」。


Gareth Malone 公式サイト
各合唱団を纏め上げていくギャレスは、欧米人にしては珍しくコドモ顔のお坊ちゃん風でまるでタンタンみたい!細くて白い脚を出した半パン姿で現れたら、皆に「ニワトリの脚より細いわ~!!」と爆笑されていたのには吹いてしまった。

でも、彼のその育ちの良さや、厳しくも的確な指導力、そして何よりもユーモア溢れる温かな存在感が皆にポジティブな力を注いでいるようで、普通のオジサンたちが子どものように無邪気な笑顔を見せてくれたり、その生き生きとした表情を追っていくのがとても楽しいドキュメンタリー番組でした。





ここに登場してくる人々のほとんどが「私が!俺が!」というタイプの人々ではなくて、むしろ恥ずかしがり屋だったり感情表現するのが苦手な人たちで、"団体戦"として徐々に絆を深めていく様子などちょっと日本人の感覚に似ていて何だか親近感を感じて面白かったです。それまで顔も知らなかった異なる部署の仲間たちが互いの声を聴き、ハーモニーを紡ぎ、質を高め合っていく姿は、合唱だけでなく職場にも良い影響を与えていくんです。
影響し合っていく人間の力って凄い。


Lewisham NHS Trust
普段は冷静で感情をあまり表に出さない医師たちが、一生懸命笑顔で歌おう!と頑張っている姿や、そこへ彼らの科学的感性に訴えようとアプローチしていくギャレスの試みも面白かったです。

それから水道会社の「アンダー・プレッシャー」などは、ソロを歌うシャーロットの人柄・可愛らしさにメロメロでしたし(あ、でも以降のコンテストには姿が見えず、どうも出場していなかったみたい)、まるで一つの大きなうねりを感じさせるような纏まりある素敵なコーラスにもビックリ!唸らされるものがありました。「水漏れを聞き逃さない!」という現場での音に対するカンの良さが、実は合唱でも生きていたのかな!?





Bristol Royal Mail
そんな中、この番組で最も印象的だったのは、郵便会社の「We can work it out」。

歌は正直拙い部分もあって素人然としているものの、その正直で真っ直ぐなメッセージ性に胸打たれてしまいました。リストラと民営化、仕事の合理化などで会社内部が分断されるなど問題が燻っていたこの会社。そんな空気の中で、管理部門というトップの社員と配達現場の職員という人たちが、同じチームという強い結束力で力を合わせ、助け合い、支え合い、「We can work it out (僕らはきっと解決できる)」というメッセージを職場の中に広めていきたいと、前向きな気持ちで団結していく姿にジーンときてしまいました。この歌、私も学生時代スゴく好きだったんだ・・・・

「私たちは社員たちの信念と情熱を見ていなかった」と、合唱から生まれる結束力や熱意はきっと仕事にも活かすことができる!と管理部門が集まるプレゼンテーションで熱く訴えたティムも素敵でしたが、同じテノール仲間で現場配達員のピートが

「合唱団のいいところは、メンバーの間に差がないこと。同じ目的を持った仲間ですから。合唱がみんなを一つにしてくれました。俺たちはチームなんです。一緒に歌うのは本当に楽しい!若造みたいなことを言っちゃいますが、歌が俺たちを変えました。合唱で出来たことが、仕事で出来ないことはないと思うんです」

と感動的なスピーチをした後に、「・・・・・あと、ティムがこんなオエライさんだとは知りませんでした」と笑わせてくれるシーンがとても好きでした。

※そういえば、NHKで放映されたのは全編日本語吹替えで「イギリス英語を聞きたかったなー」なんて思ってましたが、実はこのスピーチシーンがYoutubeにあがっていてワクワクして見てみたら、何かの早回しなのか!?と思うほど、も――のすごいナマリで衝撃を受けた!!NHKの吹替えよ、ありがとう(笑)





もちろんハレの舞台である最終コンテストに向けて情熱を傾けていく様子も良かったけれど、やっぱり一番心に残るのは職場で、各自のユニフォームや普段着で、同僚や家族の前で歌った姿が一番素敵でした。一番伝えたい気持ち、歌声を届けたい人というのは、本当は審査員などではなく、身近な人たちだったんだろうな。普段は気づかないけれど。




■追記:その後の合唱団

ロイヤルメール合唱団は、その後「Xファクター」出身のジョー・マケルダリーと共に「Abide with Me(日暮れて四方は暗く)」をリリース。前立腺癌の予防や治療のためのチャリティ運動に貢献しています。


■この記事に関連する映画制作国、地域 : イギリス映画 

FC2共有テーマ : ドキュメンタリー映画 (ジャンル : 映画

  2014/05/31 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『天使の分け前』 (2012/イギリス、フランス、ベルギー、イタリア)

   ↑  2014/01/07 (火)  カテゴリー: コメディ


天使の分け前[ポール・ブラニガン]


●原題:THE ANGELS' SHARE
●監督:ケン・ローチ
●出演:ポール・ブラニガン、ジョン・ヘンショウ、ガリー・メイトランド、ウィリアム・ルアン、ジャスミン・リギンズ、ロジャー・アラム、シヴォーン・ライリー、チャーリー・マクリーン 他
●長引く不況で若者たちの多くが仕事にあぶれるスコットランドの中心都市グラスゴー。教育もままならない環境に育ち、親の代から続く敵対勢力との凄惨な抗争が日常と化した日々を送る青年ロビー。しかし、恋人との間にできた子どもがそろそろ出産時期を迎えることに免じ、刑務所送りの代わりに社会奉仕活動(community service)をすることになる。まともな生活を送ろうと改心した過程で親身に接してくれるハリーからウイスキーの奥深さを学び、興味を持つようになる。そして、ひょんなことから“テイスティング”の才能に目覚めるロビーだったが・・・。



明けましておめでとうございます。本年も宜しく願いいたします。
・・・で、さっそくなのですが、映画を観た後に「モヤモヤ~」っとしたものが残る作品に久々に出くわしてしまいました。あーこれが新年一本目だというのが余計にツライっす。なぜ「モヤモヤ」が発生してしまったのか。理由は以下の通り。


※この先、映画の内容について触れています。
 予告編でもわかる範囲の内容ですが、未見の方はご注意ください。
     ↓       ↓       ↓



「爽やか!」「痛快!」と宣伝されていた映画でしたが、"盗み"で人生逆転劇だなんて、うーん、これは明らかに更正の道としては間違っているでしょう。情状酌量の余地ありと何とか実刑を免れたのに、彼の行動は愛しい我が子と彼女を裏切ることにはならないのかな、と。


しかも、物語途中に挟まれる、かつて主人公ロビーから凄惨な暴力を受け、身体だけでなく人生も心もボロボロに傷付けられた被害者青年の話。私は彼や彼の家族のことを思うと、あまりに重く圧し掛かってくるものを感じて、その後の展開に心温まるどころじゃなくなってしまった・・・。『天使の分け前』という映画はアメリカの「ワシントン・ポスト」のレビューでも同じように「ロビーは応援するには難しい主役」「心から彼に成功してほしいと思えるでしょうか?」と言われています。


  ケス


レディバード、レディバード


マイ・ネーム・イズ・ジョー


SWEET SIXTEEN



かつてのケン・ローチ監督なら、過酷な環境に育ちながらも何とか這い上がろうとする登場人物に対しても、憎しみの連鎖、理不尽な暴力、荒れ果てた家庭環境、実の子を奪われて希望のない未来・・・といった絶望に近い痛みを課したはず。だから余計に、この映画の"不良青年の更生によるサクセスストーリー"に対して「希望はあるんだよ」とか「人生のやり直しはきくんだよ」とか、そういった単純な話として受け取っていいのか?とかなり戸惑ったのです。






それでモヤモヤを抱えてしまった私はローチ監督の意図が知りたくて、彼のインタビュー記事を読んでいくことにしました。そして少しずつですが『天使の分け前』という映画に対する印象も変わってきました。脚本家ポール・ラヴァティが本作のためのリサーチ過程で出会い、最終的に演技の経験がないにもかかわらず主役に抜擢されたというポール・ブラニガンの存在が大きかったように思います。ブラニガンはこの映画の主人公ロビーと同様に、何代にも続くファミリー間の武力抗争がもとで服役、頬の傷は本物、両親はヘロイン中毒という、グラスゴーにおけるリアルな負のスパイラルの中で生きてきた青年でした。

