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『ボクの熱気球』 (2005/オランダ、ドイツ、イギリス)

   ↑  2012/11/12 (月)  カテゴリー: コメディ
【DVD】ボクの熱気球
●原題:LEPEL
●監督:ウィレム・ファン・デ・サンデ・バックハウゼン(Willem van de Sande Bakhuyzen)※"ヴァン・デ・サンド・バッキホイズン"表記もあり
●脚本・原案:ミーケ・デ・ヨング(Mieke de Jong)
●出演:ユープ・トラーエン、ネールチャ・ド・ヴレー、ルース・リュカ、カリス・ファン・ハウテン、バリー・アツマ、ケース・ヒュルスト 他
●冒険家の両親が乗った気球が行方知れずになり、9歳のレーポルは邪険に扱われながら祖母に育てられている。祖母が営むボタン屋さんのためにデパートの服売場からボタンを盗む手伝いをさせられているのだが、そんなある日、デパートに住む少女・プルーンや店員のマックスと友達になる。レーポルは彼らと一緒に両親探しに乗り出すことにするのだが・・・。世界各国で数々の映画賞を受賞した心温まるファンタジー。




 [Lepel]Auteur: A.M. de Jong,Co-auteur: Akke Holsteijn 【bol.com】
てっきり児童書か何かの映画化かと思いきや、探してみた書籍版は逆にこの映画のシナリオに基づいて書かれたものなんだそう。オリジナルだったのですね。Gyaoでの評価が良かったので軽い気持ちで観てみましたが、なんて可愛いお話なんだ~

デパートに住んでいる女の子とか、それに全く気付かないデパートのセキュリティだとか、『ボクの熱気球』という映画はオトナとしては突っ込みどころ満載なのだけれど、だからと言って子供じみた幼稚さなどは微塵もないところが素敵!





主人公のレーポル(オランダ語で"スプーン"という意味のヘンな名前を付けられている)は、まるでシンデレラ姫のように意地悪なおばあさんにこき使われる日々から飛び出して、デパートに住むプルーンと一緒に自分たちで意思決定をするのです。誰にも騙されないぞ!!というのがカッコいい。冒険好きな子どもなら、主人公たちの行動力にグングン引き寄せられ、共感し、夢中になってしまうだろうなぁ。



それに、こういった子ども映画でありがちな「リアリズムがないから入り込めない」という心配もご無用です。何しろ全編に渡って彩られるカラフルでポップなデザインや、レトロ感あふれる"緑"がアクセントになった映像の数々。それらの色使いの柔らかさには、オトナの疲れ気味の目も癒されてしまいます。

コドモ映画でこのデザイン力、クオリティの高さはさすがオランダ、ミッフィーちゃんを生んだ国!「ファミリー映画」としての評価も高く、各国様々な映画祭で国際的な存在感を放っている作品でもあります。

因みにオランダ映画界では10万枚のチケット(つまり10万人の観客動員数)販売時には「ゴールデン映画賞」というものを授与しているのだそう。40万人で「Platina Film」、100万人だと「Diamanten Film」が。『ボクの熱気球』も公開2週間半で10万人の観客動員を果たして「Gouden Film」を受賞しています。国産映画を支援するという意味で面白い制度ですね。

※子ども映画のレビューでこんな話もなんですが、エログロバイオレンスで悪趣味と言われるポール・バーホーベン監督(私は大好きだ!!)が久々に母国で撮った『ブラックブック(原題ZWARTBOEK)』もゴールデン映画賞を受賞しています。





Willem van de Sande Bakhuyzen overleden【ELSEVIER】
この映画を観終わった後、日本のサイトではあまり詳細がわからなかったのでオランダ語で少し調べていたのですが、そんな中、実はウィレム・ファン・デ・サンデ・バックハウゼン監督が2005年に47歳の若さで逝去されていたこともわかりました。監督最後の作品『Leef!』公開前日に亡くなられたとのこと。タイトルの意味は"Stay alive!" や"Live!"。

何かものを創り出す人たちにも共通していますが、映画監督がこの世を去っても彼らが生み出した作品は、ずっとずっと観た人の心に生き続けます。『Leef!』というタイトルのように。

2004年に癌だと診断されたというファン・デ・サンデ・バックハウゼン監督は、恐らく『ボクの熱気球』撮影時には自身の状態をわかっていたのでしょう。「子どもたちを幸せにしたい!」と願っているオトナが作った素敵な映画でした。出会えて本当によかった!



