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『レッド・ライト』 (2012/アメリカ、スペイン) 

   ↑  2013/10/15 (火)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー






●原題:RED LIGHTS
●監督、脚本、編集:ロドリゴ・コルテス
●出演:ロバート・デ・ニーロ、キリアン・マーフィ、シガーニー・ウィーヴァー、トビー・ジョーンズ、エリザベス・オルセン、ジョエリー・リチャードソン、クレイグ・ロバーツ 他
●大学で物理学を教えるマーガレット・マシスンと助手のトム・バックリーは、超能力の存在を疑問視する立場からその科学的な解明を行ない、巷で“超能力者”と呼ばれる者たちの嘘を次々と暴いていた。ある日、40年前に一世を風靡し、その後表舞台から姿を消していた伝説の超能力者、サイモン・シルバーが活動再開を宣言した。トムはマーガレットにサイモンの調査を進言するが、彼女はかつてサイモンと対決して敗れた苦い過去から、トムに自制を求める。しかし、トムは忠告を振り切って単独でサイモンの調査を始める。すると、それを境にトムやマーガレットの周囲で不可解な現象が次々と起こり始める・・・・。




まるでデ・ニーロを主役とばかりにミステリアスな雰囲気ゴリ押しで「どや!」と訴えかけてくる日本版のポスターは、見当違いも甚だしいです。そんな映画じゃありません。






どこか常に痛々しさを滲ませる、寂しそうな瞳が印象的なキリアン・マーフィー。
ハッタリ演技がこの上なく似合うデ・ニーロ。
息子の脳死状態に自分を責めるシガニー・ウィーバー。


ラストにはいわゆる"どんでん返し"があるのですが、正直このドラマの重みに比べたらちょっと露骨過ぎて拍子抜け・・・でしたが、それを差し引いたとしても観終わった後にそれ以上の静かな感動が湧き上がってきました。


超能力や超常現象といった非現実的な要素をとことんド派手に扱いながらも、『レッド・ライト』という映画は人間の心の弱さ、本当の自分を偽って生きることの辛さを三者三様に表した人間ドラマだったのだなぁと。私にはそう感じられました。


心の奥深いところにズーン!と響いてくるような音楽も印象的。
静寂を切り裂くように重々しく鳴り響き、まるで根幹から何かを崩し去るようにも感じられるほどの大音響に「これは絶対に映画館で観るべきだった!」と今更ながら痛感しました。

が、この映画は複数回観ることによって、様々な角度から登場人物の行動や"現象"を観ることが出来るので、映画館の音響にはかなわないぶんDVDで何度もこの映画を堪能することが可能です。「実際には胃癌だった」と判明した"誰か"の母親の話は、一体"誰"がそう告げたのか?と2度目に観た時に考えたらとても切なくなってしまった・・・。







キリアン・マーフィ演じるトム・バックリー。
『レッド・ライト』の後半からは、彼と一緒に観る側も追い詰められ、惑わされ、揺さぶられ、恐怖さえも抱えながら物語を追っていくことになるのですが、"超常現象の嘘"を暴くのにバックリーには正義感のようなものが見られないところに、何かザラリとしたものを感じながら観続けました。

彼は何を知りたいのか?
それをずっと追いながら。

ラストのバックリーの行為。あれは、シガニー・ウィーバー演じるマーガレットに、本当は「彼は大丈夫なんだよ、あなたは安心していいんだよ」と伝えてあげたかったからなんだろうな、それをしてあげられなかったことを悔いているからなんだろうなと思ったら切なくて泣けてしまいました。







印象的だった言葉
「レッド・ライト」とは場にそぐわない不協和音のこと。超能力者には2種類の人間がいる――「自分は超能力者だ」と信じ込んでいる人と「自分の嘘は見抜かれない」と思っている人。「超能力者なんていないんだ!」と叫ぶバックリー。真実を手にする方法はただ一つ、何も期待しないこと。不純な思惑を持てば怪物を生みかねない。人は自分を知ることを否定する、でも永遠には否定できない。そして繰り返される「How did you do that!?」



エンドクレジット後にもう一度だけ現れる、開け放たれた窓に静かに揺れるカーテン。「これでもう自由なのだ」という安心感や安堵感を覚える、静かで印象的なカットでした。







それから・・・
これは『レッド・ライト』という映画を観て個人的に感じたことなのですが、アメリカの超能力ショーって"奇跡"として、救いを求める宗教的な側面が強いのかもしれないなと思いました。


確かに、日本でいうところの"弱みにつけこむ"とか単なる"インチキ"ということも強調されていましたが、宗教的な部分――イエス・キリストの奇跡や復活、神の啓示といった感覚に近いように感じました。「あの世がある」ということを暗にバックリーに言わせていることや、アメリカでの宣伝文句が"How much do you want to believe?"だったように、何か大きな力(奇跡)を信じたい気持ちがあるんだろうなぁ、それが利用されているんだろうなぁと。そんなところがちょっと興味深かったです。


ロドリゴ・コルテス監督インタビューはコチラから
 ロドリゴ・コルテス監督が語る映画『レッド・ライト』の狙いとは?



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  2013/10/15 | Comment (4) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

Comment


こんにちわ

はなまるこさん、こんにちわ。
映画を見た感想が「おもしろかった」or「否」か、俳優がかっこよかったとかどうだか。
などしか書けないワタシなので、はなまるこさんとそのレビューは雲の上の存在です♪
はなまるこさんは映画感想ライターを本業にされた方がいいですね♪

あまりに上手な解説のお陰で、この映画にとても興味を持ちました。
見たら(WOWOW放送までどれくらいだろ)またこのページを訪問いたしますっ。
♪(*・д・)ノ

mia☆mia |  2013/10/15 (火) 15:45 No.183


はなまるこより

mia☆miaさん、こんばんは~♪コメントありがとうございました。

ひぇぇぇ~i-282私の映画レビューなんて
「映画が好き」が半分と「ストレス解消」が半分くらいの書き殴りみたいなもので、
私も『タイム』の時にはキリアン・マーフィーの顔を見ながら
"この人だけなんでトシくってるのかなー"とハナほじってましたもん(笑)
あ、これは内緒にしておいてください。
やっぱり映画の感想は【映画愛】が一番ですよっe-269
mia☆miaさんのレビューブログはそれが心地よいので、本当に大好きです♪
これからも色々な映画を教えてくださいねe-266
(『ザ・グレイ』は極寒期までのお楽しみということで・・・♪)

『レッド・ライト』は意外と地味な扱いでしたが、ちょっと変わったドラマということで
世間では好き・嫌いがけっこう分かれてはいるようですが
その地味な雰囲気が私にとっては好みのタイプの映画でした。
なので、興味をひくだけひいておいてツマラなかったら本当にゴメンナサイ(笑)!!!
wowowではやく放映されますよーに☆

mia☆miaさんへ★ |  2013/10/15 (火) 21:39 [ 編集 ] No.184


約2か月後に見ました☆

はなまるこさんのレビューを拝読したにも関わらず、ラストのドンデン返しには驚いてしまったワタクシです。
これは超能力や超常現象が題材でありながら、ヒューマン映画でもありましたよね。

神や目に見えないものを信じる力って大きいですよね。だから宗教もまんざらわるいものでも無いなって思います。
もちろん良い方に向けなければいけませんけどね^^

『私が生きる肌』ワタシも見ました☆
うーん。変わった作品でした。これもオチに驚いてしまいましたが、なんとなく消化不良な感じでした@

mia☆mia |  2014/02/27 (木) 16:53 No.247


はなまるこより

mia☆miaさん、こちらにもコメント&TB送っていただきありがとうございました♪ウレシイi-237

>これは超能力や超常現象が題材でありながら、ヒューマン映画でもありましたよね。
そうですね、そうですよね!なんだか宣伝での「ロバートデニーロに騙されるなッ!!」
という、いわゆる超能力対決?みたいなものが中心だとばかり思っていたので、
キリアン・マーフィが中心になって動いていく展開にも意外な印象を受けました。
彼のどこかとても哀しそうな目が、すごく良く活きた物語でもあったと思いました!

>神や目に見えないものを信じる力って大きいですよね。だから宗教もまんざらわるいものでも無いなって思います。
>もちろん良い方に向けなければいけませんけどね^^

本当にそうですよねー。個人の心や生き方に影響して良い力となるなら問題ないですが、
それが他人に悪用されてお金が絡んできたりすると、この映画のように"インチキ"になりますね。
でもそれって、この映画のオチも結局はそうなんですが、やっぱり人って
そんな”力”を心のどこかでスゴーク信じたかったりするのに影響されてしまうんでしょうね。

>『私が生きる肌』ワタシも見ました☆
うーん。変わった作品でした。これもオチに驚いてしまいましたが、なんとなく消化不良な感じでした@

おぉ!mia☆miaさんもご覧になりましたかi-237
消化不良になりますよねー!バンデラス、それなりに頑張ってたとは思いますけどヤッパリ・・・i-229
あのオチこそ「おいおいそんな無茶なぁぁぁi-282」という納得いかないものでした(笑)

mia☆miaさんへ★ |  2014/02/28 (金) 10:38 [ 編集 ] No.249

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