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『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』 (2008/オランダ)

   ↑  2012/10/29 (月)  カテゴリー: ドキュメンタリー、アニメ


ようこそ、アムステルダム国立美術館へ


●原題:HET NIEUWE RIJKSMUSEUM / 英題:THE NEW RIJKSMUSEUM
●監督:ウケ・ホーヘンダイク
●出演:アムステルダム国立美術館の館長:デ・レーウ、学芸員たち、警備員たち、修復家たち、装飾家たち、建築家(クルス&オルティス)、教育文化科学省 大臣&副大臣、サイクリスト協会の人々 他
●レンブラントの『夜警』やフェルメールの『牛乳を注ぐ女』など数々の傑作を所蔵するオランダを代表する美術館、アムステルダム国立美術館。2004年、その開館以来となる大規模な改築工事が始まる。館長ドナルド・デ・レーウの指揮の下、スペイン人建築家クルス&オルティスの手による新美術館の設計プランが2008年の再オープンに向け動き出すのだが・・。本作は、この改築工事の記録を依頼されたウケ・ホーヘンダイク監督が、図らずもプロジェクトの大混乱に立ち会うこととなり、予期せぬ事態に直面して苦悩する館長や建築家、個性豊かな学芸員たちが繰り広げる悲喜こもごもの人間模様をカメラに収めたドキュメンタリー。



こーれーはー、面白かった!個人的にゆる~くツボだった映画。
私は時々無性に「ドキュメンタリー映画が観た~い!」となるんですが、これって「ドキュメンタリー映画」というのは、脚本や編集で手が加えられているとはいえ、"役"ではなく実在の人々の思いもよらぬ反応や表情に笑わせられたり、感動させられたり。そんな風に物語に直に触れられるような感触がとても好きだから、なのかなぁ。自分でもよく分からんのですが。

で、ワクワクしながら観たこの映画の舞台は、オランダ。行ったこともありません。
資源が少なくて小さい国であるからこそ、語学力に長けた貿易に強い"商人魂"の国(だってDutch=割り勘とか倹約のイメージが笑)、自己主張が強いツワモノ国家だと勝手に思っておりました。そうしたら、それがその通り過ぎたことによる可笑しさと、その先入観を超えたところによる感動と。"国民性"から垣間見えるものが、この『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』の不思議な魅力の一つなのかもしれません。






この美術館の改築工事というのは、単なる"箱物の建替"などではなく世紀をかけた大改装であり、また市民と密接に関わり親しまれていた中心地でもあるわけで、このことから混乱や食い違いが生じていく。その過程が(失礼ながら)本当に面白いのです。耳にタコが出来るほど「solution」という単語が出てくるわけで、しかもこれは英語の会話時だけなので、オランダ語やスペイン語のセリフを入れたらもっとというわけか(笑)!

美術館を貫く通路が閉鎖されることに地元の【サイクリスト協会】が猛反発、計画はスタート早々に躓いてしまう。自転車大国ならではのサイクリスト協会最強!しかも、その後も様々な問題が噴出。まさに喧々轟々!計画は度重なる変更を余儀なくされ、再オープンのメドも立たないという事態を迎えてしまう。そう、2008年の再オープンを予定していたこの美術館は、実際2012年の今現在も未だ改装中・・・・・・・ってオイオイ。






日本の充実した(?)根回し社会とは違って毎回誰かとぶつかり合うという、いちいち本気度の高いオランダ社会。それらの混乱に立ち向かっては途方に暮れる館長。そして、そんな嵐の中でも、芸術の素晴らしさやその美への理想をうっとりと語るアツイ学芸員たち。ヘタな映画より面白いのでは!?

作品の展示の有無で議論する学芸員たちは「これは美術史的な観点からすると、重要な絵じゃない」「これより良い作品がある」「美術史的には価値がない」なんてことを優美な絵画たちの前でしれっというわけで。その勝手な言葉に「チェッ!」と不満顔のようにも見える絵画の表情がとっても面白い。ゴタゴタの影で名画たちが展示されず、窮屈そうに収蔵庫で眠っている姿は哀しくもあり滑稽でもあり。



日本人としてちょっと誇らしかったことは、新規にアジア地域のパビリオンをオープンさせるために金剛力士像を探し出し、これほどまでに日本芸術を愛してくれている学芸員の存在。彼がやっと届いた金剛力士像を、まるで子どものように頬を紅潮させながら受け取るシーンは思わず感情移入してしまいそうなほど、興奮と幸福に満ちた時間でもありました。






そう、この映画には芸術を愛する温かな眼差しと、その前で右往左往する懸命な人々を見守る、ときにユーモラスな視点が確実にあって、それが観ていて本当に心地よいのです。警備員の語る"静かなる現場"との沈黙の語らいや、修復家たちの絵画への情熱や尊敬の念、装飾家たちの仕事への誇らしさなど、それぞれの立場の人々が皆芸術を愛してやまないことが、じんわり伝わってきてとても温かい。


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応援してあげたくなるような大きな存在感だった館長と同じように、思わずアタマを抱えてしまいそうになりながら鑑賞したこの映画。この映画の製作・公開後、ついに2013年4月14日にグランドオープンすることに(関係者向けオープンは4月13日)!よかったよかった~



『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』というステキな邦題のように、いつか訪れてみたいなぁと思わせてくれた映画でした。ま、気持ち的には全力で「がんばれ、アムステルダム国立美術館!!」でしたけど(笑)。



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