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『チェイサー』 (1977/フランス)

   ↑  2011/07/26 (火)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー





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●原題:Mort d'un pourri
 英題:DEATH OF A CORRUPT MAN / THE TWISTED DETECTIVE
●監督:ジョルジュ・ロートネル
●出演:アラン・ドロン、モーリス・ロネ、ミレーユ・ダルク、ステファーヌ・オードラン、クラウス・キンスキー、オルネラ・ムーティ 他
●親友フィリップから政財界を揺るがす黒幕の暗躍に巻き込まれたことを告白された実業家グサヴィエ。やがて親友は殺され、クサヴィエは殺人事件の容疑者にされるも親友を殺した犯人への復讐を胸に秘めながら、事件を解明する鍵となる文書の存在を武器に腐敗した政財界を揺るがしていく・・・。





この↑スタン・ゲッツのクールで渋いテナーサックスの音色が、この映画のトーンを完璧なまでに決定付けています。私は音楽にはまったく詳しくはないですし、特にジャズはプライベートで聴くこともないという人間で、しかもフランス映画は苦手なカテゴリー、おまけにアラン・ドロン作品はまだまだ未見のものが多いという、この映画を十分に評価できる知識が自分には何一つないという状態で鑑賞したのですが、これがかえって功を奏したと言いますか・・・沁み込むように映画の世界に入り込んでしまいました。だってサックスが泣いている・・・!

プロットだけみれば、これは幾度となく近年のハリウッド映画などで何度も焼き直されている【巻き込まれ型(この映画の場合は一種の飛び込み型か?)+政治サスペンス】分野なので、残念ながら公開当時ではなく今の時代感覚で観てしまうと、そのあらすじは予想通りのキャラクター登場とストーリー展開ではありました。が、それを補って余りあるほどに漂うノワール色の緊張感、ドロンのダンディズム、そして緻密で優美な音楽と映像の心地よさは、この時代のフランス映画を味わうにあたっての醍醐味なのかもしれません。美しい娘には一本たりとも指を触れず(ハリウッドなら必ずロマンスを入れそう)、友情のために腐った政治家たちを突き放しては翻弄していく、目に疲れを滲ませた表情のアラン・ドロンの美しさと女には入る隙のない世界観にはグッとくるものがあります。




また、この映画の脇を固める俳優陣もなかなか渋いのです。
フィリップの妻クリスチアーヌを演じたステファーヌ・オードランは、なんとあの『バベットの晩餐会』(1987/デンマーク)のバベット!! かのデンマーク映画の時とはまるで対極の、金と欲にまみれた寂しい中年女を演じています。女優ってすごいですね。こわいですね。

また、不安と悲しみがその輝くばかりの美しさを曇らせるフィリップの愛人ヴァレリー役のオルネラ・ムーティ。その可憐さのために、彼女が登場するとカメラが霞みがかるほど(ソフトフォーカス)でしたが、彼女の幼気な佇まいはドロンの実生活でのパートナーだったミレーユ・ダルクを霞ませるほどで、この映画の中でただ一つ、汚れのない純粋な存在感を放っていた気がします("愛人"だったという話は置いておいて・・・)。圧倒的な美しさでした。


そして、国際的コングロマリットの社長であるトムスキーを演じたクラウス・キンスキー。私は彼が出てくることを全く知らなかったため、何気なく登場してきた時はそれだけで驚愕でした。ルドガー・ハウアーの狂気にウィレム・デフォーの顔がのったような強烈な存在感のある俳優なので、"狩猟"の場面では何をしでかしてくれるのか恐ろしいほどでした。彼の登場による期待が膨らみ過ぎたためか、もっとラスボス的な役割を果たし切って欲しかったところですが・・・アラン・ドロンとの共演を観られただけでも贅沢なのかもしれませんね。



邦題は「チェイサー」ということで=追う者、追撃者という意味となるわけですが、久々になかなか奥の深い日本語タイトルだなぁと思いました。フランス語や英語タイトルでは、フランス社会を覆う汚職を暗にイメージさせるものですが、「チェイサー」というと実際追っているのはどちらなのか。何を追っているのか。思わず考えてしまいました。アラン・ドロン演じるグザブがずっと追っていたものは・・・。

フランス政財界の内幕を暴いたラフ・ヴァレのベストセラー小説がベースとなっているそうですが、微かに残る"希望"が見出されているところが粋でもあり、単に政治腐敗の構造を糾弾する作品だけに終わらなかったところがフランス映画、アラン・ドロン映画の味わいなのでしょうか。たまには70年代フランス映画の匂いに痺れてみるのもいいものですね。

チェイサー@映画生活



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  2011/07/26 | Comment (0) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

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 2017/01/03