お散歩シネマ 映画の世界へ出かけよう!!映画の数だけ、もっと世界は面白くなる! 

このページの記事目次 (タグ: ヨルダン映画 の検索結果)


『キャプテン アブ・ラーイド』 (2007/ヨルダン)

   ↑  2011/10/16 (日)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ
Captain Abu Raed (2007) IMDb 
●原題:كابتن أبو رائد / CAPTAIN ABU RAED
●監督、脚本:アミン・マタルカ
●出演:ナディム・サワラ、ラナ・スルターン、フセイン・アッソース
●アンマンの国際空港で清掃員として働くアブ・ラーイドは妻にも先立たれ、おだやかな老いの日々を過ごしていた。そんなある日、ゴミ箱からパイロットの帽子を拾って家に持ち帰ったことで彼の暮らしが少し変わる。アブ・ラーイドを本物の機長だと思いこんだ子供たちに本で読み知った外国の話をするようになり、決して豊かではない彼らの生活に関わるようになっていくのだった。子供たちの1人ムラードは、アブ・ラーイドが偽機長だと主張する。しかしムラードは父親の暴力に人知れず苦しんでいた・・・。





なんと50年ぶりに作られたというヨルダン映画!

昨年NHK-BSで「NHKアジア・フィルム・フェスティバル」作品として放映されたのを一度観ていたのですが、今年も思わず観てしまいました。がっちりアラブ映画なのかと思いきや、その予想をさらりとかわしてくれるスタイルに参ってしまうのです。

感動大好き!のハリウッドが思わず手を伸ばしたくなるような、誰もが共感して入り込めるグローバル性のあるストーリーと、ヨルダン特有とかアラブ世界特有という、謂わば西側から見た"泥臭いフィルター"が掛かっていない普遍的な人間像、ヒューマンドラマが丁寧に描かれているのが、この映画の大きな特徴です。





例えばイラン映画のような所謂「中東映画」としてのイスラームの世界観を"生活感"として物語のベースには織り込んでいるものの、何故これほどまでにそれらを感じないのだろう?と不思議に思っていたのですが、やはりこの映画はヨルダンという国家が、国を挙げて世界に送り出した記念すべき一作だったようです。【The Royal Film Commission Jordan(ヨルダン王立映画協会】という、まだ2003年設立・2004年活動開始という組織のバックアップもあり、「アラブ映画」というものへ人々が抱くイメージを翻そうという、いわゆる逆手の手段が見事に功を奏したようです。


脚本も手掛けたアミン・マタルカ監督が、この映画に込めた目標は3つ。
1)夢を追うシンプルな物語で、世界にヨルダンという国を表現できるような美しい映画を作ること。
2) ヨルダンの若者がフィルムメーカーとしてのキャリアを追求できるような、ヨルダン映画業界の発展・可能性のある例を作ること。
3)世界中の何百万人もの人々の心に届けることができる最もパワフルな伝達手段―ドラマやコメディを通じて、ヨルダンの豊かさや多様性を示すこと。
(※インタビュー記事「Announcing "Captain Abu Raed" A Jordanian Feature Film...إطلاق مشروع الفيلم السينمائي الاردني "كابتن ابو رائد」より)

ヨルダンに生まれながら移民としてアメリカへ一家で移り住み、現在もロサンゼルスに在住しているアミン・マタルカ監督は、故郷である「ヨルダン」と海外から見た「ヨルダン」という、二つの風景を知っている人なのではないかと思います。そんな彼が生み出した『キャプテン・アブ・ラーイド』は、映画音楽の使い方にしても制作環境にしても、故郷の風を感じさせながらも、どこかアメリカナイズされた雰囲気を持つ「ヨルダン映画」となったわけです。いずれにしても、"使い分け"が出来るということは今後大きな強みとなっていくことでしょう。私自身にも、とても新鮮な風でした。




・・・・そう、このトレーラーからもハッキリと感じられるように『キャプテン アブ・ラーイド』で忘れてはならないのが、音楽を担当した米国出身の音楽家オースティン・ウィントリー(Austin Wintory)の、透明感あふれる柔らかな音楽の存在感です。
※ウィントリーの公式サイトはコチラ→【Austin Wintory.com】

彼は様々なジャンルのメディアで活躍している音楽家なのですが、アミン・マタルカ監督の前作でも一緒に仕事をしており、その流れでこの映画の音楽も担当したようです(Interview: Austin Wintory―IndieGames.comより)

アラブ俳優の起用、全編アラビア語で語られる物語、そしてヨルダンでの撮影という「アラブ映画」という世界の中で、彼とマタルカ監督はまったく新しいスタイルを築き上げました。アラビア風の曲調もうまく織り込みながら西洋スタイルのオーケストラを使うことによって生み出される音楽が、この映画に一層の温かさを吹き込むのです。





多くを語らず謙虚で知識も豊か。「賢人は足るを知る」と冗談を言って、空港の清掃員として日々黙々と働く初老のアブ・ラーイド。


自身も辛い過去を背負いながら、自由な心を持つ子どもたちと次第に関わりを持ち始めたことから、アブ・ラーイドは彼らの環境を案じて手を差し伸べ、身を挺して子供らを守ります。彼らを救い、彼らの夢を守るために・・・。

もしハリウッド映画であったなら、ラーイドの運命をこれほどまでに残酷なものへとはしなかったでしょう。それでもこうしなければならなかったのは、きっとマタルカ監督や制作側が「現実としっかりと向き合わなくてはならない」というメッセージを残したかったからなのでは・・・と思いました。子供たちへ、若い世代へ、この国の未来を託そうとする彼らの思いと重なります。






 エルハズネ (宝物殿)


因みに。ヨルダンといって思い出すもの・・・・
『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』のラストシーン!
ペトラ「エル・ハズネ」です。

映画撮影に協力的な国として評判の高いヨルダン。映画というのは、舞台となる国家や地域のことを世界に向けて発信できる一大プロジェクトでもあるのだなぁと、今回改めて思いました。映画の持つパワー、影響力とは本当にスゴイものです。



■この記事に関連する映画制作国、地域 : ヨルダン映画 アラブ・中東映画 

FC2共有テーマ : 心に残る映画 (ジャンル : 映画

  2011/10/16 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit
申し訳ありません。 お探しの記事は現在、この ユーザータグ (Keyword) を設定していない可能性があります。 右の検索BOXで 再度用語を短めに入力していただくと記事が見つかる場合があります。