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最近観たアメリカ映画をまとめて2本 『サイド・エフェクト』『アメリカン・ハッスル』 ※ネタバレ注意です!

   ↑  2015/01/14 (水)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー
2015年、最初の記事になります。
今年も良い映画に1本だけでもよいので、どうかどうか出会えますように!(切実)

さてさて。
年末年始に映画を観るチャンスが久々にできたのですが・・・・何を観たらよいのかどうにも決まらないのです。現在の自分のテンションに合った作品を選ぶというのがこんなに難しいものだったのかー

無名の監督作品を選んで冒険してみよう!という気分ではないし、クラシック映画をゆったりと鑑賞できるほど心の余裕もなく。かと言って、過去に観たことのある映画でラクをしたい気分でもなく。新しい映画が観たい!ということで、物語も映像も演出もキッチリ撮ってくれるスティーヴン・ソダーバーグ監督と、大きなハズレはなさそうなデヴィッド・O・ラッセル監督作品から選んでみました。





『サイド・エフェクト』 (2013/アメリカ) ※完全ネタバレ注意!!




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●原題:SIDE EFFECTS
●監督:スティーヴン・ソダーバーグ
●出演:ジュード・ロウ、ルーニー・マーラ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、チャニング・テイタム、アン・ダウド、ヴィネッサ・ショウ 他
●インサイダー取引の罪を犯した最愛の夫マーティンの収監に心を痛めた若妻エミリー。うつ病に苦しめられた末、ようやくマーティンが出所した矢先に自殺未遂を起こして入院する事態に。そんなエミリーの担当となった精神科医のバンクスは、彼女に新薬を処方し、症状の改善を図る。ところが新薬の副作用で夢遊病を発症したエミリーは、ある時ついに夢遊病の状態で夫を刺殺してしまう。担当医のバンクスは薬を処方した責任を追及され、窮地に追い込まれるが・・・。




実は、この映画を一番最初に観た時、エミリーが車を壁に激突させるシーンで彼女の靴の色に妙な違和感を感じました。暗めのトーンでまとめた彼女のファッションでそこだけミスマッチだったからです。

その時は「不安定な彼女の精神状態を表しているのかな?」くらいにしか思わなかったのですが、今回2度目に鑑賞した時にこの"赤"こそが警告のカラーだったことに気がつきました。


アクセルを踏み込む赤いシューズ。収監されている夫に会いに行く唇の真っ赤なルージュ。夫を刺し殺す包丁で切っていた赤いパプリカ。『サイド・エフェクト』ではこの赤の配色を効果的に使っており、再見時には他のシーンでも幾度となくドキっとさせられました。

何よりこの映画でコワイなと思ったのは、エミリーが精神科医バンクスに"自白"はするものの、それはあくまで「信頼できない語り手」(彼女の"言い分")によるものだということ。

ハイクラスの生活から転落して絶望し、鬱状態になったとは言っていましたが彼女は元々そんなか弱い女ではないだろうなと。少女のように華奢で、子猫か小鳥のように思わず守ってあげたくなるエミリー。しかし彼女は非常に頭がよく、夫や元主治医シーベルトを虜にしたようにそれまでもの人生でも人を誘惑・支配し、己の歪んだ欲望を満たすことに長けた人間だったのかもしれません。この映画で彼女が本性を現すのはほんの僅かです。「哀れな女に見える?」とヘラヘラっと笑ったあの表情は本物なのかも・・・・。


そしてもう一つ。バンクスは、エミリーを本物の精神病患者へ作り上げてしまったのですね・・・。これを伏線にこの映画がラストに見せ付けてくるのは、アメリカの製薬会社と精神科医の癒着の怖さを逆手にとったあまりに皮肉な"薬漬け"の逆襲。精神科医を敵に回してはいけませんねぇ。

一筋縄ではいかない話を手堅くまとめるソダーバーグ監督。キッチリと計算された、無駄のない「職人芸」を楽しめた一作でした。







『アメリカン・ハッスル』 (2013/アメリカ) ※ややネタバレ注意!





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●原題:AMERICAN HUSTLE
●監督:デヴィッド・O・ラッセル
●出演:クリスチャン・ベイル、ブラッドリー・クーパー、ジェレミー・レナー、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンス、ルイス・C・K、マイケル・ペーニャ 他
●太鼓腹で一九分け頭のアーヴィンは、愛人にして相棒のセクシー美女シドニーと完全犯罪を続けてきた天才詐欺師。そんな2人はある時ついに捕まってしまう。ところがイカれたFBI捜査官リッチーは、もっとデカいヤマを狙ってアーヴィンに捜査協力を迫ったため危険な囮捜査をするハメに。やがて彼らのまいたエサに、期待以上の大物が引っかかってしまい、事態は思いもよらぬ方向へと進んでいくことに・・・。1979年に実際にあった一大政治スキャンダルを実力派キャスト陣の豪華競演で描くクライム・コメディ。



実話をもとに・・・と言っても「アブスキャム事件」そのものを描こうとしたわけでもなく、事件関係者らの実像に迫ったわけでもなく。そして、宣伝で言われていたような騙しに騙される本格的コンゲームかと思いきや、意外や意外、その実は「自分自身を偽り、欺き、リアルに生きることを望んだ先にあったもの」を描いた【自分探しの映画(ただしド派手包装)】と言ったところでしょうか。


アカデミー賞俳優たちが「ココはオレが!」「今はアタシよっ!」的にグイグイ押してくるので、画面を追っているだけでムンムンとした熱気で窒息しそうになります。太鼓腹やらパンチパーマやら、熟々のオバチャン、ノーブラドレスなど見た目的には品の欠片もなく、誰もが大暴走。映画的にはスコセッシ監督の『グッド・フェローズ』や前々作『ザ・ファイター』の時のように、登場人物たちの心情を歌にのせて見せるシーンなどもうほとんどミュージカル状態(笑)。もう狙いはバッチリです。


「ワイロを貰うか、貰わないか!?」という収賄場面を無理やり作って手柄を立てようとする検事や、ニセのアラブ人を使うなんていうお粗末なFBIの計画自体も笑えるし、この映画全体から漂ってくる胡散臭さ、猥雑さは逆に物悲しくもあり。「デヴィッド・O・ラッセル組」とも言える俳優陣が、出鱈目なんだけれどギリギリの繊細さで愚かしい人間の愛おしさを、うまーく引き出していたように思います。

ですから、結局は正直に生きる道を選ぶという「こ、これはヒューマンドラマだったのか!」的なラストは、実際の事件とは大きくかけ離れてはいるものの「人は信じたいものを信じる」というセリフの通り、心のどこかで「最後はこうあってほしいな」と思わず願ってしまう"希望"を見せてもらえた気がします。



それにしてもまぁ。
ジェニファー・ローレンスの「大事な事はキッチリ二回言わせてもらうわよ!!」的な早口のオバチャン然とした喋り方が、もう可笑しくて仕方なかった!この人、今はピカピカに若いしオシャレにも手抜かりなしの綺麗な女優さんではありますが、万が一将来ブヨブヨ&タルタルになったとしても需要はバッチリだと思います。このままずっと突き進んで行ってほしいなぁ!


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  2015/01/14 | Comment (4) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit