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『シャンハイ』 (2010/アメリカ)

   ↑  2011/08/19 (金)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー





シャンハイ スペシャル・エディション【Blu-ray】 [ ジョン・キューザック ]


●原題:SHANGHAI
●監督:ミカエル・ハフストローム
●出演:ジョン・キューザック、コン・リー、チョウ・ユンファ、渡辺謙、フランカ・ポテンテ、菊地凛子、デヴィッド・モース 他
●1941年、太平洋戦争開戦前夜の上海。友人の死の真相を追うアメリカ人諜報員ソームスが、やがて米国、日本、中国など各国の巨大な陰謀に巻き込まれながらも、危険な愛に踏み込み、己の信念をかけて生き抜いていく様を描いた豪華出演陣による歴史サスペンス。



今回もまた【Gyao】さんのオンライン試写会にて鑑賞です。

監督はスウェーデン人のミカエル・ハフストローム。脚本はイラン出身のホセイン・アミニ。
主な出演俳優は、アメリカ人のジョン・キューザックとデヴィット・モース、中国人のコン・リー、香港出身のチョウ・ユンファ、日本からは渡辺謙と菊地凛子、ドイツ人のフランカ・ポンテなどなど・・・まさに国際色豊かな豪華キャストが結集した歴史サスペンス超大作映画、といったところでしょう。


この壮大な映画の撮影は、現存するアールデコ調の邸宅などを使った美しい室内でのシーンは主にイギリスで、その他3カ月にも渡って組んだという当時の上海を忠実に再現した大掛かりなオープンセットでの撮影はタイにて行ったとのことです。

しかもこの映画のクライマックスとも言える"あの圧倒的なシーン"の撮影では、なんと数千人規模の中国人・日本人のエキストラを使われているのだそう。合成に頼ることのない迫力と緊迫感のある映像です。当時の人力車も用意されたり、車やトラックはタイ中から時代とマッチした様式のものをレンタルし、ニュージーランドからは本当に使用されたという当時の火器を取り寄せたといいますから、これだけでもこの映画の規模がいかに壮大なものかを窺い知ることができます。【映画「上海」公式サイト】プロダクションノートから一部抜粋





映画『シャンハイ』では、中国・アメリカ・日本・ドイツなど各国の陰謀渦巻く妖しくも危険な"魔都"上海を舞台に、様々な形の男女の愛の物語がフィルム・ノワール調に紡がれていくのが魅力の一つなのですが、これら成熟したオトナのラブストーリーが、どこかストーリーラインを急いで追っているだけのような・・・・個人的にとても惜しい印象を受けました。歴史スペクタクルの中でのラブストーリーを得意とするホセイン・アミニの脚本によるところが大きかったのでしょうが、人間関係が複雑に絡み合う中で濃密な時間を共有していく男女のラブストーリーを、105分という短時間で完全燃焼させるのは難しかったのではないかと思います。

ただ、映画開始後一時間が過ぎたところでようやく登場する主要人物たちの輪がグルッと繋がるのですが・・・・中国側の裏社会を牛耳るアンソニー・ランティンとその妻アンナ、アメリカ情報部諜報員のポール・ソムズ、ソムズの友人でドイツ領事館付技師を夫に持つドイツ女性レニ、アメリカに情報を流す日本人キタ、日本軍情報部のタナカ大佐、ソムスの友人で何者かに殺されたコナー、コナーの恋人だった謎めいた日本人女性スミコなど・・・これだけの人間関係をタイトによくまとめられたなぁと感心してしまったのも、もうひとつの正直な感想です。



ですから、急ぎ足気味の展開の中でも、男女の間に生まれる愛おしさや寂しさ、嫉妬や後悔の表情などをほんの一瞬の間に見せることのできる俳優陣のレベルはやはり高いものなのでしょう。例えば(『ラン・ローラ・ラン』や、マット・デイモンの"ジェイソン・ボーン"シリーズで有名なドイツ人女優)フランカ・ポテンテが、男女関係の底にあったものを知った瞬間の心の動きを瞬き一つで表現するシーンなど・・・こんなにしっとりとした演技をする女優さんになっていたのだなぁと見惚れてしまうところがありました。これはチョウ・ユンファにしても同様なのですが、それだけにもっと各々に見せ場があれば本当に絢爛豪華なストーリーになっただろうな、と思うのです。




そしてやはり日本人としてこの映画を観る時に気になること、それは日本軍による蛮行極まりない残酷な行動描写でしょう。巨大な悪の象徴の如く描かれています。

「日本映画と違って、ハリウッドで歴史的な作品を作ると世界中に配信されるので、その国が持っているバックグラウンドにどうマッチしていくかが明らかに違う。本作は中国や韓国ではすでに公開されているんですが、自分の役は果たしてどう受け入れられるのだろうかというある種の怖さと興味がある」 渡辺謙&菊地凛子「シャンハイ」舞台あいさつ【YOMIURI ONLINE】より一部抜粋

脚本にもキャラクターにも共感は得られなかったそうだが、スウェーデン人のミカエル・ハフストローム監督と議論を闘わせ、撮影を経ていく中でストーリーのカギを握るミステリアスな役を積み上げていく作業は新鮮だったと振り返る。 シャンハイ インタビュー: 日本映画界のトップランナー・渡辺謙、果てなき俳優としての夢【映画.com】より一部抜粋

日本軍人役としてこの映画で大きな役割を担った渡辺謙氏がこのように語っている通り、複雑な心境があったのは本心なのかもしれません。米中合作ということもあり、私自身も登場する日本人のキャラクター像に偏りがあることも気になった点でした。しかし、物語が進む方向へは1つの"視点"が必要となるため「映画作品」の中でのミステリアスな存在感を貫き通した氏の『シャンハイ』に対する姿勢は確固たるものがあったのだなぁと感じました。インターナショナルな舞台で活躍する場合、歴史観や政治的立場など、バックボーンの異なる人々との間で芸術とどう向き合い表現に繋げていくかが大きな課題にもなってきますね。日本人として、色々と考えさせられる作品でもありました。



それにしても、カタコトの日本語エキストラの声が聞こえてくる場面が多いので、一瞬緊張感が途切れてその棒読みスタイルに笑ってしまいそうになる瞬間が多々あるものの、やはり最後はケン・ワタナベの圧倒的な眼力がモノを言う映画でした。これは本当に凄まじかった!ジョン・キューザックだって逃げ出したくなりますよ(笑)


・・・最後にひとつだけ。
菊地凛子さん演じるスミコの出番は予告編で観るほどないのですが、彼女が登場する最後のシーンで少しだけ考えてしまいました。スミコはどうして"彼"の頬に手を伸ばしたのだろう、と。この映画のキャッチコピーは「そこは、愛が命取りになる街」。駆け足気味で細部に関してやや説明不足な物語だけに、自分の中で様々に想像を巡らすことのできる作品でもありました(おぉ、うまくまとまったなぁ笑)。

シャンハイ@映画生活



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