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『ロープ』 (1948/アメリカ)

   ↑  2011/07/19 (火)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー



ロープ/ジェームズ・スチュアート[DVD]【返品種別A】


●原題:ROPE
●監督:アルフレッド・ヒッチコック
●出演:ジェームズ・スチュワート、ファーリー・グレンジャー、ジョン・ドール、セドリック・ハードウィック、コンスタンス・コリアー 他
●あるアパートの一室で、フィリップとブランドンは大学の同級生を殺害する。その後、死体を衣装箱に隠して被害者の周囲の人々を招き、パーティが催されるのだが・・・。1924年にシカゴで実際に起きた「ロープ&レオポルド事件」に基づくパトリック・ハミルトンの戯曲の映画化。ヒッチコックが映画内の時間進行と現実の時間進行をリアルタイムに進めながら描いた実験的作品。



当時では前代未聞の「1リール分(約10分)を1ショット&編集ナシ」で撮っているという、この撮影方法だけでも話題になった面白い作品です。先日BSで放映されていたのを母が観ていたのですが、私も懐かしくなって【ヒッチコック コレクションBOX】にて再見。特典映像にあるメイキングで「フィルム交換をする時には、誰かの背中を大写しにして画面を真っ暗にしたが、かえって目立ってしまった・・・」という脚本家(アーサー・ロレンツ)の正直な感想には笑ってしまいました。た、確かに・・・(笑)。

常識破りの長回し撮影のため、カメラと俳優たちの動きを書き込んだ大きな黒板の助けを借りながら、撮影が行われた。「床にまで印が書き込まれ、25番から30番までと数字を書いたカメラが10分間の撮影を終えると、次のカメラと入れ替わるという感じだった」とヒッチコックは回想する。「壁はすべてスライドして、狭いドアの間をカメラが役者を追って通れるように作ってあった」。

カメラの動きを滑らかにするため、テーブルや椅子は常に小道具係によって並べ替えられた。「最大の問題は」とファーリー・グレンジャーは言う。「座ろうとしたときに、お尻の下に椅子があると信じる他ないことだった。小道具係が間に合うことを祈るしかないんだ」
【ヒッチコック・コレクションBOX I [DVD]】(ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン(株) )解説ブックレットより一部抜粋

ヒッチコック監督は、これらの"仕掛け"に夢中だったといいますから、奇才についていくスタッフやキャストは本当に大変だったことでしょうね。ヒッチコック作品は映画自体も面白いのですが、作品の舞台裏の方がもっと興味深かったりしますね。





それと、今まで私はまったく気づいていなかったのですが、実は『ロープ』には「同性愛」というテーマがベースにある、ということでした。そうだったのか・・・・・。

しかし、当時は教会などの意見が強くて検閲も厳しかった時代だったため『ロープ』でも言葉ではほとんど表されず、また暗示もされていないとのこと(前述の脚本家ロレンツのインタビューより)。「それが君の魅力だけれど」というようなセリフがあったり青年二人で旅行する、など暗に匂わせる表現は微妙にあったりしましたが、それでも人気俳優のジェームス・スチュアートが重要な役で出ており、世間もそこまで追及したり疑るようなことはなかったようです。それに、スチュアート自身もそのような立場を意図をせずに演技したようなので、本来の性的な部分は作品からは失われているのだそうです。ただふと気が付いたのですが・・・いつもはブロンド美女を使いたがるヒッチコック作品なのにこの映画に関しては「ブロンドは美男子だけ」という点。少し暗示的で面白いなと個人的に思いました。

それにしても、まだまだ保守的な観念が強かった1940年台のアメリカにおいて、若者による無軌道な殺人、そしてホモセクシュアルなどをテーマにした映画はかなり刺激的なものだったのではないかと思われます。

裕福で知的な若者が「自分たちは優れた者であり、劣った者を殺すのは当然の権利」という理由で友人を絞殺し、衣装箱に死体を隠す。そして、その衣装箱をテーブルにして殺した友人の家族や恋人を招いたパーティを開くという・・・今観てもとても悪趣味でコワイお話ですよね。

観る側は「あの中に死体が入っているんだ」と知っているだけに、ちょっとした会話や動作からもたらされる気味の悪さやスリルが増していきます。何といっても、メイドの女性が次々とテーブルの上を片づけを始め、箱を開けようとするシーン(画像右)の恐ろしさといったらありません。それこそ、うわぁぁぁぁ!!と思わず慌てふためいてしまうほど良くできた、とんでもないシーンです。プロットが非常にシンプルなだけに「見つかるのか?逃げ切るのか?」という単純な恐怖心を煽ってくる、技巧以外においてもよくできた作品だと私は思います。




そして、この映画。予告編もとても変わっているんです。

物語の冒頭で殺される青年デイビッドが恋人と登場し、公園で語り合った後に「またね」と言って別れるシーンが・・・つまり、本編には一度も出てこない映像を使って構成されているんです。この青年に「またね」は二度とないのですが「さぁこの後は映画本編でお楽しみください!」と言わんばかりの、内容を知りたくなってしまう心をくすぐる巧い予告編です。

ヒッチコック監督は若い頃にドイツの国策映画会社UFAの撮影所でセットデザイナーをしていたことがあり、裏方の仕事に通じていたといいます。どこに何を置くのか?どんなレンズを使うべきか?映画作りの現場におけるすべてを知り尽くしていたヒッチコックが、映画作品を作り上げることがいかに楽しかったことか、この『ロープ』を観るとそれが手に取るようにわかる気がします。

ヒッチコックの作り出す恐怖のジェットコースターは、やはりいつの時代になっても何度もトライしてみたくなる魅力がありますね!

ロープ@映画生活



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