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『ONCE ダブリンの街角で』 (2006/アイルランド)

   ↑  2012/09/24 (月)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ





ONCE ダブリンの街角で デラックス版 [ グレン・ハンサード ]


●原題:ONCE
●監督:ジョン・カーニー
●出演:グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴァ、ヒュー・ウォルシュ ティミー、ゲリー・ヘンドリック、アラスター・フォーリー、ゲオフ・ミノゲ、ビル・ホドネット、ダヌシュ・クトレストヴァ 他
●アイルランドのダブリンを舞台に、地元の男とチェコ移民の若い女がストリートで出会い、音楽を通して心を通わせていくさまを、自然な形で挿入される歌の数々で紡いでいく感動ラブ・ストーリー。主演はアイルランドの人気バンド“ザ・フレイムス”のフロントマン、グレン・ハンサードとチェコのシンガーソングライター、マルケタ・イルグロヴァ。彼らが本作のために楽曲を書き下している。



この映画に関して何かを書こうと思うと胸が詰まってしまって、言葉で表現すること自体が無意味なような気がするんだけれど。きっと、音楽を愛する人、人生を愛する人にとっては堪らない作品。

87分しかない物語のうち、楽器を奏でたり歌を歌う時間を一つも削ることなく、大切に扱ってくれているところに音楽への愛情をいっぱいに感じます。



キス一つもしない、これはラブストーリーなのかな。
でも役名のないこの二人を最後まで見届けたら、涙がこぼれてしまいました。

もしかしたら、パートナーの不在による寂しさや孤独感を埋めるために、二人は頼り合うことが出来たかもしれない。「君の子供と二人でロンドンで暮らそう!」とか「ロマンチックな関係も素敵じゃない?」とか口には出すこともあったけれど、そんな関係にはならなかった。二人の心は音楽を通じることによって、もっと深いところで全てを満たしていた。

二人で仕上げた曲を奏でるたびに、ピアノを弾く度に、きっとそれぞれの人生で満ち足りていたあの瞬間に触れられる。



心の離れた夫のことをまだ愛しているの?と尋ねた男に対して、彼女の返事は "Miluju TEBE".

『ONCE ダブリンの街角で』ではチェコ語で答えたこのセリフにだけ字幕は出てきません。日本語訳を調べようと思えばすぐにわかることだけれど、軽くはぐらかした彼女の姿に心が透けて見えたような気がしました。彼にはわからないように、言葉に出して言ってみた気持ち。

もし彼がチェコ語を理解していたら、二人の関係は何かが変わったのかな。





人が人に惹かれる気持ち。自分にはその人が必要だと思う気持ち。
でも、そんな風に心を奪われても、人生で重なり合う時間はほんの僅かだと分っていること。

もしこの映画を若い時に観ていたら、私は、二人で人生を歩まないことの意味をきっと解らなかっただろうなと思う。人との出会いの中から生まれたもの、共に分かち合った時間、それがほんの僅かな時でも作り上げた何かが出来たのなら、それで二人の関係はパーフェクトなのだと思う。

これほど美しい時間は、人生に幾つも起こることじゃないから。




最も印象的だった曲「Falling Slowly」は、2007年度の様々な映画賞を獲り、映画を飛び出してあちこちのTV番組でも放映されました。

映画で観た名前のない二人が"グレン・ハンサード"と"マルケタ・イルグロヴァ"として歌う「Falling Slowly」。

この動画での歌い終わった二人が見せる表情は、映画の中で描かれた主人公二人の人生がオーバラップしてくるようでまた泣きたくなってしまいました。穴の空いたギターを持った"彼"とピアノを奏でる"彼女"、そこに幸せな二人を見つけたような気がして。

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  2012/09/24 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『地獄の7人』 (1983/アメリカ)

   ↑  2012/09/22 (土)  カテゴリー: アクション、パニック



DVD/洋画/地獄の七人/PPA-102880


●原題:UNCOMMON VALOR
●監督:テッド・コッチェフ
●出演:ジーン・ハックマン、ロバート・スタック、フレッド・ウォード、レブ・ブラウン、ランドール・“テックス”・コッブ、パトリック・スウェイジ、ハロルド・シルヴェスター、ティム・トマーソン 他
●ベトナム戦争集結から10年。ローズ大佐は、ベトナムで捕虜になった息子が必ず生きていると信じて、行方を探し続ける日々を送っている。ある日、一枚の航空写真から息子がラオスの捕虜収容所に居ると推測。大佐はかつての息子の戦友達を集め、捕虜救出作戦を企てる。強い信頼と友情で結ばれた7人の男達が再びベトナムへと向かうことに・・・!!