この映画のエンディングに希望を感じてくれる人がいるけれど、僕にとってはOnly hope is jobなんだ。仕事を持つことで人は自分に誇りを持つことが出来る。これだけの失業者を生み出した今の社会を見るとき、僕は、僕ら年長者の世代が、若者を裏切った気がしている。
    (中略)
ロビーは、父親になろう、親になろう、家族を養うために何か仕事を見付けようともがいている真っ只中で、だけど手始めにどうすればいいかも分からず、そのための道も全く見えていないんだ。アカデミックなプロセスがロビーを素通りしてしまったのは一目瞭然だ。なぜなら彼はついこの前までティーンエイジャーの不良で、しかもそれが当たり前の世界にずっと身を置いていたから。だとすると、どうやってこの世界から抜け出せばいい?ロビーは本気だと言っているが、もし彼のような世界に属し、そこがすべてだとしたら、足を洗うことはとても難しいんだ。
「仕事こそが希望、仕事を持つことで人は自分に誇りを持つことが出来るんだ」ケン・ローチ監督インタビュー【Web DICE】


スコッチ・ウィスキーの故郷であるにもかかわらず、低所得者層の若者は高級ウィスキーなんて飲んだこともない。まるでギャグのように登場するけれど、彼らが反逆と闘いとプライドの象徴であるキルトスカートを「穿いて行こう!」なんて発言するその無邪気さ、たとえ他人様から失敬してきたウィスキーでも、それしか恩人に渡せるものがない、思いつくのは盗みしかない、それしか出来ないという現実。こちらが勝手に期待した「人との出会い&テイスティングの技で未来を切り開くサクセス・ストーリー」は、この映画にはただのファンダジーでしかないわけです。



再度観た時には、彼らが自分たちのことですら「クズだ」「バカだ」「社会奉仕中のチンピラだ」と言うセリフにちょっと涙が滲んでしまいました。自分たちに何かが出来るとは思ってもいない、彼が酷い暴力で若者を傷つけた過去は、あのシーンだけが『天使の分け前』の中で浮くほどヘビーだけれど、実際に彼らを取り巻く悲痛な現実そのままの姿なのだと。そして人を傷つける行為だけは絶対に許されるべきではないと、ロビーにハッキリと向き合わせたものなのだと思います。




リッチな人間が多く住むコネティカットからやって来たアメリカ人が、レッドソックスの野球帽なんかを被って億単位のお金でウィスキーをポンと落札。

カネにもの言わせる奴らを痛い目にあわせてやろう!という映画ではないので、"常識的"に考えればロビーたちの行動に対して最初の「モヤモヤ」が消えることはないのだけれど。けれど、これはグラスゴーの無職で暴力に明け暮れる若者たちの話なのです。高級ウィスキーの"美味の極致"とは対極にある場所。「彼は反省も更生もしていない」「やっていることは以前と同じ」色々と言えることは幾らでもあるけれど、ロビーはこうやってしがらみから抜け出し、家族を守り、仕事を得るしかなかったのだと思う(しかない)。それを日本の生活の中から「爽やかな感動に包まれました!」「痛快な話!」「元気をもらいました!」という著名人の宣伝コメントはちょっと的外れなような気もしました。

「おそらくケン・ローチ監督の論旨は、グラスゴーの過酷な路上生活で生き残るには、中産階級のウイスキースノッブから盗むことは大したことがない、ということでしょう」という身も蓋もないイギリス「サンデータイムズ」のレビューには苦笑するしかないんですけれど、でもそれはそれで酷い現実(幸せを掴むには多少の窃盗は問題ない)を逆説的に見せつけた、新手のケン・ローチ的映画(←観終わった後にどーんと暗い気持ちになる)かもしれませんね(笑)。

本来なら映画だけから全てを感じ取れればいいのかもしれませんが、今回はモヤモヤが発生したおかげでスコットランドのグラスゴーにおける若者の失業率だとか子どもの貧困問題、世代を越えたギャング抗争などを知ることが出来たのでヨカッタと思うことにします。

参考:イギリスの社会的包摂政策:成功と失敗【季刊・社会保障研究】DavidGordon
     Glasgow East by-election: Stark social problems, poverty【World Socialist Web Site】





大きな地図で見る
ロビーたちが住むグラスゴーのカータイン(Carntyne)から、物語後半の舞台となる北ハイランドのドーノック(Dornoch)にあるバルブレア蒸留所(Balblair Distillery)。彼らにとっては大きな旅だったんだろうなぁ。



分断された格差社会から弾かれ、見放され、報われない者たちの叫びを常に代弁し続けてきたローチ監督。サッチャー元首相が亡くなった時の彼の発言を。
マーガレット・サッチャーは、現代において分断と破壊を引き起こした首相でした。大規模な失業、工場の閉鎖、破壊されていった地域社会、これらは彼女の残した遺産です。
(中略) 彼女の告別式を民営化しましょう。入札を行い一番安い見積もりでやりましょう。それこそ彼女が望んだものなのですから。
Ken Loach wants Thatcher's funeral privatised【YAHOO MOVIES】


■この記事に関連する映画制作国、地域 : イギリス映画 

FC2共有テーマ : 映画を見て、思ったこと (ジャンル : 映画

  2014/01/07 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『砂漠でサーモン・フィッシング』 (2011/イギリス)

   ↑  2013/11/27 (水)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ


砂漠でサーモン・フィッシング【Blu-ray】


●原題:SALMON FISHING IN THE YEMEN
●監督:ラッセ・ハルストレム
●出演:ユアン・マクレガー、エミリー・ブラント、クリスティン・スコット・トーマス、アムール・ワケド、トム・マイソン、レイチェル・スターリング、コンリース・ヒル 他
●アラブの大富豪からの「イエメンでサケを釣りたい」という依頼を受けた水産学者のジョーンズ博士。そんなことは絶対無理だと相手にしなかったものの、何とイギリス外務省後援の国家プロジェクトに発展。ジョーンズは、イエメンの大富豪の代理人ハリエットらと共に無謀な計画に着手することに・・・!



イエメンで鮭釣りを (エクス・リブリス)

Salmon Fishing in the Yemen


原作は、釣りを愛する国イギリスで40万部を記録したベストセラー小説。思いっ切り期待させてくれるユニークで奇想天外なタイトルですが、実話ではなくフィクションでした。もし現実に起こったら「奇跡体験!アンビリバボー」なんかでやってくれそうな内容です(笑)。



あーしかしですね、正直にバッサリ言ってしまいますが、編集がけっこう雑で物語には深みがなく、底の浅い上滑りした印象になってしまって本当に本当に残念でした。イエメン人のシャイフは突然すごく深くて哲学的な含蓄のある言葉を発したりするのに、それがもう全然物語に絡んでこなくて、しかも全く響かない!これほど響かないお言葉も珍しいんじゃないか!?と思ったりも。テロリストたちも、メディア戦の政治的駆け引きも、サーモン・プロジェクトも、不倫もアリのラブロマンスも、時々出てくるコメディ要素も、どのエピソードもあまりに中途半端すぎるので「これはもしや、どこかで何かをバッサリカットしたんじゃないのか!?」とハルストレム監督の心配をしたくなったほど。私は『ギルバート・グレイプ』の繊細さがとても大好きだったので、この大雑把な出来の映画がなんだか不思議にも感じました。





ただ、もしこの映画で嬉しかったことを挙げられるとすれば、それはハルストレム監督の透明感溢れる作風は変わらず健在で、それがきちんとキャストの演技に反映されていたこと。

 border=
イエメンでの鮭釣りが可能になる!!その時に『砂漠でサーモン・フィッシング』という映画では、まんまんと水が湛えられた壮大なダムの景色をバックに、ムスリムであるシャイフがクルアーンのオープニングといえる第1章「開端章 الفاتحة(アル・ファーティハ)」を静かに朗誦(礼拝かな?)し、ユアン・マクレガー演じるジョーンズ博士はこれを聴きながらそっと目を閉じてハリエットと二人、静かにダムの前に佇むシーンを映し出していました。

イエメンといえば、アメリカ、アルカイダ、テロ、南北の部族問題やサーレハ前大統領の退陣から現在に至るまでの政情不安など、厳しい状況下での話題が多いのが現実でしょう。でもこの映画では、ここでムスリムが最も大切にし、きっと中東に暮らしたことのある人ならば一度は耳にしたことのあるであろう有名なスーラをさり気なく登場させました。クルアーンの朗誦というのは、信仰とは全く無関係の人間でも聞き惚れてしまうような美しい響きがあり(私には仏教のお経のように聴こえる)、シャイフの言う"宗教や国や政治を超えたところ"で人々が共鳴し合える瞬間を、ハルストレム監督は彼らしくとても丁寧に切り取ったのだなぁと思いました。

以前からちょっと不思議だったのですが、スウェーデン出身のラッセ・ハルストレム監督は様々な国や地域の文化を背景とした映画を本当にさり気なく撮っていて、それは何故なのだろうなと。そのヒントらしき監督の言葉をインタビューの中に見つけたので、ちょっとここに残しておこうと思います(相変わらず大雑把な意訳)

マイライフ・アズ・ア・ドッグ[Blu-ray]


やかまし村の子どもたち [DVD]


ギルバート・グレイプ [DVD]


サイダーハウス・ルール [DVD]


ショコラ [DVD]


シッピング・ニュース 特別版 [DVD]


ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男 [DVD]


HACHI 約束の犬 [DVD]



――私は、リアルな感情にこだわりたいのです。俳優にそう演じてもらいたい場合、撮影する土地の背景や文化の違いなどはそれほど重要ではありません。一番大事なのは、世界のどこにでもある普遍的な経験や感情なのです。どんな場所であろうと問題はありません。私にとっては、それらが"異質なもの"になることはないのです。――
Interview: Director Lasse Hallstrom of “Salmon Fishing in the Yemen”【Beliefnet】
“リアルな感情”にこだわり。『砂漠でサーモン・フィッシング』監督が語る【ぴあ映画生活】








あ、それとそれと、この映画で最も大健闘していたのは、何と言ってもクリスティン・スコット・トーマスの完全に振り切れた演技でした!控えめながらも内なる情熱を秘めた美女だった・・・あのクリスティンが「チッ!」とか舌打ちしながら「役たたずのバカが!」なんて辺りを蹴散らしまくって突き進む首相広報官役を楽しそうに演じていたのがインパクト大でした。美人が年を取って横暴な役をやると、ホント面白くなるんだよなぁ~

それとユアン・マクレガーが、鯉のことを「KOI-Carp」と言っていたこと。錦鯉というのは日本で生まれた鑑賞用の鯉のことなんだけれど、英語圏では食用鯉や野生鯉を「Carp」と呼び、鑑賞用鯉(つまり錦鯉)を日本名のまま「Koi」と呼んでいるのだそう(Carp-錦鯉の歴史【MCF Japan】より)。へぇへぇ~!

  Koi Carp Magazine
しかもイギリスには、錦鯉飼育の専門誌↑「Koi Carp Magazine」という人気雑誌まであるんですって、奥様ご存知でした?映画では「英国には200万人の釣りマニアがいて専門雑誌もあります。[釣りタイムズ][マスと鮭][淡水魚釣り][バス・マニア]・・・・・」なんてジョーンズ博士も言ってましたけど、ホント色々な世界があるんですねぇ~。




■この記事に関連する映画制作国、地域 : イギリス映画 

FC2共有テーマ : 映画を見て、思ったこと (ジャンル : 映画

  2013/11/27 | Comment (4) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit
申し訳ありません。 お探しの記事は現在、この ユーザータグ (Keyword) を設定していない可能性があります。 右の検索BOXで 再度用語を短めに入力していただくと記事が見つかる場合があります。