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『ここに幸あり』 (2006/フランス、イタリア、ロシア)

   ↑  2013/12/29 (日)  カテゴリー: コメディ




DVD/ここに幸あり


●原題:JARDINS EN AUTOMNE / 英題:GARDENS IN AUTUMN
●監督、脚本:オタール・イオセリアーニ
●出演:セヴラン・ブランシェ、ミシェル・ピッコリ、オタール・イオセリアーニ、ジャン・ドゥーシェ、リリ・ラヴィーナ、アルベール・マンディ、ヤニック・カルパンティエ、ジャサント・ジャケ、マティアス・ジュング 他
●大臣のヴァンサンは、ある日突然辞任に追い込まれ、仕事も住む家も愛人も失ってしまう。別れた元妻にも相手にされず、行き場を無くした彼を迎え入れてくれたのは老いて尚頼れる母と昔の友人たちだった。地位も財産も関係なく、仲間たちと飲んで食べて歌って過ごすうちに、今まで気づかなかった小さな喜びや、素敵な出会いが巡ってくる。色々なものを失ってはじめてヴァンサンは自由気ままに人生を謳歌し始めるのだった。
●公式サイトはコチラ:『ここに幸あり』




いきなり大盛況な棺棺屋さんのシーンで笑った!しかも不意打ちで『月曜日に乾杯!』に出てきた、あの漫画としか思えないようなノッポの郵便屋さんも出てきます(そして皆、お気に入りの棺桶を巡ってケンカしている笑)。

出てくる人出てくる人、監督の知り合いだとか、脚本家や美術さんだとか、俳優とはまた違う濃いキャラクターたちに目を奪われすぎて困るくらい(笑)。



イオセリアーニ監督って好きだなぁ。ゆったりとした作風は、チョコマカとした忙しない日常の馬鹿馬鹿しさとか、チンチクリンな人間の愚かしさなんかを温かな気持ちで(←ここが重要)笑い飛ばしてくれる。真面目腐って考え事をするのが、ものすごくどうでもいい感じに思えてくるから大好き。どうしてかな、何をやるにしても、どの人間の顔も動きも滑稽極まりなく見えてくるから不思議。イオセリアーニ監督の映画は、出来事ではなく人間を見せてくれます。






月曜日に乾杯!(DVD)


私がオタール・イオセリアーニ監督を知ったのは『月曜日に乾杯!』公開の時。日常がイヤになってしまったフランス人のおじさんが「ちょっとヴェニスへ行ってきます」なんて言っているユーモアあふれるポスターを伊語学校で目にして一目惚れ(学校が一押ししていた)。映画館で観て、DVDも買って、この"のんびりムード"にすっかり浸りきってしまった私でした。そのノホホン的な雰囲気に、共感したり笑わされたり、ちょっとだけホロリとしたり。本物の自由というものを見せてくれる映画でした。


汽車はふたたび故郷へ


でも、イオセリアーニ監督はただのオヒョイさんではないのです。旧ソ連のジョージア(日本語の旧呼称:グルジア)出身であり、共産主義国家を形成していた同じジョージア出身の他の芸術家と同様、彼もソビエト時代からこの国を代表する映画人のひとりだったにもかかわらず体制批判的人物として作品が上映禁止になることが多く、結果フランスへ出てから国際的に広く知られることに・・・。2010年のジョージア映画『汽車はふたたび故郷へ』は、そんなイオセリアーニ監督の経験が多く盛り込まれた半自伝的な映画となっています(でもやっぱり"ノホホン節"なところが本当にスゴイ笑)。


当ブログでは1984年『懺悔』のテンギズ・アブラゼ監督と、1986年『不思議惑星キン・ザ・ザ』のゲオルギー・ダネリア監督という、ジョージア出身監督による強烈な印象と強いメッセージ性を持つ映画作品を偶然【旧ソ連映画】としてアップしていましたが、イオセリアーニ監督の場合、彼の作品から感じるのは人生の苦難だけでなく、不思議だけれど歓びも大きいような気がしていました。今年この『ここに幸あり』を観て、私は本当に彼の作品が好きなのだ、それはイオセリアーニ監督の人生観がとても好きだからなんだー!ということがハッキリわかったのです。

人生はたとえ不幸であっても、楽しい、明るいところもある、そのように考えるべきだと思います。この地上で生きることは、いつも愉快なことです。人生は難しければ難しいほど楽しいものになります。なぜなら、人間は自分が生きているとより感じ取ることが出来るからです。共産主義は私たちに"地上楽園の実現"を約束しました。しかし幸いなことに、彼らの実験は成功しませんでした。それがもし実現していたら、それはまったく退屈なものになっていたに違いないからです。苦しむこと、私たちの周りにあるすべての障害に対して闘うこと、それが私たちの運命なのです。
■第3回東京フィルメックス オタール・イオセリアーニ監督ティーチ・イン(2002年12月8日 有楽町朝日ホール)


人生は予期してなかったプレゼントさ。何が起こっても人間は生きていける。生きていくことは小さなあそびなんだ。
■最高に深刻なことを、微笑みをもって語る――。 オタール・イオセリアーニ インタビュー



そうそう、『ここに幸あり』でも『月曜日に乾杯!』で男の子が教会の壁に描いていた「聖ゲオルギウスの龍退治」を道に落書きしていました。今度は小銭も稼いでいます(笑)。壁の落書きが消されようと、大臣職を追われようと、家を追い出されようと、バケツで水をぶっかけられようと、それを同じレベルで「タイヘンだけど、まぁそれも人生」と言ってくれるイオセリアーニ監督。本当に好きです。





というわけで、2013年最後を締めくくる映画は今年の私の気持ちに一番ピッタリだったこの作品(邦題もナイス!)にしてみました。今年も当ブログを訪れてくださいました皆様、本当にありがとうございました。

最近、映画ブログを色々と読みながら、あ~結局私は映画作品の批評云々を知りたいんじゃなくて(それを知りたい時には専門家先生の本でも読みます)、その人が感動したり逆にツマラーン!と言いながら映画を通してどんな世界を見ているんだろう、どんな話をしてくれるんだろう、というのが一番面白いんだなぁとつくづく感じるようになりました。映画じゃなくて、一番面白いのはその人なんだ!と(笑)。

2014年もまたノンビリではありますが、好きな映画に出会えたらいいなぁと思います。皆さまどうぞ良いお年をお迎えくださいませ。また新しい1年が良いものとなりますように!

はなまるこ



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  2013/12/29 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『クロッシング・ライン~ヨーロッパ特別捜査チーム~』第7~10話まで観た感想

   ↑  2013/12/23 (月)  カテゴリー: 海外ドラマ

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というわけで、「AXN 海外ドラマ セレクト」で2か月に渡ってみてきたドラマ『クロッシング・ライン』第1シーズン全10話。日本での放映も終わりましたが、アンヌ・マリーは、ルイたちは、みんな無事なの~!?と各国のファンも「一体いつから第2シーズンがスタートするのか??」楽しみにしているようですが、2013年10月21日時点ではフランス、チェコ、ブルガリア、モナコで撮影していた様子。2ndシーズンの新情報に関しては、公式サイトの発表をこまめにチェックするといいかもしれませんね!

さて、それでは以下は第1シーズン後半(第7~10話)の簡単なメモです。未見の方やこれからこのドラマを観よう!と思われる方はお控えいただくことをオススメいたします。




   ↓     ↓     ↓

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  2013/12/23 | Comment (0) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『インテルビスタ』 (1987/イタリア)

   ↑  2013/12/17 (火)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ

インテルビスタ [DVD]



●原題:INTERVISTA
●監督、脚本:フェデリコ・フェリーニ
●出演:フェデリコ・フェリーニ、アニタ・エクバーグ、マルチェロ・マストロヤンニ、セルジオ・ルビーニ、ララ・ウェンデル 他
●イタリアの映画撮影所チネチッタ創立50周年を記念して、フェリーニがチネチッタと映画への思いを綴った一編。夜の人気のないチネチッタ撮影所。ここでフェリーニ(本人出演)と彼のスタッフたちは、カフカの『アメリカ』に着想を得た新作の冒頭シーンを撮影しようとしている。そこへ日本のテレビ局の取材班が、撮影を見学にやって来てフェリーニにインタビューする。フェリーニは初めてチネチッタにやって来た時のことを語っていくのだった・・・・。インテルビスタ(INTERVISTA)とはイタリア語でインタビューの意味。




今年、イタリアのジュゼッペ・トルナトーレ監督が、いよいよフィルムからデジタル撮影による新作を出しました。
「デジタルには利点しかなかった!何年も熟考してきたが、ためらうことはなかった」と笑いを挟みつつも「毎日何フィートのフィルムを使ったかが進行状況の指標だったし、セットでフィルムが回る姿がないのは寂しい。でも、一つの時代が終わったんだな、と思う。
(2013年12月13日 朝日新聞「鑑定士と顔のない依頼人」トルナトーレ監督インタビューより)
とインタビュー答えていたのが印象的でした。映画の世界は撮影・編集技術等を含め、今後もますます変化していくのかもしれません。

だから、なのでしょう。むかしこの映画を見た時はそれほど感じなかったのですが、この時代に改めて振り返ってみると『インテルビスタ』はなお一層、私をノスタルジックな気分にさせてくれるのです。

イタリア映画の黄金期を築いたフェリーニ、ヴィスコンティ、デ・シーカ、ロッセリーニ、アントニオーニといった巨匠たちが数々の名作を生み出していった夢の映画都市、チネチッタ(映画:cinema+都市:città)。これがこの映画の舞台です。






騒々しくて、滑稽で、ムチャクチャなお祭り騒ぎのような映画の撮影現場。
過去と現在、現実と想像の世界が縦横無尽に交差しては消えていく摩訶不思議な世界。一体、どこまでが映画で、どこまでが撮影現場なのかわからなくなるような"夢"が"夢"を作りだしているような、次々に現れては消えていく映像に身を任せるのみ。

そう、それは年を重ねれば重ねるほど自由な筆遣いになっていったフェリーニの映画そのまま!「映画の世界」を愛してやまない人々の思いがいっぱいに伝わってくるのです。



そんな夢の世界の中にも、現実が一滴。
失礼ではありますが、まるでビア樽のようになってしまったアニタ・エクバーグにはたじろいだものです。しかも、マルチェッロ・マストロヤンニたちは再会した彼女に「君は今も美しい」「彼女はローマの戦士さ」「今も女神だ」と口ぐちに賛美するのです。・・・でも、エクバーグを下から大写しにするカットを目にしてからは、あぁ!これは豊満な大女を愛してやまなかったフェリーニ監督らしい"愛"の形なんだなぁと。

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そして、真っ白い布の向こうでまるで『甘い生活』のように踊る二人の影が、一瞬にしてあのトレヴィの泉の名シーンに変わる瞬間。モノクロの世界の中で輝くエクバーグはなんて美しいのだろう!涙ぐむエクバーグとマストロヤンニの優しい抱擁には、観るたびに胸がいっぱいになってしまいます。映画が好きでよかったな、と素直に思える一時です。







怒号も飛び交うカオス状態の撮影現場は、カット!の一声で「さぁ家に帰ろう!」「チャオ!」の挨拶であっという間の解散へ。夢から覚めるような、少し寂しい瞬間。


チネチッタ撮影所が夢そのものだった時代を、そこを最も愛したであろうフェリーニと同じ気持ちになって懐かしむ。"希望の光"を最後に見せてくれる粋なエンディング。映画好きの人間が見たら、おそらく胸がキュッとなるような、そんな愛おしい映画なのです。



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"映画というものは、枠にはまらず混沌としていて、それだけに何が飛び出してくるかわからないビックリ箱みたいなものだ。映画の中にはあらゆるものが揃っている。何でもありの小宇宙さ。刑務所を出たばかりの人みいれば、詩人もいる。「映画」という大きな鍋にはどんな材料でも入ってしまう。それが映画の持っている魔法なんだよ。"
※『不滅の名優マストロヤンニ』 マルチェロ・マストロヤンニの言葉より


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  2013/12/17 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『懺悔』 (1984/ソ連)

   ↑  2013/12/15 (日)  カテゴリー: シリアス、社会派



懺悔 [ アフタンディル・マハラゼ ]


●原題:Repentance、მონანიება(Monanieba)、Покаяние(Pokayaniye)
●監督、脚本:テンギズ・アブラゼ
●出演:アフタンディル・マハラゼ、ゼイナブ・ボツヴァゼ、エディシェル・ギオルゴビアニ、ケテヴァン・アブラゼ 他
●物語の舞台はソビエト連邦時代のスターリンによる恐怖政治を思わせる、架空の国の独裁政権時代。偉人として誰からも尊敬されていた市長が死んだ。人々がその死を悼む中、まるで故人を冒涜するかのごとく毎夜、その墓が暴かれる。誰が?なぜ?遂に逮捕された犯人が法廷で口を開く。それは、狂気の独裁者に翻弄されたとある家族の物語であった・・・。監督は旧ソビエト連邦時代のジョージア(日本語の旧呼称:グルジア)共和国出身で映画界の巨匠、テンギズ・アブラゼ。1987年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞。日本では2008年12月に劇場公開が実現。