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  2012/11/12 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』 (2008/オランダ)

   ↑  2012/10/29 (月)  カテゴリー: ドキュメンタリー、アニメ


ようこそ、アムステルダム国立美術館へ


●原題:HET NIEUWE RIJKSMUSEUM / 英題:THE NEW RIJKSMUSEUM
●監督:ウケ・ホーヘンダイク
●出演:アムステルダム国立美術館の館長:デ・レーウ、学芸員たち、警備員たち、修復家たち、装飾家たち、建築家(クルス&オルティス)、教育文化科学省 大臣&副大臣、サイクリスト協会の人々 他
●レンブラントの『夜警』やフェルメールの『牛乳を注ぐ女』など数々の傑作を所蔵するオランダを代表する美術館、アムステルダム国立美術館。2004年、その開館以来となる大規模な改築工事が始まる。館長ドナルド・デ・レーウの指揮の下、スペイン人建築家クルス&オルティスの手による新美術館の設計プランが2008年の再オープンに向け動き出すのだが・・。本作は、この改築工事の記録を依頼されたウケ・ホーヘンダイク監督が、図らずもプロジェクトの大混乱に立ち会うこととなり、予期せぬ事態に直面して苦悩する館長や建築家、個性豊かな学芸員たちが繰り広げる悲喜こもごもの人間模様をカメラに収めたドキュメンタリー。



こーれーはー、面白かった!個人的にゆる~くツボだった映画。
私は時々無性に「ドキュメンタリー映画が観た~い!」となるんですが、これって「ドキュメンタリー映画」というのは、脚本や編集で手が加えられているとはいえ、"役"ではなく実在の人々の思いもよらぬ反応や表情に笑わせられたり、感動させられたり。そんな風に物語に直に触れられるような感触がとても好きだから、なのかなぁ。自分でもよく分からんのですが。

で、ワクワクしながら観たこの映画の舞台は、オランダ。行ったこともありません。
資源が少なくて小さい国であるからこそ、語学力に長けた貿易に強い"商人魂"の国(だってDutch=割り勘とか倹約のイメージが笑)、自己主張が強いツワモノ国家だと勝手に思っておりました。そうしたら、それがその通り過ぎたことによる可笑しさと、その先入観を超えたところによる感動と。"国民性"から垣間見えるものが、この『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』の不思議な魅力の一つなのかもしれません。






この美術館の改築工事というのは、単なる"箱物の建替"などではなく世紀をかけた大改装であり、また市民と密接に関わり親しまれていた中心地でもあるわけで、このことから混乱や食い違いが生じていく。その過程が(失礼ながら)本当に面白いのです。耳にタコが出来るほど「solution」という単語が出てくるわけで、しかもこれは英語の会話時だけなので、オランダ語やスペイン語のセリフを入れたらもっとというわけか(笑)!

美術館を貫く通路が閉鎖されることに地元の【サイクリスト協会】が猛反発、計画はスタート早々に躓いてしまう。自転車大国ならではのサイクリスト協会最強!しかも、その後も様々な問題が噴出。まさに喧々轟々!計画は度重なる変更を余儀なくされ、再オープンのメドも立たないという事態を迎えてしまう。そう、2008年の再オープンを予定していたこの美術館は、実際2012年の今現在も未だ改装中・・・・・・・ってオイオイ。






日本の充実した(?)根回し社会とは違って毎回誰かとぶつかり合うという、いちいち本気度の高いオランダ社会。それらの混乱に立ち向かっては途方に暮れる館長。そして、そんな嵐の中でも、芸術の素晴らしさやその美への理想をうっとりと語るアツイ学芸員たち。ヘタな映画より面白いのでは!?

作品の展示の有無で議論する学芸員たちは「これは美術史的な観点からすると、重要な絵じゃない」「これより良い作品がある」「美術史的には価値がない」なんてことを優美な絵画たちの前でしれっというわけで。その勝手な言葉に「チェッ!」と不満顔のようにも見える絵画の表情がとっても面白い。ゴタゴタの影で名画たちが展示されず、窮屈そうに収蔵庫で眠っている姿は哀しくもあり滑稽でもあり。



日本人としてちょっと誇らしかったことは、新規にアジア地域のパビリオンをオープンさせるために金剛力士像を探し出し、これほどまでに日本芸術を愛してくれている学芸員の存在。彼がやっと届いた金剛力士像を、まるで子どものように頬を紅潮させながら受け取るシーンは思わず感情移入してしまいそうなほど、興奮と幸福に満ちた時間でもありました。






そう、この映画には芸術を愛する温かな眼差しと、その前で右往左往する懸命な人々を見守る、ときにユーモラスな視点が確実にあって、それが観ていて本当に心地よいのです。警備員の語る"静かなる現場"との沈黙の語らいや、修復家たちの絵画への情熱や尊敬の念、装飾家たちの仕事への誇らしさなど、それぞれの立場の人々が皆芸術を愛してやまないことが、じんわり伝わってきてとても温かい。


New logo for The Rijksmuseum
応援してあげたくなるような大きな存在感だった館長と同じように、思わずアタマを抱えてしまいそうになりながら鑑賞したこの映画。この映画の製作・公開後、ついに2013年4月14日にグランドオープンすることに(関係者向けオープンは4月13日)!よかったよかった~



『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』というステキな邦題のように、いつか訪れてみたいなぁと思わせてくれた映画でした。ま、気持ち的には全力で「がんばれ、アムステルダム国立美術館!!」でしたけど(笑)。



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  2012/10/29 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『パラダイス・ナウ』 (2005/フランス、ドイツ、オランダ、パレスチナ)

   ↑  2010/10/06 (水)  カテゴリー: シリアス、社会派
映画「パラダイス・ナウ」公式サイトへ


★DVD/洋画/パラダイス・ナウ/ULD-369





イスラエル占領地ナブルス。
ヨルダン川西岸地区の北に位置するそこは、周囲を隔離壁で囲まれ、イスラエル軍の監視下のもと人々は自由に外へ出ることはできない地域。水源もイスラエルにおさえられつつある貧困の中、まるで世界から見放されたように夢も希望も持てず、ロケット弾が飛び交い、銃撃戦の音が鳴り響き、閉塞感と絶望に押し殺されたような町。




この占領下で生まれ育ち、「外」へ出ることも許されず、ただこの現実に耐えて生きてきたパレスチナ青年サイードとハーレドは、ある日自爆攻撃(suicide attack)の遂行者として選ばれます。決行は明日。パレスチナ人組織の指導者らは「価値のある死だ」「英雄になれる」「天国が待っている」と何度も繰り返し、サイードらも「光栄です」と受け入れ、それぞれは静かに最期の夜を迎えるのでした。



この青年たちは、狂信的な人間なのだろうか?と私は幾度も幾度も思うのです。
冷酷無比で、本当に死を恐れず、この自爆攻撃がナブルスの町やパレスチナの人々を救うと心から信じているのだろうか、と。

彼らは心の奥底ではきっと知っているはずなのです。「命」に対して、躊躇もしているはずなのです。しかし、これをジハード(聖戦)だと思い込まなければならない状況下にあることが、彼らを「死」へと一歩進めてしまうのではないかと私は思うのです。


桁外れの軍事力を誇るイスラエル軍に対して、もはや抵抗力を失うほど追い詰められた人間の手に残された最後の力は、自らを武器に憎むべき相手を道連れにした自殺しかないのかもしれません。人間としての尊厳を奪われ、大切な家族を奪われ、生きる希望もない現在(now)なら、せめて天国(paradise)へ行けると信じられなければ、自爆などできはしないでしょう。

巻き込む相手にも大切な家族や友人がいることに想像が及ばぬほど、生き抜く手段をもはや選択できないところまできているというギリギリの現実。初めて自分の存在意義を肯定し、正当化し、神のもとに行けるのだと信じきること・・・それだけが唯一持てる「希望」だとして。




「死ねば天国へ行ける」と喜んでいたハーレドが、決行当日、フェンスを越える際にはぐれてしまったサイードを探して車で町中を走り回り、前日にサイードが知り合った女性スーハを乗車させるシーンがあります。彼女は自爆攻撃の事実を知り、彼を思い止まらせようと懸命に説得します。スーハは「外部」の目を持つ唯一の人間。そんな彼女に対して、絶望感しか知らずに育ったハーレドは初めて生きるという選択肢の力を見たはずです。

「頭の中にしか天国はないのよ!」と言い切るスーハの、ムスリムにとっては恐れるほど強烈な言葉がこのシーンにはあります。ここまで言い切った映画を私はこれまで見たことがありません。このセリフを入れることが、イスラム世界においてどれだけ大きな反響を呼ぶのか、私にはとても想像できません。しかしこの言葉が、自爆攻撃を考える人間たちすべてに向けて叫んでいるかのように私には聞こえてなりませんでした。どうか、生きて欲しいと。どうか、踏みとどまってほしいと。

初めて死なずに"生きる"という道を探す可能性を感じた彼は、そこで初めて自爆攻撃に対する死の恐怖、問題は解決しないという事実を自ら掴み取り、そして全力で生きる道を模索し始めるのです。

その頃。
僅かながらも自爆攻撃に対して疑問を抱いていたサイードは、"処刑"された自分の父親のことを思い返していました。サイードが決断する道とは・・・。
組織の代表に自らの決意を語るサイードの目を、私は忘れられません。





彼らに、生きる道を諦めるなと願うのは酷なのでしょうか。

自爆攻撃は、決して「解決」ではなく「復讐」にしかならないことは明白です。たとえ「復讐」をその手で終えたとしても相手からの抑圧・締め付けは一層強まり、残された者たちの苦しみは果てしなく続くのです。自爆は解決などにはならず、相手に対して更なる攻撃の理由を与えることに繋がるだけなのです。決して、解決にはならないのです。



そして自爆遂行者たちも、二度と家族や母親のもと、愛する人たちのもとに戻ってくることはありません。

イスラム教には有名な伝承で、ムスリムが大切にしている言葉があります。天国は母親の足元にあると。彼らはそんな母親を残して旅立ってしまうのです。

尊い命を巻き添えにしていった彼らの目に、天国は見えたのでしょうか。



●原題:PARADISE NOW /الجنّة الآن‎ 
●監督:ハニ・アブ・アサド
●出演:カイス・ネシフ、アリ・スリマン、ルブナ・アザバル、アメル・レヘル、ヒアム・アッバス 他
●パレスチナの幼馴染みの二人の若者が自爆攻撃に向かう48時間の葛藤と友情を描いた物語。各国で賛否を巡って活発な議論を呼び起こした。パレスチナ映画としては初めてアカデミー外国語映画賞にノミネートされたが、実際に起きた事件の犠牲となった若者の家族が「犠牲者の痛みを無視し、世界にさらなるテロを誘発する」として本作品を抗議、イスラエルの人々による大々的な反対運動が起るなど様々な物議を醸した。監督はパレスチナ人のハニ・アブ・アサド。また、共同プロデューサーの中にはイスラエル人プロデューサーも名を連ねている。なお、撮影は映画の舞台ナブルスにて実際に行われた。映画撮影時より状況はさらにひどくなり、ロケット弾が飛び交い、市民が射撃され、市民の移動の自由もなく、人間としての尊厳が保てない状であるという。「隔離壁を作り続けているイスラエルは"民族浄化(ethnic cleansing)"を行っている」とアサド監督はインタビューで訴えている。



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  2010/10/06 | Comment (1) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit
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