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『吸血鬼 ボローニャ復元版』 (1931/ドイツ、フランス)

   ↑  2012/05/30 (水)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー




カール・Th・ドライヤー コレクション 吸血鬼 ボローニャ復元版 【DVD】


●原題:VAMPYR / 英題:THE STRANGE ADVENTURE OF DAVID GRAY
●監督:カール・テオドール・ドライエル(カール・Th・ドライヤー)
●出演:ジュリアン・ウェスト、モーリス・シュッツ、レナ・マンデル、シビル・シュミッツ、アンリエット・ジェラール 他
●フランスの田舎町を旅する青年アランは、不気味な古城がそびえる町を訪れ、領主の助言で城を訪れる。そこで貧血になっている娘レオーネを見た領主は、吸血鬼の仕業だと判断。アランは吸血鬼についての知識を蓄えて、吸血鬼に立ち向かおうとする。カール・Th・ドライヤー監督の『吸血鬼』を、ボローニャのシネマテークが現存する中で最も原形に近いと言われているドイツ語版プリントを元に復元。




吸血鬼ノスフェラトゥ

フリッツ・ラング コレクション:M


思えばこの映画より10年も前の『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922年/ドイツ)は、日夜のシーンをそれぞれ暖寒色に分けてキッチリ区別していたし、同じ1931年のドイツ作品『M』は、現代映画として丸々通用するような構成力とストーリー性に優れていました。故に、一口に「1931年制作のクラシック映画」といっても、流石にこの『吸血鬼』はいわゆる"アート映画"なんだろうなぁと思いました。



サイレントからトーキーに移り変わりつつあった時代。誰の真似でも模倣でもなく、様々な工夫や趣向を凝らして「世界」を創り上げていくことのできた20世紀初頭の映画。こういった実験的で芸術的な感覚は、今観るととても斬新で新鮮。モノクロ画面の中で"染み"がゆっくりと広がって、それが"血"に見えてくる怖さ!そんな想像力に刺激されながら観るのは、なかなか良い体験になりました。ま、気を確かにして眠らなければ、ですが(私は2回記憶が途切れて、3度目のチャレンジで完走したので笑)。




当時、この映画の製作資金を出したのはロシア系貴族の青年ニコラ・ド・グンツブルグ男爵。彼は「ジュリアン・ウエスト」という名を使ってこの映画に出演しています。そう、なんとそれは主人公の「アラン・グレイ」というからビックリ。「なんて高貴そうな顔立ちの俳優さんなんだろ~」と思って観ていたので大いに納得。


ハイライトとも言うべき幽体離脱と棺のシーン。これはもう必見。
1957年のスウェーデン映画『野いちご』での、サイレント映画を意識したという【悪夢のシーン】を思い出してしまいました。映像表現の素晴らしさ、力強さというのは時代性などまるで無関係なのだと確かに思わせてくれました。

画面の端で蠢く黒い影。呪われた女性の恐ろしげな表情。死への恐怖。やはり人間が元来持っている"恐怖の感情"というのは、昔も今もまったく変わらないものなんでしょうね。

吸血鬼@映画生活




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  2012/05/30 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『探偵<スルース>』 (1972/アメリカ、イギリス)

   ↑  2012/05/26 (土)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー
 
●原題:SLEUTH
●監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ
●原作、脚本:アンソニー・シェイファー
●出演:ローレンス・オリヴィエ、マイケル・ケイン、アレック・コーソーン、ジョン・マシューズ、イヴ・チャニング、テディ・マーティン
●舞台はロンドン郊外の邸宅。老推理作家ワイクは、彼の妻の愛人である美容師マイロと話をつけようと、彼に宝石強盗を演じさせる。うまくいけばマイロには浪費家の妻を食わせるだけの金ができ、愛人のいるワイクにはその保険金が転がり込むという寸法だ。こうして、ワイクに乗せられるままマイロは強盗を演じる事になるのだが・・・。A・シェイファーの舞台劇をJ・L・マンキウィッツが見事に映画に移し変えた傑作ミステリ。




イギリスが誇る二大名優が主演ということ、しかも「探偵スルース」というからには"探偵もの"なのだろうと勝手に思い込み、これはかなりハードボイルドだな!!とガチガチに身構えて観始めたら・・・意外にもオープニングから軽快な音楽と丁々発止の会話が続き、なんだか良い意味で力が抜けてしまいました。

・・・が。ですよ。
ハードボイルドではなく軽い雰囲気で始まった!と見せかけたこの映画は、128分という長丁場にして終盤はイギリス流ブラックユーモアを飛び越えて、なんと凄まじきハードウォーへ


ま、序盤の"偽装強盗"では「あんな散らかし方ではコロンボ警部だってすぐに手掛かりを掴むでしょうよ!」と言いたくなるような甘さもあるんですが、仕掛け人形の不気味さやカットの使い方に思わず引き込まれるものが。これに一時間もかける演出にはちょっと疲れましたがガマンガマン。

そしていよいよどんでん返しの中盤を超え、ラストスパート!
二人のパワーバランスにも異様な雰囲気が。それまでいかにもシェイクスピア俳優らしく堂々たる台詞回しで生き生きとしていたオリヴィエ公に対し、その手の平で転がされて迫力不足&押され気味だったマイケル・ケインが俄然力を漲らせてくる。こうなってくると、もう私はラストが気になって気になって仕方なくなりました!後半1時間の展開はドキドキです。1973年の第45回アカデミー賞で、オリヴィエ公、ケインともに主演男優賞にノミネートされたのも頷けます。

一人の女性を巡る二人の男性の対立から始まって、男同士の心理ゲームが本格化していくという過程に、推理小説の定番や皮肉を利かせていること、また英国特有の階級闘争心や身分の意識差が時にはジョークとしながらも物語の根底に大きく横たわっているのも、とても印象的な映画でした。




ちなみに邦題の『探偵<スルース>』・・・・てっきり「スルース」という名の探偵さんが出てくるのかと思っていたら、「SLEUTH」という単語自体に「刑事」とか「探偵」(古い言い方かな?)、動詞としては「何かを追跡する」等の意味があったんですねぇ。しかもこの映画、なんとVHSのみでDVD化されていないとのこと。映画を観た後で二度ビックリの私でした。



※それでは最後に、ほんの少しだけ当作品内容について重要なポイント&ネタバレを。

            ↓  ねたばれ注意  ↓



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  2012/05/26 | Comment (2) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ミッション・イン・モスクワ』 (2006/ロシア)

   ↑  2012/05/26 (土)  カテゴリー: アクション、パニック





ミッション・イン・モスクワ [ アンドレイ・メルズリキン ]


●原題:OBRATNYY OTSCHET/英題:MOSCOW MISSION
●監督:ヴァディム・シメリェフ
●出演:アンドレイ・メルズリキン、マクシム・スハノフ、レオニド・ヤルモルニク、オクサナ・アキンシナ、オレグ・シュテファンコ 他
●48時間後にモスクワで爆発が起きる、との言葉を残し、エージェントが殺されてしまう。特殊部隊では全組織を挙げてテロ阻止に乗り出すが、まるで手がかりが掴めない。そんな中、最近結成された変わり者ばかり5人による独立チームの活躍に望みが託されるが…。“48時間”というタイムリミットに向けてノンストップで突き進むロシア産サスペンス・アクション



ロシア発のアクション映画『ミッション・イン・モスクワ』!
テロを阻止するために集まったのは、リーダーのスタールシー、スピード狂の元特殊作戦隊員のマクス、コンピュータ・ハッカーのアンナ、心理学者のオリガ、盲目の爆弾処理員クロット。・・・と言っても、それぞれの個性を生かしたプロットがやや弱く、少しザンネン。


最初はただのニコラス・ケイジにしか見えなかったチャランポランのマクスは、よく見たら以前観た『ニュースメーカーズ』(2009/ロシア・スウェーデン)の男前アンドレイ・メルズリキンという役者さんでした。

それに、あまり腕の立つハッカーとも思えない可愛らしいアンナ役は、あの落込み映画の最高峰『リリア 4-ever』のリリアちゃんだった・・・!!それだけでもう、かなり激しく動揺した映画となりました(笑)。俳優ってスゴイ・・・






正直、ハリウッドのアクション映画の枠組みをそのまま当てはめて持ってきたようなストーリー展開なので"目新しさ"というのものはあまりなく、事件の大きさや深刻さの割には緊迫感も感じられません。が、激しいカーチェイスや大爆発などなくとも、地味な割に"見所"をうまく作ったその"一生懸命さ"に好感を持ちました

テンポの良い洗練された映画というわけではないけれど、最後まで観ているとチームメンバーに愛着がわいてきてしまいます。うーん、こうなってくると、このメンバーでの続編を観てみたくなるなぁ!もしTVドラマ版があったら、毎週観ている自分が想像できます。・・・あれ?わたし結構気に入っているのかな(笑)


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  2012/05/26 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『グリーンフィンガーズ』 (2000/イギリス、アメリカ)

   ↑  2012/05/19 (土)  カテゴリー: コメディ



グリーンフィンガーズ [DVD]

 
●原題:GREENFINGERS
●監督:ジョエル・ハーシュマン
●出演:クライヴ・オーウェン、ヘレン・ミレン、デヴィッド・ケリー、ウォーレン・クラーク、ダニー・ダイア 、アダム・フォガティ、パターソン・ジョセフ 他
●イギリスのコッツウォルズにあるエッジフィールド更生刑務所に移送されてきた男、コリン・ブリッグス。彼はあるきっかけから刑務所長に「庭造り」を命令される。所長が名指した仲間はおよそ園芸など向かない連中ばかり。しかしガーデニングに喜びを見出したコリンは、美しい庭を創りあげいていく。やがて彼ら“囚人庭師チーム”に、女王陛下も鑑賞するというフラワーショウへの出場の話が舞い込むのだが・・・。




このブログ、記念すべきスタートの映画を「監獄&スポーツもの」で始めましたが、今日は「監獄&フワラーもの」で可愛くいきたいと思います!(笑)



エヴリダ~イ!のイギリスからやって来た「実話がベース」という『グリーンフィンガーズ』。

1998年の「ニューヨーク・タイムズ紙」でPAULA DEITZ氏によって書かれた「Free to Grow Bluebells in England」――この記事が書かれた新聞を、ある朝ジョエル・シューマン監督がゴミ箱から見つけたことから、『グリーンフィンガーズ』のインスピレーションが生まれたとのこと("Never Too Tough to Be Softened Up" by a Flower【New York Times 】より)。ここから「お花を扱うマッチョたちの物語」が生まれたのですねぇ。

フラワーショウ出場が危ぶまれた時の「いつも軽犯罪の奴らが台無しにしてくれる!!」という、オマエ何様じゃ!的なセリフで笑いもあり、イギリス的な皮肉が効いた映画かな?とも思ったのですが・・・ここぞとばかりに入ってくる音楽があまりにコッテコテで、実はお尻ムズムズデシタ。

これはプロデューサーの一人にトゥルーディ・スタイラー(Trudie Styler)という『スナッチ』や『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』などでも制作に関わっていたスティングの奥様がいらっしゃったためでしょうねぇ・・・

ご主人スティングの「Twenty Five To Midnight」は勿論、U2の「All I Want Is You」、ブルース・スプリングスティーン「If I Should Fall Behind」、エルトン・ジョン(&Little Richard)の「The Power」まで・・・本当に倒れそうになりました・・・・・・
奥様には内緒だけれど、ここだけの話、絶対この映画のバランスを壊していると思う・・・(笑)







どこがどうして「グリーンフィンガーズ(天才庭師)」になったのか、その辺りの描写は91分の映画ということでかなり適当なのだけれど、この物語にポーン!!と弾みをつけるヘレン・ミレンの伸び伸びとした存在感がやっぱり素敵だなぁと思いました。


それとね、イギリスドラマ「ダルジール警視」のウォーレン・クラーク演じる刑務所長を見ていたら、同じイギリスドラマの「バーナビー警部」も思い出してしまいました。イギリス郊外の緑豊かな田舎町の景色、丹精込めて手入れされた美しい庭園、美味しいお茶とお菓子・・・。イギリス人がガーデニングをこよなく愛するということは、これらのドラマからよーく知った気がします。

「イギリスはガーデニングの国。これほど人を選ばず、愛される職業はない。」

犯した重い罪を償うこと、更生、赦しや人間の再生など、本来は深い問題を抱えている物語かもしれないけれど、この女王陛下のお言葉が水戸黄門の登場のようにすべてを決定付けているのだと思います。イギリスならでは、の考え方、生き方、そして映画なんだろうなぁ。




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  2012/05/19 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『フラクチャー』 (2007/アメリカ、ドイツ)

   ↑  2012/05/13 (日)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー
 
●原題:Fracture
●監督:グレゴリー・ホブリット
●出演:アンソニー・ホプキンス、ライアン・ゴズリング、デビッド・ストラザーン、ロザムンド・パイク、エンベス・デイヴィッツ、ビリー・バーク、クリフ・カーティス、フィオナ・ショウ、ボブ・ガントン、ザンダー・バークレー 他
●ある夜、妻を銃で撃った容疑で航空エンジニアのテッドが逮捕される。彼は犯行を自白するが、自白以外の証拠が出てこない。果たしてこの男は何を企んでいるのか?事件の担当になった検事ウィリーは、テッドの有罪を証明できるのか・・・!?



日本未公開作品、さらに日本ではDVDも未発売という憂き目をみているこの映画『フラクチャー』。



映画開始ものの15分くらいで、アンソニー・ホプキンス演じるエンジニアの夫が妻を射殺。犯人は誰だかわかった状態なので、彼が逃げ切るのか?それともライアン・ゴズリング演じる担当検事のウィリーが彼を追い詰めるのか!?が、主なあらすじとなります。






「何にでも弱点はある。そこを突けば、必ず壊れる。」


憎らしいほど頭脳明晰で冷静沈着、非情な犯人役のホプキンスが、幼い頃に養鶏所で卵の選別を手伝っていた話を不気味に語るシーンなど「レクター博士を思い出させるぞ!!」と言わんばかりの演出。お年を召されたぶん昔のようなド迫力はないものの、相変わらずライトの当たった顔でほんの少し表情を歪めるだけでコワイ・・・

この物語のほとんどはホプキンスが主導権を握っているわけで、観る側はヘラヘラしたライアン・ゴズリングととも引き摺られるようにして、為す術もなく物語に巻き込まれていきます。ホプキンスに叩きのめされるゴズリング。地方検事局から移籍予定だった大手弁護士事務所への入所も危うくなり、このまま犯人をみすみす取り逃がしてしまうのか?そして「ダブル・ジョパディー」(アメリカ合衆国憲法修正第5条に定められた二重処罰の禁止"=同一の犯罪で二度有罪にはならない)の壁も立ちはだかることに・・・。

検事として、人間として、彼を取り巻く様々な状況のもと「正義」を求めながら成長していくゴズリングの演技に惹かれます。何だかんだ言いつつも、やっぱりこれが映画『フラクチャー』の一番の見どころか!



呑気な私は、ラスト5分の展開は「あ、そういえばそうだった!」的な気もしましたが(笑)、出来た上司役に燻し銀のデビッド・ストラザーン、小さな役ですが手に汗握る展開の中での民事の判事役にボブ・ガントンなど。安心して観ていられる要素も固く、サスペンスとしては久々に一気に楽しめた110分でした。

Gyaoにて5月31日まで配信予定
せめてDVDを出してレンタルだけでもすればいいのになぁ。勿体ない!!



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  2012/05/13 | Comment (6) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit