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『ハクソー・リッジ』 (2016/オーストラリア、アメリカ)

   ↑  2017/08/08 (火)  カテゴリー: シリアス、社会派





Hacksaw Ridge [Blu-ray]


●原題:HACKSAW RIDGE
●監督:メル・ギブソン
●出演:アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、ルーク・ブレイシー、テリーサ・パーマー、ヒューゴ・ウィーヴィング、ヴィンス・ヴォーン、ルーク・ペグラー、ニコ・コルテス、ゴラン・D・クルート、リチャード・ロクスバーグ、リチャード・パイロス、ライアン・コア、ロバート・モーガン 他
●アメリカの田舎町で育ったデズモンド・ドスは、看護師のドロシーと恋に落ちるも、激化する第2次世界大戦に心を痛め、衛生兵になるべく陸軍に志願する。しかし基地での訓練で銃に触れることを拒絶し、上官や他の兵士たちから執拗ないやがらせを受けるようになる。それでも決して信念を曲げないデズモンド。とうとう軍法会議にかけられてしまうが、ついには彼の主張が認められ、晴れて衛生兵として戦場に立つことを許可される。こうして日本軍との激戦の地、沖縄の前田高地、通称ハクソー・リッジ(のこぎり崖)へと赴くデズモンドだったが・・・。





や~、一度目に観た時は、そりゃもうモヤモヤしましてねぇ!


真珠湾攻撃にショックを受けた主人公デズモンド・ドスが「僕だって男だ!戦場へ行って役に立ちたい!衛生兵として仲間を助けるんだ!」と入隊するのだけれど、配属されたところが(よりによって)ライフル部隊だったにもかかわらず「信仰があるから銃は持ちません!練習もしません!人殺しはしません!」と主張しまくるわけです。

「え、じゃお前何のために戦争に行くわけ?」と部隊の仲間や上司から非難轟々大ブーイングの中、なんとか「衛生兵」となって、激戦地沖縄の前田高地(ハクソー・リッジ)での戦闘に加わることに。目の前で肉片が飛び交う壮絶な白兵戦の中、ドスは武器を一つも携帯せずになんと75名ほどの兵士を救出(その中には日本兵も)し、「良心的兵役拒否者」としてアメリカ史上初めての名誉勲章が授与されることになる・・・・・なんて、一体どういう人なんだ??




うーん。「銃は持ちません」「戦争には参加したいけれど、人を殺したくありません」という主人公の主張は、結局自分が敵兵日本軍に銃口を向けられた時に仲間の"援護"で助けられるわけで、それって"自らの手は汚さずに他人に殺しをさせている"という点で同罪だと思うんだけどなぁ、とか、「他の人は殺しをやって、私は助けます」と葛藤や躊躇なく言えるところにビックリするんだけどなぁ、とか、宗教云々以前の問題として「集団行動の中で我儘を言って和を乱してはいけません」的な日本人の私にとって、同僚たちに迷惑かけまくりのゴーイングマイウェイの主張・行動にはビックリさせらるんだよなぁ、とか。

こういった疑問や消化できない部分がジャンジャン出てくるんですよ。
どうしてそうなる?なんでそう思う?どうやったらそんな行動ができるんだ!?と。




が、二度目にもう一度この物語を辿った時に気づいたのが、『ハクソー・リッジ』という映画は"戦争映画"などではなくて、"信仰心"というものを強烈に描いた映画だったのだなぁと気が付きました。

「皆は殺すけれど、僕は救いたい」という、普通ではとても考えられないこの狂気と純粋さ。 「こんなに人を助けたデズモンド・ドスはアメリカの英雄なんだよ!」といった単純なヒーロー物語でもなく、「沖縄での高田高地での戦いは凄惨極まりない酷いものだったんだよ、戦争はよくないよ!」という反戦映画でもないのです(それを期待してもいけない)。







聖書主義に立つキリスト教・プロテスタントの【セブンスデー・アドベンチスト教会】(Seventh-day Adventist Church)
この宗派の教区で育ったデズモント・ドスが、「汝殺すことなかれ」の教えを信じて信じて信じて信じて信念を突き通してとった行動が「武器は持たない。人殺しはしない(キッパリ!)」だったわけです。

