お散歩シネマ 映画の世界へ出かけよう!!映画の数だけ、もっと世界は面白くなる! 

『探偵<スルース>』 (1972/アメリカ、イギリス)

   ↑  2012/05/26 (土)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー
 
●原題:SLEUTH
●監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ
●原作、脚本:アンソニー・シェイファー
●出演:ローレンス・オリヴィエ、マイケル・ケイン、アレック・コーソーン、ジョン・マシューズ、イヴ・チャニング、テディ・マーティン
●舞台はロンドン郊外の邸宅。老推理作家ワイクは、彼の妻の愛人である美容師マイロと話をつけようと、彼に宝石強盗を演じさせる。うまくいけばマイロには浪費家の妻を食わせるだけの金ができ、愛人のいるワイクにはその保険金が転がり込むという寸法だ。こうして、ワイクに乗せられるままマイロは強盗を演じる事になるのだが・・・。A・シェイファーの舞台劇をJ・L・マンキウィッツが見事に映画に移し変えた傑作ミステリ。




イギリスが誇る二大名優が主演ということ、しかも「探偵スルース」というからには"探偵もの"なのだろうと勝手に思い込み、これはかなりハードボイルドだな!!とガチガチに身構えて観始めたら・・・意外にもオープニングから軽快な音楽と丁々発止の会話が続き、なんだか良い意味で力が抜けてしまいました。

・・・が。ですよ。
ハードボイルドではなく軽い雰囲気で始まった!と見せかけたこの映画は、128分という長丁場にして終盤はイギリス流ブラックユーモアを飛び越えて、なんと凄まじきハードウォーへ


ま、序盤の"偽装強盗"では「あんな散らかし方ではコロンボ警部だってすぐに手掛かりを掴むでしょうよ!」と言いたくなるような甘さもあるんですが、仕掛け人形の不気味さやカットの使い方に思わず引き込まれるものが。これに一時間もかける演出にはちょっと疲れましたがガマンガマン。

そしていよいよどんでん返しの中盤を超え、ラストスパート!
二人のパワーバランスにも異様な雰囲気が。それまでいかにもシェイクスピア俳優らしく堂々たる台詞回しで生き生きとしていたオリヴィエ公に対し、その手の平で転がされて迫力不足&押され気味だったマイケル・ケインが俄然力を漲らせてくる。こうなってくると、もう私はラストが気になって気になって仕方なくなりました!後半1時間の展開はドキドキです。1973年の第45回アカデミー賞で、オリヴィエ公、ケインともに主演男優賞にノミネートされたのも頷けます。

一人の女性を巡る二人の男性の対立から始まって、男同士の心理ゲームが本格化していくという過程に、推理小説の定番や皮肉を利かせていること、また英国特有の階級闘争心や身分の意識差が時にはジョークとしながらも物語の根底に大きく横たわっているのも、とても印象的な映画でした。




ちなみに邦題の『探偵<スルース>』・・・・てっきり「スルース」という名の探偵さんが出てくるのかと思っていたら、「SLEUTH」という単語自体に「刑事」とか「探偵」(古い言い方かな?)、動詞としては「何かを追跡する」等の意味があったんですねぇ。しかもこの映画、なんとVHSのみでDVD化されていないとのこと。映画を観た後で二度ビックリの私でした。



※それでは最後に、ほんの少しだけ当作品内容について重要なポイント&ネタバレを。

            ↓  ねたばれ注意  ↓






            ↓  ねたばれ注意  ↓




sleuth_20120507222450.jpg
この映画の冒頭には以下のようなクレジットが現れ、様々な役者名がズラっと並べられています。あれ?でも映画をご覧になった方はもうご存知でしょうが、この映画、最後まで観ても登場する役者は明らかに「ローレンス・オリヴィエ」と「マイケル・ケイン」というたった二人のみですよね。ではこのクレジットは一体何なのか・・・!?
・Alec Cawthorne ...  as "Inspector Doppler"   
・John Matthews ...  "Detective Sergeant Tarrant" 
・Eve Channing  ...  "Marguerite Wyke"
・Teddy Martin  ...  "Police Constable Higgs" 

実はこれ、公開当時架空の役者名を出すことによって観客へと仕掛けられた制作者側からの"ゲーム"だったそうなんです(Sleuth (1972 film) 【wikipedia】より)。なかなか粋な試みをしていたのですねぇ。・・・かく言う私も実はすっかり騙されていて、途中1人で「あれ?あれ??」なんて混乱していました ←ハイ、引っ掛かりやすい人間です(笑)。

探偵スルース@映画生活


関連記事

■この記事に関連する映画制作国、地域 : アメリカ映画 イギリス映画 

FC2共有テーマ : 映画レビュー (ジャンル : 映画

  2012/05/26 | Comment (2) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

Comment


こんばんは!

こちら
1972年版の「探偵スルース」は見ていないの
ですが、リメイクの2007年版の、マイケル
・ケイン, ジュード・ロウの「スルース」は見ました
(ただ内容はあんまり覚えていません笑)

ただ壮絶な騙しあいが笑えてかつ、スリリングで
面白かったような記憶もありです。

クレジットの仕掛け面白いですね~!
全然気が付かなかったですが、もしかして
2007年版にも仕掛けてあったのかな~(笑)

タマ |  2012/05/26 (土) 23:19 No.10


はなまるこより

タマさん、こんばんは~i-179

私は逆に、ジュード・ロウ版の方を観ていないのですが
マイケル・ケインのお若い頃の1972年版を観ていたら
「ちょっとケインとジュード・ロウって似ているのかも!?」と思いました!
前髪のクリクリしたところとか、目の色とか・・・・i-190

私は映画を観る前に、誰が出ているのかくらいを少しだけ確認するのですが
今回はこれが仇となりましたi-201やられました(笑)
ジュード・ロウ版の方も、ぜひ見比べてみたいです♪
コメントありがとうございました☆

タマさんへ★ |  2012/05/27 (日) 18:55 [ 編集 ] No.11

コメントを投稿する 記事: 『探偵<スルース>』 (1972/アメリカ、イギリス)


  任意 : 後から修正や削除ができます。
  非公開コメントとして投稿する。(管理人にのみ公開)
 

Trackback


この記事にトラックバックする (FC2ブログユーザー限定)

『探偵スルース』

『探偵スルース』 先にリメイク版の方を観たのですが、 オリジナルのほうが面白く観られました。 登場人物2人の人間性が こちらのほうがリアリティがあるように思います。 エキ...

観・読・聴・験 備忘録 2013/07/07