「ベトナムの共産化を食い止めるため」という建前のもと、当時の米・中ソのイデオロギー対立がそのまま反映されたその戦争にはゴールも出口もありませんでした。一体何の目的で自分たちが闘わなくてはならないのか?何が自分たちの敵なのか?わからないまま狂気の世界に放り込まれていった若者たちの多くは、無事に戦地からへ帰還できたとしても社会生活に順応できず苦しむことに・・・

アメリカ近現代史に触れる際、絶対に避けて通れないこの「ベトナム戦争」は、アメリカ合衆国と国民に与えた影響(というより癒されることのないトラウマ)が凄まじく、アメリカ映画を観る上でも様々な形でキーワードになることが多い気がします。この『地獄の7人』もそんな作品の中の一つだと言えます(※参考:ベトナム戦争を扱った映画)。が、残念ながらこの物語からは、ベトナム戦争を極端にアメリカ側から捉えた一面性しか感じられませんでした。





確かに、ジーン・ハックマンの、一人の人間として父親として、たった一人の息子を想う姿には泣かされるものがあります。行方不明者の捜索や交渉を政府に任せていても遅々として進まず、自力で武装して奪回したい!子どもをこの手に取り戻したい!と願う親の思い。それは、現実世界において北朝鮮の拉致問題を抱える日本人としての自分にも重なるものでもあり、ラスト、ヘリの中での彼の表情はセリフなどなくとも突き刺さるほどに伝わってきます。

しかしその一方で、この映画の中で「ラオス人やベトナム人たちに思うことは何もないのだ!」と言わんばかりに、"敵"を虐殺していくシーンなどを観て、鑑賞中やその後に私の中でほろ苦いものが残ったのも正直な気持ちです。それは、やはり私がベトナム戦争のあった時代を生きた人間でもなく、当のアメリカ人でもないからかもしれませんが・・・


Uncommon Valor, Common Virtue: Iwo Jima and the Photograph That Captured America [With DVD] [ Hal Buell ]


例えば、原題の「UNCOMMON VALOR」という言葉から連想するのは、硫黄島の闘いでの"Among the Americans who served on IWO JIMA, uncommon valor was a common virtue."(硫黄島に従事したアメリカ人の間では、並外れた勇気が皆に共通した美徳だった)という有名な言葉です。

この映画の原題は、「並外れた勇気」なんですね。事実、心を病んでしまった元兵士たちの荒んだ生活ぶりも描かれるあたり、彼らを単なる傭兵として描くつもりもないわけで、地獄となってしまった人生から再び這い上がり、立ち上がって"並外れた勇気"で再生しよう、奮起しようとすることへの感動・・・・この物語に心躍り拍手や賛美を贈るアメリカ人のレビューは幾らでも見かけます。しかし私はその視点――"並外れた勇気"や正義を振りかざして武力で攻め入ること――に対して違和感を覚えるのです。

これはアメリカ側から描いた物語であり、ベトナム戦争におけるMIA(ミッシング・イン・アクション=戦闘中行方不明者)への対策は不十分で家族は置き去りになっていたこと、捕虜の人権蹂躙は決して許されないこと、戦争は綺麗事では済まされないものだ、ということも理解はできるのです。が、それとと同時に、この映画自体の物語性やスタンス、歴史観、そしてそれを受け入れて賛美しているレビューを読んでしまうと、家族を救い出したいという純粋な思いをここに描かなくてはならない物語は、私から見れば勇気というよりも悲劇としか言いようがありません。


主要キャストの中には、まだ役者として駆け出しの頃のパトリック・スウェイジの姿も。
やる気と意気込みだけは一人前で、息巻く若い元海兵隊員役を好演しています。彼のその必死さがわかるシーンは、戦闘中行方不明者を抱える家族の苦しみが伝わってきます。戦争は、誰も彼もを憎しみの渦に巻き込み、人生を奪っていく残酷なものだと改めて痛感させられました。

地獄の7人@映画生活



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  2012/09/22 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ソイレント・グリーン』 (1973/アメリカ)

   ↑  2012/09/14 (金)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー



★【送料無料】 DVD/洋画/ソイレント・グリーン 特別版/DL-50070


●原題:SOYLENT GREEN
●監督:リチャード・フライシャー
●出演:チャールトン・ヘストン、エドワード・G・ロビンソン、リー・テイラー=ヤング、チャック・コナーズ、ジョセフ・コットン、ブロック・ピータース、ポーラ・ケリー、スティーヴン・ヤング 他
●2022年ニューヨーク。爆発的な人口の増加と環境汚染により、食料問題は深刻を極めていた。同年、ソイレント社は合成食品≪ソイレント・グリーン≫を発表。問題は解決に向かうかと思われたとき、同社の社長が自宅で殺害されているのが発見される。殺人課のソーンが捜査に乗り出すが、その背後には食糧危機打開のための政府の陰謀が渦巻いていた・・・。



やっと観られた~。初めて観ました。
しかしながら、SF映画といってもかれこれ40年前の作品になるので、流石に現代の感覚で見てしまうと当時は直球できたであろう驚愕の事実に衝撃!!というよりも、正直に言って、あらゆる"衝撃"になれてしまった制作から40年後のこの世界と、それを冷静に観てしまう自分が怖かったりしました。ディストピアとして描いた世界が、実は現代に追いついてしまって目の前にあるからなのかもしれません。

映画って時代性や"鮮度"もあるでしょうから、こういった映画はやはりリアルタイムで鑑賞できるのが一番幸せなんだろうな、と改めて実感した次第です。


とは言ってみたものの。
工業化まっしぐらの近代化を表したオープニングからそのセンスは光っていて、多くのエキストラを投入して閉塞的・絶望的な世界を映像で見せ、自然破壊や過剰な物質文明に対して警鐘を鳴らした名作として、そのメッセージ性は現代にも十分通用するものがあります。

若く美しい女性は「家具(Furniture)」と呼ばれ、ほとんど人間性を無視した"接待用"で置かれていたり(しかも「建物用」か「個人用」かにも分かれている!!)、知識のある高齢者たちは貴重になった紙や本の代わりに「本(Book)」と呼ばれるなど、それはそれは異常な世界。美貌を失った"Furniture"はどうなってしまうんだろう・・・コワイヨゥ~



鎮圧部隊を「Scoops」と呼んだ時もドキリとしました。「The SCOOPS on their way!」だもの。私は本当に、一切ネタバレを知ることもなくこの映画を観たのでこれが一番の衝撃だったかも(ま、映像はチープなんですけれど)。音楽が流れることもなく淡々と描かれているのもまるで冷静なドキュメンタリーのようで、一層異常な雰囲気がしました。

・・・因みに、映画『ソイレント・グリーン』の原作であるハリー・ハリソンのSF小説『人間がいっぱい』では、人口爆発で足の踏み場もなくなるほどに過密した生活の息苦しさが十分に描かれています。この小説の原題は「MAKE ROOM! MAKE ROOM!」・・・日本語で言うなら「場所を空けて!」。映画版では"人口過密"の深刻さよりも食糧難の方に重点が置かれているので、この「Make Room!」という言葉の意味はさほど大きく扱われてはいません。・・・が、実は神父様が「鎮魂ミサをしたい」と言った時のセリフに「Should I make room?」が当てられているんですね。ドキっとしました。生きるために場所を空けるのではなく、この映画では死者のために場所を空けたいだなんて。皮肉なセリフです。




肉や野菜、本物の食材があること、水とせっけんで手が洗えること、熱い湯でシャワーを浴びられること。老人ソルが涙を流して喜び、かつて美しい自然がこの地球にもあったことをソーンに語る姿を観ていると、当然のように享受している現代生活の有難さが身に染みます。


このチャールトン・ヘストンとエドワード・G・ロビンソンの固い絆は『ソイレント・グリーン』という映画の中で唯一人間性の通った温かなもの。実際には癌の進行のため耳がほとんど聞こえないまま演技していたロビンソンは、これが彼の最後の映画になるだろうとわかって撮影に臨んでいたといいます。ロビンソン最後の出演シーンでヘストンが泣いていたのは本物の感情でしょう。最期の最期まで役者として演じ、撮影10日後に亡くなったロビンソンの姿は、『ソイレント・グリーン』のラストにも尚一層の大きな重みを持たせている気がします。

アクションシーンであってもほとんど音楽がかからないこの映画ですが、ロビンソン最後の出演シーンである"ホーム"では、それまでとは正反対に高らかに音楽が響き渡ります。チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」、ベートーベンの交響曲第6番「田園」、そしてグリーグの「ペール・ギュント」の朝へ。遣り切れない重い悲しみと、気高く荘厳な美しさと。忘れられない名シーンがまた一つ増えました。




【おまけ】
Soylent Green/Parallax Corporation【Amazon.com】
で、検索してみたら、やっぱり「ソイレント・グリーン」クラッカーが発売されていました。やるだろうなーこういうの絶対やるだろうなぁと思った~!・・・でも生産ラインを見るのは、やっぱりちょっと怖いかな(笑)。

ソイレント・グリーン@映画生活



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  2012/09/14 | Comment (0) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ぼくたちの奉仕活動』 (2008/アメリカ、ドイツ)

   ↑  2012/09/11 (火)  カテゴリー: コメディ



ぼくたちの奉仕活動【Blu-ray】 [ ショーン・ウィリアム・スコット ]


●原題:ROLE MODELS
●監督:デヴィッド・ウェイン
●出演:ショーン・ウィリアム・スコット、ポール・ラッド、クリストファー・ミンツ=プラッセ、ジェーン・リンチ、ボビー・J・トンプソン、エリザベス・バンクス、ケン・チョン 他
●親友同士のダニーとホイーラーはふたりで学校を回り、栄養ドリンクの営業活動に励んでいたが、ある日、駐車違反を逃れようとして事故を起こし逮捕されてしまう。警察はふたりに「刑務所に行くか150時間もの社会奉仕活動をするか」の選択を迫る。刑務所に行きたくないふたりは問題児を相手にする奉仕活動を選ぶが、そんな2人を待っていたのは、ファンタジーに夢中でいつも騎士になりきっているガチガチのオタク少年オージーとおませで口の汚い小生意気少年ロニーという予想をはるかに超えた問題児2人だった・・・!!



空も少しずつ高くなって、秋の雲も見られるようになりました。いや、まだ「真夏日」が続いているけれど、もう無視することにしました!トンボもちらほら飛び始めて、セミも何だか慌てて鳴いています。夕方、日が暮れるのもちょっとずつ早くなってきて、確実に秋に近づいているんだな~と思う毎日です。

夏のアツイ季節は、毎年アタマがいつも以上に回らないので「オバカ映画鑑賞」を常としている私ですが、今年はカッコイイのにおバカが似合うポール・ラッド出演作品に決定。





ちょっとしたことから≪俺の人生の意義≫・・・これまで自分がやってきたことは実のあることだったんだろうか、オレって何やって来たんだろう?というモヤモヤを抱いたポール・ラッド。結婚も考えた彼女との関係もダメになり、やけを起こして相棒のショーン・ウィリアム・スコットと共に「社会奉仕活動」に駆り出されるのですが・・・

出ました!子役のファンタジーおたく少年にクリストファー・ミンツ=プラッセくん。彼はあの『キック・アス』に出たへなちょこレッド・ミスト君です。かの作品は2010年制作だったので、既にコスチューム・プレイはベテランだったんですね!今回も、そのヘナチョコぶりが気味悪いやら可愛いやらで笑わせてもらいました。



子どもの面倒を見る大人の方が奇跡的にこどもレベル(いや、それ以下か)で、彼らは次第に意気投合!ただし起承転結が分かり易い映画なので、中盤にはトラブルもキッチリ勃発。子どもたちとの絆にヒビが入り、あわや刑務所行きか・・・!?というところで、ファンタジーおたく軍団との無駄に盛り上がる合戦へと突入します。このバトル、私もやってみたい・・・(笑)。ま、日本では劇場未公開でビデオスルーというのも大きく頷ける扱いですが、すべて丸く収まって大団円を迎える気楽さはいいんじゃないでしょうか。





でもこの映画、一番オイシかったのはどう考えてもキング役のケン・チョンだ!
彼ってビジュアル的には米国ドラマ「HEROES」のマシ・オカと似ていて、しかもご本人自身がすごくIQの高いところなんかも共通しているのだけれど、彼の場合は完全な「コメディアン」。ハリウッドの中でもアジア系という、言ってみれば不利な立場をフルに活用した存在感ある俳優さん(医師だったりもするんだけれど)ですね!

