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『みんなが恋してる』 (1958/イタリア、フランス)

   ↑  2012/01/27 (金)  カテゴリー: コメディ

●原題:TUTTI INNAMORATI
●監督:ジュゼッペ・オルランディーニ
●出演:ジャクリーヌ・ササール、マルチェロ・マストロヤンニ、ガブリエル・フェルゼッティ、マリサ・メルリーニ 他
●ローマの発電所につとめるジョヴァンニは、妻に死なれて八歳の息子リベロと暮すやもめである。彼には独身の友アルトゥロがあった。ジョヴァンニはある日、図書館で本のページを破り取ろうとしている若い娘アレグラとその仲間の行動の行動を注意するのだが、彼のために図書館から罰金をとられたアレグラは、おせっかいなこの三十男に仕返しをしてやろうと仲間たちと目論むのだったが・・・。



むかし録画していたDVDを整理していたら、10年ほど前にTV放映されたこの映画を発掘(現在もDVD未発売)。1959年の『甘い生活』でブレイクする直前のマルチェッロ・マストロヤンニ、そしてジャクリーヌ・ササール共演の軽~いイタリア式コメディ。


10~20代という輝くような10年間をスクリーンに焼き付けて去っていってしまったササールの初々しさ。この年齢くらいの美女にありがちな、女王様気取りの気分屋で鼻っ柱の強い生意気な態度の(しかもブルジョア)女子大生アレグラ役がピッタリで、このキャラクターが翌1959年のイタリア映画『激しい季節』にそのまま続いているんじゃないかと錯覚するほどのハマリ役。対してマストロヤンニは、後に彼が様々な映画で演じていくような「完全な二枚目」でも「お調子者」でもなく、どちらかというと「ハンサムで生真面目なおじさん」という、私の勝手なマストロヤンニ像に一番近い親しみのある男やもめ役でした。


出会いは最悪、折り合いの悪かった男女(しかも年の差&身分差)がいつの間にか恋に落ちて・・・という展開は、ロマンチックの本場イタリアの恋愛コメディなので美男美女が出ているという時点ですべてOKです。見目麗しい主演二人を見られれば、それだけでもう私は幸せ。以前観た時は「退屈だわー」と思っただけでしたが、年月が経つと見方も少し変わるのかな、と思ったり。




この映画、『みんなが恋してる』というタイトルだけあって、主演二人以外のイイ年をした中年男女の恋模様を追うのも楽しみのひとつです。幼馴染どうしだけれど、女には目がないアルトゥロと洋裁店を切り盛りするシッカリ者で"職業婦人"のヨランダ。お互い好意を持っているのに素直になれず、痺れを切らしたヨランダがアルトゥロに「ジョヴァンニ(マストロヤンニ)と婚約したのよっ!」と言ってしまう・・・。強気な女性からダメ男への"バッチーン!"という平手打ち(一発だけじゃない)も健在で、これぞ「イタリア映画」という楽しみもあり。そうそう、1954年のRAI TV放送が始まって以降、一般家庭にテレビが入ってきたばかりの当時の風景も見られる点も興味深いところです。


そして、茶目っ気のある演技で群を抜いてユニークな存在感を放っていたのが、ヨランダのパパ役チェーザレを演じたナンド・ブルーノのおとぼけ振り。一体どんな役者さんなのだろう?と彼のフィルモグラフィを辿ってみたら、なんとロベルト・ロッセリーニ監督の『無防備都市』やヴィットリオ・デ・シーカ監督の『自転車泥棒』といった、所謂「ネオリアリズモ」の代名詞と言われるイタリア映画史に残る有名作品に出演してきたベテラン俳優さんだったわけです。おぉ!と一人でちょっと感動してしまいました。



この映画の録画DVDと同時に、久々に引っ張り出してきた『マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶』、フェデリコ・フェリーニの『インテルビスタ』『不滅の名優マストロヤンニ(原題:marcello mastroianni, mi ricordo si io mi ricordo)』の懐かしき三作を、ちょうど年始に観直したところでしたので・・・
【DVD】マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶   【DVD】インテルビスタ  【DVD】marcello mastroianni, mi ricordo si io mi ricordo  

以前観た時とは全く違った感慨を覚え、暫し「映画の夢」の世界に浸ることが出来ました。
うーんこれなら、むかし大爆睡してしまったフェリーニ監督作品『ボイス・オブ・ムーン』もいけるかもしれない・・・!と、密かに希望を見出した今年のお正月でした。年内には再チャレンジしてみよう!



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  2012/01/27 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『我が家の楽園』 (1938/アメリカ)

   ↑  2012/01/21 (土)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ





我が家の楽園 【CINE STYLE @ SONY PICTURES アカデミー賞セレクション 2011】 【DVD】


●原題:YOU CAN'T TAKE IT WITH YOU
●監督:フランク・キャプラ
●出演:ジェームズ・スチュワート、エドワード・アーノルド、ジーン・アーサー、ライオネル・バリモア、アン・ミラー、ミシャ・オウア、スプリング・バイイントン、ドナルド・ミーク、ハリウェル・ホッブス 他
●ブロードウェイで大ヒットを記録した舞台劇(M・ハートとG・S・カウフマンの『それを持っては行けない』)を「或る夜の出来事」の名コンビ、R・リスキンが脚本化し、名匠キャプラが演出に当たって映画化したヒューマンコメディ。大富豪カービー家の跡取り息子トニーは恋人アリスの家を訪ね、自由奔放に暮らす彼女の家族に好感を持つ。その後、トニーの両親もアリスの家へ招かれることになったが、彼等はアリスのことを快く思っていない。ありのままの姿を見せて両親を納得させたいトニーは、わざと約束の日の前日に訪問することにしたのだが、何とこれが裏目に出てしまい・・・。




人情味あふれる映画にホロリとしてしまった。なんて優しくて温かい映画なんだろう。

フランク・キャプラ監督は1930年代のハリウッド映画界を代表する巨匠であり、彼のユーモア溢れる映画は大好きだけれど、観る時を間違えてしまうといわゆる「キャプラ・コーン」と呼ばれるあまりに楽天的で理想主義的な物語の描き方や、"いかにも"な古き良き時代のアメリカの善人たちの登場に正直辟易してしまうこともあるのですが・・・・



それでも!この映画に次々と出てくるユニークなキャラクターたちが、生き生きと人生に泣き笑いをしている姿を見るのが、私は本当に好きでした。

優しさと力強に溢れた「良い映画」の典型「キャプラ・コーン」を時々欲してしまうのは、そのあまりのセンチメンタルさを知りながらも「人々の善意や正義を信じたい、そんな世界に拍手を送りたい」と思う気持ちが、心のどこかにあるからなのかもしれません。



一家の主バンダーホフを演じるライオネル・バリモアは、撮影以前から実際に関節炎の症状が酷かったため松葉杖をつくという設定となったそうですが、そういった身体的弱さを見せながらも彼の飄々とした存在感は大きく、1932年のエルンスト・ルビッチ監督作品『私の殺した男』でバリモアのセリフに思わず涙したことを思い出してしまいました。そして、同じくキャプラ監督作品の1946年映画『素晴らしき哉!人生』のことも。






イタリアのシチリアからの移民として、6歳の時に「自由の女神」と出会ったフランク・キャプラ監督についてはいずれ一度は書いてみたいと思っているのですが、彼の映画作品たち(『或る夜の出来事』『オペラハット』『スミス都へ行く』『群衆』『素晴らしき哉!人生』など)を思う時、アメリカという国の歴史を無視することはできません。


【DVD】或る夜の出来事  【DVD】オペラハット  【DVD】スミス都へ行く  【DVD】群衆  【DVD】素晴らしき哉!人生

時に大笑いしながらも、いつの間にか涙を流している彼の映画作品には(ロバート・リスキンの脚本やジョセフ・ウォーカーのカメラ、ジェームズ・スチュワート等役者の力といった映画的技術が優れていたのは勿論のこと)、大恐慌の影響から巻き起こった経済不安や"赤狩り"による社会的混乱といった"現実世界"を真っ向から捉えている力強さがあり、そしてそういった社会性に対して、個人の政治的信条や社会的見解といったものよりも(リベラルな映画作品を制作していたキャプラは政治的には保守共和党支持者だった)あらゆる垣根を越えたメッセージ――個人の自由と尊厳を愛し守ること――をキャプラ監督は信念のようにずっと持ち続け、それが当時の観客たちの心を強く捉えたのだと思っています。

当時の観客たちもまた、苦しい生活や時代の波に揉まれながらも、スクリーンに映し出される物語に夢を託したり勇気づけられたりしたことでしょう。「映画」にそんな力があった時代を羨ましくも感じます。


そして、コメディ映画とはいっても、行き過ぎた資本主義社会を痛烈に批判したこの『我が家の楽園』は、ヴァンダーホフ老人の「いくら金を儲けても、あの世までには持って行けない」という意味の原題「YOU CAN'T TAKE IT WITH YOU」の言葉を、現代に生きる私たちのもとへ現実味を持って響かせてきます。もちろんそこには「希望を捨てはいけない」という温かな励ましも伴って。






何十年も前に作られたクラシック映画を私が観たくなるのは「どんなに時代が変化しても人の心に訴えかけてくる映画の強さ、そこから生まれる温かな感情はきっと変わらないものなのだ」ということを時々確かめたくなるからなのかもしれません。

仕事に疲れた日の夜にそっと一人で観てみると、シビアで世知辛い現実世界を少しだけ忘れられるかもしれません。嘘でもいいから、ハーモニカや音楽を奏でて誰かとダンスしたくなるかもしれません。

この映画に出てくるお利口なカラスくん、なんと『素晴らしき哉、人生!』でも登場していたハリウッド映画界の名バイプレイヤーだったとのこと!(『素晴らしき哉、人生!』特別版DVD メイキングより)そんな遊び心もあるフランク・キャプラ監督。彼のメッセージは、こんな時代だからこそ語り継がれるべきだと思っています。





参考文献

素晴らしき哉、フランク・キャプラ [ 井上篤夫 ]


■「素晴らしき哉、フランク・キャプラ」集英社新書 
  著:井上篤夫


【書籍】「Frank Capra: The Catastrophe of Success」
■「Frank Capra: The Catastrophe of Success」Univ Pr of Mississippi  
 著:Joseph McBride


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  2012/01/21 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ザ・エッグ ~ロマノフの秘宝を狙え~』 (2009/アメリカ、ドイツ)

   ↑  2012/01/18 (水)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー




ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~ [ モーガン・フリーマン ]


●原題:THE CODE / THICK AS THIEVES
●監督:ミミ・レダー
●出演:モーガン・フリーマン、アントニオ・バンデラス、ラダ・ミッチェル、ロバート・フォスター、ラデ・シェルベッジア、マーセル・ユーレス、ジョシュア・ルービン、トム・ハーディ 他
●伝説の大泥棒キース・リプリー(モーガン・フリーマン)は、生涯最後の大仕事をするため相棒を探していた。目をつけたのは、ガブリエル・マーティン(アントニオ・バンデラス)。地下鉄内でダイヤモンドを強奪するという彼の大胆で、鮮やかな仕事ぶりを目撃し、計画を持ちかける。狙う獲物は、1個2000万ドルもするロマノフ王朝の秘宝ファベルジェのイースターエッグ2個。実際に目にした者がほとんどいないためミステリーエッグと呼ばれている幻の秘宝だ。厳重な警備システムに守られ「侵入不可能」といわれる金庫に、入念なリサーチを重ね万全の準備で挑む男たち。絶対にミスの許されないトラップの数々をくぐり抜け、ついに金庫にたどり着くのだったが・・・。




ラテン系のバンデラス、アフリカ系のフリーマン、謎の美女役にはロシア系、とクライム・サスペンスとしてのキャスティングはユニークです。しかしながら「バンデラス、この役にしては少し年を取りすぎかなー・・・モーガン・フリーマンもクールな泥棒に見えないしなぁ・・・というか演技にあまり身が入っていないような気がするのはなぜだろう?うーん・・・」など色々と思いながら【緊張感ゼロ】で観ていました。1時間ほど・・・

おー、なるほどなぁ!と納得がいったのが、金庫に侵入してからの残り約30分ほど。怒涛の大ドンデン返し大会が始まるわけですが、いやぁここまでグッと我慢で観ていてヨカッタ!エラカッタ自分!と思いました。


それまでは、フリーマンと二人並んで歩く時に「バンデラス、こんなに小さかったんだ!?」「ヌードでお尻がこんなに綺麗だったんだ!?」とか余計な事ばかりを考えていました。いやホントに美しかった~。ですから余計にバンデラスの相手役としては、女性ラダ・ミッチェルが微妙にお若くないのが気になりました。知性派を狙ったのかな?

そうそう、細かいことなのですが、ロシアン・クラブから出てくる時のラダのメイクが妙に薄くなっていることにビックリしました。ライティングのせいなのか、遊んだ後はメイクが落ちてしまうというリアリティなのか・・・キスシーンの撮り直しでグロスが落ちてしまったのかなぁとか。いや、ほんと余計なことなのですが、ベッドシーンではメイクが抑え目になっている(つまり老けて見える!)という辺りは妙にリアルでコワイくらいでした。しかし、女性の大事なところは映さずにバンデラスのお尻だけはシッカリ(しかも美しく)見せます!という女性、ミミ・レダー監督はさすがです。分かっていらっしゃる!!



いいなと思ったのは、長年リプリーを追っている警部補役のロバート・フォスター。相変わらず哀愁が漂っていて好きでした。それから『インセプション』でイームスを演じていたトム・ハーディが、ほんの小さな役で出ていたこと。それと音楽。まさかの t.A.T.u.「Not Gonna Get Us」が二度も聴けて、しかもエンディングを飾ってしまうこと。そういえばクラブシーンでは、コロベイニキ(коробе́йники)がテクノ調で流れていたのにビックリしましたが、こういうアレンジってかっこいいですね。小学校のフォークダンスとかテトリスでしか知らなかったので。


日本での配給は日活なので、なぜか予告編が「男たちのヒート祭り」ということでデ・ニーロ&パチーノ共演の『ボーダー』と一緒に、まるでTV東京系の【企画モノ】として扱われているところもミソです(笑)。全体的には決して一流の出来ではない作品ですが、程よく楽しい見所もあり、ドンデン返しもありで終わってみれば「騙されて楽しかった」結果オーライの映画でした。たまにはこんな映画もいいかな。

ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~@映画生活



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  2012/01/18 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『落下の王国』 (2006/インド、イギリス、アメリカ)

   ↑  2012/01/15 (日)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ





ザ・フォール 落下の王国【Blu-ray】 [ リー・ペイス ]


●原題:THE FALL 邦ソフトタイトル:ザ・フォール/落下の王国
●監督:ターセム
●出演:リー・ペイス、カティンカ・ウンタルー、ジャスティン・ワデル、ダニエル・カルタジローン、レオ・ビル、ショーン・ギルダー、ジュリアン・ブリーチ、マーカス・ウェズリー、ロビン・スミス、ジットゥ・ヴェルマ 他
●『ザ・セル』で世界に衝撃を与えたターセム監督による、構想26年、撮影4年の歳月を費やして創りあげた圧倒的な映像世界。20カ国でロケーションを敢行し、多数の世界遺産が登場、CGを使用せず創りあげた映像美は観るものを魅了する。映画の撮影中に怪我を負い病院のベッドで寝たきりのスタントマン、ロイは、重なる不運に自暴自棄になっていた。そんな彼の前に現れたのは、同じ病院に入院していた5才の少女アレクサンドリア。ロイは自殺しようと薬を手に入れるために、アレクサンドリアを利用することを思いつく。そして、彼女の気を引こうと、6人の勇者が世界を駆け巡り、悪に立ち向かうという、世界にたったひとつしかない冒険物語を聞かせ始める。(Amazon[内容紹介]より一部抜粋)





アカデミー賞受賞デザイナーの石岡瑛子が衣装デザインを担当。しかも"デビット・フィンチャー&スパイク・ジョーンズ present"という豪華さ。予告編を目にした時から絶対に観よう!と決めていた作品でした。

映画というものはイマジネーションの世界を変幻自在に映し出してくれるリアルな夢のようなもの。そこに見えるのは、宇宙さえも駆け巡る壮大な物語から、日常に見える影や陽の中に舞う小さな埃まで。この束縛も限界もない究極の映像美の世界を心ゆくまで堪能させてくれたのが、インド出身でアメリカ在住のターセム・シン監督。個人的には映画監督というよりも、アメリカを代表する大企業やミュージシャンのCMやPVを創り上げる「映像ディレクター」というイメージが強いのですが、昨年は『インモータルズ―神々の戦い』も公開され、今後益々幅広い活躍が期待されている監督さんの一人なのでしょう。




この映画、映像美もスゴイんですが「子役」もスゴイのです。歯抜けでポッチャリ5歳のアレクサンドリアちゃん。彼女を演じたカティンカ・ウンタルーの存在感から目を離すことができませんでした。

突然、何のことやら分からないまったく違う話を始めてみたり、興味のない話や内容をよく分かっていないのにウンウンと知っているフリをして見せたり、適当に相槌を打って話を聞き流していたり・・・・と、このくらいの年齢の子どもとして実にリアルな演技をするのです。「リアルすぎる!!」と思っていたら、
彼女は、当初この映画が単なるドキュメンタリーだと思っていて「実際に障がいを持つ大人が子供に物語を話すので、ただそれを聞いてればいい」と勘違いしていた。結局は撮影が始まって、これがドキュメンタリー映画ではないことはカティンカも分かったものの、相手役のリー(ロイ役の俳優の名前)は本物の障がい者だと最後まで思い込んでいた。
【YOMIURI ONLINE】ターセム監督インタビュー記事より(現在はリンク切れのため参照できず)

とのこと。あぁやっぱり!あの会話の間合いが演技だとしたら、オスメント君もビックリでしょう。






で、映画の感想はと言いいますと・・・この作品はちょっと私には合わないものがありました。ザンネン。

映像屋さんであることは、よーく分かりました。目も眩むようなゴージャスな映像美と想像を超えて放たれるイマジネーションの無限の広がりは、その瞬間の心を捕えはするものの、それから先のお話が重厚な映像に比べるとやや薄いのでは・・・という感じがしました(完璧で隙のない映像美という点では、この映画を観ている間、黒澤明監督『夢』を思い出していました)。


≪以下、ほんの少しだけこの映画の内容に触れています≫



私が引っかかってしまったのは、映像のことよりももっと基本的な「おはなし」の部分なのです。個人的な感想で申し訳ないのですが、私は子供(子役)をワンワン泣かせて観る者の感情を揺さぶらせようとする話にはイヤーな気持ちしか湧き起こらないのです。

ほんの五歳の子供に対して物語を聞かせるのに、あれだけ泣かせて(しかもルーマニア移民なので英語も一生懸命話しているというのに!)「死なないで・・・」と頼ませるシーンなんてもう。いい年した大人であるロイは、自分が大怪我をして失恋もして人生に失望して死にたくなったという理由で、ほんの子どもでしかないアレクサンドリアに◯◯をさせ、しかも◯◯させてしまったというのに!私がその場にいたら「そんなに子供を泣かせるんじゃありません、このバカタレが!」と怒鳴り込んでいるかも。それまでのアレクサンドリアの演技があまりにもナチュラルだったことが余計にこの気持ちに拍車をかけているのですが、泣いている子どもの前では大人の未熟さが際立つだけで、本当は多くの観客がこのシーンで泣かされるという「映画最大の山場」にもかかわらず、私は勝手にここですっかりトーンダウンしてしまいました。すっかりアレクサンドリアちゃんの親の気持ち・・・



ただ言い訳のようですが、この映画、最後だけはとても素敵なんです。
こどもの優しい視線や、「映画」というものへの情熱、愛情がジーンとか感じられるグランドフィナーレは本当に素晴らしいなと。こういった"細やかさ"が、物語の下地にずっと続いていればよかったのになと思います。ターセム映画。パーフェクトな映像の美しさだけは、本当に圧巻!でした。

落下の王国@映画生活




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  2012/01/15 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

日本人俳優が活躍した【西部劇】まとめて二本 ~『レッド・サン』『野獣暁に死す』

   ↑  2012/01/08 (日)  カテゴリー: アクション、パニック
昨年は日本も大変な年となってしまい、個人的にも色々と考えさせられた一年でもありました。がんばろう日本!という気持ちも込めて「日本人が出ていたカッコイイ西部劇」を選んで観ました。今日は過去に日本人俳優が出演した【西部劇】の二本です。




『レッド・サン』(1971/フランス、イタリア、スペイン)

 



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●原題:SOLEIL ROUGE / 英題:RED SUN
●監督:テレンス・ヤング
●出演:チャールズ・ブロンソン、三船敏郎、アラン・ドロン、ウルスラ・アンドレス、キャプシーヌ、中村哲 他
●1870年、日米修好のためにアメリカにやってきた日本の使節団。ところが西部を列車で横断中、強盗団に襲われて大統領に贈る宝剣を奪われてしまう。使節団の黒田重兵衛(三船敏郎)は、仲間割れによってゴーシュ(ドロン)に裏切られたリンク(ブロンソン)の道案内で宝剣奪取の旅に出ることに・・・。


パラマウントに対し「三船敏郎主演の侍を主役にした西部劇」の企画を三船プロが持ちかけたのがそもそもの始まりなのだそうだけれど、やはりこれは【世界のミフネ】に捧げた映画と言っても過言ではないでしょう。

イギリス人監督が、日仏米の俳優を主演に、サムライが出てくる西部劇をスペインで撮影した(しかも、初代ボンドガールでスイス人のウルスラ・アンドレスも登場!)という異色の作品。誰も彼もがカッコよすぎる!!

ニヒルでキザで冷徹二枚目のアラン・ドロンはいつも通りだとしても、蚊を追う真似をし、投げ飛ばされ、間抜け呼ばわりされ、それでもミフネと絆を深めていくチャールズ・ブロンソンの男らしい心意気には心底惚れます。惚れますね!

三船敏郎の意向なのでしょう、衣装から殺陣、所作や武士道に関する事項まで(当たり前だけど完璧な日本語も)日本映画のそれと全く違和感がない。どころか、際立って美しく見えるというこの融合の妙。西部劇でサムライがカリスマ的な存在感を放つとは!


この作品、言ってしまえば【キャラクター主導型のアドベンチャー】で公開当時はあまり評判が良くなかったと聞きますが、出演者どうし互いへの深いリスペクトが感じられるこの映画には、映画ファンの"夢"が詰まっているように感じます。西部劇かと思えばサムライ時代劇になってみたり、コマンチ族とサムライの一騎討ちも登場したり!

こんな共演一度でいいから観てみたかった・・・!そんな幸せを何倍にも何十倍にも楽しめてしまう、贅沢で情熱的な西部劇です。







『野獣 暁に死す』(1968/イタリア)




【DVD】野獣暁に死す スペシャル・エディションモンゴメリー・フォード [OPSDS-753]


●原題:OGGI A ME, DOMANI A TE! / 英題:TODAY IT'S ME もしくは Today We Kill, Tomorrow We Die!
●監督:トニーノ・チェルヴィ
●出演:モンゴメリー・フォード、仲代達矢、バッド・スペンサー、ウィリアム・バーガー、ダイアナ・マルティン、ウェイド・プレストン 他
●模範囚として釈放されたビルは、恋人を殺して無実の罪を着せた仇であり幼馴染のフェーゴ(仲代達矢)を追い求めて旅いに出る。残虐非道な強盗団のボスとなったフェーゴたちと対決するために、ビルはショットガンの名手ミルトン、ナイフ使いのモラン、二挺拳銃のフォックス、怪力のオバニアンら名うての男たちを雇い、フェーゴの手下を次々に倒していくのだったが・・・。


黒澤映画と時代劇の大ファンだったチェルヴィ監督たっての希望で、彼の最も好きな『用心棒』と『切腹』に出演していた日本の俳優、仲代達矢を起用して制作されたマカロニ・ウエスタンがこの『野獣 暁に死す』。

【マカロニウエスタン】で日本人が悪役!!しかもラティーノ役!!それなのに、何の違和感もないのが本当にスゴイ。改めて観直してみましたが全く違和感がない・・・・どころか、異常な執念深さや冷酷さ、残忍さを併せ持つ"悪役"を演じた仲代の演技は主演を食ってしまうほどの際立ち方。スゴすぎる!!

つくづく役者は"眼"なのだなと。
仲代達矢の面立ちは日本映画の中では浮いてしまうほどのギラつき方ですが、『野獣 暁に死す』ではこの"くどさ"、仰々しさが不気味なほどの緊張感に。後の萩原健一や松田優作の"狂気演技"を思わせてる、ちょっと遠くを見て悲しそうな目をした瞬間にニヤリと笑ってみせる表情など、ナチュラル演技をする現代の若手俳優にはないアグレッシブさが漲っています。アツすぎます。



今回再見して物凄く感じたのは、ちょっとだけ東洋チックさを漂わせるテーマ曲が復讐物語のわりにメロディアスで軽めな点・・・こんな可愛らしい曲調だったのかと(笑)。

登場人物の描き分けが弱く物語に深みはないけれど、砂塵が舞う乾いた大地が舞台の「西部劇」とは異なり、欧州ロケによる寒々とした牧草地や森の中での決戦が見ものです。

当時売出し中であったダリオ・アルジェントが脚本を担当し、仲代の意見も取り入れて、マチェーテを日本刀のように振りかざす独特のスタイルが出来たのだそう(マカロニ・ウェスタン50周年/ディ・モールト映画祭2010【公式サイト】より)。正直、中身はあってないようなものなのだけれど(笑)、日本では仲代を、イタリアではナポリの名優バッド・スペンサーを全面に押した宣伝をしていて、結果、今でも【マカロニウエスタン】ファンにはずっとずっと愛されている作品。好きです!




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  2012/01/08 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit