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『ミルコのひかり』 (2005/イタリア)

   ↑  2012/02/29 (水)  カテゴリー: シリアス、社会派





ミルコのひかり [ ルカ・カプリオッティ ]


●原題:ROSSO COME IL CIELO
●監督:クリスティアーノ・ボルトーネ
●出演:ルカ・カプリオッティ、シモーネ・グッリー、アンドレア・グッソーニ、アレサンドロ・フィオーリ、ミケーレ・イオリオ、フランチェスコ・カンポバッソ、フランチェスカ・マトゥランツァ、パオロ・サッサネッリ 他
●1970年代初頭のイタリア、トスカーナ地方。10歳のミルコは映画を愛する少年だったが、銃の暴発で両目の視力を失ってしまう。当時のイタリアでは、盲目の少年は普通の学校教育を受けることが出来なかったため、全寮制の盲学校へ転校させられることに。心を閉ざしがちだったミルコはある日、テープレコーダーを見つける。“音”との出会いに新鮮な喜びを感じるミルコ。そして、彼の優れた聴力に気づいた担任の神父が救いの手を差し伸べるのだった…。




イタリア映画界で活躍する盲目のサウンドデザイナー、ミルコ・メンカッチ(Mirco Mencacci)の少年時代の実話に基づく感動ドラマ。実はあまり期待もせずに前情報ナシで観たのですが、これはよかった!

盲学校の生徒役には実際に目の不自由な子どもたちをキャスティングしているとのことで、視覚にハンディキャップを持ちながらも生き生きとしている"子どもらしい"言動のあれこれが、物語を瑞々しくリアルに映し出してくれます。






原題の『ROSSO COME IL CIELO』は「空のように赤い」という意味。
これは盲学校に入ったミルコが初めて友人になったフェリーチェに、色が見えていた時の世界を教えてあげる時の会話から。

"Il rosso come il cielo al tramonto."

台詞の中では「夕焼け空」と言っているのですが、このシーンだけでもミルコの物事に対する観察力、洞察力、そして表現力がどんなに豊かな子供なのかが染み入るように伝わってくる美しくて印象的な場面でした。

この映画には、"目に見える"という手段では伝達が出来ない代わりに「言葉」で表現しようとする力が台詞の端々に見られ、その豊かさからは「目では見えないこと」の重さや大切さが自然と心の内に入ってくる不思議な力があります。





「私は見たんだ、偉大な音楽家が演奏する時――目を閉じるのを。なぜかな?音楽に耳を澄ますためさ。音楽が変化してもっと強く大きくなるんだ。からだ全体で感じるんだ。」

視覚を失ったことで心を閉ざしていたミルコの心を開いたジュリオ神父の言葉。
偶然にもミルコは、その後イタリア映画界屈指の音響編集者となるわけですが、彼の"音"に対する才能は視覚を失ったことで更に研ぎ澄まされ「イマジネーション」の翼を羽ばたかせることに。水の音、鳥たちの声や、風が吹き抜ける音・・・・

ミルコが音の世界から物語を生み出し、それが皆の心を強く惹き付け、制約のない壮大なファンタジーの世界へと誘っていく――そして盲目の子どもたちの"自由と権利"をも勝ち取っていく力になるとは、きっと誰も想像できなかったことでしょう!



暗がりを歩く時。
目隠し鬼ごっこをする時。
コメディ映画で大笑いする時。
お話に合わせて音を創り出していく時。

子どもたちの生き生きとした姿に心動かされるものがあります。




"Hai cinque sensi Mirco, perché ne vuoi usare solo uno?"

先述のシーンでの、ジュリオ神父のもう一つの言葉。手で触り、匂いを嗅ぎ、音に耳を澄まして自然に向き合おうとする他の生徒を後目に「僕は目が(微かに)見えるから、皆と同じような授業は受けない」と頑なに態度を崩そうとしないミルコに対し「僕も見えるけれど、それだけじゃ足りない。君には五感があるね、ミルコ。でもどうして1つしか使おうとしないの?」と。

目で見えることがすべてではない、目が見えることで世界を知っているわけではない、可能性はたくさんあるのだと。この映画を観ていた自分自身にも深く響いてくる言葉でした。
良い映画に出会えたことが嬉しい一時でした。



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