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『あゝ結婚』 (1964/イタリア)

   ↑  2011/02/01 (火)  カテゴリー: コメディ




【DVD】あゝ結婚ソフィア・ローレン [OPSDS-889]


●原題:MATRIMONIO ALL'ITALIANA / MARRIAGE ITALIAN-STYLE
●監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
●出演:ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、アルド・プリージ、ピア・リンドストロム、ヴィト・モリコーニ、マリル・トロ 他
●経営する菓子屋のレジ打ちの娘ディアナとの結婚を控えた金持ちの道楽息子ドメニコの元に、突然の知らせが。彼の内縁の妻だったフィルメーナが倒れ、瀕死の状態だという。ドメニコは彼女との出会い、そして今日までの日々を回想する・・・。名匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督&S・ローレン&M・マストロヤンニの名物トリオが、前作『昨日・今日・明日』(1963/イタリア・フランス)に続いて放ったナポリの人情喜劇『ああ結婚』。





映画『あゝ結婚』は、冒頭からナポリの街並みが次々に映し出されます。
私はこれだけで胸がズキューン!サンタルチアの海岸通り、プレビシート広場(Piazza Plebiscito)といった名所が見えれば、これはナポリが舞台ですよ~ナポリの人情物語ですよ~!と言っているようなもの。ウキウキしてしまいます。今から50年近くも前の映画なのに、私が知っている風景とほぼ変わらないというのも驚きですが、これは「石の文化」がもたらす功績なのでしょう。

因みに主人公たちの住まいは、ジェズ・ヌオーヴォ教会広場(Piazza Gesù Nuovo)の西側に立地する館に設定されています。人々がそこで何やら大騒ぎしているシーンから、この映画は始まるのです。





まずこの映画の魅力。それは何と言ってもナポリの方言、つまりナポリ弁とも言えるかもしれません。


気取ったマストロヤンニ演じるドン・ドメニコの回想シーン。

彼に誘われて若い頃のフィルメーナが車に乗り込むのですが、そんな恰好では競馬場には連れてはいけないよと言うドメニコに対して「Ahh...capisco(あぁ、わかるわ)」と彼女は言うのです。Sの発音がシャやシィになるナポリ弁は、capisco(カピースコ)がカピーシィコ。それじゃあ服を着替えに家に戻るから一緒に行きましょうよ!と言うのには、標準語「Andiamo(アンディアーモ)!」ではなく、フニクリフニクラで日本でもご存知 jammo(ヤンモ)!

娼婦でもあったのに純真で気取らない彼女の天真爛漫なイメージが、本当によく伝わってくる場面でした。この訛りの無垢な可愛らしさは、日本語字幕だけだとどうしても伝わりきらないですよね。ナポリ弁の「シャ」「シィ」「シュ」の何とも言えないほのぼのとした感じがとても好きでした。





また、実際に貧困の中から逞しく生き抜いてきた、その溢れんばかりの生命力が持ち味のソフィア・ローレンの存在感が、とにかく素晴らしいなと思いました。女ったらしの放蕩息子を演じたマストロヤンニも彼女の引き立て役に回り、男のどうしようもない甘えた部分を気取った風に演じているのも何だか楽しそう!

ローレンの解放感いっぱいに魅力的な笑顔や、勝気で一歩も譲らない威勢のいい啖呵、甘えた子猫のように柔らかな表情、子どもたちを抱き寄せる温かな包容力、そして幸福に涙ぐむ情の厚さ。どこを切り取っても彼女の魅力でいっぱいです。きっと今時の「草食系日本男子」からしてみたら、その大きな目と口で今にも取って食われそうなド迫力イメージの彼女ですが、本当に繊細な演技で、私なぞはもうその可愛らしさに胸キュン(死語)でした。彼女のダイナマイト級のセクシーさは、ほとんど布がないだろう!という衣装を着ても、ちーっともイヤラシイ感じがせず(どちらかというとその潔さが男前)、嫌味でもなく、強くて眩しい南イタリアの太陽を思い起こさせます。





話はちょっと逸れますが、昨年、ソフィア・ローレンが高松宮殿下記念世界文化賞受賞で来日した際に倉敷へも立ち寄ることになり、大原美術館で行われた歓迎レセプションに出席した様子がテレビ放映されていました(BSフジ『高松宮殿下記念世界文化賞特別番組 倉敷に咲いた秋のひまわり』)


そこでのスピーチがとても感動的でした。世界的大女優の彼女にとっては本当に質素で小さな会場だったはずですが、自分が幼い頃貧しかったことや苦労したこと、そこから女優として活躍できるようになったこと、日本で思いがけずこんなに温かく迎えてもらえて感動したこと、それらを心を込めてゆっくり話していました。「昔のことを話すなんて滅多にないことだ」と関係者からも驚かれていたというこのエピソード。そんなローレンだけに、その苦労や彼女の人間としての温かみが伝わってくる、とても印象的な番組でした。


この映画では、戦後、生き抜くため無学だったフィルメーナが一生懸命に書類にサインするシーンが出てきます。本当に胸が詰まるんです。そして「幸せでないと泣けない」と言っていた彼女が、思わず涙するラスト。

逞しくて情の深いナポリ女の姿は、まるでソフィア・ローレンそのもののようで、来日した時の彼女の姿が重なるようなそんな気がしました。正に、彼女の存在感あってこそ!のイタリア映画でした。





■追記:2013年7月
この『あゝ結婚』の原作者は、ナポリ出身でイタリアが誇る芸術作家エドゥアルド・デ・フィリッポ(Eduardo De Filippo)です。ヴィットリオ・デ・シーカ監督とマストロヤンニ&ローレンという黄金トリオで作られた『昨日・今日・明日』の第一話「アデリーナ」でも脚本を担当し、ナポリを舞台とした軽妙で人間味豊かな喜劇を作り上げてくれました。

 『昨日・今日・明日』 (1963/イタリア、フランス)
レビューはコチラから:『昨日・今日・明日』 (1963/イタリア、フランス)
生活感あふれるナポリ下町の喧騒、おせっかいでも温かな人々。マストロヤンニ&ローレンのコンビで『昨日・今日・明日』も楽しい映画となりました!



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  2011/02/01 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

Comment


こんにちは。
わたしもこの作品、大好きです。ソフィア・ローレン演じる逞しく、いじらしいフェルメーナがいい!
彼女の出演作で一番好きかもしれません(「ひまわり」も大好きです)。
はなまるこさんにとっては、懐かしい街並みとナポリ弁も楽しめる、親しみ深い作品のようですね。
ヨーロッパの街並みって、都会の大きな建物が並ぶ場所も、生活感あふれる住宅街も、どちらもステキで憧れます。

>この訛りの無垢な可愛らしさは、日本語字幕だけだとどうしても伝わりきらないですよね。

う~ん、わたしもイタリア語がわかればな~。ナポリ弁はわからないけど、訛りのある女の子って可愛いと思います。
再見する時は、日本語字幕のままではなく訛ってるんだと思いながら観てみますね♪

本当に彼女の魅力にあふれた作品でした。ラストの涙で自分の事のように嬉しくなっちゃいます。
もっと彼女について知りたくなりました!

宵乃 |  2013/05/23 (木) 11:02 [ 編集 ] No.119


はなまるこより

宵乃さん、おはようございます♪
わーい!宵乃さんもソフィア・ローレンがお好きだったんですねi-237

彼女は女として、ド迫力並みのセクシーさとともに
まるで少女のように繊細で可愛らしい、いじらしい役柄がとっても似合うんですよね!
ひまわりが咲いたように、パァっと広がる明るい笑顔が大大大好きですi-80

そうなんです!むかし1年ほどナポリに滞在していたことがあって、
この映画は街並みがあまりにそのままなので、嬉しくて仕方なかった作品でもありました。
ナポリ弁も、当時の滞在先の男の子がベテラン話者でして(笑)
私も日本で習っていた発音と違うので、出てくるたびにアレ?アレ!?と思っていました。
それがこんな時に役立つとは・・・・嬉しい限りです☆
ローレン演じるフィルメーナの純粋な雰囲気に、とってもピッタリな話し方でした。

>本当に彼女の魅力にあふれた作品でした。ラストの涙で自分の事のように嬉しくなっちゃいます。

そうでしたよねー!!!よかったなぁよかったなぁ~と心が温かくなるラストでしたね。
うわー、宵乃さんのコメントを読んでいたらまた観たくなってしまいました♪
素敵なコメント残していただいて、ありがとうございましたe-68

宵乃さんへ★ |  2013/05/24 (金) 09:58 [ 編集 ] No.120

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