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『くちびるに歌を』 (2014/日本) ※ラストの展開に少し触れています

   ↑  2015/03/01 (日)  カテゴリー: ロマンス、ドラマ
映画「くちびるに歌を」公式サイト



くちびるに歌を (小学館文庫)


●監督:三木孝浩
●出演:出演:新垣結衣、木村文乃、桐谷健太、恒松祐里、下田翔大、渡辺大知、眞島秀和、木村多江、小木茂光、角替和枝、井川比佐志 他
●長崎県の離島にある中五島中学校。産休に入る幼なじみの音楽教師の代理として、美人ピアニスト、柏木ユリが東京からやって来る。合唱部の指導を任されるが、最初からまるでやる気が見られず、ピアノも一切弾こうとしない。引っ込み思案の桑原サトルは、ボーイソプラノの片鱗を見せるが、家庭の都合でなかなか練習に参加できない。そんな中、コンクールの課題曲「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」にちなんで、生徒たちに15年後の自分に手紙を書くよう宿題を課す柏木だったが・・・。




自宅での「オンライン試写会」に当選したので、今回は小学生の娘と一緒に鑑賞させていただきました。、脱力のあまり途中で観るのを止めようかと思ったほどでして。うーん、あの『小さいおうち』の悪夢再来か。

しかも、鑑賞後に世の中いっぱいに溢れている「感動しました!」「涙があふれました!」というレビューをバンバン目にしてしまい、自分の「コレちょっと違うんじゃないか感」が気のせいだと思いたくて、翌日もう一度一人で鑑賞してみたのですが・・・やっぱり感動の嵐には乗れなかった自分がいることだけがよーく分かりました(←ここで号泣)。私だけみんなと違うバージョンでも観たんだろうか。。。






この映画で本当に素敵だなって思うことはちゃんとあったんですよ。本物の景色は嘘をつきません。夕暮れの海、夏の真っ青な空の色、登校途中の坂道に吹き抜ける穏やかな風。オール長崎ロケによる賜物ですね。坂や階段、古い町並みなどの本物の風景は、この映画一番の功労者かもしれません。

それなのに!この映画、一体柏木先生の設定を何だと思って描いたのでしょうか。

難病が~とか、事故による記憶喪失でぇ~とかいった類と同レベルの、頭の中だけで考えたような安易な人物像、そしてその描き方の稚拙さに私はビックリしました。『くちびるに歌を』 の制作側は観客のことをどう思っているんだろうか。「これで盛り上がる!」「これで泣ける!」とか本気で信じているんだろうか?本当に酷い。日本で映画を作るレベルってこんなものだったのか?と。


だいたい代理だろうと臨時だろうとツンデレだろうと、学校の先生という立場を仕事として任された人が「・・・テキトーによろしく。」なんて生徒の前で挨拶しますかね。他の先生が「甘すぎるんじゃないですか!?」と言うセリフが一つありましたけど、本当にそうですよ。学校教育の場を任された人が、個人的な理由で(自分1人でならともかく)生徒の前でも捻くれた態度をとるなんて、一体どんな先生なんだ。って、こういうことを言うとモンペ扱いされちゃうのかな。

「私のピアノなんか人を不幸にするだけよ」なんて悲劇のヒロイン気取ったことを生徒に言っちゃうオトナが、彼女を取り巻く優しく真っ直ぐな強さを持つ生徒たちと一緒に成長し、影響し合い、悲しい過去を乗り越える…とかいう甘っちょろい展開には本当にビックリさせられたんですが。ミステリアスな存在とかそういう以前の問題で、柏木先生に何があったんだろうとかちっとも思えない。あー私が他人に厳しいだけだんだろうか・・・・





一緒に観ていた小1の娘は中学校生活の様子が楽しかったみたいで、話の内容はだいたい理解できているようでした。でも、青空と緑の丘でキラキラしながら歌の練習をしているシーンで娘が間髪入れずに「あ、コマーシャルになった?」と言ったのには笑いました。そうなんですよね、なんかいかにもサラッサラの映像集みたいでこの辺りはあまりに狙い過ぎ。せっかくの雄大な景色が嘘っぽくて「爽やか高原の牛乳のCMみたいだな」と思いました。

別に現実味ギラギラのドキュメンタリーを観たくてこの映画を観たわけじゃないけれど、これならよっぽどNHKの『課外授業 ようこそ先輩』の方がよっぽど面白いんじゃないかと途中から思うほど。

思うに、無理にガッキー先生を中心に据えようとしたこの映画版よりも、子どもたち目線で描かれた原作の小説版の方が「15年後の自分へ」という作文の効果や、合唱という歌によって心も一つになる瞬間の素晴らしさが効いていて良かったんじゃないかなぁと。まるで背景の中に消え入りそうになるほど遠慮した桑原君の佇まいなんて本当に素晴らしかったのに!小説を映像化するのって、こういうものを視覚化&聴覚化できることに利点があるはずなのにな。





最後にもう一つだけ。
少しずつ皆の歌の輪が広がってロビー中が歌声でいっぱいになるあのシーンは、一般的には感動的な場面として捉えられるのかな?と疑問に思いました。規則性を好み、予定外のことが苦手な自閉症のお兄ちゃんに向かって大人数による歌声を浴びせるのはかなりキツいことなんじゃないかと

それに加えて、歌というものが人々の間を、学校とかコンクールだとかいった枠を超えて広がっていくような皆が一つになれる瞬間の素晴らしさを描写したかったんだと思うけれど、なんだか「私たちってステキなことしてる!」という(映画的で)一方的な感じが見てとれて、居心地悪くモゾモゾしてしまいました。日本の映画って、外国映画に比べて身近すぎる描写のためか見方も厳しく辛めになってしまうのかもしれませんが。

ま、今回は
「桑村、おい桑村!名前を呼ばれたら返事くらいしろ!」
「・・・ぼ、ぼくクワハラです・・・・」

というシーンに娘が大爆笑したということだけでも≪楽しかった映画の思い出1シーン≫として残るので、これでヨシとすることにします。ネット評価とは全然違ってしまったけれど、もうこれは仕方ないや!(笑)



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