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家庭菜園やっと始めました! / 今年もまた学校通いがスタートです

   ↑  2016/06/29 (水)  カテゴリー: 雑記φ(..)
例年だいたいゴールデンウィークあたりから土づくりをスタートするんですが、今年は家の事情で庭が使えないまま5,6月が過ぎてしまい・・・・


家庭菜園作りに大幅な遅れが!



それでも、移動可能だった「プランター組」インゲン、ベビーキャロット、パセリ、小松菜&植えっ放しのジャガイモたちは、健気に頑張ってくれていますよ~



で、家の工事も終わったので、先日急いで苗を買ってきました。

これからトマト、ナス、きゅうりの「地植え軍団」がやっと始まります!
うれしいなー







今年はワイルド・ストロベリーも植えてみました。


お友達の家のお庭にサクランボとイチゴがあって、チビハナさんが「いいなー」って言っていたのよね。

ベリー系は初めてなので、ちょっとドキドキでしたが・・・・



意外とポロンポロンと真っ白で小さな可愛いお花を沢山つけてくれて、どんどん実がなってきました。なんて、なんて可愛いんだー

ランナーから新苗を作ってどんどん増やせる野いちごなので、これから楽しみです。上手に育てられるといいなぁ。








そうそう、今年はね「ハーブガーデン」もあるんですよー



一昨年、初めてセロリを作った時に「なんて良い匂いなの~」とあの独特の香気でハイになったのを思い出しまして、庭の端っこにキッチンハーブ園を作ってみることにしました。私にもね、"癒し"の時間が必要なんですのよ。


そして、これを機にですね、バッサバサ種が飛んで大量に自生・・・というか、ほぼ雑草化していたセロリ、イタリアンパセリ、あとジャパニーズ・ハーブと言われる大葉なんかをもう一度整理し直しました。ありがたいありがたい・・・



レモンタイム、オレガノ、バジル。スペアミントとオレンジミントもあります。
清々しくて良い香りなんですよ~

枯れた葉を整理したり、虫にやられていないか葉の裏側をチェックしているうちにハーブの香りいっぱいになってきて、気がつくと平気で30分くらいハーブ園の前に座っていたりします。至福のひととき!


ただ、紫外線対策のためにワタシャですね養蜂家か宇宙服みたいな恰好をしているので、周りから見たらただただ怪しい人かも。しかも自分の呼吸が「スーハァー、スーハァァ~」と聞こえてきて、ちょっとしたダースベーダー気分に(笑)。



そんなダースベーダーも、家の中では「ミント緑茶」でリラックスタイムです。
スーッと抜けていく清涼感の中にほんのりとした甘味が広がって、緑茶の美味しさがぐんと引き立ちます。あ~ら、幸せっていうのはきっとこのことを言うんですわよ、奥様!







家庭菜園が無事スタートしたところですが・・・・

なんと、6月より資格取得のため、週2回の学校通いを始めました。今年もだー!
年内には2つの試験をクリアしたいと思っているので、半年間、最後までクラスの皆と一緒に頑張りたいと思います。今年はね、私より年上の方も多いので、色々な人生経験を聞けたりしてそれも楽しかったりします。新しいことを知ること、学ばせてもらえることって本当に有難いなと思います。

途中、レポートの提出やら試験なんかもあるのですが、仕事は勿論、チビハナさんとの夏休み(今年は新潟!)や菜園造り、それに大好きな映画もゆっくり観ながらペースを作っていきたいと思っているので、今年残り半分、まだまだ元気に頑張っていきますよー

7月からも、どうぞよろしく。




「女の子が走ってるみたいだよー!!」って、ジャングルジムの上からチビハナさんが教えてくれた夕暮れ時の雲。
あらま、ほんとだ!



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  2016/06/29 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『クリーピー 偽りの隣人』 (2016/日本) ※物語の展開・ネタバレは本文末にあります。ご注意を

   ↑  2016/06/19 (日)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー
映画『クリーピー 偽りの隣人』公式サイト





クリーピー (光文社文庫)


●原作:前川 裕「クリーピー」 (光文社文庫)
●監督、脚本:黒沢清
●出演:西島秀俊、竹内結子 、川口春奈、東出昌大、香川照之、藤野涼子、戸田昌宏、馬場徹、最所美咲、笹野高史 他
●大学で犯罪心理学を教える元刑事の高倉。郊外の一軒家に引っ越し、妻・康子と2人で穏やかな新生活をスタートさせる。ある日彼は、刑事の野上から6年前に起きた未解決の一家失踪事件の分析を依頼される。事件の鍵を握るのはひとりだけ残された一家の長女・早紀。しかし彼女の当時の記憶は曖昧で、事件の核心にはなかなか近づくことができない。そんな中、高倉と康子は、謎めいた隣人・西野の不可解な言動に次第に振り回され始めるのだったが・・・。





・・・・あのですね、

ちょっと余計なお世話かもしれませんけどね・・・・


この映画、予告編で93%ほど出し切ってますよ!
これって一体どういうこと~(涙)



わたくし、【おうちで試写会】で鑑賞させていただいたのですが、予告編以上のことはほぼ起こらないので、こりゃ全然ミステリーでもないしサスペンスでもスリラーでもないということに一人悶絶しまくった次第です。


一体どこでエンジンがかかるのかなー?と思いながら観ていたんですけど、結局最後までクリープ現象で進むAT車みたいな走りで、アクセル不要のまま終わってしまいました。あら、映画『Creepy』で「Creep現象」ですって!プププ







「・・・ここには確かに犯罪のニオイがする!」なんて何の根拠もなく突然言わせる脚本もスゴイと思うし、事件現場に行ってみたら重要参考人が偶然訪れていた!とか、ナンダソリャ展開がテンコ盛りで、色々と不思議ちゃんな映画でした。




香川さんなんて「なんだかちょっとヘンな人かな・・・」とかいうレベルじゃなくて「あなた本当にヘンですよね!」と断定できるアカラサマぶりなので、彼のこと怖がりようもないし何の疑念も浮かばない。

↑このシーンで、香川さんは電柱に貼ってあるチラシをベリベリ剥がしてポケットに入れたりとかするんですが、これがまた「ザ・変人演技とはかくあるべし!!」にしか見えなくて、こんなベタな演技ってアリなのかしら・・・と逆に心配になってしまいました。


庭木がざわざわ揺れて、何とも言えない恐怖心を生み出します
風でカーテンが揺れて、なんだか気味が悪いです
画面が斜めにカットされて、不安感を煽りまーす


こういう描写、ミステリーものの教科書に書いてあるのかな?






ただね、この映画。

色々なことが(予告編も含めて)色々とアカラサマすぎで何の捻りもなく、全体的な作りもヘンなのですが(あら言ってしまった!)、よく考えてみれば出てくる人たちが皆どこかヘンなんです。


↑しょっちゅう出てくる大学のシーン。学生たちがよく笑い、よく遊び、よく喋っているのが研究室のガラス越しに見えるんですけれど・・・・

エキストラとして演技指導もあったんでしょうが、これがまた「ザ・コミュニケーション」のお手本!みたいな戯れ方で。閉塞感や秘密たっぷりの主演側との対比なのかもしれませんが、これがもう、わざとらしさ全開

その中の学生役さんで主演側に目線を向ける人もいたりして、えーっコレっていいんですかね!?「カメラ目線ラをしてはいけない」ってエキストラの基本中の基本ですよね。も、もしやコイツが影の犯人か!?とか思って、フラグが立ったのかと思ったくらい。私の心が捻じ曲がっているのか!?


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ヘンだといえば、この夫婦もかなりヘンですよ。

私ね、この映画で一番creepyに思えたのは竹内さんでした(個人的に、です)。

飼い犬マックスくんの【脱走&飛び掛かり事件】だって「あーらら、すいませんね~」程度で終わらせている竹内さん、コワイです(私なら平謝りする!)。それから自分で持って行ったチョコレートを、帰って来てからいきなりゴミ箱にブン投げてしまうとか。この豹変ぶりに「実は竹内さんが影の犯・・・・」というか、ここまでくるとワタシの心はどん曇りですね(笑)。

ま、でも、あんな風に「これ余ったので・・・アレ、これじゃ中に入れないなぁ?」とか言いながらシチューを大量に持って突撃されたら、私、絶対ご近所付き合い控えさせていただきたい

香川さんは物理的な距離感覚がヘンでしたけど、竹内さんは人間関係における距離感がちょっと奇妙だなぁと思いました。竹内さん、じゃなくて康子さん、ヘンテコな旦那さんと生活していて相当お疲れだったんでしょうね。




※というわけで、以下は『クリーピー 偽りの隣人』のネタバレ(と言っても、予告編でほとんど出尽くされているので残り7%くらいのネタバレなんですが笑)、ラストの展開内容に深く関わります。

未見の方やこれからこの映画を観よう!と思われる方はお控えいただくことを強くオススメいたします。




     ↓ ネタバレ注意 ↓


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  2016/06/19 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

【中東映画】を観る時に思うこと、思い出すこと。※『1票のラブレター』(2001/イラン、イタリア)より

   ↑  2016/06/16 (木)  カテゴリー: 映画いろいろ・・・







『1票のラブレター』というイラン、イタリア制作映画を再見しました。
静かなユーモアに包まれた映画なので、なんだか久々に落ち着いた時間を過ごせました。

この映画の遠く広い空を見ていたら、なんだか色々なことを思い出してしまった・・・・

というわけで、今日はちょっといつもと趣向を変えて書いてみようと思います。ただ感想を書くだけなのも、なんだかちょっと飽きたのもあるんですけどね(笑)。







10年くらい前のことです。私は、日に5回「アザーン(اذان)」の声に包まれる町に住んでいました。



アザーンというのは、イスラム教の礼拝時間を知らせるモスクからの呼びかけ。とても美しいんですよ。

私は広い意味では「仏教徒」で、いやほとんど無宗教で、それに「無神論者」なんだと思っています。それでも、特にモスクで聴くアザーンには心落ち着くものを感じました。仏教のお経と響きが似ていると思うんですよね。


日本に戻ってきてからは、時々聞こえてくる「たぁ~けやぁー、さお~だけぇぇぇー」のスピーカー音を聞いて「あらーもうそんな時間?」なんて思うことも。あの遠くから聞こえるスピーカー音の伸ばし加減が・・・似ている気がするんだ!







それ以前はというと・・・・私はイタリアのナポリで伊語を勉強していました。この理由もまたスゴカッタのですが(笑)、でも思い立ったら絶対に行動せずにはいられない私は仕事をしながら独学で猛勉強(半年間)→イタリア語学校とプライベートレッスン(半年間)の後、そのままさっさとイタリアへ行ってしまった

で、肩やらオヘソやら出ていても全然気にしない「好きな服を着てるだけー、悪いことしてないよ~」のPRINCESS PRINCESSみたいな(古くてスミマセン笑)生活から、なぜかこれも運命だったのか、今度は肌も髪も露出しないイスラムの国へ。この行動力と適応力は「無謀」と言うのかな?「若さ」だったのかな?・・・いや、今でもやっちゃうかな(笑)。







地平線のずっと向こうまで、オリーブ畑が広がる国。
ここで私は、地元の人たちと同じように生活することになりました。


 
朝は新鮮な玉子や野菜、ヨーグルトで料理して、子どもたちには出来立てのゴマパンをパン屋さんへ買いに行ってもらい、いつもいつも淹れたての熱い紅茶を飲んで、時々モスクでアラビア語のクルアーンを教えてもらって、その後には甘~いお菓子をちゃっかりご馳走になっちゃったり。

断食(ラマダン)にも挑戦しましたよ。
約1ヶ月のラマダン中は、毎日日が暮れた後に断食がとけるので、夕食は家族みんなが集まって特別なご馳走(イフタール)をワイワイ食べるのです。毎晩、お祝いみたいな日々でした。







都会から遠く離れた地方では、大人の女性は髪をヒジャブ(スカーフ)で覆う人がほとんどでした。本当に時々、真っ黒な布で目だけを出しているアバヤ姿の人を見かける時もありましたが、ほとんどがスカーフ姿。もちろん私もずっとスカーフ着用。

ヒジャブってね、材質や柄はもちろんですが、巻き方や留め方、覆い方にも様々なバリエーションがあって、特に都会では毎年のトレンドもあったりして流行色もどんどん変わるんです。「今年はオレンジ系が流行るらしいわよ~」なんて女性どうしで情報交換も。


だから、男性陣が家を空けた時などは皆でスカーフを外して大ファッション大会!

 
普段は絶対見せないけれど、女性たちのスカーフの下はね、皆すごく素敵な髪飾りでヘアセットしていたり、とってもキレイなブロンドだったり。見えないオシャレは、ご主人だけに見せる美しさなんですね。「このカラー、どこでやってもらったの?」とか「あそこの靴屋さんの態度が悪いのよー!」とか。いわゆる【女子会】のノリ全開です(笑)。


確かに、宗教という名のもと"慣習"や"しきたり"として男性たちにスタイルを強要されたり教育を制限されている地域も残念ながら存在しますが、少なくとも私の住んでいた地域の女性たちは「私たちはムスリマである!」という堂々たるプライドを持った確固たるライフスタイルを貫いていました。迷う必要のない彼女たちの人生はすごく強い


muslima05.jpg
それにとても強かで、実は「カカァ天下」(笑)。
一見夫を立てているように見えるのですが、実のところ本当に家庭を動かしているのは女性たちだったりして。かあちゃんは強いな!







そして、忘れられない思い出。
とある観光地のモスクに行った時のことです。


礼拝前に手などを洗ってお浄めするウドゥ(الوضوء)の洗い場で、待ち合わせをして立っていた私にあるお婆さんが声をかけてこられました。

あ、これは本当によくあることだったのですが、私がモスクに行くと、明らかに「平たい顔族」の人間なので(笑)どこに行っても必ず「あなた中国人?日本人?」と興味津々で話し掛けられました。

で、私は日本から来たこと、イスラム教やクルアーンについて少しずつ教えてもらっていることを話し、「でもイスラム教徒ではないんですよ」とも伝えました。少し申し訳ない気持ちで。すると、そのお婆さんはとても穏やかな表情で「あなたは優しい子なのね」と仰ったんです。そして「あなたが日本人でも仏教徒でも、私たちは何も変わらないのよ。きっと神様もあなたを見ていて、守ってくださいますよ」と。

私は、言葉に詰まりました。

すごい衝撃だったんです。たぶん、親鸞聖人に「悪人正機説」を説かれて回心した盗人とか、銀食器を盗んでも許されたジャンバルジャンみたいな気持ち。オ、オレも救っていただけますのかー!という(笑)。

いや、正直なところ私は神さまに救っていただかなくても結構なのですが、でも私が驚いたのは"排他的""攻撃的"な面を持ちやすい宗教というものが、個人の捉え方によってはとてもつもない包容力を持つのだな、と。解釈の違いなのか、個人の心の持ち様なのか。

『運動靴と赤い金魚』 でも書きましたが、私には宗教心というものがないので彼らと同じ生き方はできません。でも、彼らの持つ信仰心から教えられ、気付かされたことは本当に沢山ありました。現在、私が暮らしていた場所はISとの戦闘地域に接しているため一家はヨーロッパへと移住し、私ももう訪れることはできません。だからこそなお一層、彼らと共に暮らしていた日々が、今の私の中で生き続けているのだと思います。






『1票のラブレター』は、イスラムの伝統的な島を舞台に、民主主義の実現のため健気に投票を促す選挙管理委員の女の子とそのお供をすることになった呑気な警備兵との1日を、シュールでユーモラスに綴ったイラン映画です。


選挙管理委員の女の子が呑気な警備兵の男の子とジープに乗って口喧嘩になったり、それでも一緒に手を洗ってゴハンを食べたり、途中コンパクトミラーを出して身だしなみを整えたり。

「中東映画」という枠で見れば確かに"遠い国の話"でしかないのですが、でもこれは、どこにでもある不器用な恋の物語なんですね。ラストの警備兵くんの台詞なんて、音楽に日本の琴の音を使っていることもあって、その淡い恋心に"胸キュン"すること必至です。



本来、この映画が発しているメッセージというのは、"米国が推し進めてきたような政治文化"を持たない地域(宗教や信仰などが絡みに絡んだ場所)で民主的プロセスを持つ選挙制度を適用しようとすることの困難さや懐疑性など・・・なのかもしれません。イランの映画ですので。

でも、何よりも、まず私の心に真っ直ぐ飛び込んでくるのは「人が人を想う気持ちはどこの国でも同じこと」という単純なことなのです。本当に当たり前のことなんだけれど私が【中東映画】を観る時には、いつもそんな"懐かしさ"がぐっと込み上げてくるのです。



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  2016/06/16 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『エクス・マキナ』 (2015/イギリス) ※物語の展開、ネタバレに触れている部分にご注意を

   ↑  2016/06/13 (月)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー
映画『エクス・マキナ』公式サイト 







●原題:EX MACHINA
●監督、脚本:アレックス・ガーランド
●出演:ドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィカンダー、オスカー・アイザック、ソノヤ・ミズノ 他
●世界最大の検索エンジンを運営するブルーブック社でプログラマーとして働くケイレブは、社内試験の結果、社長のネイサンが隠遁生活を送る山荘に招かれ、1週間滞在できることに。しかし人里離れたその場所は、ネイサンが人工知能を開発するための研究施設だった。そしてケイレブに与えられた役目は、ネイサンが開発した人工知能の実用性と人間性についてのテストに協力することだった。そんなケイレブの前に、女性型の美しきロボット“エヴァ”が姿を現わす。精巧なエヴァに興味を抱き、戸惑いつつも彼女との会話を重ねていくケイレブだったが・・・。





イギリス公開時の『EX MACHINA』のキャッチコピーが面白いなと思いました。

"To erase the line between man and machine is to obscure the line between men and gods"
"人間とマシンとの線引きをなくすということは、男たちと神々の間にある境界線を覆い隠すということだ"

一般的に"Machine"に対しては"Human"を使うところなんでしょうけれど、ここはあくまで"Man(Men)"を。


これってこの映画のド真ん中を突いてきたキーワードじゃないかな、と思うんです。

というのも、『エクス・マキナ』という映画は人間のエゴ、もっと言えば男性側のエゴから生まれた悲劇としか言いようがないからです。







なぜ、AI/人工知能に"性別"を持たせる必要性があるんでしょう?
肉体を持った人間らしく見せるため?「理想の女性を作りたい」という男性の欲求?で、どうせ作るならセックスが出来る方が良いということ?

うーん、私はドランクドラゴンの塚地さんが大好きですが、だからと言って【塚ちゃんロボット】を作りたいとは思わない!ましてやイケメンロボットもいりません(笑)。

私、Pepperくんの真っ黒な大きな瞳を見つめるのだって本当に怖いんですよ。だって、なんだか・・・人間ではないものに覗き込まれる時、居心地の悪さというのか、何か得体の知れない"違和感"のようなものをゾクゾクっと感じるんですよ。あぁ、私は「不気味の谷」を越えられないんだわ・・・・


だから「人工知能を搭載しているのなら外見は人間でなくてもいいのになー」と個人的にはずっと思ってきました。無機質な外見でありながらユーモア満載の『インターステラー』のTARSや、形作るとしても『スターウォーズ』のC-3POか『素敵な相棒 ~フランクじいさんとロボットヘルパー~』といった完全ロボット型で十分なのにな。だって、どんな"思考"を巡らせているかも解らないような目を見るのは、本当に怖い。




一方で、身体を鍛え抜いている社長ネイサンの"肉体の誇示"がとても印象的でした。

ネイサンは強靭な肉体に拘るんですね。
彼が持つのは、他者を力で服従させることのできる強さからくる「支配欲求」の表れなのでしょう。そして内気なケイレブが持つのは、弱い者を守りたいという「保護欲求」。いずれも、男性が持つ心理的欲求の象徴のように思えました。







ところで、AIたちが織りなす問題 ―― そこに"意識"は生まれるか?自己を認識することはあるのか?――といった、これまでも映画や小説の中でも繰り返し語り尽されてきた『2001年宇宙の旅』のHAL9000の反乱や、『ブレードランナー』のレプリカントたちが抱える苦悩、そういったテーマに関しては『エクス・マキナ』という映画ではさほど目新しさを感じることはありませんでした。


でも。
この映画の先にあるもの。
私が怖かったのは、この先の話。


設定された目標を試行錯誤の末に"クリア"した彼女が、今度は外部の人間と接することで更に膨大なデータを蓄積し、複雑な反応を習得し、習熟していったとしたら・・・・



exmachina06.jpg
エヴァは人間に対し、どう接するようになると思いますか?








人間の感情は、複雑な"揺らぎ"を持っています。

意外性のあるものに心惹かれたり、感情に溺れたり、本心とは裏腹の行動をとってみたり。"正しいこと"と理解していても"正しい行い"が出来るとは限らないし、"悪いこと"と思いながらもそれを止めることの出来ない弱さを抱えたりもします。

この白黒つけられない曖昧さや矛盾など、揺さぶられやすい脆さを持つのが人間らしさだと思うのです。


そんな複雑な人間の感情を、人工知能が外部要因からの刺激として記号化し、分析し、無数の組み合わせからなるあらゆる感情表現をパターンとして導き出せるようになったとしたら・・・・



そこに生まれるのは、
きっと人間がまだ経験したことのない未知の感情
人間には到達しえない、もっと何か別の知性


今、現実問題として人工知能は「ディープラーニング」を通して人間の予想を遥かに上回るスピードで進化し続けています。「人間とは何か?」という問題を定義できなければ【自己の思考を認識してしまった人工知能】に対して、きっとヒトは飲み込まれていってしまう。

それは、どこまでいっても、何が起きても、人間のエゴから生まれた"悲劇"にしかならない気がするのです。






≪※この部分、ネタバレ注意です!≫

エヴァは"目的"を達成するために女性性を利用するという正しい選択をしました。

興味を引き、共感を得、同情を引き、名前を呼び、瞳を覗き込み、微笑み、ささやき「"きみ"は素晴らしい」「もっと"きみ"を知りたい」と思わせる。

そこには"感情"などは存在せず、ただ膨大なデータの中から人間の行動理論に基づいた基本を忠実に再現したまで。

その行為がたとえ"模倣"であったとしても、エヴァは感情表現を繊細に表すことで心理面で人間をコントロールし、支配していくことは十分に可能だったのでしょう。人工知能に"肉体"を与えたことで人間の"感情"を奪うことを可能にしてしまったなんて、人間にとっては皮肉な話ではありますね。人間とは、なんと揺らぎやすいものか!

魅惑的な外見の女性にあっという間に心惹かれてしまう男性たち、要注意ですよー!・・・あ、これは、相手がマシンじゃなくても気を付けるに越したことはない話ですね(笑)。







ここからは余談です

映画や小説、ドラマでも、人造ロボットやAIが主役なり端役なりたくさん出てきますね。

メトロポリス [DVD]

新スター・トレック[DVD]


高校生の時に観た『メトロポリス』という古典映画で頭をガツンとやられ、米国ドラマ『新スタートレック』のアンドロイド、データ少佐が人間の"感情"を学んでいこうとする健気さに心奪われて以来、私は「人工知能を持つロボットの話」に魅了されてきました。

ほんと弱いんですよ、この分野。

これらAIロボットの物語には、全力で主人公を救おうとしたり、時には自身を犠牲にしたり、また記憶を失うといった"悲しみ"がどこか付き纏うのです。『ターミネーター2』とか、あと「ドラえもん」もそうかしら。この辺りの魅力が私には堪らない。

ALMOST HUMAN / オールモスト・ヒューマン DVDコンプリート・ボックス


最近では、"心"を持つ高性能アンドロイド刑事と、心に傷を持つ人間の相棒刑事とが織りなすエピソードが毎回心に残った米国ドラマ『Almost Human/オールモスト・ヒューマン』が大好きでした。とても上質なSFドラマで勢いもあったのに資金面の困難で打ち切りになったなんて本当に残念!






【人型ロボット】についても興味深い記事があったので、少し古いのですがここに紹介しておきたいと思います。

「昨年、講演などのためドイツやオランダに行きましたが、先方から、『技術の話は半分ぐらいにして、残りの半分は日本だけなぜこんなに人型ロボットが多いのかについて話してくれ』と言われました。やはり向こうでは、『人を創るといった神と同じ行為をやってはいけない』というキリスト教の影響が根底にあり、人的な形をした自動機械に対して、まだ根底的に抵抗感があるなと思いました。
>なぜ、日本の研究者は人型ロボットを作るのか【nippon.com】


人間の定義は「機械 ( テクノロジー ) プラス何か」なのです。しかし、その「何か」がはっきりと分かっていないために、新しい機械が現れると常に「人間とは何か」という哲学的問題にぶつかるのです。このため、ロボットが進歩するたびに人間との差異を定義し直すのです。 (中略) 西欧では「フランケンシュタイン・コンプレックス」㊟1に現れるように神話や伝説で人間が人工のものを造ろうとすると必ず、大問題が起こります。神に助けを乞う場合は辛うじて大丈夫ですが。ギリシア神話でもピグマリオン㊟2がそうです。
ロボットから人間を考える【swissinfo.ch ― スイス公共放送協会(SRG SSR)国際部】 
㊟1:神に代わって人間やロボットといった被創造物を創造することへの憧れと、その創造物によって創造主である人間が滅ぼされる恐れ。 ㊟2:キプロス島の王がガラテアという理想の女性を彫刻し、アフロディテが彫像に生命を吹きいれ、ピグマリオンが妻として迎える。




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  2016/06/13 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

『ニュースの天才』 (2003/アメリカ)

   ↑  2016/06/06 (月)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー







●原題:SHATTERED GLASS
●監督:ビリー・レイ
●出演:ヘイデン・クリステンセン、ピーター・サースガード、クロエ・セヴィニー、スティーヴ・ザーン 他
●アメリカ大統領専用機エアフォースワンに唯一設置され、アメリカ国内で最も権威ある政治雑誌と評される「THE NEW REPUBLIC」のスタッフ・ライター、スティーブン・グラス。彼は同誌でスクープ記事を連発、かつ同僚たちからも人望の厚い若きライターだった。ところがある事件がきっかけとなり、なんと彼が書いた記事が"捏造"ではないかとの疑いが出始めるのだった・・・。製作総指揮にトム・クルーズを据え、アメリカのマスコミ界に衝撃を与えた人気ジャーナリストによる記事捏造事件をもとに映画化された話題作。






実際に起こった事件という衝撃性と、「天才」という邦題からして一体どんな風に人々を欺いたのか!?とワクワクして観たのですが・・・

鑑賞前の期待はあっさりとかわされました(良い意味で)。
もうワクワク感なんて木っ端微塵。それより何より、主人公のあまりにアンバランスな精神性に私の心は氷漬けですよ。

主人公Steven Glassの名前からとったであろう 原題:SHATTERED GLASSが確かにこの映画の核心を物語っているんですね。通常の意味としては「粉々に壊れたガラス」ですが、"Glass"にはもともと「輝く」という原義があるところがまた泣かせます。







スティーブンという人は、真っ黒な腹があって意図的に情報や周囲の人々をコントロールして騙していくタイプではありません。自信満々な「嘘」を貫いていくというよりも、無意識に作り出す「空事」の中に自分自身さえも埋没させてしまう人物として描かれています。

だから観終わった後、ゾッとするような寒々しさが胸の奥に落ちていくんだと思います。

邦題で「天才」とか言ってる場合じゃないですよ。
だってこの映画は、おそらく「ニュースやメディアが言っていることは常に正しいとは限らないんだ!(by トム・クルーズ)」ってことを言いたかったのかもしれませんが、“メディア界に衝撃を与えた事件”というよりも現実から乖離している人間の精神のアンバランスさの方が怖かった。こんなの怖いに決まってるわ。




周囲の人々への気配りを忘れず、安心感を与え、常に謙虚で礼儀正しく誰の目にも魅力的に映る人物が、自分で作り出す妄想や虚言を信じ込む異常さ。泣いて同情を求め、哀れを止めることに迷いのない愚かさ・・・・。彼を拍手で迎え、憧れのまなざしで見つめる母校の生徒たちや恩師の“温かな姿”の恐ろしさといったら、もう。

すごく可哀想な顔をして "Are you mad at me?"(ぼくのこと怒ってる?)なんて、もー!

彼の精神がそのようになってしまった下地は、恐らくそう特別なものでもないのかもしれません。この現実世界において、そういった傾向の人間に当たってしまうこともままありますもんね・・・。見抜けるか、絡めとられるか。それが私には怖かった。






他方、「記事が捏造だった!これは問題だね!衝撃だー!!」というこの作品の側面については、別に衝撃でもなかったです。これだけ情報の溢れている現代、情報操作があることも偽装があることも皆知ってますって。もう驚くことでもないでしょう。ソースや記事自体の正確性や信憑性、公平性なんかのレベルについては、それを取り扱う各メディアで十分検討・検証・確認してくれっていうだけの話ですもんね。


つまりこの映画は「仕事をする時には、上司や同僚に【報告、連絡、相談のホウレンソウ】を大事にしようね!」っていう話です(笑)。

ともあれ、なかなか考えさせられる作品でした。
脇を固める個性派俳優たちの共演も見応えがあり、欲を言えば、メディアの裏側というよりもスティーブン・グラスの人間性の方にぐいぐいフォーカスを当てていってもらえた方が個人的にはもっと面白かったかな?と思います。




『ニュースの天才』のその後・・・も、結構スゴイことに。


『ニュースの天才』という映画に関してインターネット上の日本語の記事を辿っていくと「その後、グラス氏はロースクールに通っている」というところで映画も終わっているせいか「彼は弁護士になった」というものばかりが出てきますが、実はそれって誤りなんです

映画の話ではないですが、ネタもとはきちんと確認しなくてはいけませんね。


Glass.jpg
Serial liar Glass can't be a lawyer 2014年1月24日 CNNより 
↑韻を踏んだすごくいいタイトルだと思う(笑)

スティーヴン・グラス氏は、確かにロースクールを卒業して学位は取得したものの、ニューヨーク州の司法試験(Bar Exam)では審査委員会から過去の捏造事件の数々を理由に道徳的な適性がないとして審査を拒否され、2006年にはカリフォルニア州の司法試験にもパスしましたが、弁護士としての資質がないとみなされました。

その後ずっと再審請求をし続けたグラス氏に対し、2014年カリフォルニア州最高裁は「司法につく人間としての適性なし」という厳しい判決を下しました。つまり、グラス氏は弁護士としての開業はできないのです。
California Denies Scorned Journalist Stephen Glass Right to Practice Law【The New York Times】
Court denies Stephen Glass admission to the California bar【Washington Post】


で、現在は?といいますと・・・
ビバリーヒルズにある「カーペンター、ザッカーマン&ローリー法律事務所」という事務所で"Trial Team Coordinator"としてお仕事されていらっしゃいます。数々の証拠をでっち上げた人が、証拠を扱う仕事をするなんて!なんという皮肉なんでしょうねぇ。ま、もともと優秀な方ではありますし、事務所的には話題にもなるんでしょうが。







一方、当時「THE NEW REPUBLIC」で彼の記事の不自然さに気づき、真実を追求しようとしたことから編集部内で孤立してしまったチャールズ・レイン氏。彼は現在、ワシントン・ポストやFOXのニュースチャンネル等でジャーナリストとして精力的に活躍中。
Charles Lane / Opinion writer【Washington Post】

ジャーナリストとして力強い人生ですね。




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  2016/06/06 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit