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ベルギー映画 『エブリバディ・フェイマス!』 が歌い上げていたもの

   ↑  2010/07/10 (土)  カテゴリー: 映画いろいろ・・・
先月のことになりますが、ベルギー下院選挙の結果が日本でも報じられていました。

ベルギーは連邦政府の下に北部フランダース地方(オランダ語圏)、南部ワロニア地方(フランス語・ドイツ語圏)、そして仏蘭二言語をとるブリュッセルと、各三地域に政府がある国家です。この地方政府は経済・雇用などを担当し、またこれとは別に教育や文化などを管轄する言語別の共同体政府も存在するという特殊な形態をとっています。



そして、過去・現在における言語的・民族的な問題に加え、昔は農村地帯であったけれども経済的に発展を遂げた豊かな北部と、昔は石炭業で潤っていたけれども産業の衰退により近年では失業率の高い南部、という経済格差が顕著になってきています。

そのため、高額な社会保障費がかかる南部を切り離して北部オランダ語圏を独立させようとしている民族主義派政党「新フラームス同盟」が、人々の声に後押しされて今回の選挙で下院第一党となった・・・というわけです。




それですぐに思い浮かんだのが、以前、何の気なしに観たコメディ映画『エブリバディ・フェイマス!』(2000/ベルギー・フランス・オランダ)でした。



工場が不況で倒産して先の見えない生活に追い込まれようとも、家族や同僚に白い目で見られようとも全くめげることもなく、一人娘マルヴァの歌手デビューを夢見るあまりとんでもない事件を巻き起こしてくれるお父ちゃん。

彼は、フラマン人であることを誇りに思い、フラマン語で歌うことに熱い情熱を持っています。なので、マルヴァちゃんが出場している「のど自慢大会(?)」で「陽気な南部人」が優勝すると非常~に不愉快極まりなくなってしまうんですね。うーん、わかりやすい!

もともと北部のフランマン人(もしくはフラマン語を話す人々)は、貧しい農村生活から脱出するために石炭業で沸く南部へと出稼ぎに出るなど、南部フランス語圏に経済的にも言語的にも圧されていた歴史があります。その反発から、フラマン人としてのアイデンティティを強調することに繋がったのかもしれません。

 貧しい生まれの男だった
 まともな道には見放され
 生きる道は決まっていた
 さえない人生を
 だが挫けることなく希望を燃やし続ける
 運命なんてほんの一部 
 自分で道を切りひらけ
 ラッキー・マヌエロ
 幸せと権利を闘い取った男

 (映画字幕 寺尾次郎訳より)

マルヴアちゃんが歌い上げる歌詞の一部ですが、これはお父ちゃんの人生とともに、フラマン人の歴史も込められているのでしょう。






この熱い魂に触れた人々は、酒場にいる同僚であろうと現場にいる警察官であろうと、拍手喝采で盛り上がり!そしてなんとビートルズを超えた大ヒット(笑)となり、ラストでは「フラマン人にとって素晴らしい一日」とニュースで読まれる日がやってくるのです。

ヨーロッパを【統合】するEU本部が置かれているブリュッセル。
その南北が今まさに【分裂】の危機を抱えているなんて、本当に皮肉なものです。
今度は南部から見たベルギー映画、観てみたいなぁ。


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