お散歩シネマ 映画の世界へ出かけよう!!映画の数だけ、もっと世界は面白くなる! 

このページの記事目次 ( ← 2013年05月 → )

『The Station Agent』 (2003/アメリカ)

   ↑  2013/05/18 (土)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ
The station agent【Official website】 
●監督、脚本:トーマス・マッカーシー
●出演:ピーター・ディンクレイジ、パトリシア・クラークソン、ボビー・カナヴェイル、ミシェル・ウィリアムズ 他
●孤独を愛する青年フィンは、同じ鉄道クラブに所属する鉄道愛好家仲間でアフリカ系の中年男ヘンリーの経営する鉄道模型店で働いていた。ところがある日、ヘンリーは帰らぬ人となってしまい、彼からの遺言でニューファンドランドにある古い駅舎を受け取ることになる。辺鄙な田舎町の駅舎でひっそりと静かな新生活を始めようとしたフィンだったが、移動コーヒー店を開いている陽気なジョーや、オリヴィア・ハリスという中年女性など一風変わった人々と出会っていくことに・・・。




世間を静かな感動に包んだトム・マッカーシー監督の2007年『扉をたたく人』が私に合わなかった~!!という衝撃は当ブログに(正直に)前回UPしましたが、一方で「丁寧で上質な作品づくりをされる監督さん」という好印象も強く持ち、彼の作品をもう少し観てみたい!という気持ちにさせられました。俳優としても活躍しながら、初監督でインディペンデント・スピリット賞の脚本賞を受賞したという『The station agent』。でも、この作品日本で未公開→DVD化もされていなかったというじゃありませんか。

ミシェル・ウィリアムズやパトリシア・クラークソンなど、日本での知名度も高い俳優陣を使っており、IMDbRotten Tomatoesといった映画サイトでもすごく評判が高い。気になって気になって・・・・結局AmazonでUK版を購入してしまいました。とても素敵な映画でしたよ!観られてよかったー





マンハッタンのホーボーケン。主人公のフィンはDwarfism(小人症)であり、その見た目からか自ら硬い鎧を纏うようにして他人との関わり合いをシャットアウトしている。

彼の鋭く陰のある、そして知的な表情にオープニングから引き込まれてしまいました。深みのある低い声も、とても魅力的。まずこの主人公に引き込まれた時点で『The Station Agent』は大成功しているんだと思います。「この映画はきっと間違いない!」と予感させてくれるものがあるんです。



「何もない所」だったはずなのに、新天地ニューファウンドランドで幸か不幸かユニークな人たちばかりに囲まれてしまうフィン。父親が倒れて仕事を引き継いでいるスタンド店員ジョーの、人生を楽しもうとする賑やかで開放的な明るさが彼らを牽引してくれるのだけれど、皆、それぞれに孤独や悲しみや苛立ちや怒り、困難を抱えている。もちろん一人でいれば傷付かないけれど、それでは大切な人を守ってあげることもできない。

それぞれの方法、それぞれの距離感で、良い方向を見つけるように踏み出していく過程が、控えめながらも印象的な音楽・風景・人物描写の積み重ねの間に感じられるのが心地よかったです。自分の疲れた心に沁み渡りました・・・




フィンが小学校のこどもたちに「飛行船」と「機関車」のことを尋ねられて、ふと考えるラストがとてもいいなと思いました。本当に何気ないことなんだけれど、鉄道オタクだったフィンが思いがけない所で思いがけない質問を受け、まるで新しい世界を開いたような瞬間を見た気がして。

映画の冒頭、孤独の檻で自らを囲っていたような彼ではとても考えられない、穏やかな雰囲気に包まれてリラックスした表情を見ていたら、何とも言えない安堵感と解放感がこちらにまで伝わってきて、観終わった後にはふんわりとした幸せな気持ちが残りました。

ほっこりと穏やかに観られる、とても上質で素敵な映画でした。セリフが飛び交うような映画ではないので、こんな私でも何とか観られましたが、ぜひ日本でもソフト化してほしいなぁ。





