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『ある結婚の風景』(TV放映版)が、待望のBlu-ray&DVD化!

   ↑  2011/02/25 (金)  カテゴリー: 映画いろいろ・・・





ある結婚の風景 オリジナル版 【HDマスター】 [Blu-ray/洋画/ドラマ/30%OFF][あす楽対応]


スウェーデン映画の巨匠イングマール・ベルイマンが制作し、当時離婚が急増した原因ともいわれる社会現象を巻き起こしたTVドラマ『ある結婚の風景』。

なんと、オリジナル版 HDマスター ブルーレイ&DVD化されるとのことです(2011年4月22日発売予定)。別に私はIVCの広報担当者ではありませんが、キネマ旬報の「2010ベストテン号」を開いた瞬間、その広告を見て驚きのあまりひぇーっと仰け反ってしまったので思わず掲載させていただきました。

というのも、ちょうど最近、同じベルイマン監督でこの『ある結婚の風景』の30年後を描いた映画『サラバンド』と、もう一つ『秋のソナタ』(ヨン様じゃないです)をやっとの思いで観終えたところだったのです。夫婦や親子などの、息が詰まるほど濃密で辛辣で正直な人間関係を「これでもか!」といわんばかりに展開するベルイマンのこの二作。怖いもの見たさで思わず観てしまったんですよねぇ・・・。こんな酸素不足の状態でクッキリ綺麗なHDマスター版なんか観た日にはもう、本当に眩暈をおこしてしまいそうです。

『サラバンド』と『秋のソナタ』のレビューは、また後ほど酸素が行き渡ってから書こうと思います。今はほんと、クラクラです~


『サラバンド』 (2003/スウェーデン)    『ある結婚の風景』 (1974/スウェーデン)
『サラバンド』レビューはコチラから  『ある結婚の風景』レビューはコチラから




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  2011/02/25 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ナイト&デイ』 (2010/アメリカ)

   ↑  2011/02/22 (火)  カテゴリー: アクション、パニック





ナイト&デイ エキサイティング・バージョン【Blu-ray】 [ トム・クルーズ ]


●原題:KNIGHT AND DAY
●監督:ジェームズ・マンゴールド
●出演:トム・クルーズ、キャメロン・ディアス、ピーター・サースガード、ヴィオラ・デイヴィス、ポール・ダノ 他
●トム・クルーズとキャメロン・ディアス共演で贈る、スリルとロマンス満載のスパイアクション。ジューンは空港で出会ったミステリアスな男性・ロイと恋の予感にときめくが、彼と同乗した飛行機は怒涛のパニックに陥り、彼女は大事件に巻き込まれていく。



いやー、懐かしい二人の共演だけで、私はとにかく嬉しい!
トム・クルーズの映画を色々と思い起こさせてくれるという、思いっきりセルフパロディを愉しんでいるような映画でしたね。

大体、アクション映画なのに途中眠ったり気絶したりでアクションシーンが朦朧、おぼろげになるという、本当はスゴイことやっているようなのに、このテキトー感まる出しの端折り方をするところなんてもう、大笑いでした。これを真剣にやってみせるトム・クルーズって、本当に映画が好きで(勿論自分も大好きで)、自身を笑える凄く良い人なんだろうなぁなんて思いました。

年はとっても、まだまだ可愛いお二人

実は、私は過去にこの二人が共演した『バニラ・スカイ』の熱狂的ファンでして(結構珍しい)、昨年『ナイト&デイ』が日本よりひと足早く全米公開された時には、この映画のことがもう気になって気になって。遂に、映画ブログで仲良くさせていただいているブロガーさんに「どうが観て来てぐだざい~」と泣きついてムリヤリ観に行っていただいた・・・という経緯もあったりします。←その節は大変お世話になりました・・・

なので、この映画の中でトム・クルーズがキャメロン・ディアスに「絶対に車に乗るな」と、何度も念押しするシーンには思わずニヤリとさせられました。
『バニラ・スカイ』オフフィシャルサイトへ
映画『バニラ・スカイ』より
トムクルがキャメロンの誘惑に負けて思わず車に乗ってしまったことから悪夢が始まる、先の映画を彷彿とさせるんですよー。「あの時車に乗らなければ・・・」と後悔しきりだったトムクルが、今度はキャメロンを怒涛の事件へと巻き込んでいくんですもんね。ほんの少し、むかしの二人からの嬉しい設定だったりします。

そう、当時、私はキャメロン・ディアスのことを"モデル上がりでキュートな女優さん"くらいの認識しかなかったのですが、『バニラ・スカイ』の彼女を観て、実は演技がしっかりできる人だったんだなと強烈なインパクトを受けたものです。震え上がるほど空虚な暗い目をしてトムを見つめる姿や、嫉妬や愛憎がないまぜになった絶望の中、思い切りアクセルを踏み込む演技など・・・好きでした。キレイなだけじゃないですね。年齢を重ねても役者として残っていける女性ではないかなと思います。


で、『ナイト&デイ』の方はといえばですね、こちらはもう特に何も考えず気楽にのっていけるアクション物でしたね!私は「お試しブルーレイ」なるものを借りてきて観たのですが、この類の映画は、やっぱり劇場で大勢の人達と大きなスクリーンのドッカンドッカンな音響で楽しむのがベストなんでしょうねぇ。


トムクルの魅力というのは、絶対に死なずに満面の笑顔で守ってくれる!という安心感ですね。ハリウッドに燦然と輝く正統派の映画スター・・・の割には『マグノリア』で「押し倒せ―!」と絶叫してみたり、『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』でハゲ&デブを演ってみたり、とサービス精神もシッカリ。そういう所が『チャーリーズ・エンジェル』でおしりフリフリできるキャメロン・ディアスと似ているのかもしれませんね。こういう遊び心満載のハリウッドのお祭り映画、私は大好きだー!

ナイト&デイ@映画生活




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  2011/02/22 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『シリアの花嫁』 (2004/イスラエル、フランス、ドイツ)

   ↑  2011/02/15 (火)  カテゴリー: シリアス、社会派
Bitters End配給作品『シリアの花嫁』公式サイトへ  【DVD】シリアの花嫁
●原題:THE SYRIAN BRIDE
●監督:エラン・リクリス
●出演:ヒアム・アッバス、マクラム・J・フーリ、クララ・フーリ、アシュラフ・バルフム、ジュリー=アンヌ・ロス 他
●結婚式の今日は、花嫁モナにとって最高に幸福な日となるはず。しかし、彼女の姉のアマルは悲しげな顔をしていた。なぜなら一度“軍事境界線”を越えて花婿のいるシリア側へ行ってしまうと、二度と家族のもとへ帰れないのだから・・・。彼女たちをはじめ、家族もみな、国、宗教、伝統、しきたり…あらゆる境界に翻弄され、もがきながら生きていた。モナは決意を胸に境界線へと向かうが、そこで思い掛けないトラブルに見舞われ…



ここ数週間、エジプトで起こった市民による歴史的反体制運動をずっと見守ってきました。

実はこの『シリアの花嫁』を観た1月にはレビューメモはあらかた出来上がっていたのですが、チュニジアで起こったデモの行方が、日々大きなうねりとなって確実にアラブ諸国へと広がっていくのを見て、記事のアップをもう少し待つことにしたのです。

というのも、エジプトが劇的なまでに変化を遂げようとしている中、この映画の舞台であるシリアとイスラエルの関係にもその影響が波及する可能性は多大であり、エジプトの今後の動向によっては、この映画に寄せる思いも随分と変わってくるような気がしたからです。中東各国が各々の思惑からエジプトの動向を注視する中、イスラエルは孤立を深め、そのイスラエルの中東和平交渉の現状破棄状態を黙認してきたアメリカも右往左往しているように見受けられます。

世界(=アメリカとも言える)に見捨てられたと言われているパレスチナ問題は、西岸地区支配のPLOが親米・イスラエル寄りだったムバラクを失ったことにより、現在勢いを増しているムスリム同胞団のハマスがその影響力を増大させていることでイスラエルを動揺させているはずです。中東世界の構図が変化していく正に過渡期に、私はこの映画を観たことになります。





いう訳で前置きが長くなりましたが、そろそろ映画の話に入ることにしましょう。この映画は、鑑賞前にある程度の国家事情や地理的な知識や解説を頭に入れておくことが大きなポイントとなってきます。簡単ですが、下記にちょっとだけまとめてみました。

ゴラン高原
内閣府 国際平和協力本部事務局(PKO)サイト「ゴラン高原」へジャンプします
1948年のイスラエル建国以来、4次にわたる中東戦争を経て続いていたイスラエルとシリアとの間の紛争は、1974年に両国間で「兵力引き離し協定」が締結され停戦ラインが引かれました。そこで設立されたのが、国際連合平和維持活動を行う【国際連合兵力引き離し監視隊(UNDOF)】です。しかしイスラエルは、ゴラン高原を戦略的重要地域(つまりイスラエルの水源)であるとして、1981年に「ゴラン高原併合法案」を国会で可決、「ゴラン高原は自国の領土である」と主張するようになりました。

ゴラン高原に残留を許されたシリア人は約17,000人ほどいると言われていますが、その多くは希望すれば【イスラエル国籍】を取得できるものの拒否し続け、シリア国民にもなれないまま無国籍状態となっているのです。



そしてこの映画は、現イスラエル占領下のゴラン高原に住む女性が、シリア国内に住む男性と結婚式を挙げることになったある1日を描いた物語となっています。

ちなみに、花嫁の姉アマルを演じているヒアム・アッバスは、自爆攻撃を決意する『パラダイス・ナウ』のパレスチナ青年の母親役でも存在感を光らせた他、アメリカ映画『扉をたたく人』や、フランス映画『画家と庭師とカンパーニュ』、はたまたジム・ジャームッシュ作品など幅広い世界で活躍されている素晴らしい女優さんです。





映画の冒頭、最も幸せであるはずの結婚式の朝に、沈み込むように悲しげな姉妹の会話が続きます。彼女達の様子から次第に「いったんシリア国内へ境界を越えて嫁いでしまうと、二度とイスラエル領内であるゴラン高原の故郷へは戻れない」という厳しい現実が横たわっていることが明らかにされていきます。更に、嫁ぐ妹モナの孤独を更に深めているのが、彼女のこの結婚は再婚であるということ。

通常日本人の感覚で考えてみると、なぜ一度も会ったことのない男性とのこれほど厳しい条件のある結婚を承知したのか?という疑問が浮かぶかもしれませんが、イスラム圏の人間から見ればさほど珍しいことではありません。

現在の国や地域の習慣による差はあるでしょうが、夫を亡くしたり離別した寡婦と再婚することは良いこととされ、女性も独り身よりは伴侶を得ること、家庭を持つことがよしとされるため、子を持つ離婚した女性でもすぐに親戚筋の男性を紹介されて再婚する・・・・そんな話をよく見聞きしてきました。戦乱が多く、夫を亡くした女性たちが生活できなくなることに配慮した時代の宗教観なのでしょう。自由恋愛が見受けられる都会では考えられないものですが、信仰深い習慣の残る地方などでは今でも見かけられる結婚形態なのです。



確かに『シリアの花嫁』という映画は、確かにこういった地域独特の宗教観や、国家間における国際政治問題などをバックボーンにはしていますが、そこから浮かび上がってくるのは「家族の絆」や「結婚の在り方」「しきたりや伝統との向き合い方」「女性の自立」など、地域を限定することなくどんな国の人々でも経験するようなライフステージにおける普遍的なテーマです。

しかも家族をテーマとしたこの映画は多数の人物が登場するのですが、どのキャラクターたちも隅々まで丁寧に描ききられている点、しかもシリアスに徹することなく、さり気ないユーモアも忘れないという、強くて温かな視線に私は感銘を受けました。花嫁であるモナを取り巻く環境は過酷であっても、その分だけ始めはバラバラだった家族の存在が大きく、強くなっていくのです(これらを映画的に見ても、見事に回収することのできる伏線の張られ方も、なかなか気持ちの良いものでした)。





そんな家族たちが様々な思いを胸に、いよいよモナを境界まで送り届けるのですが・・・・ここから更に試練の連続となってしまうのです。

他国の人間であれば軽々と行き来のできるほんの数十メートルの道路を間にして、人の気持ちが通わない国の規則や諸事情によって挙式そのものが危ぶまれる事態へと物語は進んでいきます。そして、誰にもどうすることもできない行き詰まりをみせたところで、このラストは唐突にやってくるのです

そこでモナがとった行動は、国境における緊張感を考えればかなり衝撃的なものではないかと察しましたが、案の定、伊藤千尋(朝日新聞社ジャーナリスト)さんが講演されたという内容が書かれた記事に目を通してみたところ「花嫁は殺されても文句が言えない場所を通って行った」と解説されていたようでした(【軽薄短笑~新潟県上越・妙高発~】yasu様のサイトより一部引用させていただきました)。

モナと、そしてそれを確認した姉の思いが重なる力強いこのラストシーンは、恐らく日本人である私などには到底思いも至らないほど、譲ることのできない深い決意と希望が込めれたものなのだと私は信じたいのです。そして忘れてはならないのが、この映画は「シリア映画」ではなくイスラエルが中心となって制作したものだということ。シリアへのゴラン高原返還問題が現在の中東情勢の中で、今後政治カードとして利用されることなく(自国の領土問題が解決できていない国民である私が言うのも何なのですが・・・)いつの日か解決されることを、私も願ってやみません。





因みに、この映画を観て個人的に思うことも多々ありました。
移民だった元夫の故郷へ戻っての結婚式は、この映画の風景にとても近いものだったのです。とても懐かしく思い出していました。

男たちは空に向かって銃で祝砲をあげ、リボンの巻かれた車でクラクションを鳴らし続けて街中を回り、同行していた両親からは「こ、これは映画だ・・・」と唖然とされた懐かしい思い出もあります。

残念ながらこの結婚を続けることはできませんでしたが、外国人の私を温かく迎えてくれた義理の母や父、親族たちの優しさを忘れることはありません。髪の色や目の色が元夫に似ている我が子も、いずれ自分のルーツを探す日が来るはずです。その時が来たら良い事を沢山話してきかせたい。子どものもう一つの国を一緒に歩ける日が来たらどんなに良いだろう。そんなことを思い起こさせてくれる映画でもありました。





■追記■
もう一つの「シリアの花嫁」の話が、イスラエル英字ネット「HAARETZ.com」で写真付きで報じられていました。「シリアの花嫁が今年1月6日、国境を越えて同じドゥルーズ派のイスラエル側花婿と結婚式を挙げた」とのこと。彼女もまた、自分の故郷へ戻ることはできないのです。このような結婚の景色は、年に数回あるということです。




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  2011/02/15 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

映画を読み解く 私の本棚

   ↑  2011/02/09 (水)  カテゴリー: 映画いろいろ・・・
以前のテンプレートでサイドバーに付けていたコチラのコーナー。
簡単な紹介ではありますが、まだまだ書き加えていきたいなぁと思い、これを機に独立させてしまいました。

まだまだゆっくり&簡単ですが、少しずつ映画関連の書籍を追加していきたいと思います。映画を観る前でも、観た後でも、別の角度からじっくりと本で読む楽しさって、大好きです。





「シネマキッチン―美味しい映画の本」/ 大河原 正 (編集) AI NETWORK
「シネマキッチン―美味しい映画の本」/ 大河原 正 (編集)
出版や映像のプロデューサーとして活躍する編者が映画のあらすじや名場面の写真とともにレシピも紹介!眺めるだけでもヨシ。料理を作ってみるもヨシ。至福のひと時を過ごせる素敵な一冊です。



「映画を愛した二人」黒沢明 三船敏郎  / 阿部 嘉典 (著) 報知新聞社
「映画を愛した二人」黒沢明 三船敏郎 / 阿部 嘉典 (著) 報知新聞社
共演者や制作者らのインタビューや裏話などを含め、日本映画史を代表する偉大な監督と俳優2人の出会いから作品解説までを網羅。黒澤映画史の資料としても十分な読み応えです。



「シネマティーニ」~銀幕のなかの洋酒たち 武部 好伸(著)淡交社
「シネマティーニ」~銀幕のなかの洋酒たち 武部 好伸(著)淡交社
小道具としてだけではなく、登場人物の真意や遊び心を「お酒の銘柄」から解き明かすなんてなかなかオツなもの。ますます映画が楽しくなる一冊です。



「NewYork×映画110」~スクリーンの中のニューヨークガイド/きさらぎ尚(著)文藝春秋
「NewYork×映画110」~スクリーンの中のニューヨークガイド/きさらぎ尚(著)文藝春秋
見開きで1映画×110本ぶんを、物語の解説に加えて映画に出てくるレストランや公園などのロケーションの他、歴史や写真などでニューヨークを盛り沢山に見せてくれます!!



「淀川長治の映画人生」岡田喜一郎(著)中央公論新社
「淀川長治の映画人生」岡田喜一郎(著)中央公論新社
淀川先生の思い出や言葉がたくさん詰まった愛すべき一冊。映画に対する愛情がいっぱいに溢れています。

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  2011/02/09 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『あゝ結婚』 (1964/イタリア)

   ↑  2011/02/01 (火)  カテゴリー: コメディ




【DVD】あゝ結婚ソフィア・ローレン [OPSDS-889]


●原題:MATRIMONIO ALL'ITALIANA / MARRIAGE ITALIAN-STYLE
●監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
●出演:ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、アルド・プリージ、ピア・リンドストロム、ヴィト・モリコーニ、マリル・トロ 他
●経営する菓子屋のレジ打ちの娘ディアナとの結婚を控えた金持ちの道楽息子ドメニコの元に、突然の知らせが。彼の内縁の妻だったフィルメーナが倒れ、瀕死の状態だという。ドメニコは彼女との出会い、そして今日までの日々を回想する・・・。名匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督&S・ローレン&M・マストロヤンニの名物トリオが、前作『昨日・今日・明日』(1963/イタリア・フランス)に続いて放ったナポリの人情喜劇『ああ結婚』。





映画『あゝ結婚』は、冒頭からナポリの街並みが次々に映し出されます。
私はこれだけで胸がズキューン!サンタルチアの海岸通り、プレビシート広場(Piazza Plebiscito)といった名所が見えれば、これはナポリが舞台ですよ~ナポリの人情物語ですよ~!と言っているようなもの。ウキウキしてしまいます。今から50年近くも前の映画なのに、私が知っている風景とほぼ変わらないというのも驚きですが、これは「石の文化」がもたらす功績なのでしょう。

因みに主人公たちの住まいは、ジェズ・ヌオーヴォ教会広場(Piazza Gesù Nuovo)の西側に立地する館に設定されています。人々がそこで何やら大騒ぎしているシーンから、この映画は始まるのです。





まずこの映画の魅力。それは何と言ってもナポリの方言、つまりナポリ弁とも言えるかもしれません。


気取ったマストロヤンニ演じるドン・ドメニコの回想シーン。

彼に誘われて若い頃のフィルメーナが車に乗り込むのですが、そんな恰好では競馬場には連れてはいけないよと言うドメニコに対して「Ahh...capisco(あぁ、わかるわ)」と彼女は言うのです。Sの発音がシャやシィになるナポリ弁は、capisco(カピースコ)がカピーシィコ。それじゃあ服を着替えに家に戻るから一緒に行きましょうよ!と言うのには、標準語「Andiamo(アンディアーモ)!」ではなく、フニクリフニクラで日本でもご存知 jammo(ヤンモ)!

娼婦でもあったのに純真で気取らない彼女の天真爛漫なイメージが、本当によく伝わってくる場面でした。この訛りの無垢な可愛らしさは、日本語字幕だけだとどうしても伝わりきらないですよね。ナポリ弁の「シャ」「シィ」「シュ」の何とも言えないほのぼのとした感じがとても好きでした。





また、実際に貧困の中から逞しく生き抜いてきた、その溢れんばかりの生命力が持ち味のソフィア・ローレンの存在感が、とにかく素晴らしいなと思いました。女ったらしの放蕩息子を演じたマストロヤンニも彼女の引き立て役に回り、男のどうしようもない甘えた部分を気取った風に演じているのも何だか楽しそう!

ローレンの解放感いっぱいに魅力的な笑顔や、勝気で一歩も譲らない威勢のいい啖呵、甘えた子猫のように柔らかな表情、子どもたちを抱き寄せる温かな包容力、そして幸福に涙ぐむ情の厚さ。どこを切り取っても彼女の魅力でいっぱいです。きっと今時の「草食系日本男子」からしてみたら、その大きな目と口で今にも取って食われそうなド迫力イメージの彼女ですが、本当に繊細な演技で、私なぞはもうその可愛らしさに胸キュン(死語)でした。彼女のダイナマイト級のセクシーさは、ほとんど布がないだろう!という衣装を着ても、ちーっともイヤラシイ感じがせず(どちらかというとその潔さが男前)、嫌味でもなく、強くて眩しい南イタリアの太陽を思い起こさせます。





話はちょっと逸れますが、昨年、ソフィア・ローレンが高松宮殿下記念世界文化賞受賞で来日した際に倉敷へも立ち寄ることになり、大原美術館で行われた歓迎レセプションに出席した様子がテレビ放映されていました(BSフジ『高松宮殿下記念世界文化賞特別番組 倉敷に咲いた秋のひまわり』)


そこでのスピーチがとても感動的でした。世界的大女優の彼女にとっては本当に質素で小さな会場だったはずですが、自分が幼い頃貧しかったことや苦労したこと、そこから女優として活躍できるようになったこと、日本で思いがけずこんなに温かく迎えてもらえて感動したこと、それらを心を込めてゆっくり話していました。「昔のことを話すなんて滅多にないことだ」と関係者からも驚かれていたというこのエピソード。そんなローレンだけに、その苦労や彼女の人間としての温かみが伝わってくる、とても印象的な番組でした。


この映画では、戦後、生き抜くため無学だったフィルメーナが一生懸命に書類にサインするシーンが出てきます。本当に胸が詰まるんです。そして「幸せでないと泣けない」と言っていた彼女が、思わず涙するラスト。

逞しくて情の深いナポリ女の姿は、まるでソフィア・ローレンそのもののようで、来日した時の彼女の姿が重なるようなそんな気がしました。正に、彼女の存在感あってこそ!のイタリア映画でした。





■追記:2013年7月
この『あゝ結婚』の原作者は、ナポリ出身でイタリアが誇る芸術作家エドゥアルド・デ・フィリッポ(Eduardo De Filippo)です。ヴィットリオ・デ・シーカ監督とマストロヤンニ&ローレンという黄金トリオで作られた『昨日・今日・明日』の第一話「アデリーナ」でも脚本を担当し、ナポリを舞台とした軽妙で人間味豊かな喜劇を作り上げてくれました。

 『昨日・今日・明日』 (1963/イタリア、フランス)
レビューはコチラから:『昨日・今日・明日』 (1963/イタリア、フランス)
生活感あふれるナポリ下町の喧騒、おせっかいでも温かな人々。マストロヤンニ&ローレンのコンビで『昨日・今日・明日』も楽しい映画となりました!



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  2011/02/01 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit