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『昨日・今日・明日』 (1963/イタリア、フランス)

   ↑  2013/07/09 (火)  カテゴリー: コメディ

昨日・今日・明日 HDニューマスター版 / 洋画


●原題:IERI, OGGI, DOMANI / YESTERDAY, TODAY AND TOMORROW(英題)
●監督:ヴィットリオ・デ・シーカ 
●出演:ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、ジョヴァンニ・ルドルフィ 他
●S・ローレンとM・マストロヤンニ共演の3話からなるオムニバス。妊娠していれば逮捕を免れると知った女性が、 夫を頑張らせるが・・・(第1話「アデリーナ」)。上流階級の人妻と、青年との浮気の行方は・・・(第2話「アンナ」)。若い神学生が惚れたのは隣りに住む気ままな高級娼婦だった・・・(第3話「マーラ」)。



※この記事は、2008年以前のレビュー記事より映画を再見→再投稿したものです
Amazonの購入履歴でみると、この映画を初めて観たのは2003年のことだったようです。イタリアへ行く前のことだったんだ!それからも何度かこの映画を目にする機会があったけれど、再度IMAGICA BS放映のものを見直す機会があったので、削除してあった2007年時のレビューに追記という形で復活投稿。

3話からなるオムニバス形式ですが、いずれも都市部でのエピソードなのにイタリア映画お得意の"艶笑喜劇"という大らかで牧歌的なエロティシズムを端々に感じさせてくれる、イタリアの町や人々の表情が好きな映画です。


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第一話 ナポリ:「アデリーナ」

『昨日・今日・明日』という映画の中で一番驚いたのが、実はこの「アデリーナ」という一編、本当にナポリであった実話をもとにしたエピソードだったということ。逮捕を免れるために知恵を絞った結果が"とにかく妊娠し続ける!"という、正に体を張った女性の逞しさでもありましたが、そこには常に乳児を抱えた子沢山な上、痩せ衰えていくご主人の悲哀も(笑)。下町に暮らすナポリ女たちのパワフルさと、互いに協力し合う人々の情の篤さを感じさせてくれる楽しい一編です。お尻丸出しでベッドに転がる赤ちゃんたちも可愛らしい!

脚本を担当したのは、フェデリコ・フェリーニ、オーソン・ウェルズ、ダリオ・フォなどが師として仰いだというイタリア演劇界の巨匠エドゥアルド・デ・フィリッポ(Eduardo De Filippo)。ナポリが誇る劇作家であり俳優、さらには演出家、映画監督、詩人や政治家など様々な顔を持つ彼は、『昨日・今日・明日』と同様に、デ・シーカ監督とマストロヤンニ&ローレンで作られ同じくナポリを舞台とした人情喜劇『あゝ結婚』の原作者なのでもあります。
※日本語で彼のことをもっと知る上で、【エドゥアルド in Japanプロジェクト】というサイトがとっても面白かったです!



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第二話 ミラノ:「アンナ」

ほのぼのとした軽やかなユーモアのある前後2作品に比べて、ミラノ中心部をそのまま撮影し、ブルジョア社会やセレブリティを皮肉っている辛口な一編がこの「アンナ」。

それもそのはず!過去にデ・シーカ監督と共に『子供たちは見ている』や『自転車泥棒』といった作品を世に送り出してきたイタリアン・ネオリアリズモの騎手チェーザレ・ザヴァッティーニ(Cesare Zavattini)が脚本を担当しているのですから。また、代表作「無関心な人々」「倦怠」等で人間の孤独と疎外を写実的な心理描写で描いてきたアルベルト・モラヴィア(Alberto Moravia)の「TROPPO RICCA」という小説がもととなっています。デ・シーカの映画監督としての原点―"現実を描写する"という手法を用いて社会批判的な視点が貫かれているこの作風は、『昨日・今日・明日』というオムニバス作品の中では異質(で不人気)ながらも、ちょっと面白いなぁと思います。

自分以外のものには興味もないのに「自分は孤独だ」と愛について御託を並べ、お金や宝石に埋もれた生活に嫌気がさしたと言う彼女の空虚な存在感。自分の高級車が事故に遭った途端、貧乏マストロヤンニをさっさと捨てて我が儘で高飛車な本性を剥き出しに。ソフィア・ローレンのオンナとしての奔放さが出色。ミラネーゼ風アクセントも高飛車感があってドキリ。生真面目なオジサンを演じる時のマストロヤンニは、それが彼の素顔に一番近い気がして私は大好きです。



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第三話 ローマ:「マーラ」

『昨日・今日・明日』というイタリア映画では、ナポリ、ミラノ、ローマという主要三都市が舞台となっていますが、もう一つ忘れてはならない存在が、この「マーラ」で出てくるマストロヤンニ演じる"ボローニャの人(Bolognese)"です。

もともとイタリアは長年にわたって栄えてきた都市国家を束ねた共和制の国ですから、今でも各地域における"国民性"や郷土愛が非常に強いのです。そのためこの「マーラ」というエピソードでは、ヨーロッパ最古の歴史を誇る学問の都であり、美食の街であり、働き者と言われる北部人ボロネーゼをマストロヤンニが面白可笑しく演じています。あ、因みに二話「アンナ」の舞台であるミラノ人のイメージは、センスが良くて裕福で鼻持ちならない人、といったものが一般的かと。ミラネーゼの皆さんスミマセン!でもアンナのイメージそのままですね(笑)。

また数々の映画でカップルを演じてきたローレンとマストロヤンニですが、この二人ってどんなにベタベタとキスしてもシリアスなセクシーさが感じられなくて(これは良い意味で)、互いに朗らかだったりエキセントリックだったりしながらも、激しすぎない相性の良さが抜群だったからこそ沢山の映画が作られたんだろうなぁと思いました。


1994年の米映画『プレタポルテ』でも、再び二人がこのシーンを演じてくれましたね!
お人よしで正直者のマストロヤンニと、情が深くて信心深い娼婦のローレン。いわば、お得意の分野で伸び伸びと楽しそうに演じる二人の掛け合いが見ていてとっても楽しい!マストロヤンニの「んにゃっ!!」「わぉぉぉぉぉん!!」と遠吠えした後にお預けを食らう場面は、イタリア映画史に残る名場面だと思います。



 『あゝ結婚』 (1964/イタリア)
レビューはコチラから:『あゝ結婚』 (1964/イタリア)
本作の成功に続いて、『あゝ結婚』『ひまわり』という名作を生み出したデ・シーカ監督×マストロヤンニ×ローレンという黄金トリオは、私をイタリア映画好きにしてくれた人たちでもあるのです。



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  2013/07/09 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

Comment


こんにちは!
「アデリーナ」面白かったです。実話を基にしていたとは…イタリアーノ恐るべし!
みんな可愛くて、愛に溢れてて、こんな町に住みたいなぁと思っちゃいました。子供たちも可愛かったです♪

「アンナ」はやっぱり不人気だったんですね(笑)
あっけらかんとした明るさのある「アデリーナ」の後に続くにはちょっと…。
でも、ミラネーゼの特徴をよく表しているなら、それを良く知ってる人なら楽しめそうです。

「マーラ」はあのストリップショーからが本番みたいな(笑)

>マストロヤンニの「んにゃっ!!」「わぉぉぉぉぉん!!」と遠吠えした後にお預けを食らう場面は、イタリア映画史に残る名場面だと思います。

同感です♪
なんてことない話でしたが、黄金トリオにかかれば名場面が生まれるんですね~。
わたしもこのトリオ大好きです。

宵乃 |  2014/03/08 (土) 11:47 [ 編集 ] No.258


はなまるこより

宵乃さん、こんばんは♪
おぉ!この映画ご覧になったのですねー^^

>「アデリーナ」面白かったです。実話を基にしていたとは…イタリアーノ恐るべし!
>みんな可愛くて、愛に溢れてて、こんな町に住みたいなぁと思っちゃいました。子供たちも可愛かったです♪

ほんと、戦後とはいえ生きるパワーがスゴイかったですよね!で、それをコメディにして見せてくれるのもスゴイ(笑)!

>「アンナ」はやっぱり不人気だったんですね(笑)
>あっけらかんとした明るさのある「アデリーナ」の後に続くにはちょっと…。
>でも、ミラネーゼの特徴をよく表しているなら、それを良く知ってる人なら楽しめそうです。

あのような2作品に挟まれてしまうと、やっぱり印象も弱いですねー。でも高飛車なセレブマダムを演じたソフィア・ローレンのツンケンした感じと、見るからに堅物で気の弱そ~なマストロヤンニの姿を見ると、役者の演じ分けって本当にスゴイなぁ!って思いますよね!

>なんてことない話でしたが、黄金トリオにかかれば名場面が生まれるんですね~。
>わたしもこのトリオ大好きです。

『あゝ結婚』も最後にはぐっとくるお話で、ローレン&マストロヤンニの伸び伸びとした演技がとっても良かったですもんね!

実はこの映画、以前からすごく好きでDVDを持ってはいたのですが、この記事をリニューアルして書くまで、映画の"根っこ"の部分はまったく知らなかったのですi-229
どんな原作や脚本があったのか、誰が書いたのかなどなど・・・知れば知るほどイタリア映画の世界観なんかを(1本で様々な面からまとめて)感じることが出来るような気がして、ますます好きになってしまった思い出の映画でした。
宵乃さん、コメントをありがとうございました♪

宵乃さんへ★ |  2014/03/08 (土) 22:13 [ 編集 ] No.259

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