ピーター・ディンクレイジ
ピーター・ディンクレイジ【私だけのハッピーエンディング 公式サイト】
主演を務めた当作品は2003年のサンダンス映画祭で作品賞を受賞した。その後、翌年のSAG賞最優秀男優賞、インディペンデント・スピリット賞の賞最優秀男優賞にもノミネートされ、エンターテイメント・ウィークリー誌で年間有望スターのトップ5に名前があり、ピープル誌の"最もセクシーな男"の号に特集された。
映画『私だけのハッピーエンディング』公式サイトより一部引用

『私だけのハッピーエンディング』では、ユーモアもあるダンディなエスコートサービス役でその魅力を存分に魅せてくれましたが、この『The Station Agent』でも彼の人を惹きつける力は素晴らしいな!と思いました。ディンクレイジを見ていると、オトコの魅力、セクシーさって何なのかわかる気がします。



■この記事に関連する映画制作国、地域 : アメリカ映画 

FC2共有テーマ : 日本未公開作品 (ジャンル : 映画

  2013/05/18 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『扉をたたく人』 (2007/アメリカ) ※映画の結末、ラストシーンに触れています!!

   ↑  2013/05/18 (土)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ





【DVD】扉をたたく人[リチャード・ジェンキンス]


●原題:THE VISITOR
●監督:トーマス・マッカーシー
●出演:リチャード・ジェンキンス、ヒアム・アッバス、ハーズ・スレイマン、ダナイ・グリラ、マリアン・セルデス、マギー・ムーア 他
●コネティカット州の大学で教鞭を執る62歳の経済学教授ウォルター。愛する妻がこの世を去ってから心を閉ざしたまま孤独に生きてきた彼はある日、学会出席のためニューヨークへ赴く。そして別宅のアパートを訪れると、そこには見ず知らずの若いカップル、シリア出身の移民青年タレクとセネガル出身の恋人ゼイナブが滞在していた。しかし、彼らはこの時はじめて詐欺に遭っていたと知り、グリーンカード(永住許可証)を持たないために警察沙汰などで国外追放になるのを恐れ、素直に去っていく。だが、あてのない2人を見過ごせなかったウォルターは、しばらくの間この部屋に泊めることに・・・。



はぁぁ~ ・・・・・
先月から精神的・体力的にもクッタクタだったのですが、今日でそのヤマもなんとか越えました!映画はその間、自分のテンションを保つ目的で観続けていましたが、感想は手つかず状態。まぁ、いいやいいや(笑)。書いておきたい映画だけは下書きしておいたので(自分が忘れないために)、今月はその中から幾つかピックアップしていきたいと思います。よっこらしょ!っとね。





『扉をたたく人』という映画は、アメリカで封切られた際には僅か4館のみだったにもかかわらず最終的には270館まで拡大したという、世間でもかなり評判の高い作品です。

・・・なのに。
恐れ多くも正直に言ってしまうと、自分の感じた感想とあまりにも桁違いな差があり過ぎて、まずそれに落ち込みました。ま、でもその理由は自分が一番わかっているので、世間の評判と比べてもシカタナイ。自分に合わなかった映画には、やっぱりそれなりに理由があるものです。


まずはともかく、この映画は内容を盛り込み過ぎだな、とかなり冷静に思いました。
「最初は単に、1人の大学教授と若い音楽家との交流、そして友情の物語を作ろうと思っていた。僕はレバノンに何度か旅行したことがあって、この若き音楽家をアラブ系にすることにした。すると、必然的に移民問題や、アラブ系の人々が現代の米国で直面している状況をじっくりと調べることにつながっていった。それはとても興味深いテーマだった。しかし、この映画は政治的な映画ではない。出発点は人々の交流を描くことだったし、その中でいかに観客を引きつけるキャラクターを作り上げるかということが、僕にとっては一番大事なことだった。2009年6月産経新聞 「扉をたたく人」 トム・マッカーシー監督に聞く



生真面目な人が(そのつもりはなくとも)、ふとした時に見せるユーモラスな一面にはクスっとさせられ、また、相手のリズムを聴きながらそれに呼応してくジャンベ(アフリカンドラム)のビートなど、まるで音楽を通した不器用な会話のようで、そのストーリーだけでも上質で光るものを感じました。それなのに、知り合った若者タレクたちとの交流なのか?自分探しの物語なのか?タレクの母親との恋なのか?はたまた移民問題なのか?と、どれもがすべて中途半端になり、あまりに数多くのストーリーが横並びに盛り込まれ過ぎた気がしました。

また、男女の愛情表現も残念に思いました。
ヒアム・アッバス演じるタレクの母親モナの存在感。パレスチナ出身のシリア人という彼女の背景にあるその重さを考えると、役に寄り添うような彼女のリアルな佇まいは非常に素晴らしいものでした。だからこそ!手を握るだけ、そっと予感させるだけでよかったのに・・・・。男女の愛情表現があまりにも説明過剰でアメリカナイズされすぎていて、そのリアリティに欠ける設定に躓いてしまった私は、結局この映画に惹かれることなく置いてけぼりを食らったというわけです。


t
さらに思い切って言ってしまうと・・・
不法滞在、移民、強制送還といったハードな問題がいつも自分のすぐ傍にあったため、どうしても現実問題と重なってしまい、かなりドライな感想しか持てないという原因も大きかったと思います。逆に言えば、私はこの映画を観るにしてはあまりに現実的すぎる感覚しか持っておらず、この映画を"ヒューマンドラマ"として澄み切った気持ちで観るには、残念ながら私は"対象外"だったのだと思います。

法と人間。その間に無情に放り込まれれば、誰だって世の中の不条理や自分の無力さに直面して落ち込んでしまうでしょう。でも、現実に甘んじて不法状態を放置してきた母親のマイナス点(少なくとも私にはそう思える)と、国内経済を実質的に支えてきた"労働力"としての不法滞在者たち、生活が根付いてしまった彼らの存在を見て見ぬ振りをしてきたアメリカという国家のシステム、さらに911テロ以降非常に厳しくなった移民たちの厳しい立場・・・・これら総てをこの物語に【不法移民問題】として設定するには、あまりにバランスがとれておらず、これだけの要素を物語の設定に入れた"安易さ"すら感じてしまうのです。






シリアへ強制送還されるタレク。出国を決意してもうアメリカには戻れないモナ。自身も不法滞在者の恋人。彼らの関係、存在、その物語の展開を思うとかなり重いラストです。

この映画は、ジャンベを叩くウォルターの姿で終わらせています。観る者に余韻を持たせる素晴らしいショットで、多くの人たちの心を静かに揺さぶるものなのかもしれません。が、"現実路線"を歩んできた私にとっては「ちょっとあなた!一人でジャンベを叩いている場合ではないですよ」という気持ちになってしまったのです(普通はここでウォルターの心情を思いやったりするんでしょうね)。

私にとって『扉をたたく人』という映画は「アメリカに住む初老の孤独な大学教授ウォルターがアフリカンドラムという新しい世界の扉を開けてもらい、色々な人々と出会い、光のなかった生活に生きる力が湧き、そして苦しい思いもしました」という物語ではなく、不法滞在者たちがどのような背景を持ってアメリカにやって来るか、そこでどのような生活をし、切り捨てられていくのか?という問題の方が重要に思えてしまったのです。制作側の意には沿わないだろう勝手な観方ですが、自分の中でこの映画に対するテーマや重要度がいつの間にか違ってきてしまったんですね。ウォルターはこの後どんな生活を選択するのだろう・・・・思いは様々に巡ります。

【送料無料】正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官/ハリソン・フォード[DVD]


移民や不法滞在者たちの生活をテーマに据えたハリソン・フォード主演の『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』を思い出しました。この問題に関してのストレートなパンチ力は、今でもズッシリ心に残っています。





【追記】
で、上で文句ばかりを並べてしまった私でしたが、実はこの映画の"心の交流"についてはスゴク気に入ってしまていたんです。わたくし決してツンデレではないんですよ。でもやはり批評家からも評判が良いだけあって、セリフではなく人物や風景の描写を丁寧に重ねていくことによる物語の構成は(イーストウッド作品のようで)とても好感が持てました。

そこで、今回の『扉をたたく人』のレビューを書いたあとに「やっぱりトーマス・マッカーシー監督の他の作品も観てみたい!!」と思い立った・・・・ところまではヨカッタのですが、なんと(これまた批評家にも大好評だった)前作『The Station Agent』が日本では未公開&ソフト化もされていないというじゃありませんか!!うーん、どうしても私は観たいんだ、観たいんだよなー、というかこの目で確認しないと気が済まないんだよー、という心の声に従うことにして思い切ってAmazonで購入。観てしまいました。
    『The Station Agent』(2003/アメリカ)
 レビューはコチラから:『The Station Agent』(2003/アメリカ)

えー、正直に申しますと『The Station Agent』という作品、大変大変気に入ってしまいまして「な~んだマッカーシー監督、やっぱり素敵じゃないの♪」と一人で感動しているところです(笑)。『扉をたたく人』との出会いは無駄ではなかった!ヨカッタヨカッタ






【さらに追記】
『扉をたたく人』を観た後、ボストンで爆破テロが引き起こされました。容疑者とされた兄弟はチェチェンからの移民でした。彼らは合法的に米国に入国し、弟は2011年に市民権も獲得していました。つまり彼らは"不法移民"ではなかったんですね。しかし共和党保守派は【移民法改正法案】(必要な滞在証明書類を持たない移民に「暫定的な法的地位」を付与して就労等を認める一方、国境警備を強化してこれ以上違法入国者を許さないこと)の審議に異を唱え始めました。今回の"移民"によるテロという衝撃がその理由となったのは間違いありません。


思えば『扉をたたく人』という映画がつくられた当時、時代背景からいうとこの映画は2007年共和党ブッシュ政権下での作品ということになります。ちょうど【不法移民の在留資格獲得に道を開く移民制度改革法案】(アメリカ・メキシコ国境の警備を強化する一方で、すでに入国した不法移民に罰金支払いや身元審査を条件に就労の合法化や永住権取得に道を開く包括的な改革)が否決された年でもありました。

この移民法改革は、第1期オバマ政権時代には【大統領令】として「親に連れられて入国し、アメリカで育った若者が一定の条件を満たした場合は、不法入国者であっても一時的な在留資格を与えるというもの」と整備され、さらに2期目に入った今年2013年2月の一般教書においては「不法移民に合法的な滞在資格を与えることなどを柱とした移民制度改革案」として発表されたところでした。『扉をたたく人』制作当時より少しずつ改革が進んできた米国の移民法ですが、ここにきてボストンマラソン爆破テロという厳しい現実が、ただでさえ感情論となりやすい移民問題の前に突き付けられた形となってしまいました。




■この記事に関連する映画制作国、地域 : アメリカ映画 

FC2共有テーマ : アメリカ映画 (ジャンル : 映画

  2013/05/18 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『運命の逆転』 (1990/アメリカ)

   ↑  2013/05/02 (木)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー




運命の逆転 [DVD]


●原題:REVERSAL OF FORTUNE
●監督:バーベット・シュローダー
●出演:ジェレミー・アイアンズ、グレン・クローズ、ロン・シルヴァー、アナベラ・シオラ 他
●病院のベッドに横たわる昏睡状態の女性がストーリーテラーとなり、ある“事件”を語り始める。裁判の様子を織り交ぜながら、事件の発端となるフォン・ビューロー夫妻の過去を辿っていく。事件の“真実”はどこにあるのか?米国で実際に起きた「クラウス・フォン・ビューロー事件」の弁護士、アラン・ダーショウィッツの原作を元に映画化。



※この記事は、2008年以前のレビュー記事より映画を再見→再投稿したものです。
初めて観た時は「法廷ものとして見事なサスペンス映画!構成も面白いなぁ」という"お気に入り映画"程度だったのですが、今回久々に観て感じたのは、高名なハーヴァード大学教授兼弁護士でロン・シルヴァー演じるアラン・ダーショウィッツが繰り広げる「なぜこのケース(訴訟)を受けたのか?」という熱のこもったのやり取り。これにずいぶん時間を割いていたことに、とても強い印象を受けました。実はこの『運命の逆転』という映画の主題ではないかな?とも思ったくらい。


アラン・ダーショウィッツ。
原作小説でもそうだけれど、彼は依頼人であるクラウス・フォン・ビューローの無実を心から信じて事件を受けたというわけではなく、【司法制度への挑戦】として受けた印象が強い。なにしろこの物語の結末は「真相は闇の中」という印象しか持たせないほどだから。彼は弁護士としては完璧に仕事を遣り遂げたけれど、一個人、一人の人間としてはクラウスを暗に非難しているほどでした。少なくとも映画ではそのような構成をとっています。




ハーバード・ロースクール アラン・ダーショウィッツ教授のロイヤーメンタリング


なぜ悪人(と言われる人)を弁護するのか?ダーショウィッツの著書「ロイヤーメンタリング」では、このテーマに関しての全てが簡潔、率直に答えられています。この書の中でダーショウィッツは、ラーニッド・ハンド判事の言葉を引用し「自由の精神とは、あるものが正しいということに確信を持ち過ぎない精神だ」と言い、「たとえば私は黒人を弁護した後、今度は酷い人種差別者を弁護するかもしれません。"弁護士としての自分"と"プライベートの自分"は違いますから」という発言をしてみせます。

そう、彼は強烈すぎるほど正直で、そして並みの人物ではないのです。高名な法律家という立場から離れれば、親イスラエル急先鋒の過激派としかみえないほど、その立場は偏りに偏っています。

ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち / ノーマン・G・フィンケルスタイン



  チョムスキー「ダーショウィッツはフィンケルスタインへの聖戦を始めた」【Democracy Now!】

たとえば、ノーマン・フィンケルシュタインとの騒動。
フィンケルシュタインは、自身の両親がユダヤ人強制収容所の生存者である一方で「イスラエルはホロコースト犠牲者の立場を濫用している」と真っ向からシオニズムを批判し、またヨーロッパを騒然とさせた『ホロコースト産業』の著者であり、この主張を巡ってダーショウィッツに猛攻撃された人物。・・・で、先日このフィンケルシュタインに関する動画を見ていたら、ハワード・ジン(Howard Zinn ボストン大学名誉教授。アメリカで最も読まれている歴史学者。彼の古典的名著は『民衆のアメリカ史』)フィンケルシュタインを擁護しているものを見つけてしまった。

・・・あぁ、こうなると話は山ほど出てくるユダヤ人問題になって話が逸れてしまうのでここでストップ!ま、でもそれだけこのダーショウィッツという人物には様々な話題が付いて回る"信念の人"というわけなのです。





1990年アカデミー賞主演男優賞部門では、ケヴィン・コスナー(『ダンス・ウィズ・ウルブス』)や、ロバート・デ・ニーロ(『レナードの朝』)といった"名作俳優"たちが居並ぶ中、この『運命の逆転』で殺人事件の容疑者クラウス・フォン・ビューローを演じたジェレミー・アイアンズが、見事にオスカーを勝ち獲りました。

ドイツ系貴族の血を引く、まるで熱を感じられないほど冷たく気取った、そしてどこか胡散臭ささえ漂わせるクラウス・フォン・ビューロー。そのあまりに異質で完璧なキャラクターを演じたアイアンズの存在感と貫禄は見応え十分です。でもやはりこの映画の主役は、ダーショウィッツなんですよね。彼が「悪人」(と世間で言われる人)を弁護する理由、弁護士とはどのような職業なのか?アメリカの司法、裁判制度とはどのようなものなのか?これらを主張したダーショウィッツによる映画なのだから。

昔観た時と本当に感想が変わってしまったなぁ、観る視点も変わってしまったなぁ、そんなことを思いながら再見した一時でした。あ、これは1990年代の映画ですが、今観ても古さはまったく感じられません。映画の冒頭、まるで生身の人間からの視点ではないような、流れるような空撮俯瞰ショットに吸い込まれ、この"事件"に否応なく惹き込まれていくのです。そして観終わった後は、極上のリーガルサスペンス映画を観られた!という満足感と、一方でこれが実話に基づいた物語なのだという、どこか心の奥底がヒンヤリと凍るような寒さとをいっぺんに感じるのです。何度観ても非常に面白い映画だと思います。




■この記事に関連する映画制作国、地域 : アメリカ映画 

FC2共有テーマ : アメリカ映画 (ジャンル : 映画

  2013/05/02 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit