お散歩シネマ 映画の世界へ出かけよう!!映画の数だけ、もっと世界は面白くなる! 

『おとなのけんか』 (2011/フランス、ドイツ、ポーランド、スペイン)

   ↑  2013/06/13 (木)  カテゴリー: コメディ





おとなのけんか【Blu-ray】 [ ジョディ・フォスター ]


●原題:CARNAGE
●監督、脚本:ロマン・ポランスキー
●出演:ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツ、ジョン・C・ライリー
●ニューヨーク、ブルックリン。11歳の子ども同士が喧嘩し、片方が前歯を折るケガを負う。ケガを負わせてしまった側のカウアン夫妻がロングストリート夫妻の家に謝罪に訪れ、和解の話し合いが行われる。お互いに社交的に振る舞い、話し合いは冷静かつ友好的な形で淡々と進んでいくかに思われたが・・・。ヤスミナ・レザによる戯曲『大人は、かく戦えり』(原題:Le Dieu du carnage、英題:God of Carnage)に基づき、レザ自身とロマン・ポランスキーが脚本を書き、4人のオスカー受賞&ノミネート俳優の豪華共演で映画化したコメディ・ドラマ。



「こどものけんか」を巡って、当初は平和的だったはずの話し合いが、いつしか「おとなのけんか」となり、本音が飛び交う混沌と狂騒の場と化していく様をリアルタイムの進行でユーモラスかつシニカルに描き出すポランスキー監督作品。同じく二組の激突夫婦の狂気を見せたマイク・ニコルズ監督作品『バージニア・ウルフなんかこわくない』(1966/アメリカ)よりは、ずっとずっとコメディ寄りです。


・・・とは言うものの、スタートから10分観て「うぉーん、あと1時間も続くのかぁぁ」と逃げ出したくなりました。クリストフ・ヴァルツ&ケイト・ウィンスレット夫妻が何度もエレベーターの前に行き、帰りかえるシーンはあるのですが、映画的に"帰っては話が成り立たない"とは頭でわかっていても「帰ったほうがいい!帰るなら今だ!!」と念じてしまう自分がいました。もうホント、こっちが逃げ出したい(笑)。

だって笑顔で嫌味を放つベテラン俳優たちのピリピリとした空気に、映画とはいえこちらが居た堪れなくなるんです。穏便に済ませたいケイト・ウィンスレットの痛々しさ、皮肉屋で現実派のクリストフ・ヴァルツのくそ弁護士ぶり、話を蒸し返し規律を押しつけるジョディ・フォスターの粘着っぷり、そして穏やかなんだけど妙にイライラさせるジョン・C・ライリー。怖いもの見たさの覗き見状態で観るしかない。絶妙な組み合わせですから。

ポランスキー監督は撮影を始めるにあたって、俳優同士が親交を深めると同時に、諷刺からコメディ、コメディからドラマへとシフトする映画のトーンを探索するために、2週間にわたる集中的なリハーサルを行ったという。登場人物は4人だけで、その敵対関係は夫婦同士、男同士、女同士と入れ替わり、混乱状態に陥っていく。それゆえに、演じる4人のハーモニーが重要となってくるわけだが、リハーサルが俳優の結束を固めたというだけに、それぞれが見事に響きあっている。
大人による大人のためのコメディ『おとなのけんか』より





で、どちらかというと、この4人の中で一番常識的に思えたウィンスレットが遂にはブチ切れるんですが、もうこれが凄いのなんのって。お食事中の方はぜひご遠慮いただいた方がよろしいかと思いますが、あの生理現象には「所詮人間の感情にフタをするなんて無理!仮面なんて無理!」と言うがごとく、正に人間味が噴き出します(笑)。

その後は取り繕った序盤のピリピリした雰囲気を吹き飛ばすかのような【本音炸裂大会】に。子どもの歯は折れるし、携帯はビービー鳴るし、ハムスターは凍死してるかもだし、本には吐かれるし、コロンはクサイし、みんな一言多いし。潜在的にあった日常のイライラがこれでもかとテンコ盛りになれば、言いたいことも言いたくなりますな。「この腰抜け!」「お、ゲロ吐いて元気になったな!」「この偽善者め!」とか日常では他人にそう言えない(笑)。



しかも、もともとはロングストリート家vs.カウアン家の戦いだったにもかかわらず、なぜか途中から「なんでハムスターを逃がしたのか!?」とか「あんたの携帯ムカツクのよ!」とか本題からどんどん逸れて、無神経な夫婦喧嘩や男女の罵り合いに突入していくことに。アルコールも入って理性はどこへやら。物の投げ合い、掴み合い、貶し合いで遂には限界点を突破!!他人の人生なんて、本人がシリアスになればなるほどコメディなんだなー。これぞ密室劇のハイライトです。

そうだよなぁ、やっぱり人間どんなに本音剥き出しで罵り合っても、結局は分かり合えないところがあるのになぁ。意固地になって「問題解決!!」とか叫んでは勝手に振り回されてグッタリしてしまう人間の滑稽さなんかを、エンドロールでスッキリ吹き飛ばしてくれる映画でした。余計なものを背負い込んでいない子どもの方が、トラブルの解決方法をよく知っているものなのかも。

原題「CARNAGE」の意味とは「大虐殺」。a scene of carnageで「修羅場」など。
大人ぶった子どものような大人げないオトナのけんか。ほんと、最初から最後まで修羅場でした(笑)。


関連記事

■この記事に関連する映画制作国、地域 : フランス映画 

FC2共有テーマ : フランス映画 (ジャンル : 映画

  2013/06/13 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

Comment


こんにちわ♪

この作品、まだUPはしてませんが先日鑑賞し感想文書きましたv-16

>スタートから10分観て「うぉーん、あと1時間も続くのかぁぁ」と逃げ出したくなりました。

全く同感です(笑)でもラストまで見れましたよね!!
4人の同室でのやり取りだけの場面なのにも関わらず。
最初はオトナ同士の関係なのに、段々修羅場化してくる様は圧巻でしたね。
4人全員が演技派じゃないとこうはいかなかったでしょうね^^
帰りかけて部屋に戻るシーンが何度もあって笑いました。
ラストにほのぼの子供たちが遊んでる一コマがあったのが上手かったですねぇv-22

mia☆mia |  2013/06/17 (月) 17:11 No.125


はなまるこより

mia☆miaさん、コンバンハ~♪
おぉぉ、mia☆miaさんもご覧になっていたのですね!!嬉しいi-237

なんか、こう・・・ちょっと凄いものを見てしまった!!という感じでしたよね(笑)
ほんと、たった4人でのやり取りのみですから、演技派俳優陣たちでなければ
見ている方もここまでテンション上げて観られなかったと思います。本当に圧巻でした!

>帰りかけて部屋に戻るシーンが何度もあって笑いました。
ほんとそうなんですよねi-229もう明らかに帰りそうなんだけれど、
ナンダトコノヤロー状態でまた部屋に戻ってしまったりして(笑)
うわーやめてやめて!!i-282と思いながら観ていました(笑)

>ラストにほのぼの子供たちが遊んでる一コマがあったのが上手かったですねぇ
そうそう!それに、あの"凍死"が心配されていた"アレ"がの~んびり映っていたところなんかも
最後にはクスっとなり、うまくまとめたなぁ♪と思いました。

mia☆miaさんのレビューがUPされる日が楽しみですi-80
段々むしむしとアツイ日が続いてきましたねぇi-201
これに負けないように、mia☆miaさんの楽しいレビューを楽しみにしておりまーすi-178

mia☆miaさんへ★ |  2013/06/17 (月) 21:18 [ 編集 ] No.126

コメントを投稿する 記事: 『おとなのけんか』 (2011/フランス、ドイツ、ポーランド、スペイン)


  任意 : 後から修正や削除ができます。
  非公開コメントとして投稿する。(管理人にのみ公開)
 

Trackback