『キラーカーズ/パリを食べた車』 (1974/オーストラリア)

はなまるこ

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キラーカーズ/パリを食べた車 HDニューマスター版 [Blu-ray]


●原題:THE CARS THAT ATE PARIS
●原案、脚本、監督:ピーター・ウィアー
●出演:テリー・カミレッリ、ジョン・メイロン、メリッサ・ジャファー、ケヴィン・マイルズ、リック・スカリー、マックス・ギリス、ダニー・アドコック、ケヴィン・グロスビー、クリス・ヘイウッド、ピーター・アームストロング、ジョー・バーロウ 他
●オーストラリアの片田舎にある小さな町“パリ”。この町を通過しようとしたアーサーと兄の車は突然事故に遭い、兄は死亡、重傷を負ったアーサーは市長の家に滞在することに。だが、この町は訪れる車を次から次へと事故に巻き込み、積んでいた品物を横取りして町民の生活が成り立っている、恐るべき閉鎖社会だった! おまけに住民と暴走族たちの関係は一触即発、ついに恐るべき抗争が町を炎に包み込む・・・!




この映画、CSの映画欄であまりに何度も何度も見かけるので、遂に根負け(?)して鑑賞してしまいました。ほんと聞きしに勝るヘンテコリンな映画でしたが、「オーストラリア時代のピーター・ウィアー監督ならさもありなん!!」とその辺りは妙に納得のいく作品でもありました。



えー、正直に言いますと、わたしゃこの映画を観終えるのに3日かかりました。無事に完走した自分を全力で褒めてやりたい。

だってね、もう途中で瞼が重くなってきて睡眠モードに切り替わってしまうんですよ。主人公の男は終始ボソボソふにゃふにゃ喋っていて全く頼りないし、映画のテンポも"内容"の割にはのんびりムードで怖がらせる気もないようですし。まぁそこがかえって不気味にも思うんですが、とにかく何もかもがモタモタしていて段々気が遠くなっていくんですよ~。



「夜にも奇妙な」シリーズで見かけるような、閉鎖的な町に入り込んでしまった人間の恐怖を描くホラー系かな?と思っていたら、その町にはあまりにマッドマックスな暴走族が走り回り出し、ところがいきなり西部劇風に悪者がジャジャーン!と登場したかと思うと、奇妙なダンスパーティが始まって、うわーちょっともう勘弁してほしいんだけど!というところで、最後は皆さん一体何と闘っているんだ!?というナンダコリャ状態に。



ただですね、何というかウィアー監督の"美学"のようなものが画面の端々からビシビシ感じられて、3日連続で眠りこけたとしても見逃せないような魅力があったのも確かなんですよねぇ。

先日、同監督作品の『刑事ジョン・ブック/目撃者』で見た、悪役の車が丘の向こうからずずいと登場するシーンはここで発見することができたし、『ピクニック at ハンギング・ロック』での妙に惹かれてしまう不気味さはここかしこにも。外部から隔離された閉鎖的な集団のお話、という点も共通している部分かも。


それで、ウィアー監督のインタビューを読んでみたら、当時泥沼化していたベトナム戦争におけるアメリカで、年長者の価値観を拒否する若者たちの反抗に見る"世代間のギャップ"に触発されたと語っていました。

なるほど~、市長が最後まで自分の価値観を押し通そうとする点、フラフラと人の言いなりだった主人公が自分の道へと歩み出していくラストなど、そういったところにはメッセージ性は感じられます。それに、まるで爽やかなCMのようにコークを飲む裕福そうな金髪碧眼の若いカップルが餌食になってしまうというなど、彼なりのブラックユーモアもあちこちに。強烈な登場人物たちのキャラクター像と同じくらいインパクトのある車の描写も、"アメリカの車社会"に対する皮肉なのかも。


I've always thought America's true religion was cars; people spend more money and attention on them than they do their own children. Society cares about these metal monsters more than humans. There's a bit of this feeling in The Cars that Ate Paris.
DVD Savant Review :The Cars That Ate Paris & The Plumber  Reviewed by Glenn Erickson


訳:私は常々アメリカの真の宗教は「車」だと思ってきました。人々は自分の子供よりも車の方にお金をかけて気を配っているでしょう。社会は人間よりも金属のモンスターたちに気をかけています。『パリを食べた車』にはそんな気持ちも込めてあります。





2011年のものですが【シネマ・トゥデイ】のインタビュー記事が面白かったのでここにリンクさせていただきます。

  『刑事ジョン・ブック』『トゥルーマン・ショー』の名匠監督ピーター・ウィアー、名作が生まれるまでの道のり明かす【シネマトゥデイ】
『刑事ジョン・ブック』『トゥルーマン・ショー』の名匠監督ピーター・ウィアー、名作が生まれるまでの道のり明かす


ピーター・ウィアー監督作品
1970年代

キラーカーズ/パリを食べた車 HDニューマスター版

ピクニック at ハンギング・ロック ディレクターズ・カット版

ザ・ラスト・ウェーブ [DVD]

ザ・プラマー/恐怖の訪問者 HDニューマスター版 [Blu-ray]


1980年代

危険な年 [DVD]

刑事ジョン・ブック 目撃者 [Blu-ray]

モスキート・コースト [DVD]

いまを生きる [DVD]


1990年代

グリーン・カード [DVD]

フィアレス~恐怖の向こう側~ [DVD]

トゥルーマン・ショー [Blu-ray]


2000年代    

マスター・アンド・コマンダー [DVD]


2010年代

WAY BACK ウェイバック -脱出6500km-



ウィアー監督のフィルモグラフィを見ていると面白いですね。
ハリウッドに来てからはますます洗練されてきていますが、"『マスター・アンド・コマンダー』を撮った時にアーティストの部分よりもエンターテイナーであることに目覚めた"というインタビュー記事をネットで目にしてちょっと笑いました。本当にそうだ(笑)!



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Comments 2

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宵乃  
私も観ました(笑)

これは観た後、頭の中が?でいっぱいになってしまいました。想像してた展開からことごとく外れていきますよね~。わたしも寝るところでしたもん。
”閉鎖的な町に入り込んでしまった人間の恐怖”と”価値観を押し通そうとする大人に反発する若者”のふたつの短編を混ぜたら、よくわからないもやっとしたものが出来ましたという感じ。
それが奇妙で印象には残りはするんだけど…。やっぱり迷作かな~。
監督の作品を見ると、知っているのもいくつかあって、これと同じ監督が撮った作品だという事に衝撃をうけました(笑)
個性的な監督さんですね。

2013/08/26 (Mon) 11:15 | EDIT | REPLY |   
宵乃さんへ★  
はなまるこより

宵乃さん、こんばんは♪
こんな作品でも(笑)宵乃さんと感想がかぶって嬉しいですi-237この映画、参りましたね(笑)!
>わたしも寝るところでしたもん。
この一文だけで、あー私だけじゃなかったんだ!と安心できました(笑)

>ふたつの短編を混ぜたら、よくわからないもやっとしたものが出来ましたという感じ。
そうなんですよね!この話はどこに行くんだ!?何を言いたいんだ!?
という疑問だけを心の支えにして観ていましたi-229

>監督の作品を見ると、知っているのもいくつかあって、これと同じ監督が撮った作品だという事に衝撃をうけました(笑) 個性的な監督さんですね。
いやー、もう本当に。この発見だけでも私は大満足でした(笑)!
『モスキート・コースト』!?『今を生きる』!?『グリーンカード』!?
そして『トゥルーマン・ショー』に『マスター・アンド・コマンダー』!!??
キラーカーズから、ここまでバラエティに富んだ映画たちが作られただなんて
誰も予想できなかったでしょうね!私も、マサシク"衝撃"でした~i-282

2013/08/26 (Mon) 20:46 | EDIT | REPLY |   

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