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『マネーボール』 (2011/アメリカ)

   ↑  2013/03/09 (土)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ





マネーボール【Blu-ray】[ブラッド・ピット]


感想(2件)


●原題:MONEYBALL
●監督:ベネット・ミラー
●出演:ブラッド・ピット、ジョナ・ヒル、フィリップ・シーモア・ホフマン、ロビン・ライト、クリス・プラット、ケリス・ドーシー、スティーヴン・ビショップ 他
●ビリー・ビーンは、プロ野球選手から球団のフロントに転身し若くしてアスレチックスのゼネラルマネージャーに就任する。しかしアスレチックスの成績は低迷し、貧乏球団のため優秀で高い選手は雇えないという最悪の状態に。そんな時、データ分析が得意なピーター・ブランドに出会い、“低予算でいかに強いチームを作り上げるか”を追求したマネーボール理論を作り上げる。野球界の伝統を重んじる古株のスカウトマンや、選手、アート・ハウ監督らの反発を買いながらも、揺るぎない信念のもと独自のマネジメントを強行していくビリー。すると、徐々にその成果が出始め、チームに勝利がもたらされていき・・・。



不思議な映画だった。
「マネーボール理論」から生まれる、野球だけに限らない経営哲学や物の見方、もっと言えば道化や欠陥品呼ばわりされた人間の"可能性"を見せてくれる物語かと思えば、一方で"不要"となった選手は即クビやトレードされるというスポーツ界の非情さもシビアに見せ、観る側をそう簡単に爽快感へとは導かない。最終戦逆転勝ちで20連勝達成という映画的には最もドラマチックな要素も、その後のプレーオフの結果を受けた厳しい"正論"で容赦なく釘を刺す。


ロバート・レッドフォードかと息をのむほど静かなブラッド・ピットのファーストシーン。この映画では、野球に関する交渉話は飛ぶように行き交うけれど、ビリー・ビーンの心の内を決してベラベラと語ったりはしない。彼が何に囚われ、押し潰され、悩み、怒り、あがいているか?それをひたすらに追う133分。『マネーボール』という映画は、野球に人生を賭けた一人の人間の物語。彼が何に対して情熱を傾け、何を信じて歩み、挑戦を続けていくのか、それを見守る静かな映画だった。



短気で負けず嫌い、こだわりが強くて傲慢で、どこか孤独で変わり者のビリー。そんな彼を支えるジョナ・ヒル演じる女房役ピーター・ブランドの穏やかで温順な人柄や、透明感のある初々しさが逆に頼もしくもある娘役のケリス・ドーシーの歌。まるでスポーツ界のドライな厳しさに寄り添うかのように、人間的な温かみと人生への前向きな賢明さを感じさせる彼らの存在感が、この映画の中で一番好きだったかも。




劇中、印象的なシーンで何度か耳にしたThis Will Destroy Youの「The Mighty Rio Grande」。決して押し付けがましくなく、それでも強く心揺さぶられるこの曲は、一段ずつゆっくりと階段を下りていくように音階を下げていくメロディラインの繰り返しだけれど『マネーボール』という映画の主題を、静かに、確かに支えていると思う。



・・・・ということで。
以上が映画を観ながら感じた本作への感想でした。
映画『マネーボール』では音楽以外にも印象的なシーンが多かったので、以下はインタビュー関連記事などで知った周辺知識です。特別野球に強い関心があるわけでない私のような者には非常に興味深かったですねー。


ブラッド・ピット演じるビリーが食べたり飲んだり何か口に入れているショットがとても気になったのだけれど、これは本物のビリーを意識して"人物描写"にこだわりを持って臨んだピットのアイディアだったのだそう。
中でも印象的なのは、精力的にあちこちを動き回りつつ、彼が常にムシャムシャと何かを食べている姿と、時間ができるとたった一人でグラウンドやトレーニングルームに赴き、自らの肉体を酷使し鍛え上げる姿。たびたび描かれるこうした描写について、監督はその意図をこう説明する。
「食べることと運動することは、とどまることを知らない彼の人物像を表しているんだ。ビリー・ビーンは常に消費し続け、自分自身を疲労させ続ける。彼は自分がどういう状況に置かれていて、何を求めているのかを自問自答しているんだ。実際のビリーも常にハングリーで、落ち着かずにソワソワしているようなところがあるんだけど(笑)、その中で自分が辿りつきたい場所がどこなのかを探っているんだよ」
■ベネット・ミラー監督インタビュー 『マネーボール』で描きたかった真"髄"とは?【Cinema Cafe.net】

しきりに噛みタバコを噛んではペッと吐き出すシーンについても、ブラッドはビリー・ビーンを演じるに当たって、彼の当時の癖をどうしてもリアルに再現したいという気持ちが強く、「こういった癖も人物の一部なので、是非に」と演じたらしいですね。
■『マネーボール』ベネット・ミラー監督「これは〈救い〉と価値観の変化の物語」




■その他のインタビュー&記事リンク

≪アート・ハウ監督インタビュー≫
Art Howe: They Did Everything To Make Me Look Bad In 'Moneyball' 【carbonated.tv】
■Art Howe: They Did Everything To Make Me Look Bad In 'Moneyball'
この映画でもっとも私が驚いたのは、体育会系でホフマンを使うという驚きのキャスティングでしたが、実際のハウ監督はフロントの意向に従い、温厚で笑顔を絶やさない人望の厚い人物だったのだそう。この映画での描かれ方にはご不満だったでしょう!
因みにジョナ・ヒル演じるピーター・ブランドの役も、モデルとなったポール・デポデスタが映画での自身の描かれ方に不満を抱き実名の使用を許可しなかったため、映画では設定の似た架空の人物となっています。


≪ビリー・ビーンGMインタビュー≫
「金持ち球団が強い流れに戻っている」――『マネーボール』のビリー・ビーンGMインタビュー【誠Style】
■「金持ち球団が強い流れに戻っている」――『マネーボール』のビリー・ビーンGMインタビュー
限られた予算、限られた時間や人員で結果を出さなければならないというのは、ビジネスシーンだけでなく、もっともっと小さな日常生活でも起こる問題だと思うのですが、ビーン本人から語られるサイバーメトリクスの持つ精神や真意、課題など興味深いです。



映画『マネーボール』は、ブラピ好き、フィリップ・シーモア・ホフマン好き、ジョナ・ヒル好きという映画ファンにも、メジャーリーグ好きな野球ファンにも、経営哲学に興味のあるビジネスマンにも受け入れられる、"楽しんだもの勝ち"な作品なのではないかと。派手さはないぶん、様々なシーンやセリフに心動かされたり揺さぶられたり、心落ち着けて鑑賞できる映画だったと思います。

マネーボール@映画生活



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  2013/03/09 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

Comment


こんばんは!

なにげに、まだ観ていないんですよね~
この「マネーボール」
ブラピが出ている作品で、観たことないのは
この「マネーボール」だけかもです。

どうもいまいち野球に興味がないせいか、
レンタル屋さんの棚で、観てみようかな~と
手を伸ばしかけるのですが、「う~ん、やっぱり今日はいっか!」
となる感じの作品で。

記事を読ませていただいて、やっぱり
気になったので今度観てみます♪

ブラピはオシーンズシリーズで、いつも
ジャンクフードをモグモグ食べていた印象です。
作品の内容は、ほとんど覚えていないんですが、
ブラピが何かを食べていた記憶だけはあるみたいな

もう3月なのに、札幌まだ吹雪いてまーす(笑)

タマ |  2013/03/09 (土) 17:16 No.102


はなまるこより

タマさぁ~ん♪コンバンハ^^
なんだか北日本は吹雪いているようでビックリしました!
一方こちらは、今日は25℃くらいあって暑かったですが
南からやってくる黄砂などでビクビクです・・・i-282

ブラピなんですが、私はタマさんと逆でめちゃくちゃ久々に見ました!
『ツリー・オブ・ライフ』も『ベンジャミン・バトン』もちょっと腰が引けて(笑)観てませんし
『イングロリアス・バスターズ』も『バーン・アフター・リーディング』も未見です。
・・・も、もしかしたら『Mr.&Mrs. スミス』(しかも地上波放送)以来かもしれませんi-229
なんというか、久しぶりにブラピを見たら、"こふきいも"みたいにお肌の水分が飛んでいて
あぁブラピも年を取ったんだなぁとしみじみ思いました。ハハハ
正直地味な映画ですが、"おとなしめ"の映画が観たいなーと思った時など
ちょうどいいかもしれません♪
いつかレビューがUPされるのを楽しみにしています☆

タマさんへ★ |  2013/03/09 (土) 21:42 [ 編集 ] No.103


こんにちは~。
きっとわかれば良い作品なんだろうなぁという感じでした…。
カタカナの名前とか数字が苦手な私には、トレードのくだりとか何をしてるのかまったくわからなかったです。

>人間的な温かみと人生への前向きな賢明さを感じさせる彼らの存在感が、この映画の中で一番好きだったかも。

ここはわたしも同じです。何せ私にとって主人公は何を考えているかわからない人物だったので(笑)、彼らと接しているところくらいしか人間味を感じられなかったです。
娘の歌はとくに良かったですよね~。

宵乃 |  2014/12/18 (木) 17:08 [ 編集 ] No.322


はなまるこより

宵乃さんこんばんは!
コメントありがとうございました^^

>何せ私にとって主人公は何を考えているかわからない人物だったので(笑)、彼らと接しているところくらいしか人間味を感じられなかったです。
↑この主人公評、ほんとそうなんですよね!
だからどこに心を寄せてみればいいのか、観ていてもちょっと解りづらい感じもしました。

ただ、物語自体がアメリカのスポーツ映画でありがちな「わーい!勝った!やった!」
みたいな展開にならない辺りは、「カポーティー」を撮ったミラー監督らしく、
とにかくちょっと解りづらい感じの主人公が何をやりたいのか?どうしたいのか?
それをひたすら追っていったような映画だったなーという記憶があります。
ま、世の中色々な舞台裏があるんだなーと知れただけでもヨシとしましょうか(笑)☆

>娘の歌はとくに良かったですよね~。
あぁ何だかんだ言いながらも"And just enjoy the show♪"っていうラストシーン、
宵乃さんのコメントで思い出しました!
ギターで歌ってくれるシーンとか本当に良かったですよね。
この父娘のサイドストーリーだけでも良質な映画が出来そうですね!^^

宵乃さんへ★ |  2014/12/18 (木) 21:28 [ 編集 ] No.323

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