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『僕たちのバイシクル・ロード~7大陸900日~』 (2010/イギリス)

   ↑  2011/10/29 (土)  カテゴリー: ドキュメンタリー、アニメ





僕たちのバイシクル・ロード~7大陸900日~ [ ベン・ウィルソン ]


●原題:FREE WHEELS EAST
●監督、撮影、音楽:ジェイミー・マッケンジー、ベン・ウィルソン
●出演:ジェイミー・マッケンジー、ベン・ウィルソン、ジャック・ウィルソン
 ナレーション:ピーター・コヨーテ
●大学を卒業したばかりのいとこジェイミー・マッケンジー(当時27歳)とベン・ウィルソン(当時25歳)は、イギリスのブルックファームを旅立ち、英仏海峡フェリーに乗ってフランスに向かった。それは、飛行機に乗らずに自転車だけで7大陸を走破するという3年におよぶ壮大な旅のはじまりだった。彼らは長距離旅行をした経験もなければ、ガイドブックも、さしたる大金も持っていなかった。だが、彼らは世界中を心ゆくまで見てみたいという好奇心と、何かを成し遂げたいと湧き上がる冒険心、そして今しかできないという焦燥感に突き動かされ、大きな夢を実現させようとしていた・・・。(Gyao!作品内容より抜粋)



Gyao!のオンライン試写会にて鑑賞。いつも感謝感謝、です。


目標は「7大陸走破」、飛行機での移動なし。
イギリスを出発し、フランス、ドイツ、ロシア、中国、タイ、ミャンマー、シンガポール、オーストラリア…。大草原での深呼吸、南極でのペンギンとのサイクリング、待ち受ける感動のゴール……、33か国、900日をこえる旅で彼らが体験し、得たものとは? そしてその旅で2人の若者はどんな変化と成長を遂げるのか?


↑と、解説に書いてあったんですけれども・・・・公開前のレビューで作品に水を差す気はないのですが・・・。ま、別に配給会社から褒めてくれ!と言われたわけでもないですし、こんな小さなブログでもありますので、私なりに正直に、というかかなり辛辣になりそうでコワイですが珍しく今日観た勢いそのままでレビューを書いてみたいと思います。






まず、このお坊ちゃんたちは世界をナメとんのか!?と(笑)。

ノーヘル&サンダル履きで世界を周るとは誰も考え付かなかったでしょう。しかも途中参加した弟のジャック君はママチャリに乗っています。・・・こういうのを真のチャレンジャーとでも言うのでしょうか。

この若者たちは恵まれているんだなぁ、豊かなんだなぁと心から思いました。
自分の人生に足りないものが何なのか?それを求めようとしている、正にその人生そのものが一体どれほど幸せなものか、気付いていないのでしょう。幸せだからこそ「足りないものが何なのか」分からないとも言えます。貧しさから脱出したい、もっと学びたい、働いて金持ちになりたい、本当に何かを得たい人は「足りないもの」を知っています。ま、もともと人生なんて足りないものだらけでいいはずなのに、現代のある程度経済の発達した国のほどほどに豊かな人々はそれを追い求めようとするわけです。幸か不幸か。

あれ、ちょっと話が逸れましたが・・・
でも、彼らは世界のどこかしこも自然豊かでキレイに舗装された道がどこまでも続いていると思っていたのではないのだろうかと、私は本気で考え込みました。

「世界を見てみたい、世界に飛び込んでみたい」「ガイドブックに頼らない気ままな旅をしたい」と言う彼ら。こういう旅は「準備」をした者だけが許されるものなんじゃないかと、オトナになってしまった私は思うんですよね。だって、近所の5丁目くらいまでチャリンコで冒険しようぜ!とかいうレベルじゃないんですから。行く先々は外国。言葉も文化も歴史も自分たちのそれとは異なる場所で、紛争地帯や危険区域だってあるかもしれないわけです。






そう、言葉の問題を考えていないのも、英語圏特有の世界観かもしれないと思いました。英語が万能だと思っているからなんでしょう。だから、中国の山奥で全く言葉は通じなかったことに何か教訓を得たのかなと思いきや、とにかく英語でゴリ押し

途中ケガや資金不足、病気などのトラブルを経験した二人がこれで「生」を実感したのかな!?と思いきや、アメリカに入ってからテキサスにあるマクドナルドでこう言うんですね。

「たった2ドルでソーセージのマフィンとコーヒーを好きなだけエアコンの下で飲める。こういう息抜きが僕達には必要だった」

飛行機を使わずに一万三千キロを走破して33ヶ国を訪れるという過酷な旅の中では息抜きが必要であり、文明的な場所を求めたい気持ちはよく分かります。どんなにか安心することでしょう。しかしですね、思うのはそれだけなのか!?と、他人には厳しいオバチャンは思うわけです。結局はどんなに厳しい環境を走っていても、それは「ツライ道を自転車で頑張って走り抜けるボクチャンたち」でしかないんですね。





なぜ大気汚染による粉塵が舞う道路があるのか?
危険な山崩れの中でも金を払えば人の荷物を背負って渡ってくれる人がいるのはなぜなのか?
たった2ドルでこれだけ食べられる国って何なのだろう?とか。
この映画ではそういった話にまったく言及されません。

人は、その人が持つフィルターを通して世の中を認識・体感するものなのでしょうが、彼らにとって"世界を見る"とは一体どういうことなんだろうか。しまいには、タダで乗せてもらっている船の中でやることもなくツマラナくなってしまい、気が狂いそうになった!と言うこの若者たち。「世界の今」を報告しろとは言いませんが、それにしても彼らは一体「世界」の何を見たのだろうか?と。結局はただ、レールが敷かれたように見える社会に出るのが怖くて、日常を避けるだけの冒険ごっこをしたかったのではないかとさえ、思ってしまうのです。






ともあれ、彼らは二年半かけて世界を周りました。
その粘り強さや冒険心、従兄弟という相棒との固い絆、常に前進しようとするひた向きな思いには正直脱帽です。画面をただ眺めているだけの私よりはずっとずっとエライことです。ここまで遣り切るには、やはり若者特有の無謀さがなくては叶わぬことです。彼らの冒険とは、これらのハードな体験を通じ、恵まれた日常で決して味わうことの出来なかった自分自身との対峙だったのかもしれません。きっと、彼らが得たかったことはそれなのでしょう。この旅もそうやって終わるのです。


私は彼らとは違い、30代で女性で子どもがいて仕事があって、すべてを投げ打って大冒険をするようなパワーや勇気は日常ではそう沸き起こりません。ただ思うのは、私も10代、20代の時には(今に比べれば)遥かに無知で無防備で根拠のない自信を持ち、まるで世界は自分のためにあるような、怖いもの知らずだった時代が確かにあります。きっと旅先でも自分勝手で思慮の足りない行動をしていたことでしょう。今思えば、本当に恥ずかしいものです。この映画を観て、何故だか私はその頃の自分のことを思い出しました。この旅のことを、数十年後の彼らはどう思うのでしょうか。私の興味はそちらにあります。







■追記
私がこの映画を観ている間、ずっと頭にあったこと・・・それは、作家の戸井十月氏が世界五大陸をバイクで走破した『五大陸走破行』でした。勿論、自転車とバイクではその馬力も、旅する人間の年齢も経験も全く異なるわけですから単純に較べることはできません。

道、果てるまで [ 戸井十月 ]


「道、果てるまで ユーラシア横断3万キロの日々+4大陸10万キロの記」 著:戸井十月 【新潮社】

求めるものが人それぞれ異なるように、旅とはきっと言ってしまえば「自己満足」なものなのでしょう。・・・とはいうものの。旅する人の目的、視点、人生観など。本当に人それぞれですね。




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