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『セイ・エニシング』(1989/アメリカ)

   ↑  2015/09/24 (木)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ





セイ・エニシング [DVD]


●原題:SAY ANYTHING
●監督:キャメロン・クロウ
●出演:ジョン・キューザック、アイオン・スカイ、ジョン・マホーニー、リリ・テイラー、エリック・ストルツ、ジョーン・キューザック 他
●キックボクシングに熱中する青年ロイドが憧れるのは、成績優秀才色兼備のダイアン。高校卒業を迎え、ロイドは彼女にアタックしようとするが、友人たちは「高嶺の花」を相手に無謀だとアドバイスする。そんな周囲の心配をよそに、意外にも2人は心を通わせていく・・・。『バニラ・スカイ』のキャメロン・クロウ監督のデビュー作。




恋に落ちるその眩しい瞬間をこれほどまでに瑞々しく見せてくれる映画を私はその時まで知らなくて、学生だった頃の私は本当にこの映画に夢中になってしまったものでした。


・・・・と、ところが!
今回改めて観直してみたら、あの時の生き生きとした気分はどこへやら、まるでティーンエイジャーの子どもを見守る"親の立場"で観ている自分に対してかなりの衝撃を受けました(ショック!!)。あぁ、もうあんな時代はかえってこないんだわ~

ただ、逆に考えてみると・・・この映画とは間違いなくピッタリのタイミングで出会えていたということなんだろうなぁとしみじみ思いました。たぶん、10代の終わりの頃、深夜のTV放映で観たのが最初だったと思います。あれから何度も繰り返し観てきた『セイ・エニシング』という作品に共鳴・共感できた時代が私の中にあったという幸せだけは、これからもきっと色褪せることはありません。大切な思い出の一つです。






少年時代から音楽ジャーナリストとして活躍したキャメロン・クロウ監督は、その非凡な感性や文筆の才を発揮して、映画制作の際には必ず自ら脚本を書いています(『バニラ・スカイ』はちょっとだけ例外かな?)。彼の映画作品数は決して多いわけではないけれどいつも温かみがあって、それにココゾ、という時にかかる音楽がとてもいい!

言葉では言い表せないその眩しさを、丁寧に切り取ってフィルムに焼き付けたクロウ監督の映像・音楽・ユーモアのセンスにはやっぱり脱帽です。


この映画には確かにキラキラと輝くような魅力がいっぱいあって、若い頃から個性派だったリリ・テイラーやエリック・ストルツたちのユニークな存在感や、ジョン・キューザックの実姉ジョーンとの自然なやりとりも温かく、若かりし頃のジョン・キューザックの柔らかな魅力にいつの間にか引き寄せられてしまいます。

「"ガラスがあるから気をつけて"って、言ってくれた」
そんな自然なセリフ一つ一つに、この映画の魅力が詰まっているような気がするんです。人を信じる心の軸がまったくブレない主人公たちのことを、今観てもとても羨ましく感じます。

「恋は誰でもできる」ようにも言われますが、自分とは違う誰かを想ったり愛したりするのにも生まれもった"才能"のようなものを持っている人がいるんじゃないかな?と、この映画のジョン・キューザックを見て、今の私は思うのでありました。






ところで『セイ・エニシング』という映画は、2007年プレミア誌の【The 100 Greatest Movie Lines】という名台詞100選にも選ばれました。ジョン・キューザック演じる主人公ロイドが、恋に破れた時にずぶ濡れになりながら姉に電話した時の言葉がそれでした。


"She gave me a pen. I gave her my heart, she gave me a pen."
(彼女はペンをくれたよ。僕はハートを捧げたのに、彼女がくれたのはたった一本のペンだった)


また、アメリカでもっとも手厳しくて有名な映画評論家ロジャー・イーバート氏の『セイ・エニシング』評は、「人生を教えてくれる映画。真の知性と娯楽性に富んだ、奇跡と言える作品。しかもそれは、感動的な奇跡」という最高のものでした。素晴らしい!!
"SAY ANYTHING" is one of those rare movies that has something to teach us about life. It doesnt have a "lesson" or a "message," but it observes its moral choices so carefully that it helps us see our own. That such intelligence could be contained in a movie that is simultaneously so funny and so entertaining is some kind of a miracle.
シカゴ・サンタイムズでのRoger Ebert氏によるレビューより


ちなみに彼のレビューサイト【Roger Ebert.com】の中にある「GREAT MOVIES」のコーナーでは、沢山の名作映画たちと一緒に『セイ・エニシング』も紹介されているんですよ。おぉーなんだか自分の中で特別な思いのある映画がこのような形で評価されているのを見ると、自分が作ったわけでもないのに舞い上がるほど嬉しくなってしまうなー(笑)!






ジョン・キューザックは以前、ハリウッドの超大作『2012』に出演した際のインタビューで、"商業性のある作品とアート的な作品を交互にやることによってバランスをとっている。自分が作りたい映画への資金にもなるしね!"ということを話していましたが、確かにシリアス、シュール、コメディ、アクションといった様々な分野を縦横無尽に往ったり来たりする彼の作品選びには絶妙なバランス感覚が見受けられます。

そんなキューザックが、「アクターズ・スタジオ・インタビュー(Inside the Actors Studio)」に出演した際に、演技者として役とどう向き合っているのか?を学生たちに語った言葉が印象的だったので、ここに引用しておこうと思います。

INSIDE THE ACTORS STUDIO INSIDE THE ACTORS STUDIO:JOHN CUSACK
"役者と言うのは自ら傷つく仕事だ。普通の人は心の闇の部分に触れないようにするが、役者は逆だ。自分の中にあっても隠したり否定したくなる部分だが、演技とはそういう自分の影を具現化し人前にさらす事なんだ。自分の影をさらけ出す場所、それが演技だと心得るんだ"



ジョン・キューザックという俳優は忘れ難いほど強烈なインパクトを残す役者でもなく、またスタイルを毎回変えて驚かせてくれるような演技をするでもなく・・・正直どこが特色なのかちょっと分からないような、でも不思議なほど素直な感情表現をする役者さんだなぁと思っていましたが、彼のこのように答えているのを見てから深く納得しました。『セイ・エニシング』での、彼の演じた人間味豊かなロイドという青年の魅力にまっすぐ繋がったからです。

芸能一家の出とはいえ、生き馬の目を抜く実力主義世界のハリウッドで息の長い成功を収めている彼自身も、何かブレない軸を持っているんだろうなぁ。そんな気がします。




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「セイ・エニシング」続編シリーズ、クロウ監督とJ・キューザックの抗議で制作中止に
 ‘Say Anything’ Series In Jeopardy Over Cameron Crowe Objection【Deadline.com】
キャメロン・クロウ監督、ジョン・キューザック主演の傑作青春映画「セイ・エニシング」(1989)の続編を、20世紀フォックス・テレビジョンがテレビシリーズとして制作することが報じられたが、これに対してクロウ監督とキューザックが不快感を示して抗議をした結果、企画が中止になったことがわかった。
 (中略)
クロウ監督はこの続編企画について何も知らされていなかったようで、自身のTwitterを通じて公式に「阻止する」意向を明らかにした。またキューザックも、Twitterで同シリーズに対する関与を問われると、「とんでもない」と不快感を示した。クロウ監督とキューザックの意向を受け、すでに一般のファンのあいだにも反発が広がっており、企画続行は困難になったとされる。
 ※映画.com速報 2014年10月14日より一部引用

この映画は間違いなく【ハッピーエンド】で終わっているのですが、今改めて観直してみると、ロイドとダイアンは、もしかしたらその後うまくいかなかったかもしれない・・・大人になってから微かにそう思うラストシーンを見ながら、このニュースを思い出しました。

「割れたガラスに気をつけて」
人が無意識に発した優しさにたった一度でも触れたことがあるのなら、この作品のファンが大切にしているのは、それぞれの道を歩むことになった二人のその後をドラマで見ることなんかではなく、傷ついたり、喜んだり、受け入れたり、失ったりしながら二人が一緒にいるだけで完璧だった夏の思い出、ただそれだけなんです。



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  2015/09/24 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

Comment


こんにちわ

この映画は知らないです。
当時、ワタシはハタチそこそこ位の年代ですが、その頃ラブコメ系は
あまり見てなかったんですよね。
はなまるこさんのおススメとあらば是非見てみたいです^^

ジョン・キューザック。若っ!
でも、驚くことに雰囲気まったく変わってないですね。
確かに色んなジャンルに出演してますねぇ~。

mia☆mia |  2013/04/30 (火) 18:14 No.109


はなまるこより

mia☆miaさん、コンバンハ♪
GWなのに強烈な風邪をひいてバッタリしているはなまるこ家ですi-201
冷ピタしながら書いてます~(笑)

ジョン・キューザックって、本当に全く変わらないんですよね。
同じ顔、同じ背格好で年を取っている人って、欧米人にしては珍しいかも・・・!
(『スタンド・バイ・ミー』のお兄ちゃん役の時から全然変わっていない笑)

私は高校生くらいの時にこの映画を観て
「こういう男子がいたらステキ~i-178」と本気で思ってました(笑)
この映画からキャメロン・クロウ監督のファンになってしまったのです♪
S×Sさんやmia☆miaさんがご覧になった『幸せへのキセキ』を
いつも見よう見よう!!と思ってるんですよ~i-229

mia☆miaさんも体調にはお気を付けくださいね^^;
コメントありがとうございました~i-233

mia☆miaさんへ★ |  2013/05/01 (水) 20:15 [ 編集 ] No.110

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