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『屋根裏部屋のマリアたち』 (2010/フランス)

   ↑  2013/08/06 (火)  カテゴリー: コメディ



屋根裏部屋のマリアたち [ ファブリス・ルキーニ ]


●原題:LES FEMMES DU 6EME ETAGE
【フランス映画祭2011】タイトル:6階のマリアたち
●監督、脚本:フィリップ・ル・ゲ
●出演:ファブリス・ルキーニ、サンドリーヌ・キベルラン、ナタリア・ベルベケ、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス、ベルタ・オヘア、ヌリア・ソレ、コンチャ・ガラン 他
●1962年、パリ。マリアは軍事政権下にある祖国スペインを離れ、パリに逃れて来る。彼女は叔母らと共にアパートの屋根裏部屋で共同生活を送っていた。そんなある日、マリアは同じアパートに住む株式仲買人ジャン=ルイの家に、メイドとして迎えられることになる。その後ジャン=ルイは、妻がいるにもかかわらず少しずつマリアに心惹かれていき・・・。




DVDなどの作品紹介で見るこの映画の宣伝文句
1960年代のフランスを舞台に、フランス人資産家とスペイン人メイドたちとの心の触れあいを描いたヒューマン・コメディ。
スペイン人メイドとその雇い主の禁断の恋を陽気に描いたラブ・ストーリー。

うーん・・・確かに間違ってはいないのだけれど、この宣伝文句につられて観てしまうとどのエピソードも「え!?」と驚くほど中途半端な端折り方をされていて、ここで盛り上がらなかったら一体どこに!?誰に!?共感すればよかったんだー!?と消化不良のままで【La Fin】を迎えてしまった映画でした。私が物語の方向性を見誤ったのだろうか・・・



フィリップ・ル・ゲイ監督自身がブルジョワ階級の出身であり、幼い頃にスペイン人のメイドと暮らしたという実体験から着想を得たと語っていることからも分かるように、確かにこの『屋根裏部屋のマリアたち』では重労働も厭わず黙々と働き、信心深くて人間味豊かで人生の真の喜びを知るスペイン人家政婦たちの逞しい姿が生き生きと描かれています。「ブルジョワの"いかにも"なフランス人」から見た「情熱的な"いかにも"なスペイン人」というその際立った対比がこの映画を面白くさせているのは確かではあるんですよ。

メイドたちのトイレを修理し、故郷へと電話を繋ぎ、彼女たちの生活を知ることによって一家の主人であるジャン=ルイに変化があらわれること。立場の異なる人々との出会いによって、人生にはもっと違った一面があるのだと知ってしまうこと。そういった善意の連鎖によるエピソードは本当に楽しかったのになぁ。そう、楽しかったのに!結局、この映画のどこに主軸を置くのか?がブレにブレたような印象だけが残ります。



朝食のゆで卵も、スペイン語の発音練習も、ジャン=ルイの家出にまつわる愉快なエピソードも、とーっても楽しかったのに、それに"恋心"が付いて回っていたのかと思うと何だかすべてが陳腐で安易なものに思えてきて本当にガッカリだ。いや、人生の眩い輝きを目にしてしまったジャン=ルイのウブな恋心、というだけならまだカワイイもの、メイドのマリアがアッサリと女主人を裏切るのだけはちょっとイタダケナイなぁと。奥様、単なる悪妻ではなく可愛げのある方だったのに。

メイドたちの投資や事業立ち上げのサクセスものでも、子供を交えた6Fへのプチ家出騒動コメディでも、妻を巻き込んだ円満ハッピーエンディングでも・・・どのエピソードにしたってきっと爽快な物語が出来たでしょうに。人生の転機、新たなる発見を楽しめる物語だと思わされておいて、なぜか途中ですべてのハシゴをガチャンと外された気分。この映画での"恋愛"はスパイス程度でずっとずっと楽しめたのになぁ。いや、そこは「どんな立場でも自由に恋愛を楽しむんです」という"アムール"の心を持つフランス映画ならではのお話なのだろうか・・・・





日の名残り コレクターズ・エディション [DVD]


カズオ・イシグロ原作でジェームズ・アイヴォリー監督によるイギリス映画『日の名残り』は、いわゆる"滅私奉公"的な緊張感が漂う陰に生きる老執事の物語でした。日本人の私としても解りやすい世界観です。しかし『屋根裏部屋のマリアたち』では、長年働いてきた家政婦さんが奥様にブーブー文句を言っては反抗し、挙句の果てには言いたいことを全部言い放って啖呵切って辞めていってしまいましたから、これはスゴイなと(笑)。フランス映画ではよく見られる平等であるということ、主張すべきことは相手が誰であろうとキッチリ言うという精神にはいつもタジタジになってしまいます。

踊れトスカーナ! [DVD]


また、『屋根裏部屋のマリアたち』の中では同じラテン系と分類されながらも「フランス人」と「スペイン人」をうまく描き分けているように、1996年のイタリア映画『踊れトスカーナ!』という作品では、気質が似ていると思われがちな「イタリア人」と「スペイン人」の対比をユーモラスに描いていたことも思いだしました。そういえば両作品とも、登場する「スペイン人」に共通するのは人生のしがらみから解き放ってくれる"情熱"と"解放感"、それにフラメンコと美味しい食事。【映画の中のスペイン人】には人生を見つめ直すきっかけやパッション、ロマンなんかが求められているってことなんでしょうねぇ。



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