また、美人でシリアス演技もいけるのに、どうでもいい下ネタ連発のジェーン・リンチの怪演もいつもながらの安定感があり、全くをもって本当にどうでもいい映画でした(笑)。でも久々にヘラヘラしながら楽しめたのでヨシとしましょう!



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『名犬ラッシー』 (2005/アイルランド、イギリス、フランス)

   ↑  2012/09/06 (木)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ



名犬ラッシー [ ピーター・オトゥール ]


●原題:LASSIE
●監督:チャールズ・スターリッジ
●出演:ジョナサン・メイソン、ピーター・オトゥール、サマンサ・モートン、ジョン・リンチ、スティーヴ・ペンバートン、ヘスター・オジャース、ピーター・ディンクレイジ、ジェマ・レッドグレーヴ 他
●イギリス、ヨークシャーの小さな炭鉱街。両親と暮らす9歳の少年ジョーには、誰よりも強い絆で結ばれた“親友”がいた。それは美しい毛並みのコリー犬“ラッシー”。学校が終わる時間になると、かならず校門でジョーを待つラッシー。しかしある日、父親の働く炭鉱が閉鎖し、生活に困った両親が裕福なラドリング公爵に大切なラッシーを売ってしまうのだった。その後、何度も脱走しては戻ってきてしまうラッシーを、ジョーは身を引き裂かれる思いで公爵のもとへ返すのだった。やがてラッシーは遠く離れたスコットランドの城へと連れて行かれてしまうのだったが・・・。



TOKYO MX(東京メトロポリタンテレビジョン)というテレビ局では「ファミリーシアター」という子どもも一緒に楽しめる映画番組の枠が日曜のゴールデンタイムに月2回ほど設けられています。で、たまに寝る準備をバッチリして子どもと一緒にベッドの上でごろーんと横になって観たりするのですが・・・気を緩めていると親の方が夢中になってしまい、「ラッシーは走る。もう1度大好きなジョーに逢うために・・・!」なんて言われた日にはですね、もうお母さん一人でオイオイ泣いてしまったりします。ファミリー映画、侮れません。






この『名犬ラッシー』もそのラインナップの一つだったのですが、いやーもう、自然、そして音楽がとにかく美しくてホント~に癒されました。

スコットランドの広大な丘を走り抜け、その頂上に立つラッシーの空撮シーン。凛々し過ぎるその高貴な顔立ちは、それだけで名画のような気品に溢れていて、まるで美しい絵を見ているかのよう。「原作は1940年にイギリスで出版された小説だが、その舞台や設定に手を加えることなく忠実に映像化することで、原作がもつ魅力を素直に伝えようと努めている」という評があるのですが、本当に本当にその通り。とてもピュアで、実直で、魅力のある映画です。






飼い主のジョー君や公爵の娘シーラといった、登場する子供たちの透明感のある大人びた表情には"媚"がなくて、それがとても好感のもてるものでした。

ユーモラスな面もあるものの、ドタバタのコメディ色が強過ぎるわけではなく、どこかしら品が漂うあたりは"いかにも"的な安易な子ども映画とは違って、大人の鑑賞映画としても十分。登場人物たちとの交流もベタベタになることもなく、観ていて気持ちの良いものでした。



長い旅路の果てにやっと家族の元へ戻り、衰弱して横たわるラッシーを見て「動物は人間と違って生きることに執着しない。(ラッシーは)家に帰るという目的を果たしたからね」と言った獣医の言葉に泣けてしまいました。人間の事情などわかず、一途に飼い主を想って帰ってきたラッシー。・・・・お母さんここで泣きました。



そして、ラスト。ラッシーとジョー君を引き離そうとする"悪役"に対して、名優ピーター・オトゥール演じる城主ラドリング公爵が下す"大岡裁き"は胸のすくような爽快感が。万事解決で幸せな気持ちでいっぱい。

脇を固めるサマンサ・モートンやジョン・リンチ、ケリー・マクドナルド、ジェマ・レッドグレーヴなど、英国出身のどっしり安定のある俳優たちの存在感も頼もしく、本当に素敵な映画でした。「こども&動物映画」として、小さなお子さんも安心して楽しめる映画です。



■この記事に関連する映画制作国、地域 : イギリス映画 アイルランド映画 

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  2012/09/06 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit