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『明日、陽はふたたび』 (2000/イタリア)

   ↑  2012/03/16 (金)  カテゴリー: シリアス、社会派



[DVD] 明日、陽はふたたび


●原題:DOMANI
●監督、脚本:フランチェスカ・アルキブージ
●出演:マルコ・バリアーニ 、オルネラ・ムーティ、ヴァレリオ・マスタンドレア、イラリア・オッキーニ、パトリツィア・ピッチニーニ、ジェームズ・ピュアフォイ、ダヴィド・ブラッチ、ニッコロ・センニ、マルゲリータ・ポレーナ、ミケーラ・モレッティ、パオロ・タヴィアーニ
●1997年、イタリア中部で実際に起きた大地震をモチーフにした群像劇。アンジェリコの名作壁画「受胎告知」で有名な教会のある古都カキアーノは、地震で大打撃を受ける。家を失った人々は混乱の中、テントでの避難生活を始めるのだったが・・・。苦悩を抱えながら必死に生きる大人たちとたくましく成長する子供たちをやさしく見つめた心温まる人間ドラマ。「かぼちゃ大王」の女流監督フランチェスカ・アルキブジが、実際に被災地に出向き、中学生が書いた文集や現地の人々の話をもとに脚本を書き上げた。




冒頭から激しい地震の場面から始まり、一年前のことを思い出さずにはいられなくなります。あの時、泣き出しそうになった自分の感情をグッと堪えて、昼寝中だった子供を抱き抱えたことを。あれから一年。この映画のことをブログに書き残しておこうと思いました。

地震そのものの怖さや恐ろしさを見せるというリアリティ追及ではなく、震災を機にそこに生きる人々のむき出しにならざるをえない感情や人生を写し取り、群像劇として見せる物語だったから。たとえイタリアという遠い国の話であっても、失い、傷ついた人々がそこから何とか次なる道へと進んでいく物語は自分自身にとっても必要だと思ったから。ただ映画が好きで、映画の持つ力や支えがあってここまでこられた私に出来ることは、この作品のことを少しでも記しておくことだと思いました。





震災によって、それまで当たり前のように営んできた生活や住む場所を失ってしまった古都・カッキアーノ。名産のサラミ工場も機能しなくなり、雇用も失われ、余震に怯える日々。それでも生きていかなくてはいけない村の人々。メチャメチャになった家の中で壊れてしまった音楽プレイヤーを見つけ「泣いては負け。叩けば直るわ」と言う子供の強さ。生活を立て直そうと尽力するも震災後の混乱とストレスからくる親たちの苛立ち。普通ではない状態では綺麗事も通用せず、立ち上がろうと奔走する中で避けては通れない人々の間に起こる衝突。様々な年代や男女の目を通して、それらの小さなエピソードが語られていきます。



少女たちの成長や同級生との恋の芽生え、震災後の復興作業に追われる夫と妻のすれ違い、容姿にコンプレックスを持つ女性教師の恋や、病気を抱えた年配女性と青年の交流など、震災という非日常の中においても見え隠れする繊細な視点が、女性監督らしい表現として随所に散りばめられています。淡々と迎えるラストでも、新たな人間関係が築かれ、彼らが互いに影響しあい、震災以前と変わらずに時は過ぎていくのだということに気づかされて思わずハッとさせられました。とにかく人は生きていくのだ、ということに。

DVDにはフランチェスカ・アルキブージ監督のインタビュー映像が収録されています。

アンジェリコの描いた「受胎告知」を映画のモチーフとして使っています。私はそこに描かれた聖母マリアの表情に惹かれたのです。その絵のマリアは、まるで13、4歳の少女のような表情をしていました。まだ愛も性も知らない年頃の少女が突然妊娠を告げられる―その驚きが、絵の中で表現されているように見えました。私はその少女マリアの驚きを、今回の作品に結び付けたかったのです。

この映画を観ていても「失う」という言葉に本当に胸が詰まります。希望や絆といった安易な言葉もハッピーエンドもなく、これが正しい、何が悪いという道標もない中で"震災"という突然の出来事に人々がどう向き合い、そこからどのように歩んでいくのか。それをずっと思い起こさせ、考えさせてくれる物語でもありました。





生活面における支援が一番必要とされている時に、企業から「子どもたちにバービー人形を!」を大量に送りつけられてくるシーン。地元の「大タコニュース」なるものが真っ先にやってきて震災直後からの人々の生活をユーモラスにメディアにのせようとするところ。


人々の生活の一部であるバールを最初に開けたがるところ。世界的、歴史的文化遺産を誇る国らしく、ともかく修復作業から真っ先に取りかかろうとする国の方針。人々は補償金をマフィアから守らなければならないこと。日本と異なる点があちらこちらに見られ、イタリア映画らしい部分だなぁと感じました。






リヒャルト・シュトラウス作曲の『あした(MORGEN)』(ジョン・ヘンリー・マッケイ詩)というクラシック歌曲があります。難民支援活動などにも力を注いでいるソプラノ歌手バーバラ・ヘンドリックス(Barbara Hendricks)は、N.Y.の同時多発テロが起きた2001年9月11日折しも来日中でした。彼女はコンサートの曲目を変更し、世界平和を祈って犠牲になった人々のためにこの『あした』を歌いました。([Love Italy] 映画「明日、陽はふたたび(Domani)」より(現在リンク切れ))

そしてあした、太陽はふたたび輝くでしょう
(Und morgen wird die Sonne wieder scheinen,)

映画『DOMANI』の邦題「明日、陽はふたたび」は、その歌詞の冒頭の一節から考えられたものだそうです。

明日、陽はふたたび@映画生活




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