【旧ソ連時代の映画】を観るのは、私なりにけっこう"勇気"のいることです。それはかの大国が辿ってきた激動の歴史に対して、自分の持つ知識があまりにちっぽけである"不安感"から来るものだったりします。正直やはりどこか構えてしまうんですよね。

でもこの映画に関しては、そういった歴史や政治うんぬんを言っているヒマはありませんでした。強烈な異彩を放つファンタジックな映像の連続を目の当たりにすることによって、そんな不安は吹き飛ばされ、「とにかくこの映画は観たい!!観るべきだー!」と強く思わせるものを直観的に感じたのです。どこどこの国の話、と限定することなく"ある国のこんな話"として寓話的に見せてくれていること、導入部分がサスペンスフルなことなど、一度観始めてしまえばグズグズと躊躇うことはありません。


いかにも偉大だったという人が亡くなり、その遺体が何者かによって何度も何度も掘り起こされて邸宅内に置かれるという異常な事態が起こる。犯人は捕まるが「なぜそのようなことを?」と問われる裁判で、被告が事件の経緯(歴史)を語り始める・・・。ここで30分。強烈な掴みなのです。




旧ソビエト連邦の厳格な検閲の下、グルジア共和国で製作された本作は、1984年12月に完成。86年10月、グルジアの首都トビリシでようやく公開された。観る者に1937年のスターリン書記長による大粛清を想起させる内容は、その時代を真正面から批判した映画として、全世界の注目を集めた。(中略)その社会的反響は1991年のソビエト連邦解体にもつながるペレストロイカ(改革)、グラスノスチ(情報公開)の象徴となった。
映画『懺悔』公式サイト イントロダクションより



ある国の、独裁政権下での恐怖政治による粛清。幸せだった家族に起こった悲劇。そして、それが"過去のこと"となった現代に起こる、もう一つの悲劇。そういった一連の出来事が幻想的な映像で紡ぎ出されることによって(これがまるで型破りなフェリーニ風なので尚一層)イマジネーションは刺激され、批判はより痛烈に、また登場人物たちの心の叫びが直接響いてくるかのように感じるのです。もちろん元になっているのはスターリン時代の恐怖政治ですが、決して口には出来なかった体制批判、そんな時代を真っ向から糾弾したのは、怒鳴り声で言葉を並べた演説などではなく、当時のアブラゼ監督による映像の力なのだと実感します。

父が、夫が、生きている証として刻んだであろう名前を探すために、切り出された"木"を材木置き場で必死に探し続ける母親や妻、幼い子どもたち。言葉はないのに、鬼気迫るとても忘れられないシーンでした。


旧ソ連が製作した摩訶不思議なSFコメディ映画。キテレツな砂漠の星へとワープさせられてしまった建築技師と学生が、何とか地球に戻ろうと悪戦苦闘するカルトSFの傑作!
『懺悔』とほぼ同じ1986年制作で、やはり同じジョージア出身の映画監督(ゲオルギー・ダネリア)による、この作品とはジャンルの異なる『不思議惑星キン・ザ・ザ』という【脱力系SFカルト映画】を思い出します。1985年のゴルバチョフ政権誕生をちょうど挟む形で世に出た2作品ですが、ペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)を実現させたという、強い影響力を持った映画作品としても両作品とも圧倒されるものがあります。




恐怖政治の張本人と言うべきヴァルラムと、思わぬところで過去の悲劇を突き付けられることになる息子アベルを強烈に演じ分けた俳優、アフタンディル・マハラゼ。彼の来日時のインタビューでこんな撮影秘話が語られていました。
アブラゼ監督が、脚本の段階でシュワルナゼ外相に相談したら、シュワルナゼが「是非ともこの映画を作るべきだ」と言い「この作品は、映画だと言わずにテレビドラマということで撮影しなさい」と助言をくれました。当時、モスクワ当局では、映画については脚本の段階でチェックされるのですが、テレビドラマは一切いらない。また映画が出来上がってからも、シュワルナゼのおかげで、ソビエト全土での公開へと至ったのです。
 ※エドゥアルド・シェワルナゼは、もとグルジア共産党第一書記
映画『懺悔』公式サイト「主演俳優アフタンディル・マハラゼ氏 来日インタビュー!」より



オーケストラ!【Blu-ray】



余談ですが、この『懺悔』がNHK BSプレミアムで放映された時に保存しておいたディスクに、フランス映画の『オーケストラ!』も一緒に録画していました。旧ソ連時代の反ユダヤ主義(この映画ではブレジネフ政権下のユダヤ人芸術家の迫害)が主軸となった笑いあり、涙ありの物語でした。図らずも、ソ連史を振り返る一枚となりました。






というわけで。
いよいよ年の瀬も押し迫ってまいりました。毎年この時期になると「あ~、まだあの映画upしてなかったよ・・・」とちょっと後悔も押し寄せてくる自分だったりします。それで駆け込み的ではありますが「今年中に書いておきたい!!」と下書きしてあった映画くらいは、今月のうちに出来る限り載せていきたいなぁと思います。ちょっとだけ頑張ろう!!(笑)




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  2013/12/15 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

【アラン・ドロン映画】を まとめて2本『地下室のメロディー』『リスボン特急』

   ↑  2013/12/12 (木)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー
えー、時々なんですが、アラン・ドロン出演作品についてまとめてUPしたりしています。でも実はコレ、ドロン様の演じるキャラクターとタイトルがいつの間にかゴチャゴチャになっている自分のための記録だったりします(ファンの方、失礼申し上げてスミマセン・・・)。しかも今回は、なぜかいつもタイトルが反射的に浮かばない『地下室のメロディー』(死刑台のメロディ?死刑台のエレベーター?)と『リスボン特急』(バルカン超特急?シベリア超特急?あ、それは絶対違います)というヘンテコなチョイスでまとめて再見してみました。

この2作品、出演時のアラン・ドロンが28歳→37歳と約10年の差があるんですが、もともと彼が持っていた"どこか危険な匂い"に加え、渋さ、哀愁など月日を重ねた美しき男の魅力に圧倒されます。




『地下室のメロディー』 (1963/フランス)



【DVD】地下室のメロディージャン・ギャバン


●原題:LA MELODIE EN SOUS-SOL / 英題:ANY NUMBER CAN WIN
●脚本、監督:アンリ・ヴェルヌイユ
●出演:ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、ヴィヴィアーヌ・ロマンス、モーリス・ビロー、ジャン・カルメ 他
●5年の刑を終えて出所した老ギャングのシャルルは、昔の仲間マリオからカンヌのパルム・ビーチにあるカジノの賭金を狙う大仕事を持ちかけられる。刑務所で目をつけたフランシスと彼の義兄を仲間に引き入れ、周到な計画を立てて大金を強奪。完全犯罪が成功したかに思われたのだったが・・・・。



シンプルなクレジットデザインに重なる、ミシェル・マーニュによるモダンジャズ全開のオープニング。苦虫を噛み潰したような顔のジャン・ギャバンが、人に道を聞きながらのっそりのっそり歩いているだけの映像なのに本当にクール!!


LA MELODIE EN SOUS-SOL2
アラン・ドロンの、まだ洗練されていない荒削りな雰囲気や表情の作り方、あるいはカジノ侵入時などの軽々とした(しかも滑るように美しい)身のこなしなど、彼の若者らしい勢いが見られる作品です。公開当時はフランスの新旧を代表する2大名優、ジャン・ギャバンとアラン・ドロンの初共演ということで注目を浴びた映画でもあります(のちに『シシリアン』『暗黒街のふたり』でも共演)。


私刑警察 [DVD]


幼少期は下層労働者として貧しさの中で過ごし、フランス海軍も志したことのあるギャバンと、家庭環境に恵まれず素行不良を繰り返し、やはり海軍を志願して従軍経験の後に様々な職業を渡り歩いたドロン。彼が製作にも携わった1988年の主演映画『私刑警察』で「亡きジャン・ギャバンに捧ぐ」とクレジットしたように、幼くして父親と別れたドロンはまた、同じように苦労を重ねてきた人生の大先輩としてもギャバンをずっとリスペクトし続けたのでしょう。それが彼らの共演作品の中の二人の姿にも重なって、より一層の深みが出るのでしょうね。
Alain Delon - Actualité, vidéos et photos【MYTF1News】  Alain Delon【wikipedia.fr】


有名な『地下室のメロディ』でのラストシーン。きっと老いを実感したであろうギャバンの微動だにしない悟りきった顔と、血気盛んなドロンが見せる悔しさをジリジリと滲ませながらも自失茫然となっている表情。彼らのそんな態度の対比に、観ているこちら側も茫然!の結末を迎えます。ドロンと一緒にプールを覗き込んでいるような錯覚に陥る美しき札束の花と、皮肉にも華々しく鳴り響くメインテーマで迎える「Fin」。最後の一発で引っくり返るという見事なラスト、現代の感覚で観てもスタイリッシュな魅力に満ちていると思いませんか?お気に入りの一本です。





『リスボン特急』 (1972/フランス)



【DVD】リスボン特急 アラン・ドロン


●原題:UN FLIC / 英題:DIRTY MONEY
●監督、脚本:ジャン=ピエール・メルヴィル
●出演:アラン・ドロン、カトリーヌ・ドヌーヴ、リチャード・クレンナ、リカルド・クッチョーラ、マイケル・コンラッド、ジャン・ドザイー 他
●激しい波が打ち付ける海辺の銀行に強盗に入ったパリの暗黒街を仕切るシモンとその仲間たち。この強盗事件の捜査にあたったのがシモンの親友であり鬼刑事として有名なコールマンなのだが、実はコールマンは裏でシモンの女といい仲になっている。そんな折、ある組織がリスボン特急で麻薬を輸送するとの情報を入手したコールマンは監視体制を敷く。しかし同じ情報をつかんでいたシモンが麻薬の奪取を計画しており、親友である2人に対決の時が訪れる・・・。




フランス犯罪映画の一時代を築いたジャン=ピエール・メルヴィルの遺作。同監督の『サムライ』『仁義』へと出演したことのあるアラン・ドロンですが、この直接感情に訴えかけてくるような冷たいブルーが基調となった映像美と、ドロンの孤独を背負った冷徹な表情の組み合わせ。一度観たら決して忘れられないものです。

『リスボン特急』という映画は、この物語の要でもある"男同士の友情"すらも感じとることが難しいくらいに、まったく多くを語らない作品です。しかし、例えば冒頭のようなインパクトのある犯罪シーンや、あるいは犯罪者や被害者たちのアップの顔とアラン・ドロンのそれとを交互に映し出す印象的なカットを幾度となく挟み込むなど、技法的に観る側へ映像で強く訴えかけてくるものがあります。基本的にアラン・ドロンは抑制された演技と無表情でいるため、観る者はその表情の中へ哀しみや憐み・孤独といった感情を自由に落とし込めるところがあります。そのためなのでしょう、観終わった後には"ストーリー"というよりも、探るようにして見つめ続けたアラン・ドロン演じるコールマンの深い孤独感・寂寥感だけが、私の心には刻み込まれました。



あー、しかし。私はいつもこの映画のタイトルがすぐに浮かばない!!
原題のフリック(刑事)が表すがごとくアラン・ドロン演じる"一刑事"の"男の友情と裏切り"をテーマにした物語なのに、サスペンスアクションとしてアクセントをつけた麻薬強奪シーンのある「リスボン特急」をいきなり邦題にしてしまっているからなんですけれど。毎回「えーとあれ、なに急行だったかな、いや特急だったかな?超特急だったかな」と本気で悩んでしまうのです。ほぼリアルタイムで描いたという力の入ったシークエンスなだけに、確かにここは大きな"見せ場"ではあるのでしょうが、この映画が醸し出す【フレンチ・フィルム・ノワール】のムードの欠片さえも感じられないあまりに直接過ぎるタイトル。いつも残念に思ってしまいます。ま、ここで「じゃあタイトルは"フリック"で」と言われても今度は「どの"フリック"なのか分からん!!」とまた文句を言ってしまう私かもしれませんが(笑)。



ところでこの映画、公開当時は世界を代表する美男美女、アランドロンとカトリーヌ・ドヌーブの初共演として大きな話題となったそうですが、そりゃもうそうでしょうね!アラン・ドロンとドヌーヴ様の見目麗しき共演は、今見てもうっとり・・・。文句なく美しいのにどこか陰のある雰囲気を漂わせるこの二人が、じっと見つめ合うシーンを目にすることが出来るのなら、もうどんな展開があってもいいのです。映画を観るしあわせって、こんなところにもあるものですねぇ。しみじみ・・・・




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  2013/12/12 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit