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『THE KILLING/キリング』シーズン2 (2009/デンマーク)

   ↑  2017/03/14 (火)  カテゴリー: 海外ドラマ
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THE KILLING/キリング シーズン2


●原題:FORBRYDELSEN II / 英題:THE KILLING II
●企画・脚本:ソーレン・スヴァイストゥルップ
●出演:ソフィー・グローベール、ミケル・ビアクケーア、モーテン・スアバレ、ケン・ヴィセゴー、ニコラス・ブロ、プレーベン・クレステンセン、シャロテ・グルベア、スティーネ・プレトリウス 他
●シーズン1の「ナナ・ビルク・ラールセン殺人事件」から2年後。 捜査に没頭するあまり、家族も、パートナーも警察内部での信用も失ってしまったサラ・ルンドは、コペンハーゲンを離れ国境検問所で働いていた。たった一人ひっそりと生活しているサラのもとに、元上司のブリックスから連絡が入る。ある記念公園で発見された女性弁護士の遺体の事件捜査を手伝ってほしいという。一度は断るものの、サラ・ルンドはコペンハーゲンを訪れ、捜査協力を申し出るのだが・・・。




さぁ!まずは張り切って余談から!!
二十四節気の「啓蟄」が過ぎて、冷たかった土の中から虫さんたちも出て参りまして、いよいよ春分が目の前よ!というのにーですよ、今年に入ってこの2か月ちょっとなんだか色々とありすぎていけませんでしたのよ。

昨年泣いた「四十肩」が復活気味となり、その予感に怯える中で「ぎっくり腰」勃発。間髪入れず滅多に風邪をひかない娘が1月に2回も風邪(not インフル)でダウン、そんなバタバタの時にわたくし先週、左手の小指先を包丁でさっくりと・・・・

これだけあると「あれまたか」と意外と開き直ってしまい、取れてしまうのか繋がっているのかを確認して、一人黙々と片手を上げて止血して、押さえて、今日確認したら指先、ちゃんと繋がっていました。さぁここまでくれば何も怖くない。今年も張り切ってまいりましょう!・・・・と言いつつ、今日はまだリハビリモードで(笑)。







当ブログ【PC版】の右サイドに「映画&ドラマ ひとことレビュー」というコーナーがひっそりあるんですが、このデンマークドラマのシーズン1についてはそちらでちょこっとだけ触れたことがあります。で、最近どうしてもシーズン2&3を観たくなりまして。



今回もシーズン1同様、"11月"に起きた事件を【1捜査日=1話】で描き、事件発覚から解決までの10日間を全10話で描いていく仕様となっております。

前回シーズン1は全20話で、もう進みが遅いわ、物語は暗いわ、捜査のツメが甘いわでなんでこんなにストレス感じながら見続けるハメになってしまったんだよーと思いながらの完走でしたからね、今シーズンは10回ですよ楽勝でしょう!

・・・なーんて思っていたら、それがドッコイですよ。主人公のルンドさんは今シーズンも猪突猛進でブン投げ放題。な、なんと、相も変わらず全然成長していなかった!(セーターは新しいの着ていたけど)


でもね、そこが何というか。懐かしいというか親近感というか「完全無欠の女刑事」とは程遠いこの主人公の生々しい人間臭い魅力でありまして。やっぱり最後の最後まで食い入るように見入ってしまいました。







「THE KILLING/キリング」シーズン2のみどころ。
それは、対テロ法案を中心にデンマーク国内での政治的駆け引きを盛り込みながら、軍や政界を巻き込んでの捜査がスウェーデンやアフガニスタンといった国外にも渡り、その中でやっぱり巻き起こされるルンド刑事のムチャっぷり。これに尽きるでしょう!

国際問題にまで発展しかねないという、そのスケール感に加わるヒヤヒヤ感。どういうパワーアップの仕方をしているんだ、このドラマは(笑)。


ニコラス・ブロ演じるトマス・ブク法務大臣(名前がまたね、本当にブクブク太っている)の、「こんな世界ではいけないんだ!」という強い正義感が様々な政治家の思惑や政局の中でゆらゆらと揺れ動く有様は、見ていて「おまえ、どうしたいんじゃ!」と言いたくもなるのですが・・・・・でもでも、これが人間なんだろうなぁ。

ルンドも含め、このドラマの人々は誰一人として格好がつかず、不器用なんです。酷い失敗もするし、手痛い目にも合って、誰かを傷つけ、取り返しのつかない悲劇を起こしたりもします。でもそんな面をオーバーな感傷で飾り付けたりすることなく、そこを痛々しいままで鋭く強く突きつけてくるんですよ。ここがやっぱり北欧ドラマ独特の"ほの暗い魅力"なんだと私は思っていて、うーん、やっぱり見ずにはいられないんですよね。


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ラーベンの一人息子、健気なヨナスくん。どうか彼だけはすくすくと育っていけるよう守ってあげてほしいです。"彼"が最後に語ったことが真実かどうかはさておき、ラーベンはきっと、今度こそ、本当に立ち直れない。

あぁもう、それが解ったラストがともかく重くて重くて・・・・ヨロヨロになりながら観終えたシーズン2でした。


シーズン3の感想はいつになることやら~




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  2017/03/14 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ルルの冒険 ~黄金の魂~』 (2007/デンマーク、スウェーデン、ドイツ)

   ↑  2013/03/22 (金)  カテゴリー: アクション、パニック
 
●原題:De fortabte sjæles ø /英題:ISLAND OF LOST SOULS
●監督:ニコライ・アーセル
●出演:サラ・レンジベック・ガーマン、ルーカス・マンク・ビリング、ラッセ・ボルグ、ニコライ・コペルニクス、アンダース・W・ベアテルセン、ラールス・ミケルセン 他
●ルルと弟のシルベスタはとあるデンマークの田舎町に引っ越してきた。ある夜、100年以上前に死んだヘルマンの魂がこの町に現れ、突然シルベスタの体に入り込んだのだった。シルベスタが幽霊と話しているところを目撃したルルは、近所の少年オリバーとともに別人となったシルベスタを問い詰めたところ、モンク島に潜む悪魔の使者"ネクロマンサー"が復活して死者の魂を呼び出しているという。ルルは町の超常現象研究家リチャードらの力を借り、弟を救う冒険へと出発するが・・・。




これどう見ても、日本版のジャケットデザイン&タイトルがハリウッド映画『ライラの冒険 ~黄金の羅針盤~』の明らかなパクリでして、なんだかオカシイなぁ??と思っていたら、この原因、配給元のギャガ(販売当時は"G-CORE")のスタッフブログを見てわかりました。ビデオストレート業界では、この手の作品は“本物に似せる”というのが鉄則なんだそうで。"オトナの遊び心"というものらしいですのですが、思いっきり"内輪ウケ"です。

しかも、『ライラの冒険 ~黄金の羅針盤~』とこの『ルルの冒険 ~黄金の魂~』、そしてこれまた全く無関係なドイツ映画『マナツの冒険 ~黄金の石盤~』というタイトルを(勝手に邦題にして)3つ揃えて同時にレンタル開始!としたのだそう。

ライラの冒険~黄金の羅針盤~【GAGA】 ルルの冒険~黄金の魂~【GAGA】 マナツの冒険 ~黄金の石盤~【GAGA】
こういう売り出し方って、無関係な映画どうしに思わせ振りなイメージを植え付けてしまって、でも実際見たら「全然違うじゃん!!」というガッカリ感を覚えてしまうわけで。"勘違いレンタル"にしか頼れないなんて、これじゃあせっかく良く出来た元の映画の形をぶち壊しにしているとしか思えないんだけどなぁ。本国の制作スタッフやキャストに失礼だと思うんですよね。ま、私なんかがこんなところでプンスカ怒っていても仕方ないんですけどね・・・・・




だって、なかなか良かったんですよ!この映画。

北欧製のアドベンチャー・ファンタジー。孤島に捉えられた魂たちを解放するというメインストーリーに加え、何百年も密かに戦い続ける悪魔の使者ネクロマンサーと悪魔祓い結社の因縁や、両親の離婚で心を閉ざした思春期の少女の悩みなどがVFXたっぷりに綴られ、見応えあるキッズ・ムービーに仕上がっている。一方、僧侶とネクロマンサーに殺された恋人とのエピソードや全体に漂うシリアスなムードなど、大人が見ても楽しめる要素も充実。
■番組紹介/解説「ルルの冒険~黄金の魂~」【wowowオンライン】

なんと映画の35分に相当する630もの特殊効果ショットの合計は、あの『ジュラシックパーク』よりも多く北欧映画史の中で最大の特撮映画なんですよ!(De fortabte sjæles ø (2007)Trivia【IMDb】より) これらVFXの美しさはかなりナチュラルで、悪者の案山子がビョォォォン!!と飛び掛かってくるシーンとか、私、大好きでした。 しかも監督は、あのスウェーデン映画『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』の脚本を担当したニコライ・アーセル。うーん、お子様映画なのに家族のドラマが妙にシリアスで暗いのはそのせいか!(笑)



それにね、登場時間は僅かしかないのですが、日本で公開される数少ないデンマーク映画ではよく見かけるアンダース・W・ベアテルセン(『幸せになるためのイタリア語講座』の牧師様、『ミフネ』のダメ主人公)など、ベテラン俳優が出ているところなんかも渋いです。安心して観ていられます。

オーケストラの壮大な音楽に身を委ねて、ハリー・ポッターやナルニア国物語が好きな人であればなお、子どもでなくても十分楽しめる映画だと思います。


ま、惜しむべくは、主役の女の子の演技がやや残念気味で緊張感に欠ける点かな。かなりの美少女なのに勿体ないな~。感情を押し殺し気味の思春期の女の子の役なのでまぁなんとかもった方かと思いますが、その代わり、ヘルマンの魂が入り込んだ時の弟くんの"大人演技"がなかなかで、これには感心してしまいました。ちょっとオスメント君入っていますが、弟君くん芸達者だぞ!

「対悪魔戦闘ロッジを復活させるわ!」というラストもカッコいいじゃないですか~!続編できたら私は絶対観ます。ほんと、なかなか良かったですよ、この映画。"バッタもの扱い"にされたのが本当に残念


※因みに・・・
映画の最後に出てくる小型飛行機の側面に書かれた"OY - 1138" という文字。
OYというのはデンマークの航空機に使われる"国籍記号"なんですが、"1138"はジョージ・ルーカス監督の1971年の映画 『THX-1138』へのオマージュなんだそうです(De fortabte sjæles ø (2007)Trivia【IMDb】より)。"映画愛"ですね!




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  2013/03/22 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『卵の番人』 (1995/ノルウェー) ※ラストの展開&ネタバレしています

   ↑  2013/02/11 (月)  カテゴリー: コメディ




【VHS】卵の番人


●原題:EGGS
●監督、脚本:ベント・ハーメル
●出演:スヴェレ・ハンセン、ヒエル・ストルモーン、レーフ・アンドレ、ユーニ・ダール・ブロンダル
●ノルウェーの森に住む老いた兄弟、モーとファーは完璧なルーティンの中で生活していた。同じ時間にとる質素な食事や午睡、時折訪れる客人など、まるで変わることなく続く穏やかな毎日。ところがファーの隠し子コンラードが現れたことで、二人の生活に異変が起こる。鳥の卵のコレクションを抱え、車椅子に乗り、雌鳥のような奇声を発するコンラード。やがてモーは、不気味な甥によって平穏と自分の居場所が失われつつあることに気付くのだった・・・。各国の映画祭で絶賛された、ノルウェーの雪深い森の中で暮らす老人の兄弟を描いたオフビート感覚の美しい寓話。




観終わったあとに「ねぇねぇ、あのラストどう思った??」と思わず誰かに話しかけたくなってしまう映画でした。VHSのジャケットだけ見るとめちゃくちゃ怪しい作品にしか見えません。ま、確かにかなり独特なリズムのある映画ではあるんですが、でもこれはかなり誤解を与えそうなデザインで、私はちょっと悲しい。


映画の冒頭で繰り返される「これさっき観なかったっけ??」と、思わず自分がボケたのか眠ってしまったか!?と疑ってしまうようなおじいさん兄弟の日常生活。これを見せるカメラはとにかく固定。何が何でもカメラは固定。繰り返される平凡な日常と日々の生活の細かなあれこれをただ映し、喋りまくるのはローカル局のラジオのみ。こんな序盤から、徐々に老兄弟の会話が増えてきて、この映画のテンポを掴んでいきます。一段ずつズレている階段のデザインなんて、なんだかこの映画を象徴しているみたいでスゴク印象的。



二人でラジオ活劇を聴いたり、宝くじをしたり、クリスマスの準備をしたり、縫い物をしたり、クロスワードパズルをしたり。お年寄りのゆ~っくりとした、繰り返される日常です。こんな地味な二人の生活のあれこれを見ているうちに、だんだん麻薬的な中毒性を感じ始め、彼らの微妙にツボに入るやりとりや動きから目を離せなくなるんです。

"歓迎"の意味で「赤地に青十字」のノルウェー国旗を出そうと(凍ってしまったので)お湯で溶かしたら赤が消えてしまって「白地に青十字」のフィンランド国旗になっちゃった!という北欧的小ネタとか、配達に来てくれたおじさんが頭に器具を乗っけたまんま「いつものアレやろうやろう」的な感じで始める「風船卓球」・・・ってなんだあれは!?(笑)とか、本当に好きだなーと思いました。





主演の二人は、実際に大戦中共同生活していたというノルウェーの名優スヴェレ・ハンセンとヒュル・ストルモーン。彼らから醸し出される自然な雰囲気にクスっと笑わせられながら観ていたこの穏やかな日々も、ファーがむかしスウェーデン旅行でつくったという息子のコンラードの存在が発覚し、彼の母親が重病なので二人の家にやってくる・・・・というあたりから、少しずつこの物語に微妙な変化が現れてきます。


だって、このコンラードという息子。鳥卵の膨大なコレクションを大事に持っている彼の存在は、これまで綴られてきた素朴なストーリーの中において、あまりに不気味!この存在感はまちがいなくデヴィッド・リンチ級。何がどうなるんだ!?と見守っているうちに、思いがけないエンディングがこの映画のラストを待ち受けているのです・・・・




ユーモアと不条理に満ちた、この奇妙な傑作!

【DVD】クリスマスのその夜に 【DVD】ホルテンさんのはじめての冒険 【DVD】酔いどれ詩人になるまえに 【DVD】キッチン・ストーリー
『卵の番人』は、『クリスマスのその夜に』(2010) 、『ホルテンさんのはじめての冒険』(2007)、『酔いどれ詩人になるまえに』(2005)、『キッチン・ストーリー』(2003)といった、近年日本でも人気の高い北欧映画界のベント・ハーメル監督のデビュー作品なんです。ちょうど現在、渋谷のユーロスペースでは「トーキョーノーザンライツフェスティバル2013」を開催中(2/9-15)。←い、いきたい・・・



※それでは最後に、あの"ラストの展開"についての感想を!

           ↓  ねたばれ注意  ↓


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  2013/02/11 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ソフィーの世界』 (1999/ノルウェー)

   ↑  2012/03/27 (火)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ
 【DVD】ソフィの世界
●原題:SOFIES VERDEN / 英題:SOPHIE'S WORLD
●監督:エリック・グスタヴソン
●出演:シルエ・ストルスティン、トーマス・ヴァン・ブロムセン、アンドリン・サザー、ビョルン・フローバルグ、ミンケン・フォシェイム 、エダ・トランダム・グリォサイム 他
●全世界で1500万部以上、日本でも200万部を超えたベストセラー同名原作小説「ソフィーの世界」を映像化。古代ギリシャから今世紀初頭のロシアまで、時空を超える旅を重ねながら“自分探し”をする少女を通し、深淵で哲学的なテーマをファンタジックに綴る。ある日14歳の少女、ソフィー・アムンセンのもとに一通の手紙が届く。「あなたはだれ?」という一文に、不思議な気持ちを掻き立てられるソフィー。やがて彼女はその手紙に触発され、はるかな旅へと出発する・・・。



新装版 ソフィーの世界 上 哲学者からの不思議な手紙 [ ヨースタイン・ゴルデル ]


「哲学アレルギー」のある私からは一番遠いところにある映画にチャレンジ。

興味のないことに対して一切記憶力が働かない私は、高校の倫理の授業の記憶がありません(物理なんかもそう笑)。「哲学史の入門書」「一番やさしい哲学の本」という原作ですが、「生きている意味」「己の存在について」など考える暇もアタマもない私は完全に未読です、本当にスミマセン。で、この映画も観終わった後は「はぁ、そうですか・・・」で放り投げていたのですが、何となく気にかかるところがあって最近少しだけ調べ直していました。原作を読んでいない者から見たこの映画の印象は「どこかぼんやりとメリハリに欠けたものだな」だったのですが、実は今回、私はこの映画のもう一つの"秘密"を知ってしまったのです!

日本他各国でリリースされている『ソフィーの世界』DVDのランタイムは約113分なのですが、ノルウェー本国には英語字幕のついた3時間もある別バージョンのドラマ版があることが分かりました。このバージョンは、下記の4つのエピソードによって分けられています。

 1.episode Mystiske brev :謎の手紙
 2.episode Evolveris :ラテン語で"you're evolving"の意
 3.episode Den mystiske hunden :謎の犬
 4.episode Den tredje tanken :第三の思考(ヘーゲルの弁証法より三つ目の"総合")

 
この【ドラマ版】、物語の基本的な流れは映画版とほぼ同じなのですが、映画館のスクリーンにアルベルト・クノックスが現れたり、女友達ヨールンと一緒に謎の小屋へと訪れたり、"ヒルデ"が"ソフィー"の心配をする、など【映画版】では見られなかった数多くのシーンが追加されています。また、ソフィとクラスメイトのゲオルクとの淡いロマンスや、自分自身の存在が不確かなことに心揺れるシーン等ソフィの内面的な部分をより多く盛り込んだものになっており、映画版に比べれば確かに長時間ではあるのですが私はこちらのバージョンの方がより解りやすく感じました。映画で感じていた"アッサリ感"や"ぶつ切り感"は、きっとこの編集のせいだったのかもしれません。




「あなたは誰?」「世界はどこから来た?」

不思議な手紙に誘われるようにして、ギリシャのソクラテスやプラトンに始まり、ダーウィンやシェイクスピアなど、古代ギリシャから近代哲学、ロシア革命にいたる西洋の主要な哲学者や西洋思想に多大な影響を及ぼした著名人たちが次々に登場するこの映画。

時空を超えた旅をする辺りは、まるで教育番組のようでそれ自体にはさほど大きな興味を持てなかったのですが、ただこれらの背景にあるものは、教会の力や活版印刷技術によって「知識」が広がり→民衆個々人が「考え」を持ち始めて→「思想」の世界が拡大し→時代によって「価値観」が変容していく、という過程がクッキリと浮かび上がっていくものでした。なるほどなぁ・・・

西洋哲学の大まかな歴史の流れを見ると「神が世界を創った」という頑なな思想が出発点だった中世哲学の時代を経た後、近代以降の哲学は「神は死んだ」というニーチェの言葉が表すように「人間の自由」が説かれるようになっていきます。


「ソフィーの世界」が何であったのかを知り、自由・平等・平和の革命や女性の権利等「思想の流れ」を時空を超えた旅によって体感してきたソフィは「決断こそ重要だ」と言ったキルケゴールの言葉に後押しされ、"創造主"から自己を取り戻そうと!決意するのです。




映画の初めの段階でソクラテスは言いました。
「もっとも賢い人は、自分が知らないということを知っている人だ」

私は今、このレビューを書く段階になってやっと「自分が知らなかったこと」を知ることが出来て本当に良かったなと思っています。だって、"知らないこと"を知らなければ、何も始まらなかったわけで・・・まさか自分が西洋哲学について(アウトラインだけであっても)もう一度見直すことになるとは夢にも思わなかったのです。この映画のおかげだ!


現実とフィクションが交錯するこの映画は、その"映画的技法"によって哲学的な考え方を示してくれました。

『ソフィーの世界』は、西洋哲学史をシンプルに学ぶことができ、「自分とは誰なのか?」「この世界はどこから来たのか?」という問いへの出発点を探ることのできる良い"教材映画"だなとも思います。ま、私は日本人ですので東洋哲学、東洋思想、禅や仏教の方が"哲学"に触れる際アプローチしやすいのかな?とも思いましたが、今回のように映画を通して自分の苦手分野に足を踏み入れられたことは、新鮮な"発見"もありました。

世界はどうやって始まったんだろう?宇宙の果てはあるのかな?ワタシはどうして存在しているんだろう?・・・・こんなことを小さな頭で考えていた子どもの頃をちょっと思い出してしまいました。苦手な世界に飛び込んでみるのも、時には楽しいものですね!

ソフィーの世界@映画生活





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  2012/03/27 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『サラバンド』 (2003/スウェーデン)

   ↑  2011/09/16 (金)  カテゴリー: シリアス、社会派







サラバンド [DVD]


●原題:SARABAND
●監督:イングマール・ベルイマン
●出演:リヴ・ウルマン、エルランド・ヨセフソン、ボリエ・アールステット、ユーリア・ダフヴェニウス、グンネル・フレッド 他
●巨匠イングマール・ベルイマン監督が1974年に制作したTVドラマ「ある結婚の風景」の続編。弁護士のマリアンは30年以上前に別れた元夫のヨハンを訪ねる。ヨハンは田舎に隠棲していたが、彼とそりの合わない息子のヘンリックとヘンリックの娘カーリンが数ヶ月前から近くのコテージに滞在していた。二年前に妻アンナを癌でなくして以来、ヘンリックはカーリンを妻の代わりに愛情で縛り付け、彼女をチェロのソリストとして育てようとしていた。一方カーリンは、父の押し付けがましい愛情に反発しつつも音楽家として自立することや父を置き去りにしていくことへの不安を抱いていた。そんな彼らの葛藤や愛憎が、マリアンの前で繰り広げられていくのだった。

シネフィルイマジカによる公式サイトはこちらから




『ある結婚の風景』 (1974/スウェーデン)から19年。
笑顔がまったく変わらないマリアンがカメラに向かって話し掛けるプロローグ。若かりし頃の"元夫婦"の写真が山のように見え、あのドラマの紆余曲折を知っている視聴者なら思わず惹き込まれる滑り出しです。

ベルイマン作品で見かける"個人的な打ち明け話"を画面越しに語りかけてくるこの親密さは、まるで懐かしい知り合いに言葉をかけられたかのよう。マリアンは63歳。ヨハンは86歳。実際に過ぎ去ったその実物大の年月の流れが、物語の時間を自然に感じさせてくれます。



この画像、ドラマ版をご覧になった方なら何か見覚えありませんか?

『ある結婚の風景』最終話で、心を許して本音で語り合えるようになった二人の背後に掛かっていたオブジェです。実は、これとソックリの代物が『サラバンド』にも登場するのです。ヨハンの息子ヘンリックの娘(つまりヨハンの孫)カーリンとマリアンが、女同士意気投合してお酒を飲みながら語り合うシーンに、一瞬ですが見ることが出来ます。ちょっとした遊び心なのでしょうか。打ち解けあう二人の人物の後ろで、また目にすることが出来ました。





この物語は、4人の登場人物のうち"2人"による会話で進められていくシンプルな構成をとっています。が、限られた空間内で限られた人物に起こる出来事なだけに、その密度の濃さは圧迫感となり観る者までもを追い詰めていきます。

 

 
"家族"という近い間柄が、狭過ぎる人間関係の中で息苦しいほどの束縛を生み、次第に異常性を加速させていく様は下手なホラー映画よりもずっと恐ろしいものです。飛び立とうとする娘を前に絶望する父ヘンリック。彼とその父ヨハンとの壮絶な愛憎劇が重なることにより、彼の精神状態が次第に崩れ落ちていく辺りから物語の緊張感は危うさを増し、限界点を迎えます。イングマール・ベルイマンは容赦のない描写で人間の凶暴性、悪魔性をじりじりと炙り出していくのです。



そのような中、気になったのは写真でしか登場しないヘンリックの亡き妻「アンナ」の存在でした。彼女の存在感こそが『サラバンド』をベルイマン作品として非常に特徴的、象徴的なものにしていると感じるのです。

アンナは「不在」という強固な存在感によって、ある意味生き残っている家族を抜き差しならない関係に陥らせています。生前の彼女は夫の精神的支えとなり、娘を愛し、義父ヨハンとのバランスも維持してきましたが、彼女の存在が欠けることを皆が危惧したように、アンナ自身も"それ"を恐れていました。実際その通りになった時、彼らは生きているにも関わらず、死者の存在に対して癒しや救いを得ようと未だ求め続けているのです。

それはまるで、牧師の子でありながらベルイマンが生涯自問し続けた「神の不在」のように。

宗教に対してまったく拘りのない私からすれば、救いや癒し、導きとなるはずの"宗教"がどうして罪悪感に苛まされる存在となってしまうのか?どうして自分自身を苦しめるもととなってしまうのか?それはもう私には到底理解できるはずもないのですが、ベルイマンのこの苦しみは常に彼の映画に付きまとう影のようなものでした。答えはもうそこにはないのに「"不在"の存在」にすがろうとする人たちのように・・・・。






一対一の距離感しか持たない男性2人とは異なり、マリアンは神と向き合い、恐怖と孤独を抱え赦しを求めていたヨハンを救い、そして最後には自分の娘と心を触れ合わせることを果たします。

ベルイマン作品は、彼の宗教観や社会観が「芸術」として強く打ち出される強烈で独特なものが多く、生きる苦しみや信仰や神に対する畏れなど重いテーマを掲げてきたものが多くありましたが、この『サラバンド』は、それまでの(やや自伝的な)苦悩から一歩解き放たれた安堵感や赦しを最終的に見てとることが出来る作品となりました。

この映画は、日常的な「家族」「結婚」などをテーマとしたドラマ版をモチーフとし、更にこれまでの映画と共通する壮絶な人間関係の中に生まれる希望や幸福、絶望や失意といった人生観や精神論を凄味のある描写で展開していくことに変わりはありません。しかし、数々の女性遍歴を持つベルイマンの公私に渡るパートナーとして長きに渡り共に映画制作を行ってきた女優リヴ・ウルマンの言葉で始まり、彼女演じるマリアンの目を通して語られる作品であること・・・つまり、ウルマンの口から語られた物語だからこそ、この作品には意味がもたらされたのだと思うのです。

リヴ・ウルマンは『秋のソナタ』を「あれは男性の視点で描かれている作品なのよ。母親の罪の意識を男性が脚本にして映画にしたものよ」とさらりと言ってのけた女優(『想い出のイングリッド・バーグマン』より)なのです。彼女は、ベルイマン監督が作り出す作品をまるごと受け止めていました。『サラバンド』で彼女がヨハンを受け止めたことは、ベルイマン自身を抱き締めたことと同じなのでしょう。ベルイマン監督が妻イングリッドへと捧げ「遺作」として発表したこの作品には、神の沈黙がもたらす苦しみとともに、彼を安らぎへと導いているものも垣間見える気がしてなりませんでした。この作品は、ベルイマンが作るべく完成した"最終到達点"だったのでしょう。






■追記
【レビューを書けないままの映画・・・(テオ・アンゲロプロス監督)】という記事を前回書いたのですが、この映画もまた『ある結婚の風景』(TV放映版)を今年の1月に観て以来ずっと書くことができず、今回やっと言葉に出して完成したレビューとなりました。

ベルイマン [ 小松弘 ]


以前からイングマール・ベルイマン監督について知りたいと思っており、2月に上記の書籍「ベルイマン」や、『秋のソナタ』で主演したイングリッド・バーグマンの自伝などを読んだりしていたのですが、3月11日の大震災によりそんな映画寄りの気持ちも吹き飛んでしまいました。

が、少しずつですが生活にリズムが戻ってきたこと、そして、どうやら来年は記事を更新できる時間がグッと減る可能性が大きくなりそうなので、今後は出来る限りこのブログでやり残していることを片づけてしまおう!と思っています。まだまだ観たい映画、書いてみたい映画作品が数多くあって、本当に時間って足りないものだなぁとこんなところで痛感しております。まいったなー!


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  2011/09/16 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit
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