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『荒野の七人』 (1960/アメリカ) ~メイキング・オブ「荒野の七人」

   ↑  2011/12/16 (金)  カテゴリー: アクション、パニック




荒野の七人 アルティメット・エディション スタジオ・クラシック・シリーズ DVD全2枚セット【楽ギフ_包装選択】



●原題:THE MAGNIFICENT SEVEN
●監督:ジョン・スタージェス
●出演:ユル・ブリンナー、スティーヴ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ロバート・ヴォーン、ホルスト・ブッフホルツ、ブラッド・デクスター、イーライ・ウォラック 他
●黒澤明監督の名作『七人の侍』を、西部劇の巨匠ジョン・スタージェス監督が舞台をメキシコに置き換えてリメイクしたウェスタン大作の傑作。毎年、野盗に襲われるメキシコの寒村イストラカン。そこで村の長老は銃を購入して戦うことを決意するが、出会ったガンマンのクリスの助言により助っ人を雇うことに。わずかな報酬にすぎなかったが、農民達の熱意に打たれて7人のガンマンが集まってくる・・・!!




【The Magnificent Seven - Elmer Bernstein Theme Song】
何はともあれ、やっぱりこの曲。

エルマー・バーンスタインのこのメインテーマはとても不思議で、まるで荒野を馬が駆け抜けるようなスピード感溢れるイメージなのですが、実はこのテーマ曲がかかる時の映像はどちらかというとノンビリムード。それなのにこの爽快感にはワクワクと心躍るものがあります。
・・・映画とは全く関係ない話ですが、私が自転車に乗る時のメインテーマでもあり、我が家のチビッコがトイレに行く時に口ずさみながら歩いていくテーマ曲でもあります。この軽快感がいいのだろうか・・・(笑)

原作である黒澤映画の重々しさなど一切なく、ドライでシンプルな西部劇。
アメリカでの公開時は不調ですぐに打ち切りになったのですがヨーロッパで大ヒットし、再びアメリカに上陸して注目を浴びたという面白い経緯もあります。制作に関しては脚本、役者などでゴタゴタもあったものの、映画の内容と同じように当時のハリウッドシステムに属さない各分野のプロが集められて出来上がったというユニークな作品となりました。

映画本編はもちろん面白いのですが、今日は【アルティメット・エディション】のDVDに収録されているメイキングからの感想を主に書いてみたいと思います。ジェームズ・コバーン、イーライ・ウォラック、ウォルター・ミリッシュ(制作総指揮)、ロバート・レリア(助監督)による音声解説や、"Guns For Hire - The Making of The Magnificent Seven" というドキュメンタリーなどが盛り沢山に収録されていて、何度も繰り返して観ているような『THE MAGNIFICENT SEVEN』ファンには堪らないセットです。




当時、ブリンナーは既にスターとしての地位を確立しており、しかも才能豊かで何をやらせても完璧にこなしたといいます。「現場でも(『王様と私』そのままのように)シャムの王様みたいに威厳ある態度で振る舞っていたよね(プププ!!)」とDVDの解説でも皆に思い出し笑いされていますが、映画での衣装だけでなく、普段からも黒ばかりを着ていたそうです。彼の佇まいは、見るからにバチバチッ!と音が聞こえてきそうなほどの威厳が感じられます。

そうそう。解説では「帽子を一度もとっていないんじゃないかな」と言われていましたが、実は『荒野の七人』のなかでブリンナーは一度だけ帽子をとっているんです。私も今回観直してみるまで、この映画ではブリンナーは常に帽子を被りっぱなしだと思い込んでいたくらいですが、ホルストが村の娘を見つけて馬に乗せて連れてくるシーン。ここで僅かな時間ですが、帽子をとって作業している彼を確認することができました。ちょっとした再発見です。



とにかくこの「大スターのユル様」が中心となって撮影は進んでいくのですが、そんなブリンナーの過去のインタビュー映像を見てビックリしたことが・・・。今や伝説の大スターとなっているスティーヴ・マックィーンやジェームス・コバーン、チャールズブロンソンまでもが、当時の彼にとってはみーんな「ヤング・アンノウン・キッズ」だったんですね。「うーんマンダム」のあのブロンソンが、あのオジサマが!【キッズ】と言われていたなんて(笑)。誰でも昔はみんな若かったってコトですねぇ・・・・



そして『荒野の七人』で避けては通れないこの話。よく言われるのは、主演のユル・ブリンナーとスティーヴ・マックィーンの対立


この二人の"対立"は、この映画を観ていて本当に一番面白いかもしれません。
マックィーンは何をするにしても何気ない演技でチョロチョロ動いているのがわかります(笑)。ヒラヒラと帽子を振っては被ったり脱いだり、或いは弾をシャカシャカ振ってみたりと、生真面目そうでちょっとスカした風のブリンナーの後ろで一人コミカルな演技をして懸命に目立とう!!としている姿を見ることが出来ます(但しブリンナーから「二度と勝手な事をやるな!」と叱られてからは、やらなかったそうです笑)。『タワーリング・インフェルノ』で共演のポール・ニューマンと同じ量のセリフを要求した、と言われるマックィーンの負けん気の強さやエネルギッシュさは、この頃から筋金入りだったのでしょうね。

しかも実は、マックィーンはホルスト・ブッフホルツが演じた「チコ」の役をやりたかったようなんですね(分かる気がする・・・)。なので、マックィーンのメラメラと燃える対抗心は、まだ若かったホルストにまで及ぶのでありました。「俺の方がうまく演れる!」とか、ホルストが川辺で闘牛の真似をするシーンをラッシュで見て「あいつはこの映画を乗っ取る気なんだー!」とか。「マックィーンの対抗心はすごかった、でも結局は彼の一人芝居。なんたってユルが王様なんだから」と、冷静に低音で語るジェームズ・コバーンの解説には笑いました。

そういった事態が頻繁に起こる中、それでも監督はこのような対立を止めなかったと言います。それどころかうまく煽って、多様な性格や個性を混ぜ合わせる事で競争心をかき立て、そこから連帯感を育てていったといいます。血気盛んな若者たちが「我こそは!!」と前に出てくるこの映画は、『大脱走』でもそうですが、切磋琢磨しつつ互いに友情を育む役者たちをうまく捌いていく才能のあったスタージェス監督あってこそ、見事に完成した作品だったのかもしれません。



このメイキングでは、他にも『荒野の七人』での興味深い裏話が沢山語られています。


例えば、今作の"隠し玉"であるドイツ人俳優のホルスト・ブッフホルツ(『ライフ・イズ・ビューティフル』のトボケたお医者さんですよ)や、映画史に残る「メキシコ系悪役」がガッチリ定着しているイーライ・ウォラック(本当はポーランド系ユダヤ人!)、そして七人衆のリーダーであるブリンナーもアジアの血が入ったロシア系だったりするという・・・西部劇なのに、なぜかエキゾチックな俳優たちが配役されているという意外性。考えてみればユニークな話です。企画、制作、公開当時としてはかなりチャレンジングな映画として存在していたため、まさかこの作品がこれほど世に残るような「名作」と言われるまでになるとは、監督を始め誰一人として想像もしていなかったようです。

そういう肩の力が抜けた感じも、結果としては良かったのかもしれません。
イーライ・ウォラックなど「いつも手元を見ながらの銃を仕舞うのは、盗賊のボスとしてはちょっと・・・」と監督にダメ出しをされていたのですが、本人はあまり気にしていなかった様子(でも今見ると銃の扱いがテキトー過ぎて、まるで子どものお遊戯会を見ているようですごく可笑しいです笑)。コバーンは「寡黙な役なので、セリフが11しかなかった!・・・でもどうしてもやりたい役だったから、家でもナイフ投げの練習をした」とか、「ブロンソンは、競争心の激しい共演者の中でも誰とでも仲良くできる奴だった。でも3人以上になると無口になっていたな」などなど、当時の貴重な舞台裏の様子が幾つも幾つも出てくるのです。



このメイキング制作当時、メインの役者の中で他界していたのはブリンナーとマックィーンだけでしたが、2011年現在で存命なのはクールで陰のあるガンマン、リーを演じたロバート・ヴォーン(79歳)と盗賊のボス、カルヴェラを演じたイーライ・ウォラック(95歳)のみとなりました。後に、様々な形で互いに共演することがあった彼らですが、いつまでも楽しめる映画を残していってくれたことに感謝するばかりです。


・・・そしてこれ。マックィーンがブリンナーに怒られちゃったのかな?と想像を膨らませてくれるようなテンションの低い1ショットなのですが(笑)、こんな風にしていつまでもこの映画は色々な意味で楽しませてくれます。文句なしの輝かしい娯楽映画――これが私にとっての『荒野の七人』なのです。

荒野の七人@映画生活




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