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【アメリカ映画】を、とりあえずまとめてがんばって7本

   ↑  2017/06/25 (日)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー
この2,3か月で観た映画を思い切ってギュギュっと、いや、かなりギューギューにまとめることにしました。書いておきたい映画があと20本くらいあるのは、一体どうすべきなのか・・・・・

不思議なことに、その時は思いっきりノリノリで観終わってメモしていたにも関わらず、今冷静になって書き直してみると、正直なところあまり印象に残っていない作品もあったりしてこれってなんでしょう。とりあえず今日は【アメリカ映画】を。







『パンドラム』 (2009/アメリカ、ドイツ)



●原題:PANDORUM
●監督:クリスティアン・アルヴァルト
●出演:デニス・クエイド、ベン・フォスター、カム・ジガンデイ、アンチュ・トラウェ、カン・リー、エディ・ローズ、ノーマン・リーダス 他
●西暦2174年、地球は滅亡を迎えようとしていた。そんな中、ある惑星へ移住するため、6万人の人類が宇宙船エリジウムで出発。やがて二人の飛行士が冷凍睡眠から目覚めるが、二人は記憶を失っていた。そして、船内にいるはずのない恐ろしい何かが存在することに気付き・・・。




面長で寄り目がちなお顔立ちのベン・フォスタージェイク・ギレンホールライアン・ゴズリングは、区別がつかない私の中の三大俳優なのですが、今回はベン・フォスターが主演の「SF・ホラー・ミステリー」。←書いておかないと後でまたゴッチャになる。

みんなドロドロでグチャグチャで臭そうな絵面が続く中、ラストに向けて"頼れるおじさん"系のデニス・クエイドが大暴れしてくれる後半の勢いが結構好きでした。ラストも素直に「おぉ!」と。B級でも満足です、『イベント・ホライゾン』好きです、という方にはピッタリかと。←なにせ、製作が『エイリアンVS. プレデター』『バイオハザード』のポール・W・S・アンダーソンですので。エイリアン?モンスター?ゾンビ?みたいな怪物と戦う時に相手に武器を持たせるシーンなんて、ちょっとぐっときました。エイリアン・スリラー映画におけるバトルの礼節をここに見た!








『エージェント・マロリー』 (2011/アメリカ)



●原題:HAYWIRE
●監督:スティーヴン・ソダーバーグ
●出演:ジーナ・カラーノ、マイケル・ファスベンダー、ユアン・マクレガー、ビル・パクストン、チャニング・テイタム、マチュー・カソヴィッツ、アントニオ・バンデラス、マイケル・ダグラス 他
●フリーランスの女スパイとして活躍するマロリー・ケイン。ある日、彼女のもとに民間軍事企業の経営者ケネスからバルセロナでの人質救出という依頼が舞い込む。同業者のアーロンらと協力してみごとミッションを成功させ、次にケネスが持ち込んできたイギリス諜報機関MI-6の仕事にとりかかる。それはフリーランスのスパイ、ポールとともに新婚夫婦を装い、指定された男に接触するだけの簡単なミッションと思われたが・・・。




ムエタイ出身の総合格闘家という主演のジーナ・カラーノさんのあまりの格好よさに惚れ惚れ!その美貌、ファッション、引き締まった肉体、アッと思う間に繰り出される強力キック。なのに微笑むとあらなんて可愛いの~!で、イケメン俳優たちがボッコボコに叩きのめされます。うぉー。

時系列を工夫したり、映像のトーン、オシャレ音楽なんかで"ソダーバーグ風味"はぷんぷんしていますが、この際お話は結構どうでもよくて、私は彼女の抜群の身体能力とクールな美貌を愛でるだけて大満足。というか、この映画はこの見方で合っているんだと思います。体を鍛えている人の所作って、本当にちょっとした動きでも美しい。「映画は見た目が100パーセント」と思っているであろうソダーバーグ監督らしい作品だなぁ。








『記憶探偵と鍵のかかった少女』 (2013/アメリカ)




●原題:MINDSCAPE
●監督:ホルヘ・ドラド
●出演:マーク・ストロング、タイッサ・ファーミガ、サスキア・リーヴス、リチャード・ディレイン、インディラ・ヴァルマ、ノア・テイラー 他
●ジョン・ワシントンは他人の記憶に潜入できる特殊能力で難事件を解決する“記憶探偵”。ある日、そんな彼のもとに拒食症に陥った16歳の少女アナのトラウマを探り出してほしいという依頼が舞い込む。数々の凶悪事件と向き合ってきたジョンにとって、それはいともたやすい仕事に思われたが・・・。




ノア・テイラーが出てくると「おっ!」というカラクリのあるジャンルの映画になります、と私は信じているのですが、加えて「真実を知りたければ、思い込みを捨てろ。」という宣伝文句に(いつものように)乗せられて、以前から観るのをすごーく楽しみにしていた作品でした。タイトルからして興味深い設定だし、ハードボイルドっぽい探偵モノの雰囲気が素敵だし。

全編から漂ってくる空気が全くアメリカ映画っぽくなく(ロケ地はスペインやフランス、カナダ)、不思議な異国情緒に加えて時代設定も不確かで、この謎めいた雰囲気に思わせぶりな映像を挟みつつ、ゆるゆるとストーリーが進んでいくのでありましたが・・・・・・観終わってみると「なんだよおい」と一言言いたくなってしまった。主人公の行動も穴だらけなので、なんだか知りませんがフツフツと怒りに似たような感情すら抱きました。楽しみにしていたのになー!勝手にハードルを上げすぎちゃったかなぁ。私は今、少し悲しい。








『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』 (2012/アメリカ)




●原題:THE PLACE BEYOND THE PINES
●監督:デレク・シアンフランス
●出演:ライアン・ゴズリング、ブラッドリー・クーパー、エヴァ・メンデス、レイ・リオッタ、ベン・メンデルソーン、マハーシャラ・アリ 他
●移動遊園地で曲芸バイクショーをしながら各地を巡り、その日暮らしの気ままな生活を送る孤独な天才ライダー、ルーク。ある日、かつての恋人ロミーナと再会した彼は、彼女が自分との子どもを密かに生んでいたことを知り、根無し草生活から足を洗うことを決意する。しかし職探しは上手くいかず、母子を養うために銀行強盗に手を染めることに。そして、そんなルークを、正義感にあふれる新米警官エイヴリーが追い詰めていくのだったが・・・。




親子二代に渡る因縁の物語で、しかも結構なスター揃いときましたので「これは重厚なストーリーになるのか!?」と期待したものの、それぞれ皆さん強烈な個性をお持ちなのですが、結局誰もかれもがどうしようもない感じなので「だから一体どうしろと・・・」としか思えなかったです。というのも、結局こういった感想を抱くのは、日本人としての合理的な考えしか持たない私だからなんだろうか?とも感じたからなんです。

ニューヨーク州スケネクタディ(Schenectady)郡がこの物語の舞台なのですが、Schenectadyとは元々モホーク族インディアンの言葉でして、英語だと「THE PLACE BEYOND THE PINES」←この映画のタイトル("松林を越えた向こう側の地")となるわけですね。17世紀初頭からの古い歴史のある街なのだそうですが、やはりこういった独特の雰囲気・・・・ブルーカラーとアッパー?ミドル?クラスといった経済格差や停滞、権力者の腐敗・汚職等、その土地の持つ歴史や特色を知っていれば登場人物たちの行動にもっと意味を感じられたのかもしれません。原案・脚本も手掛けたデレク・シアンフランス監督と奥様(脚本も担当)は、この地の出身だそうですから。思い入れもきっと半端ない。私のぽっと浮かんだ感想程度じゃ到底及ばないような思いが、このアメリカ映画には詰め込まれているんだろうなぁ。







『COP CAR/コップ・カー』 (2015/アメリカ)




●原題:COP CAR
●監督:ジョン・ワッツ
●出演:ケヴィン・ベーコン、ジェームズ・フリードソン=ジャクソン、ヘイズ・ウェルフォード、カムリン・マンハイム、シェー・ウィガム 他
●声の出演:キーラ・セジウィック
●こっそり家を抜け出したやんちゃ盛りの悪ガキ、トラヴィスとハリソン。空き地で一台のコップ・カーを発見し、恐る恐る近づくと、誰もいないのを確認して中に乗り込む。すると、ラッキーにも車のキーまで見つかる。もはや運転せずにその場を立ち去ることなど出来るはずもない。さっそく2人はマリオカートで磨いた腕前を発揮して、コップ・カーを公道で大暴走させる。しかしそのコップ・カーの持ち主ミッチ・クレッツァーはただの保安官ではなかった。




悪者のケヴィン・ベーコン。クレイジーでブチキレまくりのケヴィン・ベーコン。
「こんな曲者ベーコンが見たかった!」という、そんなアナタの期待を決して裏切らないバリバリの悪徳警官をケヴィン・ベーコンが生き生きと演じています。かなりシンプルで地味~な話(米国映画なのに推定製作費が80万ドルって少ないでしょう!)なのですが、私はいやーもう満足満足。

主人公は一応子役2人の方なんでしょうけど、"ガキども――遊びは終わりだ。"というキャッチコピーが示す通り、映画の行く手には中途半端がお嫌いなベーコン様が立ちはだかります。子どもにとっては恐怖以外何物でもないのですが、私の大好きなカムリン・マンハイムが出てくる終盤なんてもうほとんどブラックコメディ。こういう映画にたまに出会えれば、いやー私はもう満足満足。







『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 (2013/アメリカ)




●原題:THE WOLF OF WALL STREET
●監督:マーティン・スコセッシ
●出演:レオナルド・ディカプリオ、ジョナ・ヒル、マーゴット・ロビー、マシュー・マコノヒー、ジョン・ファヴロー、カイル・チャンドラー、ロブ・ライナー 他
●80年代後半のウォール街。証券マンのジョーダン・ベルフォートは26歳で会社を設立すると、富裕層をカモにそのモラルなき巧みなセールストークで瞬く間に会社を社員700人の大企業へと成長させ、自らも年収49億円の億万長者となる。ドラッグでキメまくり、セックスとパーティに明け暮れた彼のクレイジーな豪遊ライフは衆目を集め、いつしか“ウォール街の狼”と呼ばれて時代の寵児に。当然のように捜査当局もそんな彼を放ってはおかなかったが・・・・。




主人公ジョーダン・ベルフォートに人生を狂わされた人は山ほどいるでしょうに、そんなヤツの映画を大馬鹿パワー全開で作ってしまうアメリカってある意味ちょっと怖いよ、アメリカって国は。

だいたい、ドラッグきめまくりで芋虫かナメクジ状態で這いずり回って、どうにか乗り込んだランボルギーニを右に左にボッコボコにしながら運転して、家に着いたらベロンベロンのドロンドロンで転がりまくりながらジョナ・ヒルと電話線に絡みまくるディカプリオちゃん。この抱腹絶倒シーンを思い出すだけでも再び笑いが込み上げてくるのでありますが、一方でこんなヤツに大切な人生奪われた人達を思うと、本当にオカネって恐ろしいものだなと・・・・・。バカだなーバカだなー、本当にばかだなー、と呆れながらも「あっ」という間の3時間。「富=幸福」として迷うことなく突き進んだこの揺るぎなきマネーパワー、下品極まりないですがディカプリオちゃん色々な意味でアッパレ。







『モーガン プロトタイプ L-9』 (2016/アメリカ)




●原題:MORGAN
●監督:ルーク・スコット
●製作:リドリー・スコット
●出演:ケイト・マーラ、アニヤ・テイラー=ジョイ、トビー・ジョーンズ、ミシェル・ヨー 、ジェニファー・ジェイソン・リー、ポール・ジアマッティ、ローズ・レスリー 他
●シンセクト社の研究施設で開発されていた人工生命体の試作品L-9「モーガン」が、研究者を襲って大怪我をさせる事故が発生。調査のため本社から危機管理コンサルタント、リー・ウェザーズと心理評価の専門家シャピロ博士が派遣される。リーは隔離されたモーガンと対面し、シャピロはモーガンの心理評価を実施するが、その最中でモーガンが混乱し始めてしまう・・・!




↑コチラの予告編、IBMが開発した人工知能「ワトソン」が作ったものなんですって。「人口生命体」を巡るSFスリラー映画の予告編として、とても完璧な構成です。起承転くらいまでのツボをキチッキチっと押さえていて巧いです。もしかしたら、映画の予告編作りなんて人間の仕事じゃなくなる日もそう遠くないのかも・・・・・

リドリー・スコット父さんがプロデュースして、ご子息であるルーク・スコットが監督した"人工生命体の底知れぬ脅威"を描いたこの作品。個人的に好きなジャンルなのですが、生命体を作り出そうだなんて考えは人間のおごりとしか思えず、『エクスマキナ』とか『スプライス』なんかを彷彿とさせる不気味感というか嫌悪感が、観ている間中ひたひたと忍び寄ってきました。で、ラストなんですが「あーた、これがやりたくて仕方なかったんでしょう!」という非常に解りやすいオチで、まぁこんなもんかいなと。リドリーお父さんったら、息子には甘いんですわね。




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  2017/06/25 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『イレブン・ミニッツ』 (2015/ポーランド、アイルランド)

   ↑  2017/04/04 (火)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー








イレブン・ミニッツ [Blu-ray]


●原題:11 MINUT / 英題:11 MINUTES
●脚本、監督:イエジー・スコリモフスキ
●出演:リチャード・ドーマー、パウリナ・ハプコ、ヴォイチェフ・メツファルドフスキ、アンジェイ・ヒラ、ダヴィッド・オグロドニック、アガタ・ブゼク、ピョートル・グロヴァツキ、ヤン・ノヴィツキ 他
●午後5時から5時11分までの「11分間」という限られた時間に焦点を絞り、様々な登場人物たちが繰り広げるありふれた日常の一コマ一コマが、やがて思いも寄らぬ結末へと収斂していくさまをモザイク状に描いた実験精神あふれる群像サスペンス。街に午後5時を告げる鐘が鳴る中、一人の男が慌てて家を飛び出し妻のもとへと向かう。その妻は女優で、優雅なホテルの一室で下心ミエミエの映画監督と一対一の面接に臨もうとしていたが・・・。







この『11 MINUTES』という映画は「アタマにきた!金返せ!」VS.「さすが巨匠!なんという傑作!」と、公開当時から批評家や世の映画好きの皆さんを真っ二つに分けていた作品でしたので、「さぁ~!私は一体どっち派なんでしょう!?」なんて観る前から変なとことでワクワクしていました。

面白い!にしても、面白くない!にしても、「私はどうしてそう思ったんだろう?」って一人でうじうじ考えるのが楽しいものですから。やることが暗いですね(笑)。それでですねぇ・・・・・"観客誰もが想像しえない驚愕のラスト・シーン"というヤツを目にした後、私のアタマにポッと浮かんだのは

「人生は寄りで見ると悲劇、引きで見ると喜劇」という言葉、これそのもの。なんじゃこら!私は笑ってしまいましたよ。

強烈なニヒリズム、それから悪夢としか言いようのない「壮大なる悲劇のピタゴラ装置」を目の当たりにして「監督、きっとお好きなようにやっちまったんですね!」と言いたくなりました。・・・ただ、問題はその後でして、モヤモヤ~っとした空気が一気に心の中に充満してきました。一気にですよ~


バラバラに見えていた多くの登場人物が複雑に入り組み、交錯したりすれ違ったり、巧みに錯綜しならがもラストに向かって一気に収束していく・・・という物語なら、パズルがカチっとはまった瞬間には爽快感やら達成感が湧き上がってくるはずなのですが、この映画はその類とはベクトルが真逆!もう、爽快感なんてバコーン!「それ見たことか!」と突き飛ばされたような幕の下ろし方。


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この"モヤモヤ~っとした感情"は一体どこから湧いてくるものなのかな?と考えてみると、やはりそれは「ポーランド」という国と、イエジー・スコリモフスキ監督の(良くも悪くも強烈に感じさせられる)存在感があるからなのかなぁとまず思いました。これは先入観と言うのかなぁ。でも、切っても切り離せない気がするんですよね。映画作品が生まれた土壌、って。


破壊、占領、分割、虐殺、消滅、復活という激動の時代を辿ってきたポーランド。
ソ連とナチスドイツからの占領、アウシュビッツ強制収容所、ワルシャワ蜂起、戦後は社会主義体制の崩壊という複雑で波乱に満ちた歴史を背景に、現在ではEU内で拡大するポピュリズムやナショナリズムの渦中ど真ん中。

そして、このポーランド映画界の"反逆児"と言われたイエジー・スコリモフスキ監督。彼の大胆不敵で型破りな存在感。過去の作品が「スターリン批判」「反体制的」とみなされ上映禁止→ならば、と映画製作の舞台を国外へと移し、祖国ポーランドを出て"亡命映画作家"として流浪の人生を送ったという監督の持つ人生観。



まるでカトリックにおける7つの大罪(傲慢、憤怒、嫉妬、怠惰、強欲、暴食、色欲)を思わせるような登場人物たちが織りなす人生の交差(があったり、なかったり)。そして、複数のジャンルの映画が入り乱れるような奇怪な展開、緊張感、不条理さ。ポーランドという国や監督の生きざま、人生観、歴史観、世界観、宗教観。そういったものに静かに囁かれている気がしたのは、こんなところからなのかもしれません。


それから、もう一つ。
異様な不安感。緊張感。それはやはり「5:11」という数字にも表れている気がします。







この「11分」という数字について、スコリモフスキ監督は「適切な長さになるためには10分程度と考えた上で、12だと"十二使徒""十二人の怒れる男"といった意味が出てくるのでダメ。13は不吉な数字なので却下。審美的にも良いと思ったのが11だった」とインタビューでと仰っています。
 To get to the proper length of the film it should be around ten minutes, but ten is such a round figure...twelve has the connotation of the twelve apostles, 12 Angry Men . Thirteen is [ makes dismissive gesture ]. So eleven! It is a very nice figure, aesthetically speaking.
From Zen to Chaos- An Interview with Jerzy Skolimowski 【Notebook】


そして、この「5:11」というのは9/11からインスピレーションを受けた訳ではなく、今の時代の典型の一つ "不安の象徴" として置き換えたのだ、ということも。
Cineaste: I have heard interpretations that 11 Minutes was inspired by the events of 9/11. From your perspective as the storyteller, was this a conscious source of inspiration?
Skolimowski: No, that’s not true. No, no, no. I adapted this image as one of the archetypes of our time. The story, of course, doesn’t have any relation to the 9/11 events, but the image is used as a symbol of the anxiety of our times.

To Be Aesthetic and Not Boring: An Interview with Jerzy Skolimowski 【CINEASTE】


9/11は直接的には関係ないとしながらも、劇中繰り返し現れるのは、爆音を響かせて驚くほどの低空飛行で高層ビルの間を不安定に飛ぶ飛行機。「5:11」という時刻までのカウントダウン。この物語の中にいる間中、否が応でも心はずっとざわつき、ただただ嫌な予感しかしない感じられないのは確かです。



きっとこの世界で起こっている、そしてこれから起こるであろうあらゆる事件、悲劇、惨事などはどんなに恐ろしく悲しみに満ちたことであっても、結局は遠くから見たらまるでモニタのドット抜けの「黒い点」程度のものでしかなく、そんな中で怒りや憎しみを爆発させて右往左往しているちっぽけで陳腐な人間たちはバカみたいに無力なものなんだ・・・・って、うーん身も蓋もない言い方ですが、でもそんな風に思い切り突き放されたような印象をドカンと受けました。


私は人生において非常にたくさんの悲劇を経験しました。それが私の創作に反映しないわけがありません。(中略) もちろん楽しいことや楽観的な瞬間もありますが、最後の最後には、あまりいい結末にはならないものです。(中略) 我々は薄氷の上や奈落のふちを歩いているんです。あらゆる曲がり角には、不測の事態、想像を絶する事態が潜んでいます。確かなことなど何ひとつとしてなく、次の日、次の一時間、次の一分間でさえも不確かで、全く予期せぬかたちですべてが不意に終わってしまうかもしれないと思います。
Interview:『イレブン・ミニッツ』イエジー・スコリモフスキ(Jerzy Skolimowski)監督 【Z POLSKI】


※補足として
スコリモフスキ監督は、この映画製作以前にご自身の次男と元妻を亡くされていて、その頃とても陰鬱な考えに取り憑かれて暗い内容の夢ばかりを見るようになってしまったとのこと。そこからこの映画の"悪夢"が出来上がったのだそうです。
イエジー・スコリモフスキ『イレブン・ミニッツ』インタヴュー 【OUTSIDE IN TOKYO】


夢 [DVD]


そういえば、晩年の黒澤明監督が『夢』という映画を撮られましたが、これもかなりレベルの高い映像を魅惑的・幻想的に見せてくれたオムニバス形式の作品だったことを、上記インタビューを読んで思い出しました。

年をとると、その人の死生観みたいなものが強く投影されてくるのかなぁとも思いました。黒澤監督も画家を志していたというだけあってのかなりの腕前でしたので、絵コンテなんてそれだけでド迫力のアートでしたものね。絵心がある点でも、スコリモフスキ監督と似ているのかも・・・・



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「よい耳を持った映画作家」と評されるだけあって緊迫感を煽る挑戦的でインパクトのある音楽の使い方。メタファや予兆を散りばめ、技法や構図に囚われることのない自由で繊細で大胆な映像の数々。

元ジャズドラマーで、詩人で、画家で、映像作家の78歳。これも人生、とイエジー・スコリモフスキ監督に言われた気がします。



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  2017/04/04 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『トランス・ワールド』 (2011/アメリカ) ※未見のアナタ、今年一番のラッキーさんです

   ↑  2016/12/21 (水)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー







トランス・ワールド


●原題:ENTER NOWHERE
●監督:ジャック・ヘラー
●出演:サラ・パクストン、スコット・イーストウッド、キャサリン・ウォーターストン、ショーン・サイポス、クリストファー・デナム
●あらすじ:記載いたしません




今回はレビューを書かないことにしました。
この映画については、もう本当に何も申しますまい!

わたくし、ものすごーーーーーく『トランス・ワールド』という映画を紹介したいのですが、何か一つでも言ってしまうとこの映画の醍醐味が全て崩れ去ってしまう。

簡単に説明してみるとですね、「一体どうなっているんだ」→「お、そうくるのか」→「だったらこうなるんでしょ」→「えーそっちにいくのかぁ!」という映画です。ってどういうこっちゃ。・・・・あぁダメダメ、わたし絶対に言えないわ。言いたいけど言えないわ!



舞台はココです。
映画についてはもうこれしか書けません。


できれば、レンタルなどの際には"ジャンル"に囚われることなく鑑賞されることをオススメいたします。事前の「あらすじ」検索なんてモッテノホカ!何の予備知識もない真っ新な状態でぜひぜひご鑑賞ください。







この『トランス・ワールド』という映画はですね、クリント・イーストウッドの息子でイケメンの若手俳優 スコット・イーストウッドも出演しているのに、日本では"劇場未公開&DVDスルー作品"だなんてちょっと勿体ない気がします。

WildestDreams.jpg
Taylor Swift - Wildest Dreams
↑テイラー・スウィフトのミュージック・ビデオで初めて見た時、お父さんの眼差しと本当によく似ているなぁと思いました。



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さらに!イケメンといえばですね、この映画で最も興味深いのは脚本を書いたショーン・クリステンセン(Shawn Christensen)、この人です。


第85回(2013年)のアカデミー賞では、短編映画『リッチーとの一日』(原題:Curfew)「短編実写賞部門」のオスカーを獲得した監督であり、脚本家であり、俳優でもあるのですが・・・・もともとはニューヨークにあるアート専門大学「プラット・インスティテュート」出身で「ステラスター*」というバンドのVo&Gとしても活躍。いや、画家&俳優志望でもあったので絵も描ける!というマルチな才能を持つアーティストです。


こういった才能と技術のある人の創造性が爆発すると「こんな世界観が生れるのかー!」と『トランス・ワールド』を観て改めて思いました。ショート・フィルムの世界からは個性豊かで将来性のある人が次々に現れていますから、どの分野にしろこれからの活躍が楽しみな方ですねー。


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今回、私は『トランス・ワールド』の"原題"に惹かれて(『ランダム 存在の確率』で出てきた「The "door to nowhere"」という言葉が偶然重なった)パパっと借りただけだったので、ほぼ予備知識ゼロのまま一気にこの映画の世界に引き込まれてしまいました。

人間って、"非日常"の中に身を置いたり体験したりするとストレス解消になるといいますもんね。正にピッタリ!

『トランス・ワールド』は、アイディア勝負&低予算という中で、各ジャンルの"映画あるある"やアイテムを巧く取り入れ「やりたいことを遣り切ったのだな!」と思わず感心してしまう映画愛に溢れるなかなかの秀作です。映画好きな方なら思わずニヤリ!としちゃうかも。

映画との出会いもきっと巡り合わせなんでしょうねぇ。

私、観てヨカッタな!と思いましたよ。今年最後の"オススメ映画"ということにしたいと思います。年末年始のお時間のある際にでもぜひどうぞ。



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  2016/12/21 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ランダム 存在の確率』 (2013/アメリカ) ※後半にネタバレ(大盛り)ございます

   ↑  2016/12/14 (水)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー






ランダム 存在の確率 [DVD]


●原題:COHERENCE
●原案、脚本、監督:ジェームズ・ウォード・バーキット
●出演:エミリー・フォクスラー、モーリー・スターリング、ニコラス・ブレンドン、エリザベス・グレイセン、アレックス・マヌジャン、ローレン・マハー、ヒューゴ・アームストロング、ローリーン・スカファリア
●エムは、友人リーとマイクのホームパーティーに、恋人のケヴィンと一緒に参加する。おいしいお酒や料理に舌鼓を打ちながら、久々に顔を合わせた男女8人は不思議な彗星についての話題で盛り上がっていた。そんな中、突如として停電となり8人はパニック状態に陥る。エムたちは不安な気持ちを抑えられず、隣家の様子を見に行くことにするのだが、そこにいたのは全く同じ家にいる全く同じ自分たち8人の姿だった。次々と引き起こされる不可思議な現象に疑心暗鬼になる彼らだったのだが・・・・。数々の国際映画祭を席巻、多くの賞を受賞した話題作。監督はアニメ映画「ランゴ」の原案を手がけたジェームズ・ウォード・バーキット。





"88分"でサクっと観られる、パラレルワールドを軸とした【SFサスペンス】!

日常の中に潜む捻じれや、何気ないところに見え隠れする非現実感が観ているうちにじわ~っと襲ってきて、この謎解きに夢中になってしまいました。仕事に疲れた心身や勉強の息抜きなどに丁度良いかもしれません。



独創性に飛んだ映画製作者たちが、ごく僅かなもので多くを作り出せるという証だ」とロジャー・イーバートのサイトでも言われたように、この映画、チャレンジングです。

ちょっと変わった作りの映画なんですよ。

ただですね、私も「これぞ傑作!!」と強気に言い切れないところもありまして、ま、それは総勢8名という登場人物たちの特徴がこの短時間で存分に活かしきれていなかったからかもしれません。というか、私の頭では整理が追い付かなかったよ。

ま、この部分の受取り方次第では、観ているあなたの「世界線」もここで分岐していくかもしれませんけどね!ウフフ








『ランダム 存在の確率』という映画では、量子力学でいうところの「シュレディンガーの猫」の例(50%の確率で生死が分かれる箱の中の猫は、箱を開けるまでその生死は確定していない)がちょこっと出てきますが、物語のベースはきっとここにあるのでしょう。


「観測されていない物質は、あらゆる可能性として複数の場所に同時に存在している」


つまり、その晩の彼ら8人は「箱の中の猫」というワケなんですね。
色々な可能性を持った"8人"が同時に無数に存在し、さらに彼らの行動・選択が互いに干渉し合ってしまうのです。

実は初見の際、私は「まーありがちなラストかなー」なんてポヤ~っと考えていたのですが、何かがオカシイ????と気になって久々に再見した時・・・・・ゾッとしました・・・・

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自分が見続けていたものも信用できない物語です。『ランダム 存在の確率』という映画は"観測者"が存在しない(できない)映画なもかもしれません。



因みに物語のヒントとなる"手がかり"は、この映画を何度か観直しているうちに劇中沢山散りばめられていることに気が付くのですが、これはジェームズ・ウォード・バーキット監督と共に原案を練り上げたアレックス・マヌジャン(アミール役)二人だけしか知らなかったのだそう。

つまり、俳優たちは何も知らずに"ヒント"を演じていたというわけなんです。このあたり、完全なネタバレになってしまいますのでそれはまた後ほど・・・・・








ではでは、ここで少しこの映画の特徴について書いておくことにしましょう!


アイディア勝負の映画を撮りたかった

『ランゴ』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』のショートフィルムなど製作費が高額となるメジャー作品に携わってきたジェームズ・ウォード・バーキット監督は、リソースを低く抑えられる映画作りをしたかったのだとか。そこで、1年かけてパズルのようになっているこの物語をチャート化したり登場人物の動きをまとめたりしたのだそうです。で、予算もですがスケジュールもタイトで、撮影期間はなんと僅か5日間!
因みに撮影場所は監督のご自宅です。お金かかりませんもんね!
A Super-Spoilery Interview With the Director of 'Coherence,' the Twistiest Movie of the Year 【YAHOO!MOVIE】


とにかく揺れる!&ブレる!
タブレットで観るぶんにはそれほどでもなかったのですが、再見時にテレビ画面で観たらちょっと"映像酔い"しましたよ。実はこれ、様式的に狙っていたわけではなくて、俳優たちは次に何が起こるか分らない状態のまま演じていたため、彼らの予測できない動きに対して柔軟に対応していた結果なのだとか。でもさ、私のSONYのホームビデオカメラだってこれほどブレないですわよ。
Coherence (2013) Trivia【IMDb】


あまりに自然な演技
そう、これは見物です。
彼らが雑談しながら笑い声を上げたり、ハプニングに対して悲鳴を上げたり口論を始めたり。まるで自然なんですね。それが時にグダグダにも映るのですが(笑)。

実は、彼らには完璧な台本は渡されておらず、毎日少しずつ別々のメモが渡されていただけなのだそうです。


例えば、ケヴィンには「外に出て確かめて来ようとする」というメモが渡されているにもかかわらず、エムには「彼を外に出してはいけない」と書かれていたそうで、つまりこのシーンの二人の小競り合いは本気だった!というわけなんですねー。
At one point Maury [Sterling]'s notes told him he's going to go leave to check out.Then Emily's note was “Don't let him leave.” So they got these two conflicting pieces of direction.Maury's going to leave. Emily has to make him stop.
Fantastic Fest 2013: James Ward Byrkit & Emily Foxler on Coherence




それと、これは結構衝撃だったのですが・・・・彼らは「箱の中」に何があるのか知らなかったのだそう。 グロースティックライトも何を意味するのかを知らず、いつケンカが勃発するかも知らなかった、と。
I would say just about everything. They didn’t know what was in the box; they didn’t know what the glow sticks meant; they didn’t know when a fight was going to break out.
A Super-Spoilery Interview With the Director of 'Coherence,' the Twistiest Movie of the Year



この映画では、人が何かを選択したり意思決定することでタイムラインが変化し分岐していくということになっていましたが、実際の映画撮影の際にも、この"人は物事に対してどのように反応し、行動を選択するのか?"というものをリアルに見せてくれたのではないかと思います。







※それでは以下は『ランダム 存在の確率』のネタバレ・内容に深く関わります。
未見の方やこれからこの映画を観よう!と思われる方はお控えいただくことを強くオススメいたします。





    ↓ ネタバレ注意 ↓


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  2016/12/14 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『リード・マイ・リップス』 (2001/フランス)

   ↑  2016/09/30 (金)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー





リード・マイ・リップス [DVD]



●原題:SUR MES LEVRES / 英題:READ MY LIPS
●監督:ジャック・オーディアール
●出演:ヴァンサン・カッセル、エマニュエル・ドゥヴォス、オリヴィエ・グルメ 他
●土地開発会社で多忙な日々を送る難聴のカルラ。刑務所帰りで保護観察中のポールという男性アシスタントを雇うことになるのだが、彼と接するうちに彼女の生活も徐々に変化していくように。やがてポールはある犯罪を企て、カルラも否応がなしに手を貸していくことになる・・・。仏国内で最も権威ある「セザール賞」で、2002年『アメリ』のオドレイ・トトゥが有力と言われた中、エマニュエル・ドゥヴォスが『リード・マイ・リップス』で主演女優賞を獲得した作品。





久々に、ゾクゾクっときた映画。

物語全体に漂うこの独特の色気は、もしかしたらちょっとした"マニア向け"なのかもしれませんが。決して美男美女とは言えない男女2人が放つギリギリの官能性と、「フィルム・ノワール」のハードボイルドな硬質さを併せ持つ、このほの暗さといったら・・・!

しかもね、実はこの映画、今回"再見"なんです。
それなのに、これだけ心揺さ振られてしまったということは・・・・以前の私はこの映画の一体何を見ていたのかしら。 いや・・・当時の私には見えなかった、見えていなかったのかも。

あぁ映画って、本当に出会うタイミング・観るタイミングが大切ですね。







日常生活に氾濫する、耳を塞ぎたくなるような他人の話や興味のない耳障りな騒音。そんな時、カルラは「補聴器」を切って周囲から自身をシャットアウトします。難聴故に、彼女は音に惑わされない。

一方で、彼女は知りたい情報を密かに手に入れるため、離れた場所の人々の唇を読んで会話を盗み聞くこともできる・・・。彼女が孤独なのは単に「難聴だから」なのではなく、周囲の人々との間に通常は見ることのできない隙間や溝を見抜くことができるからかもしれません。

そして、"普通"や"慎ましさ"を装いながらも、心の奥底では昂るような刺激を求め、抑えきれないほどに溢れ出す大胆さに惹かれている。

そう、彼女は"強か"なのです。




ヴァンサン・カッセル演じるポールがじわじわと発する危険な色気と、それに抗えなくなっていくカルラとの抜き差しならない関係。

振り子が大きく揺れるように行ったり来たりする最悪としか思えない状況の中で、最終的にどう決着をつけるのか(再見なのに!)息を詰めて見守っている自分がいました。


誰にも言ってはいけない秘密と、極限の危機的状況を共有した二人。



 「真夜中のピアニスト」

   「預言者」

  「君と歩く世界」



他人には見せたくない生々しさを感じさせるリアリズムの中で、人間の弱さや孤独を描くことに定評のあるジャック・オーディアール監督は、主人公カルラを弱者どころか「力のある女」として描きました。

『リード・マイ・リップス』は、この手の「フランス映画」のラブストーリーとして見ると意外とも思えるラストだと思うのですが、それは『預言者』のように乾いた叙情を得意としながらも、暗闇を照らすような優しさを見せてくれるオーディアール監督からの"愛情"のようにも思えました。

10年前とはまた違う感想です。




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  2016/09/30 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit