お散歩シネマ 映画の世界へ出かけよう!!映画の数だけ、もっと世界は面白くなる! 

このページの記事目次 ( ← 2011年08月 → )

total 2 pages  次のページ →  

『シャッターアイランド』 (2009/アメリカ) ※ネタバレです!

   ↑  2011/08/30 (火)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー


シャッターアイランド スペシャル・コレクターズ・エディション 【BLU-RAY DISC】


●原題:SHUTTER ISLAND
●監督:マーティン・スコセッシ
●出演:レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ、ベン・キングズレー、ミシェル・ウィリアムズ、エミリー・モーティマー、マックス・フォン・シドー 他
●精神を病んだ犯罪者だけを収容し、周囲をすべて海に囲まれた「閉ざされた島(シャッターアイランド)」から一人の女性囚人が姿を消した。島全体に漂う不穏な空気、何かを隠した怪し気な職員たち、解けば解くほど深まる謎・・・。事件の捜査に訪れた連邦保安官テディがたどり着く驚愕の事実とは!?



日本でのキャッチコピーは
 精神を病んだ犯罪者だけを収容する島から、一人の女性が消えた―
 この島は、何かがおかしい
 全ての謎が解けるまで、この島を出ることはできない


英語版では
 Someone is missing

原作小説の結末が袋綴じになっていたというほどの【衝撃のラスト!】ということで、日本では上映当時【超日本語吹替版】で登場人物たちの目線や動作を見逃すな!とか、【二度見攻略】で謎にいくつ気がつけるか!?というキャンペーンなどがありましたが・・・ここまで【驚愕の結末!!】を過剰に煽ることもなかったのではないかなぁとも感じました。

確かに『シャッターアイランド』は謎に満ちたミステリアスな映画であり、観ていた物語が奇麗に引っ繰り返される"仕掛け"は巧妙でしたが、私はラストで解き明かされる"真実"よりも主人公がそこへ辿り着くまでの"心の旅"の方がずっと重く感じました。


さて、この先『シャッターアイランド』に関してかなり!の内容・ネタばれを含んでいます。未見の方、これから鑑賞予定の方は映画鑑賞後に読まれることを強くオススメします!
それでもOK!という方は、続きをどうぞ。。。


↓↓ 以下 ねたばれ 注意 ↓↓

■この記事に関連する映画制作国、地域 : アメリカ映画 

FC2共有テーマ : アメリカ映画 (ジャンル : 映画

  2011/08/30 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『アフター・ウェディング』 (2006/デンマーク、スウェーデン)

   ↑  2011/08/30 (火)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ



【DVD】アフター・ウェディング スペシャル・エディションマッツ・ミケルセン [KEBF-90144]



●原題:EFTER BRYLLUPPET / AFTER THE WEDDING
●監督:スザンネ・ビア
●出演:マッツ・ミケルセン、ロルフ・ラッセゴード、シセ・バベット・クヌッセン、スティーネ・フィッシャー・クリステンセン、クリスチャン・タフドルップ 他
●インドで孤児院を運営するヤコブは、財政的に厳しく破産寸前の状態で行き詰っていた。そんな時、デンマークのある会社から寄付の申し出がある。しかしそれには「ヤコブがコペンハーゲンを訪れてCEOと面会する」という条件がついていた。渋々インドからコペンハーゲンに向かったヤコブはCEOのヨルゲンと会うのだったが、彼はまだどの団体に寄付をするか決めておらず、決定は後日すると語る。戸惑うヤコブをよそにヨルゲンは「娘が週末に結婚するので、式に来るように」と半ば強引にヤコブを招待するのだった・・・。2006年度アカデミー賞「外国語映画賞」ノミネート作品。




デンマーク映画やスウェーデン映画というと、北欧の柔らかな太陽の光や若緑色の自然などと対比するように、極限状態ギリギリまで追い詰められた人間のドロドロとした本性を見せつける暗~いドラマを私は勝手にイメージしてしまいます。きっと大笑いするような楽しい映画もあるのでしょうが、なぜか日本では"内向的な"作品や、パステルカラー調の"センスのいい"作品が好んで公開されるような気がします。

デンマーク語が全くわからないので、まったく馴染みのない言語による映画作品の場合は思い切り「日本語字幕」に頼る他ないのですが、よーく聞いてみると「ヒンディー語」だと思っていたら「インド英語」だったり「ドイツ語」っぽい発音かなぁと思っていたら「スウェーデン語」まで出てくるようで、ちょっと驚かされるところもありました。






私は"あらすじ"やキャッチコピーなどを読まずに『アフター・ウェディング』というタイトルと、レビュー上記に書いた程度の知識だけで鑑賞したのですが、これは自分にとってラッキーでした。何も知らずに観ることができて、個人的には良かったと思います。

鑑賞後に分かったことなのですが、この作品は日本公開時や映画データベースのサイトなどでは、物語の核心に触れるところまで言及しているんですね。公開前から思い切り情に訴えかけるこのアピールは、この作品の醍醐味を失わせているようにも思います。核心を知った上で観るか、私のように知らずに観るかでは、映画への印象が大きく異なることでしょう。



※因みにアメリカ公開時のこのトレーラーは、"核心"には触れずに何かを暗示させるだけ、という非常に良い出来だと思いました(何故かエスニックな雰囲気を漂わせ続けているのが、米国らしい外国映画のアピールですが・・・)。


寝かしつけの時に子どもたちに「ニルスの不思議な旅」を読んで聞かせる優しい家族の姿や、幸せの絶頂ともいえる美しく愛らしい、そしてまだあどけなさの残る花嫁の姿を目にながら「結婚式の後に何かしらの人間ドラマが起こるのだろう」くらいの軽い気持ちで私は観始めたので、水面に落とされた一粒の水滴がゆらゆらと全体の表情を変えていくように、少しずつ変化していく事の成り行きをただじっと息を詰めるようにして見守っていました。純粋に主人公でもあるヤコブの目線で展開される物語を追うのであれば、"核心部分"には触れずに鑑賞できることが最良だと思います。






『アフター・ウェディング』では、何かを決めかねていたり、途方に暮れていたり、感情を抑えていたり・・・そんな登場人物たちの指先や目元を何度も何度もクローズアップで映し出します。彼らの心の揺れを覗き込んでいるような、そんな錯覚に陥るカットです。

人々の間にさざ波が立ち、酷く罵り合い、誰もが悲しみを抱え、そんな感情の混乱から登場人物たちの関係は行き詰まりを見せたとも思えた展開だったのですが・・・私はなぜか途中から、それら寂寥感の間から少しずつ温かな感情を感じていたのです。不思議な体験でした。





映画の良いところというのは、人生を客観的に見ることが出来る上、生き方や心の持ち方を見つめ直し、困難に対するヒントや安らぎを見出すことが可能な点だろうなぁと、私は常々思っています。大袈裟と思われるかもしれませんが、少なくとも私はこの映画に対してもそのように感じました。

何かを失い、傷つけ、何かに巻き込まれ、酷く打ちのめされたようで、実際は沢山のものを得ているのが人生なのかもしれない、と思ったのです。失ったものと引き換えに与えられる何か、ということではなく。「失う」こと自体に「生まれている」ものがあるということ。そして、本当はもう既に「得ている」のに、自分がただ気が付いていないだけだということ。

もちろん以前とまったく同じ時間や幸せは決して帰ってはこないし、「失った」直後には、痛みや苦しみ、悔恨の思いや悲しみなどの感情が重く圧し掛かり、そこから抜け出すこと、忘れること、立ち上がることで精一杯なはずですが・・・それでも、この映画を観ていると、そこから何かが「生まれている」のが感じられるのです。・・・私にとってこの映画は、"救い"と"覚悟"でした。

何もかも目出度い大団円を迎える類の映画ではありませんが、大胆な筋書きの中、最後の最後まで地に足のついた人間の描き方と、人間の繊細さや力強さを感じさせてくれる丁寧な描写がとても好きな作品でした。






因みに大企業のCEOヨルゲンを演じたロルフ・ラッセゴード。

・・・どこかで観たことがある!と思っていたら、昔レビューを書いた1998年のスウェーデン映画『太陽の誘い』(1998年)に主演していたRolf Lassgrdでした(日本語表記では現在「ラッセゴード」もしくは「ラッスゴル」と表記にバラツキがあり、きちんと統一されていないようです)。印象的で力強く、またとても味わい深い演技をされる俳優さんです。

この作品の監督でデンマーク出身のスザンネ・ビア(『未来を生きる君たちへ』が現在公開中)にしてもそうですが、残酷な現実を見つめ、人間への深い愛情を込めた良質の北欧映画が近年ますます注目されてきています。


【トーキョーノーザンライツフェスティバル2011】というサイトでは、今年2月に開催された「北欧映画祭」の上映作品が紹介されています。どれも北欧を代表する映画作品ばかりなのですが・・・そういえばどれも強烈なインパクトの作品ばかりだった!ということにも気付かされました(←トラウマになりそうな作品が多すぎるんですよねぇ)。うーん、これからも時間の許す限り、心して北欧映画と向き合っていきたいと思います!そのためには、相当な精神的タフさも必要となりそうですが・・・(笑)。


■この記事に関連する映画制作国、地域 : デンマーク映画 スウェーデン映画 北欧映画 

FC2共有テーマ : スウェーデン映画 (ジャンル : 映画

  2011/08/30 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ブルース&ロイドの ボクらもゲットスマート』 (2008/アメリカ)

   ↑  2011/08/26 (金)  カテゴリー: コメディ





ブルース&ロイドの ボクらもゲットスマート 特別版 [ マシ・オカ ]


●原題:GET SMART'S BRUCE AND LLOYD OUT OF CONTROL
●監督:ジル・ジュンガー
●出演:マシ・オカ、ネイト・トレンス、ジェイマ・メイズ、マリカ・ドミンスク、J・P・マヌー、ラリー・ミラー 他
●米国のスパイ機関「コントロール」の開発部門が開発した光学カムフラージュ装置(透明マントのようなもの)を紛失してしまったドジな研究員のブルースとロイド。凶悪な犯罪シンジケート【KAOS】の手に渡る前に取り戻すことができるか!? スティーヴ・カレルとアン・ハサウェイ主演映画『ゲット スマート』のスピンオフ作品で、劇中にも出演しているマシ・オカの初主演作品!



というわけで「夏といえばスティーヴ・カレル」!今年も一人で【カレル祭り】開催です。
好きなんですよー、あの真面目そうな顔が。ちょっとそれを意識し過ぎた笑いも多いのですが、どこかツボに入るところがあって、私は彼が何をやっても言ってもオカシイのです。どの作品だって無問題でウェルカムです。

【送料無料】トレヴァー・ラビン/オリジナル・サウンドトラック ゲットスマート 【CD】


で、今年のスティーヴ・カレル祭りですが、『ゲットスマート』を借りるなら「スピンオフ作品も一緒に観なければいかんでしょう」と、脇役で出ていたマシ・オカ主演映画を同時上映させていただくことにしました。その名も『ブルース&ロイドの ボクらもゲットスマート』!カレルの出演シーンはないのですが、アン・ハサウェイが特別出演してくれています。






プリプリ体型で工学系オタクで、ニヤニヤグネグネしているイケてない二人が主人公の映画です。キモイの一言です(特に右だ!)。

コメディ映画なので色々なギャグやネタはあるのですが、結局、髪や肌の色など全く人種が違うのにいつも一緒にいるというだけで「ブルース」と「ロイド」の名前を皆に間違えられているというのが一番笑ったかもしれません。主演なのに「セットでどうでもいい二人」という扱いが徹底しています。

で、微妙な二人のうちでもマシ・オカが若干「ツッコミ役」で「天才役」で「モテ役」です。
・・・なんだろう、ここもツッコミどころなんだろうか。



一応、本編の『ゲットスマート』と同時進行になっていて「これはあのシーンの裏側か~」なんて思いながら楽しむことも出来るのですが、それは最初のうちだけで・・・・正直に申し上げますと、安く仕上げたドラマのような雰囲気・・・逆の表現で言うならば"ちょっと豪華な特典映像"みたいな感じでした。本編とは違ってテンションもだいぶ低く、物語がちっとも進行しない伸び伸びの展開なんですよー。あの、シーンが切り替わる時に街や建物を空撮で捉えるという、モロにドラマ仕立てな雰囲気がその安っぽさにますます拍車をかけているような・・・

ただ、DVDの特典映像で「ハゲ頭を撮影するのにこんなに特殊効果をしました!」と撮影の舞台裏を熱く語る監督や俳優陣たちを目にしてしまうと、こんな作品でも映画作りが愛おしく思えてきてしまい、どんな映画でもどんなシーンでも、そのカットに時間を費やし情熱を注ぎ込んでいる人たちがいるんだなぁと改めて実感させられました。ほんっと、バカバカしいシーンなんですけれどね!無駄に好感度アップしてしまいました。






ま、結論を申しますと、私のように「マシ・オカが可愛くて好きなのよー」という方以外にはなかなか辛い一時間になると思います。

本編『ゲットスマート』が好きな方ならば、軽く楽しめる作品かもしれません。私個人にとっては、夏にアタマを空っぽにして気楽~に観られる映画でした。スティーヴ・カレルにも顔を出してほしかったなぁ。。。


■この記事に関連する映画制作国、地域 : アメリカ映画 

FC2共有テーマ : コメディ映画 (ジャンル : 映画

  2011/08/26 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『グッドナイト&グッドラック』 (2005/アメリカ)

   ↑  2011/08/23 (火)  カテゴリー: シリアス、社会派



グッドナイト&グッドラック 豪華版 [ ジョージ・クルーニー ]


●原題:GOOD NIGHT, AND GOOD LUCK
●監督:ジョージ・クルーニー
●出演:デヴィッド・ストラザーン、ジョージ・クルーニー、ロバート・ダウニー・Jr、パトリシア・クラークソン、レイ・ワイズ、フランク・ランジェラ、ジェフ・ダニエルズ、テイト・ドノヴァン 他
●1953年アメリカで、国民の、そして報道の自由が死のうとしていた。マッカーシー上院議員が先導する「赤狩り」が全米を恐怖に陥れていた。報復を恐れるマスコミが見て見ぬふりをする中、人気キャスターエド・マローは言葉だけを武器に立ち向かう・・・。ヴェネチア国際映画祭3部門受賞を始め数々の賞を受賞したジョージ・クルーニー監督第2作目、本格社会派ドラマ。





シンプルだけれど作り手の熱い思いが伝わってくる映画でした。

硬めのモノクロ映像は、あざとさを感じさせることなく、1950年代のアメリカに吹き荒れたマッカーシズムの脅威とそれに対する闘いを当時の緊張感そのままにうまく表していたと思います。TV報道の舞台裏からジャーナリズムの在り方を厳しく問うた作品なのかもしれませんが、権力と闘う人々の姿を複雑にし過ぎることなく、終始抑制の効いた冷静なタッチで描かれていたことにとても好感を覚えました。

故にそのシンプルさは、仲間内でも疑心暗鬼になるような排他性と閉塞感の時代の中でも信念ある報道姿勢を貫き通したエドワード・R・マローという人間の強さをクッキリと浮き彫りにし、非常にストレートで強いインパクトを生み出しているように感じました。マローを演じたデヴィッド・ストラザーンの、鋭く冴えわたる燻銀の演技にはとにかく圧倒されました。オープニングのスピーチの何とパンチの効いていることでしょうか。





「父親と妹が共産主義者だという内部告発があった」というだけでミシガン州空軍予備役のマイロ・ラドゥロヴィッチ中尉が除隊勧告を受け、それに対して中尉が異議を申し立てた―――この事件をマローたちが担当するCBSの番組「See it Now」で取り上げるところから『グッドナイト&グッドラック』は走り始めます。

彼らはその後、30分間の特別番組「A Report on Senator Joseph McCarthy(ジョセフ・マッカーシー上院議員についてのレポート)」を放送し、次いでマッカーシー上院議員自らが反論できる番組も設けますが、ここでマッカーシーはそれまでの手法と同様に虚偽の情報でマローに対し不当な個人攻撃を仕掛けてきました。

これに対するマローの反論は、冷静でシンプル、そして揺るぎないものでした。

以下の動画は実際に「See it Now」で放送されたのものであり、右側は映画で使用されたこれとまったく同じ(0:35から)シーンです。余計なものを最小限にまで削ぎ落としたこの映画の中にあっても、更に存在感の際立つ力強いシーンです。

 
日本語意訳:「議会の各委員会が有用なのは否定しません。法制化前の調査は必要です。しかし、調査と告発は全く違うものです。議員はこの違いを無視している。愛国者でも異議は述べます。疑われた者は有罪とは限らず、人を裁く時には証拠と裁判が必要なのです。我々は人からの脅かしや、理由のない恐怖から解放された歴史を持っています。我々は臆病者の子孫ではありません。祖先は書くことや発言することを恐れず、不人気な主張も擁護してきました。議員への反対派も賛成派も沈黙を守るべきではありません。歴史は否定できても、結果への責任は残るのです。我々は自分たちを"世界の自由を守る者"だと公言していますが、内で自由を放棄して外の自由は守れはしません。議員の行動は同盟国に不安感を与え、敵国を安心させているのです。誰のせいか?議員ではありません。彼は恐怖を生んではいません。うまくつけ込んだだけです。カシアスは言いいました――"ブルータスよ、過ちは運命ではなく我々の中にある"と。GOOD NIGHT, AND GOOD LUCK」


line.png


一般人はもちろん、映画関係者や学者、報道関係者に至るまで密告や裏切りなどから赤狩りの"犠牲者"として人々の面前に引きずり出され、そのほとんどがいわれのない理由によっていつ巻き込まれるかも解らない恐怖が蔓延る中、マローのこのマッカーシー批判は多くの視聴者の心を掴み、ここから「反マッカーシズム」の風が吹いたとも言われています。

時代に風穴を開け、凍り付いた人々の心を動かしたのは、感情を露わにした熱狂的なものなどではなく、理知的でスマートでありながら強い使命感と信念、情熱を内に秘めたマローの言葉だったのです。



常にシャープなストラザーンに比べ、彼と対立しやすい人々との間で緩衝役となり、また彼とともに歩んでいくディレクター役のジョージ・クルーニー。そして、その大きな瞳で時代を見つめ、前述二人よりは一スタッフとして報道の影響や重さを実感し、心揺れ動く普通の人を演じたロバート・ダウニー・Jr。完全に脇に徹した二人の存在が、社会的背景や報道を取り巻く舞台裏などをさり気なく見せていてとても良かったです。





余談ですが・・・
この映画ではまた、当時のCMを映し出す場面や所構わずモクモクと吹かされるタバコのを煙などを目にします。これらを見て、私は米国ドラマ『マッドメン』(原題:MAD MEN)を思い出してしまいました。

【海外ドラマ「マッドメン」公式サイト】
『マッドメン』は1960年代を舞台としているので、この映画よりも時代設定としては少し後なのですが、この「米国時代劇ドラマ」でも当時の社会情勢がうまく組み込まれ題材とされています。

例えばシーズン2の最終話では、1962年にキューバでのソ連ミサイル基地建設を巡って米ソが硬直状態で睨み合った「キューバ危機」の2週間が描かれていますが、私はこのドラマを見るまで「キューバ危機」を歴史上の事件としては知ってはいたものの、人々が死を意識し社会全体がここまでパニック状態であったことを知りませんでした。

これは『グッドナイト&グッドラック』についても同じことで、彼らがいかに"権力側"と闘ったのかを「マッカーシズム=歴史上の事件」としてではなくグッと目線を下げて見ることができたからでした。

1950年代のアメリカで、TV報道の在り方や大衆化していくメディアの存在意義などへの鋭い疑問を投げかけたエドワード・R・マローでしたが、彼の主張は21世紀に入った現在でも十分に通用するものであり、ジョージ・クルーニーがこの映画を制作した思いは強く響いてきます。言ってみれば、不幸にも当時から何も変わっていないということなのでしょう。日本でも今、正にこの問題が問われており、半世紀も前の出来事がタイムリーな題材になってしまうとは・・・なんだか情けないことだなぁと思ってしまいます。マローの忠告は合っていたのでしょう。テレビは今、最も進歩のないメディアへと成り下がってしまったようです。






2011082023050421f.jpg
それと・・・CBSニュースキャスターのドン・ホレンベックを演じたレイ・ワイズですが、あの『ツインピークス』のローラの父ちゃんが笑顔を張り付けて出てきた時点で別の意味で凍りますね(笑)。ツインピークスのトラウマがあると、そこだけでも別な緊張感が走るのです。私はあれ以来、どの映画やドラマを観てもレイ・ワイズが出てくるとコワイです。

そんなワイズが演じたドン・ホレンベックですが、彼はメディアによる攻撃を受けた者として描かれています。映画の中では小さなプロットかもしれませんが、ジョージ・クルーニーの主張は、このようなところからも見て取ることができます。



映画『グッドナイト&グッドラック』からDianne Reeves「I've Got My Eyes On You」

一見、当時の再現をしただけのような平坦な映画に見えるかもしれませんが、このような細やかな演出や随所に挟まれるダイアン・リーヴスの歌のシーンなど、クルーニーの手腕が冴えた作品として、私にとっては完璧に近いのではないかと思うほどとても好きな映画でした。年に数本でいいので、こういったトーンの映画に少しでも出会いたいなぁと切に思います。



■この記事に関連する映画制作国、地域 : アメリカ映画 

FC2共有テーマ : お気に入り映画 (ジャンル : 映画

  2011/08/23 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『シャンハイ』 (2010/アメリカ)

   ↑  2011/08/19 (金)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー





シャンハイ スペシャル・エディション【Blu-ray】 [ ジョン・キューザック ]


●原題:SHANGHAI
●監督:ミカエル・ハフストローム
●出演:ジョン・キューザック、コン・リー、チョウ・ユンファ、渡辺謙、フランカ・ポテンテ、菊地凛子、デヴィッド・モース 他
●1941年、太平洋戦争開戦前夜の上海。友人の死の真相を追うアメリカ人諜報員ソームスが、やがて米国、日本、中国など各国の巨大な陰謀に巻き込まれながらも、危険な愛に踏み込み、己の信念をかけて生き抜いていく様を描いた豪華出演陣による歴史サスペンス。



今回もまた【Gyao】さんのオンライン試写会にて鑑賞です。

監督はスウェーデン人のミカエル・ハフストローム。脚本はイラン出身のホセイン・アミニ。
主な出演俳優は、アメリカ人のジョン・キューザックとデヴィット・モース、中国人のコン・リー、香港出身のチョウ・ユンファ、日本からは渡辺謙と菊地凛子、ドイツ人のフランカ・ポンテなどなど・・・まさに国際色豊かな豪華キャストが結集した歴史サスペンス超大作映画、といったところでしょう。


この壮大な映画の撮影は、現存するアールデコ調の邸宅などを使った美しい室内でのシーンは主にイギリスで、その他3カ月にも渡って組んだという当時の上海を忠実に再現した大掛かりなオープンセットでの撮影はタイにて行ったとのことです。

しかもこの映画のクライマックスとも言える"あの圧倒的なシーン"の撮影では、なんと数千人規模の中国人・日本人のエキストラを使われているのだそう。合成に頼ることのない迫力と緊迫感のある映像です。当時の人力車も用意されたり、車やトラックはタイ中から時代とマッチした様式のものをレンタルし、ニュージーランドからは本当に使用されたという当時の火器を取り寄せたといいますから、これだけでもこの映画の規模がいかに壮大なものかを窺い知ることができます。【映画「上海」公式サイト】プロダクションノートから一部抜粋





映画『シャンハイ』では、中国・アメリカ・日本・ドイツなど各国の陰謀渦巻く妖しくも危険な"魔都"上海を舞台に、様々な形の男女の愛の物語がフィルム・ノワール調に紡がれていくのが魅力の一つなのですが、これら成熟したオトナのラブストーリーが、どこかストーリーラインを急いで追っているだけのような・・・・個人的にとても惜しい印象を受けました。歴史スペクタクルの中でのラブストーリーを得意とするホセイン・アミニの脚本によるところが大きかったのでしょうが、人間関係が複雑に絡み合う中で濃密な時間を共有していく男女のラブストーリーを、105分という短時間で完全燃焼させるのは難しかったのではないかと思います。

ただ、映画開始後一時間が過ぎたところでようやく登場する主要人物たちの輪がグルッと繋がるのですが・・・・中国側の裏社会を牛耳るアンソニー・ランティンとその妻アンナ、アメリカ情報部諜報員のポール・ソムズ、ソムズの友人でドイツ領事館付技師を夫に持つドイツ女性レニ、アメリカに情報を流す日本人キタ、日本軍情報部のタナカ大佐、ソムスの友人で何者かに殺されたコナー、コナーの恋人だった謎めいた日本人女性スミコなど・・・これだけの人間関係をタイトによくまとめられたなぁと感心してしまったのも、もうひとつの正直な感想です。



ですから、急ぎ足気味の展開の中でも、男女の間に生まれる愛おしさや寂しさ、嫉妬や後悔の表情などをほんの一瞬の間に見せることのできる俳優陣のレベルはやはり高いものなのでしょう。例えば(『ラン・ローラ・ラン』や、マット・デイモンの"ジェイソン・ボーン"シリーズで有名なドイツ人女優)フランカ・ポテンテが、男女関係の底にあったものを知った瞬間の心の動きを瞬き一つで表現するシーンなど・・・こんなにしっとりとした演技をする女優さんになっていたのだなぁと見惚れてしまうところがありました。これはチョウ・ユンファにしても同様なのですが、それだけにもっと各々に見せ場があれば本当に絢爛豪華なストーリーになっただろうな、と思うのです。




そしてやはり日本人としてこの映画を観る時に気になること、それは日本軍による蛮行極まりない残酷な行動描写でしょう。巨大な悪の象徴の如く描かれています。

「日本映画と違って、ハリウッドで歴史的な作品を作ると世界中に配信されるので、その国が持っているバックグラウンドにどうマッチしていくかが明らかに違う。本作は中国や韓国ではすでに公開されているんですが、自分の役は果たしてどう受け入れられるのだろうかというある種の怖さと興味がある」 渡辺謙&菊地凛子「シャンハイ」舞台あいさつ【YOMIURI ONLINE】より一部抜粋

脚本にもキャラクターにも共感は得られなかったそうだが、スウェーデン人のミカエル・ハフストローム監督と議論を闘わせ、撮影を経ていく中でストーリーのカギを握るミステリアスな役を積み上げていく作業は新鮮だったと振り返る。 シャンハイ インタビュー: 日本映画界のトップランナー・渡辺謙、果てなき俳優としての夢【映画.com】より一部抜粋

日本軍人役としてこの映画で大きな役割を担った渡辺謙氏がこのように語っている通り、複雑な心境があったのは本心なのかもしれません。米中合作ということもあり、私自身も登場する日本人のキャラクター像に偏りがあることも気になった点でした。しかし、物語が進む方向へは1つの"視点"が必要となるため「映画作品」の中でのミステリアスな存在感を貫き通した氏の『シャンハイ』に対する姿勢は確固たるものがあったのだなぁと感じました。インターナショナルな舞台で活躍する場合、歴史観や政治的立場など、バックボーンの異なる人々との間で芸術とどう向き合い表現に繋げていくかが大きな課題にもなってきますね。日本人として、色々と考えさせられる作品でもありました。



それにしても、カタコトの日本語エキストラの声が聞こえてくる場面が多いので、一瞬緊張感が途切れてその棒読みスタイルに笑ってしまいそうになる瞬間が多々あるものの、やはり最後はケン・ワタナベの圧倒的な眼力がモノを言う映画でした。これは本当に凄まじかった!ジョン・キューザックだって逃げ出したくなりますよ(笑)


・・・最後にひとつだけ。
菊地凛子さん演じるスミコの出番は予告編で観るほどないのですが、彼女が登場する最後のシーンで少しだけ考えてしまいました。スミコはどうして"彼"の頬に手を伸ばしたのだろう、と。この映画のキャッチコピーは「そこは、愛が命取りになる街」。駆け足気味で細部に関してやや説明不足な物語だけに、自分の中で様々に想像を巡らすことのできる作品でもありました(おぉ、うまくまとまったなぁ笑)。

シャンハイ@映画生活



■この記事に関連する映画制作国、地域 : アメリカ映画 

FC2共有テーマ : 映画感想 (ジャンル : 映画

  2011/08/19 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit