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『第9地区』 (2009/アメリカ、ニュージーランド、カナダ、南アフリカ共和国)

   ↑  2011/10/13 (木)  カテゴリー: SF、宇宙、怪獣





第9地区【Blu-ray】 [ シャールト・コプリー ]


●原題:DISTRICT 9
●監督:ニール・ブロンカンプ
●出演:シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ、ヴァネッサ・ハイウッド、ナタリー・ボルト 他
●南アフリカ上空に突如現れた正体不明の宇宙船。襲いかかることもなく難民として降り立った"彼ら"との共同生活はそこから始まった。・・・それから28年後、増え続ける犯罪に市民と"彼ら"の争いは絶えず、共同居住区「第9地区」はスラムと化していった。超国家機関MNUは彼らを強制収容所に移住させる計画を立て、ヴィカスという男にプロジェクトの最高責任者の任務を託す。ヴィカスは立ち退きの通達をして回るうちに、知らずに人類と"彼ら"の歴史を変える大事件の引き金を引いてしまう・・・。

第9地区公式サイト(日本語)


「難民」を保護してみたものの、彼らは貧困から暴徒化し街は荒廃状態に。略奪や暴動が一般市民にも飛び火して、事態の収拾に税金が注ぎ込まれる。国民の苛立ちは頂点を極め、人権団体は「難民」の保護を求めて騒ぎ始める。社会は一層の混乱状態に・・・

日々ニュースで見聞きするようなトピックなので「得体の知れない者」=「エイリアン」と位置付けて、彼らとの関わり合いをメタファにした社会問題提起の映画かな?と思っていたら、あらまぁ、意外な方向へと話が進んでいくんですね!当時一番の話題作だっただけあって、とても面白かった!


手持ちカメラを使った疑似ドキュメンタリー方式というのは、今ではそれほど珍しくも目新しくもない手法ではあるのだけれど。あまり見慣れない南アの役者さんを使っていることや、南アフリカ放送協会やロイターなどの報道機関所有の本物のニュース映像を使用していること、一般市民へのインタビュー映像も実際の南アの人々に「不法移民(=映画内ではエイリアン)についてどう思うか?」という生の声を引き出していること・・・といった様々な効果が抜群に功を奏しているのでしょうね。

映画の要である物語のベース作りが丁寧で巧妙なので、そこから生まれるリアリティが何の違和感もなくこの映画の設定に入っていけた理由なのかもしれません。



エイリアンを喰らったり違法武器売買を行うギャング団も確かに怖いのだけれど、やっぱり莫大な金が絡んだ資本主義社会の民間企業が、この世で一番恐ろしいものかも。エイリアンなんかより人間の方がずっとオゾマシイってことですねぇ・・・





そして、やはり見どころは後半戦!
『ザ・フライ』ばりの「融合・変態」の辺りから凄い展開に・・・


とにかくとにかく、ヴィガスの頑張りの惹き込まれてしまった!
主演のシャールト・コプリー、最初と最後では気の入り方が全然違うので顔がまったく別人ですよ。魅力的な俳優さんだなぁ。

この映画、私には所謂ハリウッド大作モノによく見られる観客に依存する"甘え"があまり感じられず、心地よいものでした(アメリカ資本の映画ではあるのだけれども)。だから、ベタな展開や間延びした予定調和な話にガッカリさせられることもなく、特に一気に加速度を増して駆け抜けていくラストはハリウッドの手垢にまみれていないピュアな映画作りへの底なしの愛情が感じられて大好きでした。

エイリアン父子のキャラクター像にしても、コメディになりそうなほどベタベタな設定なのですが、そのギリギリのところで可笑しみや温かみを感じるという、何とも言えず不思議な好感を覚える映画だなぁ・・・と。


それで、とても気になって制作スタッフ陣を見てみたのですが・・・
この映画を全面バックアップしたピーター・ジャクソン以下のプロデューサーや、脚本など皆さん割と若い人たちなんですね。でも、その道ではかなり実力のある撮影監督のトレント・オパロックをバシっと起用するなど、若いけれど独創的でパワフル、ソウルフルな人たちを贅沢に使ったところがこの映画の最大の勝因かと

今後ハリウッドに招かれても、どうかベタベタな観客寄りの映画作りに加担させられることなく、これからもオリジナルな映画作りで観る者を驚かせ続けていってほしいものです。愛すべき映画が、また一つ増えました!





■追記(2013.2.19)
最近読んだ「映画秘宝EXb映画の必修科目03~異次元SF映画100~」から『第9地区』について興味深かった箇所をちょっと引用。
 1979年南アフリカ生まれのニール・ブロンカンプ監督は"アパルトヘイト"の体験者だ。異人種間の恋愛や結婚まで禁じられていたこの政策は1948年に法制化され、ネルソン・マンデラ大統領就任後の1994年になってようやく廃止された。
 18歳でカナダに移住するまで、ニール監督は人種によって住む地域が鉄条網で仕切られた風景を眺めながら育った。南アフリカの人種隔離政策は表向きはなくなったが、未来の人類は新しい差別と偏見を生み出すであろうことをニール監督は予言している。
洋泉社MOOK 映画秘宝EX 映画の必修科目03~異次元SF映画100~ No.090アパルトヘイトを反映させたエンターテイメント大作『第9地区』より



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  2011/10/13 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『インベスティゲイター』 (2000/ニュージーランド)

   ↑  2011/07/14 (木)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー






インベスティゲイター [DVD/洋画/サスペンス ミステリー]


●原題:LAWLESS: DEAD EVIDENCE
●監督:チャーリー・ハスケル
●出演:ケヴィン・スミス、アンジェラ・ドッチン、C・トーマス・ハウエル、アンドリュー・ビンズ 他
●5年前に若い女性を狙った殺人事件が起こった現場近くで、同様の事件が再び起こった。当時殺人犯として捕らえられ今もなお服役中のディーンの妻は、これらの事件は同一犯によるものではないかと疑う。彼女の依頼を受け調査に乗り出す私立探偵のジョディーと元秘密捜査員のジョン。しかし、妻が無実だと信じていたディーンが脱獄したとの報せが入る。また、5年前の殺人事件では警察が目撃者からの重要証言を隠していたことも明らかに。果たして、ディーンは本当に犯人なのか!?そして、真犯人は誰なのか!?



あの・・・毎年のことなんですが、私は夏の間ブログが書けなくなります。
理由は、日中すべての体力を使い果たし、夜が来ると子どもと一緒にバタンキューで寝てしまうからです。しかしながら、映画を観るのもブログを書くのも夜しか時間がないため、今日はなんとかブログの管理画面まで来ました!!急いで書いて寝ます(笑)。





この『インベスティゲーター』という作品は、もともとニュージーランドの「Lawless」というTV映画がシリーズ化したものの三作品目にあたるものです(※下記の【NZ On Screen】サイトでは、各シリーズから抜粋された5,6分ほどを観ることができます)。

1999 Lawless (TV movie)
2001 Lawless: Beyond Justice (TV movie) 邦題:正義の行方 BEYOND JUSTICE
2001 Lawless: Dead Evidence (TV movie) 邦題:インベスティゲイター

私がこのシリーズを観たのはもう数年前になってしまうのですが、とても懐かしかったので中古DVDを購入して観直してしまいました。『ワンス・ウォリアーズ』(1994/ニュージーランド)でも書いたことがあるのですが、ニュージーランド映画というのはもともと産業的な歴史が非常に浅いため、当時私が観ることができただけでもラッキーだったのかなと思います。


wikipedia:Kevin Smith (New Zealand actor)
From Wikipedia【Kevin Smith (New Zealand actor)】
そして何より、この作品について最も感慨深いこと・・・それは主演のケヴィン・スミス(Kevin Smith)がもうすでに亡くなっているということなんです。まだ38歳という若さでした。

初のハリウッド進出作品としてブルース・ウィリス主演の『ティアーズ・オブ・ザ・サン』への出演が決定し、翌月からハワイで撮影が開始されるという矢先、準備滞在していた北京の撮影所で落下事故にあい、2002年2月15日意識不明のまま中国で亡くなってしまいました。


XENA WARRIOR RRINCESS
残念ながら日本では未放映ですが、米国ドラマ「ジーナ(XENA: WARRIOR RRINCESS)」(1995~2001年)のアレス役で人気があったため、当時は【ニュージーランド・ヘラルド紙】など地元各メディアはもちろんのこと、イギリスの【インデペンデント紙】や、アメリカの【ニューヨーク・タイムズ紙】でも訃報が掲載されていました。

また彼の亡くなったあとには妻と当時11歳、9歳、3歳という3人の幼い息子たちが残されていたことから、彼の俳優仲間などによって遺族のための【the Kevin Smith Foundation(ケビン・スミス基金)】というものも設立されるなど、多くのファンたちにとって衝撃的で悲しいニュースとなったのでした。

ニュージーランドのテレビガイドを見てみたところ、ちょうど先月にも「Lawless」が再放送されていました。亡くなってもなお、ずっと人々に愛され続けている俳優さんなのでしょうね。





日本でリリースされているDVDジャケットには
≪若くしてこの世を去った ケヴィン・スミス主演!!≫
とトップに大きく載っていたりします。

さらにはこんな文言が・・・
≪最優秀監督賞・最優秀主演女優賞・最優秀主演男優賞ノミネートなど
主要5部門を受賞した人気TV番組の映画化!!≫


でも、よーく下の方を読んでみるとスゴク小さな字で「1999年ニュージーランドTVガイドテレビジョン賞」って書いてあるじゃないですか。聞いたことないと思った!(笑)
しかし、【The TV Guide New Zealand TV Awards - Results】という当時の記事には「ドラマ部門は『LAWLESS』が独占!」とまで書かれてあるので、失礼ながら日本では通用しないものの本国では大きく取り上げられていたのは本当のようです。 日本でいえば「ザ・テレビジョン ドラマアカデミー賞」みたいなものなのかな?規模がわからなくてスミマセン。



某サイトにも書いたことがあるのですが、ケビン・スミスの相棒を演じるアンジェラ・ドッチンは、美人なのだけれどサバサバした感じに好感が持てるという「ビバヒル」でケリー役を演じたジェニー・ガースによく似た雰囲気の女優さんです。さらに『アウトサイダー』で主演した米国人俳優のC・トーマス・ハウエルがアンジェラとケヴィンのコンビに加わることで、シリアスさの中に軽妙な空気を取り入れてくれています。

確かに映画としては、プリプリのオネエチャンたちのキャットファイトをオープニングから見せてハートを掴もうという、いわゆる日本の「2時間サスペンスもの」の域を超えない"ありがち"な作りと展開だったりするのかもしれませんが、やはりココは自然豊かなニュージーランド!ということで、街中からいきなり森の中を駆け抜けるカーチェイスシーンを盛り込んでみせたり、バーでの喧嘩のシーンではちゃんと顔面タトゥーで迫力のあるマオリ族の男性を映すなど、NZらしさをここそこに感じさせてくれるところが新鮮であったりもします。

互いに信頼を寄せている私立探偵のジョディ(アンジェラ・ドッチン)と元秘密捜査員のジョン(ケヴィン・スミス)の間柄が、微妙に近づいたり離れたりするところなど、このシリーズのファンならば思わずヤキモキするところなのかもしれませんね。






DVDに収録されているキャストやスタッフのインタビュー集では、もちろん生前のケヴィンの明るく屈託のない大らかな笑顔を見ることができます。

ラグビーで鍛えられ、さらに母親がトンガ人というDNAからかワイルドで恵まれた肉体に加え、精悍な顔つき、豊かな表情などは、他の俳優にはない魅力にあふれた役者だったのだと思います。いわゆるガタイを誇示する「タフガイ」役の多いハリウッドの"肉体派俳優"とは異なる、どこか繊細な雰囲気も併せ持つ俳優さんでした。もっと多くの映画で、活躍する彼の姿を見ていきたかったです。映画界にとっても、本当に惜しい方を亡くされたと思います。

亡くなられてもう10年近くが経ってしまうわけですが、どうしてもケヴィン・スミスのことはこのブログに残しておきたくて、今日は彼について書いてみました。


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  2011/07/14 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ワンス・ウォリアーズ』 (1994/ニュージーランド)

   ↑  2010/07/30 (金)  カテゴリー: シリアス、社会派





【DVD】Once Were Warriors

Once Were Warriors [DVD] [Import]


●原題:ONCE WERE WARRIORS
●監督: リー・タマホリ
●出演:レナ・オーウェン、テムエラ・モリソン、ジュリアン・アラハンガ、マヌエンガロア・カーベル 他
●ニュージーランドの都市部スラム街に居住する「マオリ族」について、ある一家の物語を通して国内でもタブーとされてきた様々な現実問題を炙り出した人間ドラマ。マオリ族の血を引くアラン・ダフの同名小説を、やはり同じ血を引くリー・タマホリが初監督した映画作品。



「マオリ族」はニュージーランド国民の約15%ほどを占めており、この映画は彼らの抱える問題(教育・貧困・失業・犯罪の連鎖)をリアルに描いたとして、当時はかなりの反響を呼んだとのこと。


この作品の視点は非常にリアルです。
観る側に、主人公一家たちから目を背けることを決して許さない強靱さがあり、それが私にはとても辛かった点でもありました。恐らくこの映画が描きたかったのは、彼らが受けている社会的差別の現状や、それに抑圧されて自尊心を失ってしまった若者たちが起こす犯罪、失業からくる荒んだ生活等だとは思うのですが、私が見ていた一点、それはそれら全てを負った男が起こす家庭内での「暴力」の凄惨さでした。

抑圧された民族や人種の出身者には、それを他者へ怒りとして暴発させる人間もいることを私は身近に知っていました。決して彼らを正当化するものではないのですが。窒息すると顔が別人のように腫れることも、それでも逃げられない日常生活があることも。まるでその場へ手が届くようにそれらを赤裸々に描写し、そして吐き気がするほどその根底にある両者の叫びを轟かせ続けるのが、この映画が映像として見せる凄まじいまでの力です。

現実がそうであるように、この映画もいつしか惨たらしい現実の幕が引かれる時がやってきます。暴力を受けることと家庭を守ることがイコールとなる矛盾が、最終的に家族の悲劇を引き起こしてしまうこの物語の結末は、あまりに悲しく惨いものがあります。もちろん、拳の力を本当の力だと思い込んでいた男の哀れな末路を描くことも忘れてはいません。


自分達のルーツを持て余していた息子達が母親と家族を守り、それぞれに問題を乗り越えて頼もしく成長したことを感じさせるラストは、観るものに安堵感を与える唯一のシーンかもしれません。

かつて「戦士」だった者たちが直面している現実を、この映画は直球で私達に投げかけてくるのです。私個人にとってはあまりにも辛い映画だったこともあり、恐らくもう二度と観ることはないだろうとは思うのですが、映画の持つ威厳、気迫、気高さをきっと忘れることはないだろうと強く感じました。




最後に映画的な側面についても、少し触れておくことにしましょう。

ニュージーランドの映画産業自体が小規模で歴史も浅かったこともあり、この映画が製作された1994年は年間でなんと3本しか作られていなかったというから驚きです。しかし、ジェーン・カンピオン監督の『ピアノ・レッスン』(1993年)が4つのオスカーを受賞して以降、国家をあげて映画産業に力を入れている模様。最近ではNZ出身のピーター・ジャクソン監督の目覚しい活躍もあり(ラッセル・クロウも実はNZ出身→オーストラリアに移住だそう)、また、自然環境が素晴らしい土地柄でもあるためハリウッド映画のロケ地としても近年有名になってきていますね。

映画の中で出てくるマオリの若者たちによるハカの1シーン。

「出陣の踊り(ハカ)で一番大切なのは最初の動きだ。先祖の魂に手を伸ばし、体の中に引き込むんだ。蝶々を捕まえるわけじゃないんだぞ。目を覚ませ!」
マオリ族の多い少年院で指導され、問題行動の多かった彼らは本来の自分達のルーツに目を向けていく・・・




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  2010/07/30 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit
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