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『ここに幸あり』 (2006/フランス、イタリア、ロシア)

   ↑  2013/12/29 (日)  カテゴリー: コメディ




DVD/ここに幸あり


●原題:JARDINS EN AUTOMNE / 英題:GARDENS IN AUTUMN
●監督、脚本:オタール・イオセリアーニ
●出演:セヴラン・ブランシェ、ミシェル・ピッコリ、オタール・イオセリアーニ、ジャン・ドゥーシェ、リリ・ラヴィーナ、アルベール・マンディ、ヤニック・カルパンティエ、ジャサント・ジャケ、マティアス・ジュング 他
●大臣のヴァンサンは、ある日突然辞任に追い込まれ、仕事も住む家も愛人も失ってしまう。別れた元妻にも相手にされず、行き場を無くした彼を迎え入れてくれたのは老いて尚頼れる母と昔の友人たちだった。地位も財産も関係なく、仲間たちと飲んで食べて歌って過ごすうちに、今まで気づかなかった小さな喜びや、素敵な出会いが巡ってくる。色々なものを失ってはじめてヴァンサンは自由気ままに人生を謳歌し始めるのだった。
●公式サイトはコチラ:『ここに幸あり』




いきなり大盛況な棺棺屋さんのシーンで笑った!しかも不意打ちで『月曜日に乾杯!』に出てきた、あの漫画としか思えないようなノッポの郵便屋さんも出てきます(そして皆、お気に入りの棺桶を巡ってケンカしている笑)。

出てくる人出てくる人、監督の知り合いだとか、脚本家や美術さんだとか、俳優とはまた違う濃いキャラクターたちに目を奪われすぎて困るくらい(笑)。



イオセリアーニ監督って好きだなぁ。ゆったりとした作風は、チョコマカとした忙しない日常の馬鹿馬鹿しさとか、チンチクリンな人間の愚かしさなんかを温かな気持ちで(←ここが重要)笑い飛ばしてくれる。真面目腐って考え事をするのが、ものすごくどうでもいい感じに思えてくるから大好き。どうしてかな、何をやるにしても、どの人間の顔も動きも滑稽極まりなく見えてくるから不思議。イオセリアーニ監督の映画は、出来事ではなく人間を見せてくれます。






月曜日に乾杯!(DVD)


私がオタール・イオセリアーニ監督を知ったのは『月曜日に乾杯!』公開の時。日常がイヤになってしまったフランス人のおじさんが「ちょっとヴェニスへ行ってきます」なんて言っているユーモアあふれるポスターを伊語学校で目にして一目惚れ(学校が一押ししていた)。映画館で観て、DVDも買って、この"のんびりムード"にすっかり浸りきってしまった私でした。そのノホホン的な雰囲気に、共感したり笑わされたり、ちょっとだけホロリとしたり。本物の自由というものを見せてくれる映画でした。


汽車はふたたび故郷へ


でも、イオセリアーニ監督はただのオヒョイさんではないのです。旧ソ連のジョージア(日本語の旧呼称:グルジア)出身であり、共産主義国家を形成していた同じジョージア出身の他の芸術家と同様、彼もソビエト時代からこの国を代表する映画人のひとりだったにもかかわらず体制批判的人物として作品が上映禁止になることが多く、結果フランスへ出てから国際的に広く知られることに・・・。2010年のジョージア映画『汽車はふたたび故郷へ』は、そんなイオセリアーニ監督の経験が多く盛り込まれた半自伝的な映画となっています(でもやっぱり"ノホホン節"なところが本当にスゴイ笑)。


当ブログでは1984年『懺悔』のテンギズ・アブラゼ監督と、1986年『不思議惑星キン・ザ・ザ』のゲオルギー・ダネリア監督という、ジョージア出身監督による強烈な印象と強いメッセージ性を持つ映画作品を偶然【旧ソ連映画】としてアップしていましたが、イオセリアーニ監督の場合、彼の作品から感じるのは人生の苦難だけでなく、不思議だけれど歓びも大きいような気がしていました。今年この『ここに幸あり』を観て、私は本当に彼の作品が好きなのだ、それはイオセリアーニ監督の人生観がとても好きだからなんだー!ということがハッキリわかったのです。

人生はたとえ不幸であっても、楽しい、明るいところもある、そのように考えるべきだと思います。この地上で生きることは、いつも愉快なことです。人生は難しければ難しいほど楽しいものになります。なぜなら、人間は自分が生きているとより感じ取ることが出来るからです。共産主義は私たちに"地上楽園の実現"を約束しました。しかし幸いなことに、彼らの実験は成功しませんでした。それがもし実現していたら、それはまったく退屈なものになっていたに違いないからです。苦しむこと、私たちの周りにあるすべての障害に対して闘うこと、それが私たちの運命なのです。
■第3回東京フィルメックス オタール・イオセリアーニ監督ティーチ・イン(2002年12月8日 有楽町朝日ホール)


人生は予期してなかったプレゼントさ。何が起こっても人間は生きていける。生きていくことは小さなあそびなんだ。
■最高に深刻なことを、微笑みをもって語る――。 オタール・イオセリアーニ インタビュー



そうそう、『ここに幸あり』でも『月曜日に乾杯!』で男の子が教会の壁に描いていた「聖ゲオルギウスの龍退治」を道に落書きしていました。今度は小銭も稼いでいます(笑)。壁の落書きが消されようと、大臣職を追われようと、家を追い出されようと、バケツで水をぶっかけられようと、それを同じレベルで「タイヘンだけど、まぁそれも人生」と言ってくれるイオセリアーニ監督。本当に好きです。





というわけで、2013年最後を締めくくる映画は今年の私の気持ちに一番ピッタリだったこの作品(邦題もナイス!)にしてみました。今年も当ブログを訪れてくださいました皆様、本当にありがとうございました。

最近、映画ブログを色々と読みながら、あ~結局私は映画作品の批評云々を知りたいんじゃなくて(それを知りたい時には専門家先生の本でも読みます)、その人が感動したり逆にツマラーン!と言いながら映画を通してどんな世界を見ているんだろう、どんな話をしてくれるんだろう、というのが一番面白いんだなぁとつくづく感じるようになりました。映画じゃなくて、一番面白いのはその人なんだ!と(笑)。

2014年もまたノンビリではありますが、好きな映画に出会えたらいいなぁと思います。皆さまどうぞ良いお年をお迎えくださいませ。また新しい1年が良いものとなりますように!

はなまるこ



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  2013/12/29 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

Comment


こんにちは。
この作品、のほほんとした作風ですよね~。棺おけ屋や落書きのくだりは、わたしも印象に残ってます。
でも残念な事に、例のごとく顔が見分けられなかったのですよ…。ちょっと考え事が頭の隅に引っかかっていたせいもあると思うんですが、どのおじさんが主人公なのか画面が切り替わるたびにわからなくなってしまって(汗)

でも、監督さんの
>人生は難しければ難しいほど楽しいものになります。なぜなら、人間は自分が生きているとより感じ取ることが出来るからです。
という言葉を読んだら、その温かくて芯の強い人柄に、いつかまた挑戦したいと思いました。はなまるこさんのお好きな「月曜日に乾杯!」も興味あります!

>映画じゃなくて、一番面白いのはその人なんだ!と(笑)。

同感です!
ネットを使うようになってから、映画の楽しみ方が広がりました。一人で観ても、すぐに多くの人の感想を知る事ができるし、詳しい映画情報も得られるし、新しい見方に気付されることもしばしば。
でも、たくさんある映画ブログの中で、この人のブログを読み続けたいと思えるのは、やっぱり書き手の魅力なんですよね~。
はなまるこさんのブログも、温かい人柄が伝わってきて居心地いいです。
2014年もお互い映画を楽しみましょう♪

宵乃 |  2013/12/30 (月) 09:42 [ 編集 ] No.218


はなまるこより

宵乃さん、きっと年末のお忙しい中、コメントいただき本当にありがとうございました!

>でも残念な事に、例のごとく顔が見分けられなかったのですよ…。ちょっと考え事が頭の隅に引っかかっていたせいもあると思うんですが、どのおじさんが主人公なのか画面が切り替わるたびにわからなくなってしまって(汗)
いえ、これは宵乃さんが正しいのです(笑)!
画面にかぶりついていたとしても、多分オジサンたちの顔を全部は覚えられませんよ~i-229
監督は知り合いをワンサカ出演させているので、自分は区別がつくから良いですよねぇ(笑)

『月曜日に乾杯!』も、日常に疲れたフランス人のおじさんがイタリアで言葉も通じないまま
知り合いになったオジサンたちと飲んで歌って酔っぱらって・・・・という、
これまた色々な顔の"おじさん特集"なので、宵乃さんを疲れさせてしまうに違いありませんi-237
でも、イオセリアーニ監督の人柄というか、人間を見つめるその視点、素敵ですよね♪

>ネットを使うようになってから、映画の楽しみ方が広がりました。一人で観ても、すぐに多くの人の感想を知る事ができるし、詳しい映画情報も得られるし、新しい見方に気付されることもしばしば。
本当にそうですねぇ♪自分の苦手だった、或いは好きになれなかった映画だとしても
「あぁそういう視点から観ると面白いんだ~」とか
「そういう所を良い!って思えるっていいなぁ」という発見もあったりしますし、
映画はこう観るべき!!これは駄作!!とか決めつけるわけではない個人の自由な感想って、
一人で映画を観るよりもずっと世界が広がるようで楽しいですよねi-179

私は宵乃さんの気配りのある優しさと、シッカリと地に足がついた考えをされていることなんかに
大感動の年となりました。しかも的確なイメージで映画を視覚的にイラストで表せるなんて・・・・
(映画よりも宵乃さんのイラストが頭に残ることもしばしば←天空の草原のナンサの犬!!笑)
こんな私ですが、来年もどうぞよろしくお願いいたします。
また来年も良い映画に出会えますようにi-190

宵乃さんへ★ |  2013/12/30 (月) 22:39 [ 編集 ] No.219


あけましておめでとうございます!

「月曜日に乾杯」だけ、わたくしめも観ましたが
面白かったです、ほっこりしました。

札幌はここ2~3日大雪で雪にすっかりかこまれました
今年も適当に映画観たり、あんまり観なかったりダラダラ
適当にブログも書いていこうと思います(笑)

今年もよろしくお願いします

タマ |  2014/01/01 (水) 05:59 No.220


はなまるこより

タマさーん♪あけましておめでとうございますi-1
今年初のコメントをいただきあまして、ありがとうございます♪

そうそう、タマさんも『月曜日に乾杯!』のレビュー、書かれていたんですよね!
ほんとノーンビリ見られる映画でしたねぇi-228独特の雰囲気ですよね~

札幌の方は、なんだか雪がスゴイみたいですね!
ジャック君は、そんな雪生活にはきっとすっかり慣れっこなんでしょうね☆
私は"極寒日"に観よう!と思っている映画があるので、雪が降るまでもうちょっと待機します(笑)
今年もタマさんの楽しいレビュー&お散歩&食べ物&ジャック君シリーズ待っています♪
本年もどうぞよろしくお願いいたしますi-178

タマさんへ★ |  2014/01/02 (木) 09:02 [ 編集 ] No.221

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