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『THE GREY 凍える太陽』 (2012/アメリカ) ※ネタバレおよびラストシーンに触れています

   ↑  2014/02/24 (月)  カテゴリー: シリアス、社会派






【Blu-ray】ザ・グレイ


●原題:THE GREY / 別邦題:ザ・グレイ
●監督:ジョー・カーナハン
●出演:リーアム・ニーソン、フランク・グリロ、ダーモット・マローニー、ダラス・ロバーツ、ジョー・アンダーソン、ノンソー・アノジー、ジェームズ・バッジ・デール、ベン・ブレイ、アン・オープンショー 他
●石油掘削現場で勤務する男たちを乗せ、アラスカのツンドラ地帯を飛んでいた飛行機が、大嵐に巻き込まれて墜落。オットウェイら、7人の男が生き残るものの、そこは周囲がすべて雪に覆われる極寒の地。一行は取りあえず南へと向かうが、野生のオオカミたちのテリトリーに足を踏み入れていたことから、彼らの執拗な攻撃にさらされることに。マイナス20度という寒さや、圧倒的な食料の不足にも苦しむ中、雪山を突き進んでいく彼らだったが・・・。



私の住む地域では初めてではないか!?と言われた大雪に、ホント参っておりました。

最初の1週間は「雪だ―大雪だ―」と子どもと一緒に雪だるまだ!かまくらだ!そりだ!と浮かれていましたが、続く2週目からは慣れない雪かき、道づくりでヘトヘト。夜は風が強まって吹雪&停電。さらに翌日は暴風雨。我が家のカーポートは雪の重みで崩壊(TT)。用意していた食糧も減り、必死に買い物に行ったら「大雪による漏電のため休業します。再開は未定」と張り紙されたお店が多数(今も)、開いているお店は流通が止まっており、電車に乗ろうとすれば、間引き運転のため"満員電車歴20年超のスペシャリスト"も入り込む余地のない車両を何本も見送ることに。あーもう今まで雪で浮かれていた私なんてバカバカ!

懐中電灯とラジオを手元に置き、ビュービューと氷雪が窓に叩きつけられる音に怯えつつ観たこの映画は、えぇもう一生忘れないでしょう。リアルすぎる体験テンコ盛りで、観終わったあとはぐったりでした。予期せぬ自然の猛威には人間なんてまったく弱いものですね。"日常"なんて、ほんと儚いものなんだなぁ。




ではでは、久々に映画の話を。

生きてこそ[DVD]


ザ・ワイルド [DVD]


飛行機事故による遭難物映画として思い出したのが、食糧難に苦しめれたイーサン・ホーク主演の『生きてこそ』。それから、アラスカの原生林に墜落後、巨大熊グリズリーを相手に死闘を繰り広げることになるアンソニー・ホプキンスの『ザ・ワイルド』。いずれも命を繋ぐための強靭な精神力と凄まじいサバイバル生活が印象的でした。


一方、これらに対して『THE GREY 凍える太陽』という映画ですが、この物語を観始めた時にちょっとそのあたりが変わっているなぁと感じました。主人公は妻を失っていて、そこから生きる価値さえも失っている状態であることが冒頭から静かに伝わってきます。「君を忘れたことは、一度だってない。君に逢いたい。でももうそれは叶わないことだ」このセリフに、スキー事故で妻を亡くしているリーアム・ニーソンの実生活が否応なく重なり、私は冒頭の3分ほどで彼の痛々しいその姿にほぼ絶句状態となってしまいました。

おしどり夫婦といわれたリーアム・ニーソンとナターシャ・リチャードソン夫妻。彼女がスキー場で転倒→頭部強打による事故死という知らせは本当に急で、母親であるヴァネッサ・レッドグレーヴの憔悴ぶりを伝えるニュースも大変辛かったことをよく覚えています。そのためか、この映画はただのサバイバル・アドベンチャー映画とはとても思えず、彼の言うセリフ1つ1つのリアリティに半端ではない重みと、心理面・精神面にぐっと圧し掛かるものを感じました。インタビューでも彼は「私は妻を亡くした男の感情にアクセスすることができるし、それにこれは感情を浄化させるカタルシスのような経験でもあった」と答えています。







実際、後半にはちょっとした「クリフハンガー」や「激流」などのアクションシーンの見せ場もあることはあるのですが、『ザ・グレイ』では極限状態であるはずの飢えや寒さ、そこから水に落ちた体力への影響などはほとんど出てきません。

"リアリティ"が圧倒的に失われているという状況下で、ニーソン演じるオットウェイの内面描写は何度も何度も繰り返されていきました。それに伴い、"神との対峙"など、宗教的・哲学的な色合いをますます濃くしていく展開となったため、私にはこの映画全体がオットウェイの"魂のサバイバル"を描いた物語のように思えました。過酷な環境に中で自分自身と向き合った時に根底に流れているものが"失った信仰心"というのは、やはりキリスト教圏ならではですね。

――流れ着いた地の果てで、罪を犯した者や人間のクズが集まっている。俺は君を失い地獄を彷徨っている。生きながら・・・。ならいっそ、地獄へ行こう――

そして或る意味、主人公の【魂の救済】がこの映画のテーマだったとしたら。
実はあの時、映画の冒頭で銃で仕留めたのは"狼"ではなく、一度はあきらめた彼自身の生(自殺)だったとしたら。

『THE GREY 凍える太陽』という映画は、オットウェイが自分自身と闘うための、彼自身の贖罪の旅とも言えるのかもしれませんね。そうすれば、誰よりも愛しい妻といつかまた一緒になれるのですから・・・。





※注意:ここはラストシーンに触れます※

逃げていたつもりが、実際行き着いた先は巣の中だったなんて(私は日本人なので「お釈迦様の手のひら」の話が思い浮かびました)。全ては神の采配なのかもしれませんが、オットウェイに"もう一度闘うチャンス"が与えられたという、そこに意味を置いたラストなんだろうなと強く感じました。なので、"結果"を見せたがるようなあのエンドロール後の1カットは、蛇足ではないかな、と。ついでに言えば、ラストの詩の再朗読も要らなかった気がします。リーアム・ニーソンの眼と、狼と、オットウェイが父親に抱かれて見た壁の詩のカットだけで、観客には十分過ぎるほど彼の想いが伝わってくるのに。余韻だけで良かったのになぁ。


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  2014/02/24 | Comment (6) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

Comment


あわわ、本当に大変でしたね。今も不安でしょう…。
ご家族誰もお怪我はありませんでしたか?
まだまだ雪も残っているでしょうから、お気をつけ下さい。
少しでも早く日常が戻ってくるよう祈ってます。

そんな状況でもくじけず映画を観たはなまるこさんに拍手!
こんな時こそ映画に力をもらわないとね。
未見の作品ですが、リーアム・ニーソンの渾身の作品ということで覚えておきたいと思います。
その時はまたお話しましょう♪

宵乃 |  2014/02/24 (月) 16:45 [ 編集 ] No.244


はなまるこより

宵乃さん、こんばんは!コメントを残していただいて、いつも本当にありがとうございます。

我が家はおかげさまで皆元気です!優しいお心遣い、ありがとうございますi-241
3・11の時に防災グッズを見直したおかげもあって、今回色々と役立てることもできましたi-201
さらに、今回はご近所さんも皆さんカーポートや屋根などの被害が多くて
雪に慣れていない者同士、日頃滅多に顔も合わせることのないアパートの方などとも
雪かき道具などの貸し借りや道づくりなどを協力し合うこともできて、
タイヘンだったなりに、とても良い経験&教訓となりましたi-203
今は修理の見積もりやら、保険の手続きなど頑張ってますi-229!!

>そんな状況でもくじけず映画を観たはなまるこさんに拍手!
>こんな時こそ映画に力をもらわないとね。

雪の日に絶対観よう!と思って張り切ってレンタルしてきていたのですが
まさかこんな事態になるとは思ってもおらず、暴風雪の不安な夜に半ベソで観ましたi-282
でも、おかげで(?)映画の世界観が沁み渡りましたよ~i-201

>未見の作品ですが、リーアム・ニーソンの渾身の作品ということで覚えておきたいと思います。
>その時はまたお話しましょう♪

画面はとにかく真っ白の映画ですが(笑)、もし機会がありましたらぜひ冬にご覧くださいi-4i-7
いつかお話できたらうれしいです♪

宵乃さんへ★ |  2014/02/24 (月) 22:37 [ 編集 ] No.245


こんにちわ

ニュースで大雪の様子は見てましたが、やはり酷かったんですね。
お見舞い申し上げます<(_ _)>
大変でしたね。

素晴らしいレビューをありがとうございます。
相変わらずはなまるこさんの感想は深い!!
贖罪の旅、まさにその通りだと思います。
やる気を失って廃人同然だった彼が、最期に立ち向かったこと。
見て勇気を貰えた作品でした。

mia☆mia |  2014/02/27 (木) 16:41 No.246


はなまるこより

mia☆miaさん、おはようございます♪

>ニュースで大雪の様子は見てましたが、やはり酷かったんですね。
>お見舞い申し上げます<(_ _)>
>大変でしたね。

ありがとうございますi-201雪のダメージは近所でもまだまだ補修工事だとかが続いてまして、
私の方は慣れない雪かきでのヘタな動きによる腕、肩、腰の痛み(CMみたい)に加えて
手首まで痛くなってしまい、雪深い地域に住む方々の苦労を身を持ってよーく知りましたi-238
mia☆miaさん、すごい映画をご紹介いただきありがとうございました(笑)!!

>やる気を失って廃人同然だった彼が、最期に立ち向かったこと。
>見て勇気を貰えた作品でした。

本当にそうですねぇ・・・i-241
リーアム・ニーソンが奥様を亡くされてからアクション映画に出まくっているのとか
しかもこの映画の役柄と同様に妻を亡くした役を演じたりだとか、
何かに立ち向かっているニーソン自身の姿とも被るような気がして(勝手にそう思うだけですが)
最後のシーンには圧倒されました。途中途中は忘れてしまうかもしれませんが(笑)、
ラストシーンと彼の目は、ずっと心のどこかに残る映画になったような気がします。
mia☆miaさん、コメント&TBをありがとうございました♪

mia☆miaさんへ★ |  2014/02/28 (金) 10:23 [ 編集 ] No.248


こんばんは

そんなに雪すごかったんですか??・・知らなかった。。
いつも降らない地域に降ると、2~3日は楽しさや物珍しさ、それを過ぎると普通の日常はなんて幸せだったんだろうと思いますよねぇ。。
雪だけでなく、普通の日常に感謝を忘れたくないこの頃です。

来ましたねぇ「The Grey」。
リーアム・ニーソンの実社会での背景知りませんでした・・・今になってちょっと感動しております。。。

PS:以前断られた気がしますが・・リンク先を追加させて頂きました☆

S×S |  2014/03/01 (土) 22:54 No.250


はなまるこより

S×Sさん、こんばんは~♪コメント&TBありがとうございましたi-190

>そんなに雪すごかったんですか??・・知らなかった。。
>いつも降らない地域に降ると、2~3日は楽しさや物珍しさ、それを過ぎると普通の日常はなんて幸せだったんだろうと思いますよねぇ。。
>雪だけでなく、普通の日常に感謝を忘れたくないこの頃です。

まさにその気持ちですi-241平和な日常がどれだけ有難いか。。。
最初は浮かれまくっていましたが、今では天気予報でi-4マークを見るとコワイですi-282

>来ましたねぇ「The Grey」。
>リーアム・ニーソンの実社会での背景知りませんでした・・・今になってちょっと感動しております。。。

これはS×Sさんとmia☆miaさんのレビューを読んで「リーアム・ニーソンなら観るぞ!!」と(勝手に)決めていた映画でした。いつも本当に参考にさせていただいております!アリガトウゴザイマス。
この映画、実際に奥様を亡くしていたことを思うと胸に迫るものがありますねi-241

>PS:以前断られた気がしますが・・リンク先を追加させて頂きました☆
チョi-204i-204i-204i-204i-237断ったんじゃないっすよー(笑)
S×Sさんにご迷惑がかかると申し訳ないと思って、念のため伏せておいたんですよ~
リンク入れていただいてありがとうございます♪i-179

PS:わたく今回もS×SさんにTB送って観ましたが・・・やはりうまくいきませんでしたi-202無念~

S×Sさんへ★ |  2014/03/02 (日) 21:59 [ 編集 ] No.252

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