『吸血鬼 ボローニャ復元版』 (1931/ドイツ、フランス)

はなまるこ

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カール・Th・ドライヤーコレクション 吸血鬼 ボローニャ復元版 [DVD]


●原題:VAMPYR / 英題:THE STRANGE ADVENTURE OF DAVID GRAY
●監督:カール・テオドール・ドライエル(カール・Th・ドライヤー)
●出演:ジュリアン・ウェスト、モーリス・シュッツ、レナ・マンデル、シビル・シュミッツ、アンリエット・ジェラール 他
●フランスの田舎町を旅する青年アランは、不気味な古城がそびえる町を訪れ、領主の助言で城を訪れる。そこで貧血になっている娘レオーネを見た領主は、吸血鬼の仕業だと判断。アランは吸血鬼についての知識を蓄えて、吸血鬼に立ち向かおうとする。カール・Th・ドライヤー監督の『吸血鬼』を、ボローニャのシネマテークが現存する中で最も原形に近いと言われているドイツ語版プリントを元に復元。





思えばこの映画より10年も前の『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922年/ドイツ)は、日夜のシーンをそれぞれ暖寒色に分けてキッチリ区別していたし、同じ1931年のドイツ作品『M』は、現代映画として丸々通用するような構成力とストーリー性に優れていました。

故に、一口に「1931年制作のクラシック映画」といっても、流石にこの『吸血鬼』はいわゆる"アート映画"なんだろうなぁと思いました。



サイレントからトーキーに移り変わりつつあった時代。誰の真似でも模倣でもなく、様々な工夫や趣向を凝らして「世界」を創り上げていくことのできた20世紀初頭の映画。

こういった実験的で芸術的な感覚は、今観るととても斬新で新鮮。

モノクロ画面の中で"染み"がゆっくりと広がって、それが"血"に見えてくる怖さ!そんな想像力に刺激されながら観るのは、なかなか良い体験になりました。ま、気を確かにして眠らなければ、ですが(私は2回記憶が途切れて、3度目のチャレンジで完走したので笑)。





当時、この映画の製作資金を出したのはロシア系貴族の青年ニコラ・ド・グンツブルグ男爵

彼は「ジュリアン・ウエスト」という名を使ってこの映画に出演しています。そう、なんとそれは主人公の「アラン・グレイ」というからビックリ。「なんて高貴そうな顔立ちの俳優さんなんだろ~」と思って観ていたので大いに納得。


ハイライトとも言うべき幽体離脱と棺のシーン。これはもう必見。
1957年のスウェーデン映画『野いちご』での、サイレント映画を意識したという【悪夢のシーン】を思い出してしまいました。映像表現の素晴らしさ、力強さというのは時代性などまるで無関係なのだと確かに思わせてくれました。

画面の端で蠢く黒い影。呪われた女性の恐ろしげな表情。死への恐怖。

やはり人間が元来持っている"恐怖の感情"というのは、昔も今もまったく変わらないものなんでしょうね。

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