だから、私がいくら「ドスの考え方ってモヤモヤするわー」と疑問を持ったって何の意味もないんですね。だってそれが彼の信仰心なのですから。ドスの核となる信念であり、確信を持った生き方。この辺、メル・ギブソン監督、有無を言わせません。



同じキリスト教の中でも、教えや主義・信仰形態などが異なるという理由から厳しく区別・非難され、保守系キリスト教徒からも異端扱いされてきたセブンスデー・アドベンチスト教会。軍隊の中でのドスもほとんど常軌を逸した人物として、ずっと周囲の人々に非難されていました。が、そんな彼の行動は、本来なら戦場に置き去りにされ失われていく運命だったはずの人々の命を救い、一転してそれは前代未聞の偉業として讃えられる存在となったのです。


つまり、カトリック教徒(しかも超保守的な伝統主義)というバックボーンを持ち、戦争や暴力の中に、ある種の人間が持つ"信仰心"というものを常に描いてきたメル・ギブソンにとっては、ドスの行為を宗教的な「奇蹟」として捉え、戦場における「英雄」と同じものとして描きたかったのだろうなと感じました。


ドスは繊細でピュアな人間なのだと思います。
神の御心に従い、神の教えに忠実な彼の姿を見て、そのベクトルが「人を救うこと」にあることにホッとします。赦されること、見守られていること、共に分かち合うこと。宗教や信仰を持つということは、ドスのように強い人間を時に生み出すのかもしれません。その"強さ"が逆のベクトルとなる狂気にも似た怖さも、勿論ありますが。


ムスリムやカトリックの友人らが心の底から神様という存在を信じている・・・・そんな面を垣間見た時に感じる「私にはきっと永遠に入り込めない領域」つまり、彼らの"信仰心"に触れた時と同じような気持ちに、この映画はさせるのです。複雑な思い、ではありますね。







そうそう。
宗教云々は置いておいて『ハクソー・リッジ』を観てどうしても書きたかったこと!

Hacksaw-Ridge05.jpg
「お前はいつ死んだんだ?妖怪か!」とか「お前は先住民だな!」とか、新人たちを鍛えまくる第77歩兵師団のハウエル鬼軍曹。演じたヴィンス・ヴォーン、味があってよかったですねぇ。入隊当初こそドスを罵倒しまくって追い出しにかかろうとまでするわけですが、次第にドスの理解者として彼をバックアップしてくれるように。その大きな存在感が大好きでした。

ドスと同じ隊に所属する仲間たちのキャラも立ちまくりで、あまり知らないオーストラリア出身の俳優が多かったのですが、特に"グール(妖怪)"役を演じたゴラン・D・クルート(Goran D. Kleut)なんてもう「アダムスファミリーの再来か!?」って小躍りしたくなるくらい。素敵な俳優陣の発見が嬉しい作品でもありました。







て。

※これ以降は、映画『ハクソー・リッジ』のラストに触れる部分があります。
未見の方や、今後鑑賞予定の方はご注意ください。


  ↓      ↓      ↓



では最後に、ライターでノベライザーの相田冬二さんが『ハクソ-・リッジ』のプログラムに寄稿された「歴史を見つめ、伝説を語る映画作家・メル・ギブソン」の中で心に残るものがありましたので、ここで一部分を引用させていただきたく思います。

デズモンド少年は、弟をレンガで殴ってしまい、このトラウマが武器を放棄する契機にもなるが、彼が初めて人を救う歓びを知るエピソードで、レンガは車を持ち上げる道具となる。また、弟をレンガで倒した直後、デズモンドの父トムはベルトで息子を鞭打とうとするが、そのベルトは、前述したエピソードで傷ついた者を止血する役割を果たす。誰かの生命を奪ったり、痛めつけたりするかもしれないレンガやベルトが、同時に、人間を救う可能性を秘めていること。
発行権者:(株)キノフィルムズ 2017年6月24日


そう!これを読んだ時、私の心にはあるシーンが焼き付いていることを思い出しました。
「決して武器は持たない」と主張していたドスが、ある瞬間に意を決してしてライフルを手にしたのです。人の命を奪うはずの物が、その時人の命を救うものになるとは。

そして、兵舎にいた時は安息日のトレーニングも拒否していたドスが、二度目のハクソー・リッジで「命を救いたい」という決意のもと安息日に再び戦場へと戻るシーン。

『沈黙 -サイレンス-』では、沈黙したままの神への問いかけの中で苦悩したアンドリュー・ガーフィールドが、『ハクソー・リッジ』のラスト、安息日にもかかわらず(神の御心としても捉えたのかもしれませんが)、一人の意思を持った人間として行動を起こしたことに心揺さぶられるものがありました。



日本人として、この作品に思うことも。
浦添市のホームページへのリンクもこちらに残しておきたく思います。

『ハクソー・リッジ』の公開によせて
『ハクソー・リッジ』の向こう側 〜沖縄戦の記憶〜
『ハクソー・リッジ』〜作品の舞台をご案内します〜



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  2017/08/08 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

【アメリカ映画】を、今日はがんばってまとめて3本

   ↑  2017/07/09 (日)  カテゴリー: コメディ
「ハクソー・リッジ」公式サイト
手や足や頭がバンバン吹っ飛んで、腸はぐちゃぐちゃでカメラに血飛沫は飛んできて、ドンドンバンバン1時間近い戦場の中に容赦なく放り込んでくるメルギブの戦争(というか宗教)映画『ハクソー・リッジ』、先週・先々週と合わせて2回も観てきました。


いやー、2回目にもなりますと映像的な刺激よりも"ドラマ"として落ち着いて観ることができました。色々と考えることもできましたねー。



というより、なんで2回も観ることになったかと言えばですよ。

実は【映画観賞券】が2枚当たったので、一枚は映画好きの親にあげよう!と思っていたのですが「わざわざ映画館に行ってまで血圧が上がるような思いはしたくないし」とアッサリ却下。えー、でもだからと言って私は昔から「映画は(頑ななまでに)一人で観る派」なので誰かと一緒に観るのはイヤなのです。

じゃあこの一枚は誰かにあげるしかないんだけど・・・・いや映画好きの友人なんて周りに一人もいないわ、「え、これどうする」→「2回観るでしょ」と。

感想、また少しずつ書いていこうと思います。








『摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に』 (1986/アメリカ)



●原題:THE SECRET OF MY SUCCESS
●監督:ハーバート・ロス
●出演:マイケル・J・フォックス、ヘレン・スレイター、リチャード・ジョーダン、マーガレット・ホイットン 他
●カンサスからニューヨークへ、就職にやってきた青年。だがどこの会社も未経験者を雇おうとはしない。そこで、遠い親戚が社長をしている大会社に"メール・ボーイ"として潜り込む。彼は大企業特有の連絡の悪さに目を付け、こっそりと自分の部屋を確保。重役のフリをするが・・・。




1980年代の映画には『ワーキング・ガール』とか『大逆転』系の「リッチって最高!」「目指せ!最上階の部屋」「お金持ち万歳!」なんていう映画がけっこうありましたね。お金を持っている=幸せ、みたいな非常に分かりやすい夢とか欲が表れていて、今思うとめちゃくちゃピュアに思います。

田舎の青年がビジネス界でのし上がっていくサクセス・ストーリーをマイケル・J・フォックスお得意のドタバタで楽しく描いたものですが、「金儲けが人生の幸せ」という拝金主義の大学生を『ファミリー・タイズ』で演じたマイケルが懐かしく重なって楽しく観られました。で、なぜかこの作品、"観ていたつもり"になっていたんですよね。どうしてかな?と思っていたら、あの有名なエレベーターの中での早着替え&裸ネクタイのシーンって、この映画だったのか!とちょっと感動(そこかい)。






『ターミネーター:新起動/ジェニシス』 (2015/アメリカ)





●原題:TERMINATOR: GENISYS
●監督:アラン・テイラー
●出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェイソン・クラーク、エミリア・クラーク、ジェイ・コートニー、イ・ビョンホン、J・K・シモンズ 他
●2029年、ロサンゼルスでは人類抵抗軍が人工知能による機械軍との戦いに終止符を打とうとしていた。1997年、機械軍による核ミサイルで30億人もの命が奪われた“審判の日”以来の悲願がかなうときが目前に迫る。一方機械軍は、抵抗軍のリーダーであり、驚異的な力を持つ予言者ことジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)を生んだ母サラ・コナーを亡き者にすべく、1984年にターミネーターを送り込み・・・。




いや~、実にいいものを見せていただきました。あれもこれも繋がって、もう懐かしすぎます。「ターミネーター」シリーズといえば、3&4は映画館で一度ずつ観たきりですが、1&2に関しては「日曜洋画劇場」やら「金曜ロードショー」など子どもの頃からTVで何度も何度も目にしてきた作品ですので、やっぱり思い入れもあって感想も甘々です(笑)。

素っ裸のシュワちゃん登場シーンとか、あぁコレやっぱり映画館で観たかったですよ。トシをとったT-800シュワちゃんのぎこちない笑顔とか。私にとっては正統派ともいえるターミネーターの世界観に入れただけでもう十分でした。お金をた~っぷりかけた贅沢な娯楽作品とはこのことですね。






『キアヌ』 (2016/アメリカ)





●原題:KEANU
●監督:ピーター・アテンチオ
●出演:キーガン=マイケル・キー、ジョーダン・ピール、メソッド・マン、ティファニー・ハディッシュ 他
●声の出演:キアヌ・リーヴス
●クラレンスとレルは、都会に暮らす全然イケてない従兄弟どうし。ある日、レルの可愛がっていた子猫のキアヌが誘拐されてしまう。愛猫を取り返そうと、真面目な2人がなんと冷酷な殺し屋に成りすまし、街のギャング一味に潜入するハメになるのだったが・・・。




殺し屋に間違えられたオッサン二人組が、ハッタリをかましながら子猫のキアヌちゃん奪還を目指す!というコメディ映画なんですが、主演のコメディアン「キー&ピール」の2人組が得意としているという"人種差別ネタ"が、「映画でよく見るアフリカ系アメリカ人のあるある」として散りばめられていて素直に笑えました。

"所謂アフリカ系"に見せるために、「Fワード」をやたらに入れて喋ってみたり「ヘイ、メーン!」みたいな発音でキメてるつもりになってみたり(笑)。ワイルドに見せるためにシャツのボタンを外して、ズボンを腰パン風にしてみたり(絶対違うんだけど笑)。「ジョージ・マイケルって最高じゃん!!」のところは、笑いポイントなんでしょうけれど、彼のいなくなった世界を思うとちょっとここ泣けます。

以前マシ・オカさんが「ギフテッドとしてTIMEの表紙を飾ったことがあるんですよね」という話題になった時に「アジア系が足りないっていうから連れてこさせられたんだよ」って自身で笑いをとっていましたが、人種問題を扱ったネタって当の本人がその社会をよく知っているからこそ出来ることですね。客観視できるからこそ、の笑いなんだろうな。




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  2017/07/09 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit

【アメリカ映画】を、とりあえずまとめてがんばって7本

   ↑  2017/06/25 (日)  カテゴリー: サスペンス、ミステリー
この2,3か月で観た映画を思い切ってギュギュっと、いや、かなりギューギューにまとめることにしました。書いておきたい映画があと20本くらいあるのは、一体どうすべきなのか・・・・・

不思議なことに、その時は思いっきりノリノリで観終わってメモしていたにも関わらず、今冷静になって書き直してみると、正直なところあまり印象に残っていない作品もあったりしてこれってなんでしょう。とりあえず今日は【アメリカ映画】を。







『パンドラム』 (2009/アメリカ、ドイツ)



●原題:PANDORUM
●監督:クリスティアン・アルヴァルト
●出演:デニス・クエイド、ベン・フォスター、カム・ジガンデイ、アンチュ・トラウェ、カン・リー、エディ・ローズ、ノーマン・リーダス 他
●西暦2174年、地球は滅亡を迎えようとしていた。そんな中、ある惑星へ移住するため、6万人の人類が宇宙船エリジウムで出発。やがて二人の飛行士が冷凍睡眠から目覚めるが、二人は記憶を失っていた。そして、船内にいるはずのない恐ろしい何かが存在することに気付き・・・。




面長で寄り目がちなお顔立ちのベン・フォスタージェイク・ギレンホールライアン・ゴズリングは、区別がつかない私の中の三大俳優なのですが、今回はベン・フォスターが主演の「SF・ホラー・ミステリー」。←書いておかないと後でまたゴッチャになる。

みんなドロドロでグチャグチャで臭そうな絵面が続く中、ラストに向けて"頼れるおじさん"系のデニス・クエイドが大暴れしてくれる後半の勢いが結構好きでした。ラストも素直に「おぉ!」と。B級でも満足です、『イベント・ホライゾン』好きです、という方にはピッタリかと。←なにせ、製作が『エイリアンVS. プレデター』『バイオハザード』のポール・W・S・アンダーソンですので。エイリアン?モンスター?ゾンビ?みたいな怪物と戦う時に相手に武器を持たせるシーンなんて、ちょっとぐっときました。エイリアン・スリラー映画におけるバトルの礼節をここに見た!








『エージェント・マロリー』 (2011/アメリカ)



●原題:HAYWIRE
●監督:スティーヴン・ソダーバーグ
●出演:ジーナ・カラーノ、マイケル・ファスベンダー、ユアン・マクレガー、ビル・パクストン、チャニング・テイタム、マチュー・カソヴィッツ、アントニオ・バンデラス、マイケル・ダグラス 他
●フリーランスの女スパイとして活躍するマロリー・ケイン。ある日、彼女のもとに民間軍事企業の経営者ケネスからバルセロナでの人質救出という依頼が舞い込む。同業者のアーロンらと協力してみごとミッションを成功させ、次にケネスが持ち込んできたイギリス諜報機関MI-6の仕事にとりかかる。それはフリーランスのスパイ、ポールとともに新婚夫婦を装い、指定された男に接触するだけの簡単なミッションと思われたが・・・。




ムエタイ出身の総合格闘家という主演のジーナ・カラーノさんのあまりの格好よさに惚れ惚れ!その美貌、ファッション、引き締まった肉体、アッと思う間に繰り出される強力キック。なのに微笑むとあらなんて可愛いの~!で、イケメン俳優たちがボッコボコに叩きのめされます。うぉー。

時系列を工夫したり、映像のトーン、オシャレ音楽なんかで"ソダーバーグ風味"はぷんぷんしていますが、この際お話は結構どうでもよくて、私は彼女の抜群の身体能力とクールな美貌を愛でるだけて大満足。というか、この映画はこの見方で合っているんだと思います。体を鍛えている人の所作って、本当にちょっとした動きでも美しい。「映画は見た目が100パーセント」と思っているであろうソダーバーグ監督らしい作品だなぁ。








『記憶探偵と鍵のかかった少女』 (2013/アメリカ)




●原題:MINDSCAPE
●監督:ホルヘ・ドラド
●出演:マーク・ストロング、タイッサ・ファーミガ、サスキア・リーヴス、リチャード・ディレイン、インディラ・ヴァルマ、ノア・テイラー 他
●ジョン・ワシントンは他人の記憶に潜入できる特殊能力で難事件を解決する“記憶探偵”。ある日、そんな彼のもとに拒食症に陥った16歳の少女アナのトラウマを探り出してほしいという依頼が舞い込む。数々の凶悪事件と向き合ってきたジョンにとって、それはいともたやすい仕事に思われたが・・・。




ノア・テイラーが出てくると「おっ!」というカラクリのあるジャンルの映画になります、と私は信じているのですが、加えて「真実を知りたければ、思い込みを捨てろ。」という宣伝文句に(いつものように)乗せられて、以前から観るのをすごーく楽しみにしていた作品でした。タイトルからして興味深い設定だし、ハードボイルドっぽい探偵モノの雰囲気が素敵だし。

全編から漂ってくる空気が全くアメリカ映画っぽくなく(ロケ地はスペインやフランス、カナダ)、不思議な異国情緒に加えて時代設定も不確かで、この謎めいた雰囲気に思わせぶりな映像を挟みつつ、ゆるゆるとストーリーが進んでいくのでありましたが・・・・・・観終わってみると「なんだよおい」と一言言いたくなってしまった。主人公の行動も穴だらけなので、なんだか知りませんがフツフツと怒りに似たような感情すら抱きました。楽しみにしていたのになー!勝手にハードルを上げすぎちゃったかなぁ。私は今、少し悲しい。








『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』 (2012/アメリカ)




●原題:THE PLACE BEYOND THE PINES
●監督:デレク・シアンフランス
●出演:ライアン・ゴズリング、ブラッドリー・クーパー、エヴァ・メンデス、レイ・リオッタ、ベン・メンデルソーン、マハーシャラ・アリ 他
●移動遊園地で曲芸バイクショーをしながら各地を巡り、その日暮らしの気ままな生活を送る孤独な天才ライダー、ルーク。ある日、かつての恋人ロミーナと再会した彼は、彼女が自分との子どもを密かに生んでいたことを知り、根無し草生活から足を洗うことを決意する。しかし職探しは上手くいかず、母子を養うために銀行強盗に手を染めることに。そして、そんなルークを、正義感にあふれる新米警官エイヴリーが追い詰めていくのだったが・・・。




親子二代に渡る因縁の物語で、しかも結構なスター揃いときましたので「これは重厚なストーリーになるのか!?」と期待したものの、それぞれ皆さん強烈な個性をお持ちなのですが、結局誰もかれもがどうしようもない感じなので「だから一体どうしろと・・・」としか思えなかったです。というのも、結局こういった感想を抱くのは、日本人としての合理的な考えしか持たない私だからなんだろうか?とも感じたからなんです。

ニューヨーク州スケネクタディ(Schenectady)郡がこの物語の舞台なのですが、Schenectadyとは元々モホーク族インディアンの言葉でして、英語だと「THE PLACE BEYOND THE PINES」←この映画のタイトル("松林を越えた向こう側の地")となるわけですね。17世紀初頭からの古い歴史のある街なのだそうですが、やはりこういった独特の雰囲気・・・・ブルーカラーとアッパー?ミドル?クラスといった経済格差や停滞、権力者の腐敗・汚職等、その土地の持つ歴史や特色を知っていれば登場人物たちの行動にもっと意味を感じられたのかもしれません。原案・脚本も手掛けたデレク・シアンフランス監督と奥様(脚本も担当)は、この地の出身だそうですから。思い入れもきっと半端ない。私のぽっと浮かんだ感想程度じゃ到底及ばないような思いが、このアメリカ映画には詰め込まれているんだろうなぁ。







『COP CAR/コップ・カー』 (2015/アメリカ)




●原題:COP CAR
●監督:ジョン・ワッツ
●出演:ケヴィン・ベーコン、ジェームズ・フリードソン=ジャクソン、ヘイズ・ウェルフォード、カムリン・マンハイム、シェー・ウィガム 他
●声の出演:キーラ・セジウィック
●こっそり家を抜け出したやんちゃ盛りの悪ガキ、トラヴィスとハリソン。空き地で一台のコップ・カーを発見し、恐る恐る近づくと、誰もいないのを確認して中に乗り込む。すると、ラッキーにも車のキーまで見つかる。もはや運転せずにその場を立ち去ることなど出来るはずもない。さっそく2人はマリオカートで磨いた腕前を発揮して、コップ・カーを公道で大暴走させる。しかしそのコップ・カーの持ち主ミッチ・クレッツァーはただの保安官ではなかった。




悪者のケヴィン・ベーコン。クレイジーでブチキレまくりのケヴィン・ベーコン。
「こんな曲者ベーコンが見たかった!」という、そんなアナタの期待を決して裏切らないバリバリの悪徳警官をケヴィン・ベーコンが生き生きと演じています。かなりシンプルで地味~な話(米国映画なのに推定製作費が80万ドルって少ないでしょう!)なのですが、私はいやーもう満足満足。

主人公は一応子役2人の方なんでしょうけど、"ガキども――遊びは終わりだ。"というキャッチコピーが示す通り、映画の行く手には中途半端がお嫌いなベーコン様が立ちはだかります。子どもにとっては恐怖以外何物でもないのですが、私の大好きなカムリン・マンハイムが出てくる終盤なんてもうほとんどブラックコメディ。こういう映画にたまに出会えれば、いやー私はもう満足満足。







『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 (2013/アメリカ)




●原題:THE WOLF OF WALL STREET
●監督:マーティン・スコセッシ
●出演:レオナルド・ディカプリオ、ジョナ・ヒル、マーゴット・ロビー、マシュー・マコノヒー、ジョン・ファヴロー、カイル・チャンドラー、ロブ・ライナー 他
●80年代後半のウォール街。証券マンのジョーダン・ベルフォートは26歳で会社を設立すると、富裕層をカモにそのモラルなき巧みなセールストークで瞬く間に会社を社員700人の大企業へと成長させ、自らも年収49億円の億万長者となる。ドラッグでキメまくり、セックスとパーティに明け暮れた彼のクレイジーな豪遊ライフは衆目を集め、いつしか“ウォール街の狼”と呼ばれて時代の寵児に。当然のように捜査当局もそんな彼を放ってはおかなかったが・・・・。




主人公ジョーダン・ベルフォートに人生を狂わされた人は山ほどいるでしょうに、そんなヤツの映画を大馬鹿パワー全開で作ってしまうアメリカってある意味ちょっと怖いよ、アメリカって国は。

だいたい、ドラッグきめまくりで芋虫かナメクジ状態で這いずり回って、どうにか乗り込んだランボルギーニを右に左にボッコボコにしながら運転して、家に着いたらベロンベロンのドロンドロンで転がりまくりながらジョナ・ヒルと電話線に絡みまくるディカプリオちゃん。この抱腹絶倒シーンを思い出すだけでも再び笑いが込み上げてくるのでありますが、一方でこんなヤツに大切な人生奪われた人達を思うと、本当にオカネって恐ろしいものだなと・・・・・。バカだなーバカだなー、本当にばかだなー、と呆れながらも「あっ」という間の3時間。「富=幸福」として迷うことなく突き進んだこの揺るぎなきマネーパワー、下品極まりないですがディカプリオちゃん色々な意味でアッパレ。







『モーガン プロトタイプ L-9』 (2016/アメリカ)




●原題:MORGAN
●監督:ルーク・スコット
●製作:リドリー・スコット
●出演:ケイト・マーラ、アニヤ・テイラー=ジョイ、トビー・ジョーンズ、ミシェル・ヨー 、ジェニファー・ジェイソン・リー、ポール・ジアマッティ、ローズ・レスリー 他
●シンセクト社の研究施設で開発されていた人工生命体の試作品L-9「モーガン」が、研究者を襲って大怪我をさせる事故が発生。調査のため本社から危機管理コンサルタント、リー・ウェザーズと心理評価の専門家シャピロ博士が派遣される。リーは隔離されたモーガンと対面し、シャピロはモーガンの心理評価を実施するが、その最中でモーガンが混乱し始めてしまう・・・!




↑コチラの予告編、IBMが開発した人工知能「ワトソン」が作ったものなんですって。「人口生命体」を巡るSFスリラー映画の予告編として、とても完璧な構成です。起承転くらいまでのツボをキチッキチっと押さえていて巧いです。もしかしたら、映画の予告編作りなんて人間の仕事じゃなくなる日もそう遠くないのかも・・・・・

リドリー・スコット父さんがプロデュースして、ご子息であるルーク・スコットが監督した"人工生命体の底知れぬ脅威"を描いたこの作品。個人的に好きなジャンルなのですが、生命体を作り出そうだなんて考えは人間のおごりとしか思えず、『エクスマキナ』とか『スプライス』なんかを彷彿とさせる不気味感というか嫌悪感が、観ている間中ひたひたと忍び寄ってきました。で、ラストなんですが「あーた、これがやりたくて仕方なかったんでしょう!」という非常に解りやすいオチで、まぁこんなもんかいなと。リドリーお父さんったら、息子には甘いんですわね。




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  2017/06/25 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ | edit