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『それいけ!アンパンマン とばせ!希望のハンカチ』 (2013/日本)

   ↑  2013/08/31 (土)  カテゴリー: ドキュメンタリー、アニメ
 

【送料無料】それいけ!アンパンマン とばせ!希望のハンカチ[DVD]


●監督:矢野博之
●声の出演:戸田恵子、中尾隆聖、伊達みきお、富澤たけし、本仮屋ユイカ 他
●“希望”をテーマに、小さな象の男の子の成長とアンパンマンとの友情を描く映画シリーズ25周年記念作品。雲の上に住む小さな象パオは、空をきれいにできるハンカチを鼻から出す練習をするがなかなか上手く行かない。ばいきんまんが最新メカ“ヨゴスゾウ”を使って街を汚して回るのを目の当たりにしても、自分が何もできないことを悔やむパオ。だがどんな困難にもあきらめないアンパンマンの姿を見たパオは、自分も希望を捨てずに前へ進むことを決意するのだった。アンパンマンとパオは街を救うことができるのか・・・!?同時上映は『みんなでてあそび アンパンマンといたずらオバケ』。



夏休み中に、子どもとアンパンマンの映画を観に行ってきました。

プレーンズ
上映前の予告編でピクサーの『カーズ』のスピンオフ『プレーンズ』を観た子どもが「今日はこれがいい!!」と言いだして焦りました。よっしゃ、お母さんも冬休みはコレが観たいぞ。






今回の悪者はバイキンマンが作ってしまった【ヨゴスゾウ】。そして「がんばっても出来ないよ・・・」と泣いてしまうパオ君がアンパンマンたちと共に立ち上がる!という解りやすいストーリー。やっつける相手がハッキリしている勧善懲悪ものなので、子どもは春休みに観に行った「しまじろう」よりもわかりやすくて楽しかったようです。

本編上映前の『みんなでてあそび アンパンマンといたずらオバケ』では、笑っちゃうくらい「アンパンマン体操」が繰り返されるんですが、劇場内のアンパンマン大好き!なお子さんたちにはそんなのまったく関係ナシ。みんな一生懸命踊っていて微笑ましかったです。



映画的には、カレーパンマン、しょくぱんマン、アンパンマン3人組の【トリプル・パンチ】がヨゴスゾウにはまったく効かず、「こ、これはあまりにも強すぎる!!絶対無理だ・・・!!」と、お母さん心の中で少しドキドキしていましたが(笑)、"鉄板"の【パ オ く ん 覚 醒】には、子どもと一緒に「がんばれぇ~!」と応援してしまいました。映画って楽しいなぁ!

ゾウの鼻からハンカチがぷぅ!と出るのを見て、普通ゾウだったらズズーッと掃除機みたいに吸い込むのにどうしてそういう設定ではないのかな?と思っていたけれど、これは東北地方復興における"除染"のメタファでもあるのだなぁと。簡単に汚れを吸い込むのではなく、みんな一人ひとりが"希望のハンカチ"を持って協力していこう!というメッセージ。本仮屋ユイカちゃんの真っ直ぐで可愛い声のパオ君がかぶっている「黄色い帽子」も「黄帽」で「キボウ」っていうのも素敵。ユイカちゃんもカワイイゾウ。





というわけで。
2013年の夏休みも明日でおわり。

今年は、子どもと一緒に水族館や海、花火大会や盆踊り、新幹線を見に行ったり、おもちゃ屋さんめぐりをしたり、こうやって映画館にも行ったり、その合間にプール→プールというループも続き、忙しくもあり、楽しい思い出がたくさんできた夏休みでした。

あぁ、でも夏休みが終わるということは・・・今年も残すところあと4か月というわけだなぁ。ヒェ~ まだまだ残暑が続きそうですが、体力つけて頑張っていきましょー。



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  2013/08/31 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『キラーカーズ/パリを食べた車』 (1974/オーストラリア)

   ↑  2013/08/25 (日)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー

キラーカーズ / パリを食べた車 [DVD]


●原題:THE CARS THAT ATE PARIS
●原案、脚本、監督:ピーター・ウィアー
●出演:テリー・カミレッリ、ジョン・メイロン、メリッサ・ジャファー、ケヴィン・マイルズ、リック・スカリー、マックス・ギリス、ダニー・アドコック、ケヴィン・グロスビー、クリス・ヘイウッド、ピーター・アームストロング、ジョー・バーロウ 他
●オーストラリアの片田舎にある小さな町“パリ”。この町を通過しようとしたアーサーと兄の車は突然事故に遭い、兄は死亡、重傷を負ったアーサーは市長の家に滞在することに。だが、この町は訪れる車を次から次へと事故に巻き込み、積んでいた品物を横取りして町民の生活が成り立っている、恐るべき閉鎖社会だった! おまけに住民と暴走族たちの関係は一触即発、ついに恐るべき抗争が町を炎に包み込む・・・!




この映画、映画欄であまりに何度も見かけるので遂に根負けして鑑賞してしまいました。ほんと聞きしに勝るヘンテコリンな映画でしたが、「オーストラリア時代のピーター・ウィアー監督ならさもありなん!!」とその辺りは妙に納得のいく作品でもありました。


えー、正直に言いますと、わたしゃこの映画を観るのに3日かかりました。だってね、途中で寝てしまうんですよ。主人公の男は終始ボソボソふにゃふにゃ喋っていて頼りないし、映画のテンポも"内容"の割にはのんびりムードで怖がらせる気もないようですし。ま、そこがかえって不気味にも思うんですが、とにかく何もかもがモタモタしていて段々気が遠くなっていくんですよ~。



「夜にも奇妙な」でよく見かけるような、閉鎖的な町に入り込んでしまった人間の恐怖を描くホラー系かな?と思っていたら、その町にはあまりにマッドマックスな暴走族が走り回り出し、ところがいきなり西部劇風に悪者がジャジャーン!と登場したかと思うと、奇妙なダンスパーティが始まって、うわーちょっともう勘弁してほしいんだけど!というところで、最後は皆さん一体何と闘っているんだ!?というナンダコリャ状態に。



でも何というか、ウィアー監督の"美学"のようなものが画面の端々からビシビシ感じられて、3日連続で眠りこけたとしても見逃せないような魅力があったんですよねぇ。先日、同監督作品の『刑事ジョン・ブック/目撃者』で見た、悪役の車が丘の向こうからずずいと登場するシーンはここで発見することができたし、『ピクニック at ハンギング・ロック』での妙に惹かれてしまう不気味さはここかしこにも。外部から隔離された閉鎖的な集団のお話、という点も共通している部分かも。

ウィアー監督のインタビューを読んでみたら、当時泥沼化していたベトナム戦争におけるアメリカで、年長者の価値観を拒否する若者たちの反抗に見る"世代間のギャップ"に触発されたと語っていました。なるほど~、市長が最後まで自分の価値観を押し通そうとする点、フラフラと人の言いなりだった主人公が自分の道へと歩み出していくラストなど、そういったところにはメッセージ性は感じられます。それに、まるで爽やかなCMのようにコークを飲む裕福そうな金髪碧眼の若いカップルが餌食になってしまうというなど、彼なりのブラックユーモアもあちこちに。強烈な登場人物たちのキャラクター像と同じくらいインパクトのある車の描写も、"アメリカの車社会"に対する皮肉なのかも。

"私は常々アメリカの真の宗教は「車」だと思ってきました。人々は自分の子供よりも車の方にお金をかけて気を配っているでしょう。(中略) 社会は人間よりも金属のモンスターたちに気をかけています。そんな気持ちが『パリを食べた車』の中にあります。"
DVD Savant Review :The Cars That Ate Paris & The Plumber  Reviewed by Glenn Erickson





2011年のものですが【シネマ・トゥデイ】のインタビュー記事が面白かったのでここにリンクさせていただきます。

  『刑事ジョン・ブック』『トゥルーマン・ショー』の名匠監督ピーター・ウィアー、名作が生まれるまでの道のり明かす【シネマトゥデイ】
『刑事ジョン・ブック』『トゥルーマン・ショー』の名匠監督ピーター・ウィアー、名作が生まれるまでの道のり明かす


ピーター・ウィアー監督作品
1970年代

キラーカーズ / パリを食べた車


ピクニック at ハンギング・ロック


ザ・ラスト・ウェーブ


ザ・プラマー / 恐怖の訪問者



1980年代

危険な年


刑事ジョン・ブック 目撃者


モスキート・コースト


いまを生きる



1990年代

グリーン・カード


フィアレス~恐怖の向こう側~


トゥルーマン・ショー



2000年代    2010年代

マスター・アンド・コマンダー [DVD]

ウェイバック -脱出6500km-



ウィアー監督のフィルモグラフィを見ていると面白いですね。ハリウッドに来てからはますます洗練されてきていますが、『マスター・アンド・コマンダー』を撮った時に、アーティストの部分よりもエンターテイナーであることに目覚めたというインタビュー記事をネットで目にしてちょっと笑いました。本当にそうだ(笑)!



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  2013/08/25 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『刑事ジョン・ブック/目撃者』 (1985/アメリカ) ※ネタバレにご注意を ラストに触れています

   ↑  2013/08/20 (火)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ





【DVD】刑事ジョン・ブック 目撃者/ハリソン・フォード


●原題:WITNESS
●監督:ピーター・ウィアー 
●出演:ハリソン・フォード、ケリー・マクギリス、ルーカス・ハース、ダニー・グローヴァー、ジョセフ・ソマー、アレクサンダー・ゴドノフ、ジャン・ルーブス、パティ・ルポーン、ヴィゴ・モーテンセン 他
●ペンシルヴァニア州の田舎で文明社会から離れた生活を送る“アーミッシュ”の未亡人レイチェルと息子サミュエル。偶然、駅でトイレに入ったサミュエルが殺人事件を目撃してしまう。フィラデルフィア警察の刑事ジョン・ブックに事情を聞かれたサミュエルは、麻薬課長マクフィーの写真記事を指差し「彼が犯人だ」とジョンに告げる。その後アパートに戻ったジョンはマクフィーに急襲され負傷するのだったが・・・。現代アメリカで独自の文化を育む宗教集団“アーミッシュ”の共同体を舞台に描く犯罪サスペンス。



※この記事は、2008年以前のレビュー記事より映画を再見→再投稿したものです


映画冒頭から、まるで宗教画のように美しい映像とモーリス・ジャールの透明感溢れるメロディラインに惹き込まれるのですが、今回改めて観直してみると、シンセサイザーの音が掛け合うように重なり合っていくこの音楽は、アーミッシュの人々のゆったりとした生活の営みと町の喧騒とを表しているようだなぁと感じました。

アクションシーンが多くあるにも関わらず、余計なセリフが排除され、ぐっと静かで力強いインパクトを残すこの『刑事ジョン・ブック/目撃者』。時代感覚を忘れさせるようなアーミッシュの人々の共同生活を目にした直後、それが途端に暴力と騒音の中でのサスペンスドラマへと変わり、しっとりとした大人のラブロマンスへと変化していきます。

肝心な部分でセリフを言わず、見つめあわずにはいられない男女の強い引力を繊細に描き出し、環境の異なる人間どうしが強く惹かれ合い、そして別れていく過程を静かに見守った見応え十分な「大人の映画」です。いつ観ても惹き込まれずにはいられません。





ハリソン・フォード主演の映画作品は数多くあります。

彼はこれまで、ハン・ソロ、インディアナ・ジョーンズ、リック・デッカード、ジャック・ライアン、リチャード・キンブル医師といった、名前を聞けばどの映画かすぐ思い浮かべることのできるほど有名な役どころを演じてきました。ジョン・ブック刑事もその一つでしょう。


通常あまりに有名な作品に出演すると、俳優たちはその"イメージ脱却"に苦しむと言われています。が、フォードの場合、そういった"色"が付くことはありませんでした。思い返してみれば、キャラクターごとの風貌など"演じ分け"にそれほど強烈な差がないことも珍しいことだと思います。

『刑事ジョン・ブック/目撃者』へ出演するにあたって、ハリソン・フォードはフィラデルフィア警察殺人課へ実際に潜入し、現職刑事に同行して夜間の捜査活動に参加した(DVD収録「ピーター・ウィアー監督インタビュー」より)そうですが、彼の演技からは所謂"なりきり臭さ"が感じられません。

これはあくまでも私のイメージなのですが・・・ハリソン・フォードという役者は、自分を無理に役へと近づけるタイプではなく、役を自分に引き寄せてその中にある彼自身を表現するタイプの俳優なのだろうなと思います。

そういった意味で、実際に大工を生業としていたフォードが『刑事ジョン・ブック/目撃者』において見事なカーペンターぶりを披露したことは、彼の肉体的な実在感やそこから発せられる人間的な温かみが、アーミッシュ総出で納屋を建てるという印象的かつ象徴的なシークエンスを更に生き生きとしたダイナミックなシーンへと昇華させた気がするのです。






ところで、この映画に出てくる「アーミッシュ」とは、近代的な生活を一切排除した質素な生活を保持しているキリスト教の一派であり、アメリカではペンシルバニアなどに数万人居住しているといわれています。

映画の冒頭とお終いに「英国人には気を付けろ(You be careful out among the English.)」というセリフが出てくるのですが、このイングリッシュと は、アーミッシュが非アーミッシュのアメリカ人を指す呼称と言われており、この言葉からもわかるように、彼らは「アーミッシュ」と「アーミッシュではない人」との間に自ら一線を引いています。もちろん【非暴力】を実践するアーミッシュの人々と「銃」という暴力をもって土足で踏み込んでくる【力】とを見せつけられるこの映画では、どちらが平和的であるかは一目瞭然です。



ただ、再見時にちょっと興味深いなと思ったのは『刑事ジョン・ブック/目撃者』ではアーミッシュを単なる牧歌的でのどかな共同体のようには描いていないところなんです。

「非アーミッシュ」であるブックに惹かれつつあるレイチェルが「汚れ者になるな」と釘を刺されるシーンがあります。"汚れ者"は同じ食卓に座れず、手から何も与えられず、教会へ行くことも許されないという過酷な掟(Ordnung)によるShunning(規範に反したメンバーを集団で排斥することを指す共同絶交のこと)がある、というインパクトの強い描写を挟んでいます。

アーミッシュ指導者に禁錮15年、対立する信者への襲撃で【AFPBB News】
実際今年2013年2月、アメリカのオハイオ州にある小さなアーミッシュの共同体の中でも"平和的ではない"事件が起きています。

一方で、汚職に手を染め、ブックの居所を知ろうと彼の相棒に詰め寄るシェイファー本部長は自嘲気味にこう言うのです。「俺たち警察もアーミッシュみたいなもんだな。信者の集まりで、掟を持ったクラブだ。ブックは、俺たちのルールを破ったんだ("We're like the Amish. We're a cult too. Well...a club. With our own rules. John has broken those rules.")。


アーミッシュの"掟"を破ろうとまで決意するレイチェル。そして刑事仲間の"ルール"に従うことなく正義を貫こうとするブック。二人は生きる環境や立場、文化的な背景などは違えど、人間として互いに共鳴する部分が多かったのではないでしょうか。





≪※ネタバレ注意です≫
因みに、DVD収録の監督インタビューによると、当初はラストで二人が別れるシーンにはセリフが台本2ページ分もあった(!!)といいますが、言葉なしでも感情が伝わるはずだとしてセリフはすべて省略されたのだそうです。あのシーンで二人がベラベラと喋るなんて、今となってはとても信じられませんよね(笑)。そして、最後にアレクサンダー・ゴドノフ演じるダニエルがブックと入れ違いに道を歩いてやってくるシーン。これは、この物語のとるべき自然な結末として、やがてダニエルとレイチェルが結ばれることを示唆しているのだそうです。エンディングに最も悩んだというウィアー監督、お見事でした!




グリーン・カード

トゥルーマン・ショー

ピクニック at ハンギング・ロック


『グリーン・カード』ではアメリカ永住権取得問題を、『トゥルーマン・ショー』では現代メディアの在り方を、何気ないような、でも本当は誰もが社会問題として気づいている点を独特の観点&エンターテイメント力で描くピーター・ウィアー監督。オーストラリア時代に撮った1975年作品『ピクニック at ハンギング・ロック』の恐ろしいほどの優美さ、眩暈するほどの映像美、忘れられません。



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  2013/08/20 | Comment (6) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『スタンド・バイ・ミー』 (1986/アメリカ)

   ↑  2013/08/09 (金)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ



スタンド・バイ・ミー【Blu-ray】 [ ウィル・ウィートン ]



●原題:STAND BY ME
●監督:ロブ・ライナー
●出演:ウィル・ウィートン、リヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコンネル、キーファー・サザーランド、リチャード・ドレイファス、ジョン・キューザック 他
●作家ゴードン・ラチャンスはある日、『弁護士クリストファー・チェンパーズ刺殺される』という新聞記事に目をとめ、遠い過去の日を思い起こす。ゴーディ、クリス、テディ、バーンの4人は、性格も個性も異なっていたがウマが合い、いつも一緒に遊んでいた。木の上に組み立てた秘密小屋の中に集まっては、タバコを喫ったり、トランプをしたり、少年期特有の連帯感で堅く結ばれていた。ある日バーンは、兄たちの会話を盗み聞きしてしまう。ここ数日行方不明になっている少年が、30キロ先の森の奥で列車にはねられ、野ざらしになっている場所を知ったバーンは、仲の良いゴーディたちに話す。『死体を見つければ英雄になれる』と考えた4人は、線路づたいを歩いて死体探しの旅に出かける。




初めて観たのは中学生時代の夏休み。その頃、ちょっとオトナぶって読んでいた雑誌「Olive」ではリヴァー・フェニックスがよく取り上げられていて、「映画」が少し気になりだしていた私にとっては、その「オススメから観なくては!!」と思ったから。



当時の私は、この映画の舞台であるオレゴン州がどこにあるのかも、この時代のアメリカがいつのことなのかも知らず、"有名"と言われていたリバー・フェニックスの役が「ゴーディなのか?クリス・チェンバースの方なのか?」も分かっておらず、もちろんエースのキーファー・サザーランドだって優しいお兄ちゃんのジョン・キューザックのことだって全く知らなかった。"名作ですから"という理由だけでレンタルビデオ屋さんで借りてはきたものの、この映画が世の中で絶賛されている本当の理由は14歳くらいの私には実感できなかった。だって当たり前ですよね、"あの頃"の真っ只中に私はいたのだから。

そして今、悔しいけれどハッキリとわかるのは、私には"少年の時代"なんて永遠にやってこないんだ、ということ。ずっとずっと心の片隅にあって、何度も何度も繰り返し観てきた映画で、もしかしたら私の映画史と共に歩んできた作品なんじゃないか?と改めて感じ入るほど大切にしてきた映画だけれど・・・あぁだけどやっぱり、私は永遠に『スタンド・バイ・ミー』の世界には入れないんだ。男の子たちよりもずっとマセていた"女の子時代"からは、永遠に触れられない憧れの世界なのかもしれない。




パイ食べ競争に、列車から逃げるシーン、クリスが泣きだしてしまうシーン。沼地で体中に張り付くヒルが気持ち悪かったこと、死体の青白い顔が不気味だったこと、ゴーディの両親が冷たくて彼が可哀想だと思ったこと。そしてエースの持つナイフにも怯まず立ち向かっていったクリスの強い心が、彼の最期へと繋がったのかもしれないという切なさも。印象的な場面やセリフ、名シーンは私の心に多く刻まれている。まるで自分の思い出のように。観るたびに泣きそうになるこの気持ちは、どこから溢れてくるのだろう。




"Although I hadn't seen him in more than ten years, I know I'll miss him forever. I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve. Jesus, does anyone?"
彼(クリス・チェンバース)とはもう10年以上会っていなかったが、私は彼を忘れることはないだろう。友情は永遠のものだ。私は、あの12歳の時に持った友人に勝る友人を、その後二度と持ったことはない。誰でもそうなのではないだろうか?

大人になったゴーディ(リチャード・ドレイファス)が、"あの頃"を振り返って書いた物語のしめくくり。私は少年だったことはないけれど、でも大切な友人を持つ、持ったことのある気持ちはよくわかる。そして、子ども時代を終えて大人になってしまった、あの頃を思い出す気持ちも。映画というものをちょっと背伸びしたい気持ちで一生懸命追掛けていた中高生時代、リバー・フェニックスはいつもシネマの世界の中心にいたのに、私が大人になったある秋の日に、彼はこの世からいなくなってしまった。

リアルタイムでほぼ同年代の彼らと一緒に年を重ねてきたけれど、そこにリヴァーの姿が見えないことがとても寂しい。『スタンド・バイ・ミー』を観る時にいつも泣きたくなるようなこの気持ちは、彼の死をこの映画の中に重ねてしまうからなのかもしれない。夏になると、この映画のことがとても懐かしくなるのです。



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  2013/08/09 | Comment (10) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『屋根裏部屋のマリアたち』 (2010/フランス)

   ↑  2013/08/06 (火)  カテゴリー: コメディ



屋根裏部屋のマリアたち [ ファブリス・ルキーニ ]


●原題:LES FEMMES DU 6EME ETAGE
【フランス映画祭2011】タイトル:6階のマリアたち
●監督、脚本:フィリップ・ル・ゲ
●出演:ファブリス・ルキーニ、サンドリーヌ・キベルラン、ナタリア・ベルベケ、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス、ベルタ・オヘア、ヌリア・ソレ、コンチャ・ガラン 他
●1962年、パリ。マリアは軍事政権下にある祖国スペインを離れ、パリに逃れて来る。彼女は叔母らと共にアパートの屋根裏部屋で共同生活を送っていた。そんなある日、マリアは同じアパートに住む株式仲買人ジャン=ルイの家に、メイドとして迎えられることになる。その後ジャン=ルイは、妻がいるにもかかわらず少しずつマリアに心惹かれていき・・・。




DVDなどの作品紹介で見るこの映画の宣伝文句
1960年代のフランスを舞台に、フランス人資産家とスペイン人メイドたちとの心の触れあいを描いたヒューマン・コメディ。
スペイン人メイドとその雇い主の禁断の恋を陽気に描いたラブ・ストーリー。

うーん・・・確かに間違ってはいないのだけれど、この宣伝文句につられて観てしまうとどのエピソードも「え!?」と驚くほど中途半端な端折り方をされていて、ここで盛り上がらなかったら一体どこに!?誰に!?共感すればよかったんだー!?と消化不良のままで【La Fin】を迎えてしまった映画でした。私が物語の方向性を見誤ったのだろうか・・・



フィリップ・ル・ゲイ監督自身がブルジョワ階級の出身であり、幼い頃にスペイン人のメイドと暮らしたという実体験から着想を得たと語っていることからも分かるように、確かにこの『屋根裏部屋のマリアたち』では重労働も厭わず黙々と働き、信心深くて人間味豊かで人生の真の喜びを知るスペイン人家政婦たちの逞しい姿が生き生きと描かれています。「ブルジョワの"いかにも"なフランス人」から見た「情熱的な"いかにも"なスペイン人」というその際立った対比がこの映画を面白くさせているのは確かではあるんですよ。

メイドたちのトイレを修理し、故郷へと電話を繋ぎ、彼女たちの生活を知ることによって一家の主人であるジャン=ルイに変化があらわれること。立場の異なる人々との出会いによって、人生にはもっと違った一面があるのだと知ってしまうこと。そういった善意の連鎖によるエピソードは本当に楽しかったのになぁ。そう、楽しかったのに!結局、この映画のどこに主軸を置くのか?がブレにブレたような印象だけが残ります。



朝食のゆで卵も、スペイン語の発音練習も、ジャン=ルイの家出にまつわる愉快なエピソードも、とーっても楽しかったのに、それに"恋心"が付いて回っていたのかと思うと何だかすべてが陳腐で安易なものに思えてきて本当にガッカリだ。いや、人生の眩い輝きを目にしてしまったジャン=ルイのウブな恋心、というだけならまだカワイイもの、メイドのマリアがアッサリと女主人を裏切るのだけはちょっとイタダケナイなぁと。奥様、単なる悪妻ではなく可愛げのある方だったのに。

メイドたちの投資や事業立ち上げのサクセスものでも、子供を交えた6Fへのプチ家出騒動コメディでも、妻を巻き込んだ円満ハッピーエンディングでも・・・どのエピソードにしたってきっと爽快な物語が出来たでしょうに。人生の転機、新たなる発見を楽しめる物語だと思わされておいて、なぜか途中ですべてのハシゴをガチャンと外された気分。この映画での"恋愛"はスパイス程度でずっとずっと楽しめたのになぁ。いや、そこは「どんな立場でも自由に恋愛を楽しむんです」という"アムール"の心を持つフランス映画ならではのお話なのだろうか・・・・





日の名残り コレクターズ・エディション [DVD]


カズオ・イシグロ原作でジェームズ・アイヴォリー監督によるイギリス映画『日の名残り』は、いわゆる"滅私奉公"的な緊張感が漂う陰に生きる老執事の物語でした。日本人の私としても解りやすい世界観です。しかし『屋根裏部屋のマリアたち』では、長年働いてきた家政婦さんが奥様にブーブー文句を言っては反抗し、挙句の果てには言いたいことを全部言い放って啖呵切って辞めていってしまいましたから、これはスゴイなと(笑)。フランス映画ではよく見られる平等であるということ、主張すべきことは相手が誰であろうとキッチリ言うという精神にはいつもタジタジになってしまいます。

踊れトスカーナ! [DVD]


また、『屋根裏部屋のマリアたち』の中では同じラテン系と分類されながらも「フランス人」と「スペイン人」をうまく描き分けているように、1996年のイタリア映画『踊れトスカーナ!』という作品では、気質が似ていると思われがちな「イタリア人」と「スペイン人」の対比をユーモラスに描いていたことも思いだしました。そういえば両作品とも、登場する「スペイン人」に共通するのは人生のしがらみから解き放ってくれる"情熱"と"解放感"、それにフラメンコと美味しい食事。【映画の中のスペイン人】には人生を見つめ直すきっかけやパッション、ロマンなんかが求められているってことなんでしょうねぇ。



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  2013/08/06 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit