『スズメバチ』 (2002/フランス)

はなまるこ

はなまるこ



スズメバチ コレクターズ・エディション [DVD]


●原題:NID DE GUEPES / 英題:THE NEST
●監督:フローラン・エミリオ・シリ
●出演:ナディア・ファレス、リシャール・サメル、ヴァレリオ・マスタンドレア、ブノワ・マジメル、サミー・ナセリ、サミ・ブアジラ、アニシア・ユゼイマン、マルシアル・オドン、パスカル・グレゴリー、マルタン・アミック、アンジェロ・インファンティ 他
●特殊警察の女性中尉、5人の窃盗グループ、初老の倉庫警備員。一見何の接点もなく決して手を組むはずのない3者が巨大倉庫を砦に、マフィアの戦闘部隊から集中砲火を浴びながらも、わずか4分間に数千発の弾丸が乱れ飛ぶという壮絶な戦いを繰り広げる本格派フレンチ・アクション。




7月14日、パリ祭当日。
スズメバチの生々しい習性を見せるドキュメンタリー番組から始まり、『荒野の七人』のテーマ曲のアカペラが流れ、軍隊の行進、着陸態勢の航空機内、そしてロッカールームでの男女の会話・・・・


こうやって滑り出すフランス映画『スズメバチ』は、話が全く繋がらぬまま時間の経過だけが示されていくという、いわゆる「何でも説明してほしい人向けの映画ではありません」的な不親切極まりないオープニングなのですが、まぁこの突き放したクールさったら!これはちょっとカッコイイ。

やがて始まる、まるでスズメバチの如く際限なく現れては不気味な動きをとるマフィアたちとの銃撃戦・・・・・!
緩急キッチリつけたジェットコースターに乗せられたかのように、一気に最後まで見入ってしまいました。ヤラレタナー







ジリジリと追い詰められていく、息苦しいまでの絶望的状況。

過剰に煽り立てることのない、このあまりにもド派手だけれど冷静な銃撃戦は、自分が観たタイミングがこの映画のトーンにピッタリと合っていたのかもしれないけれど、どこかこうボルテージが上がるというか・・・ブンブンと不気味で不快な羽音に纏わりつかれながらも、不思議な高揚感が湧き起ってきて完全に目が離せなくなりました。

ポスターデザインなんかだけ見ると、「スタイリッシュ系のスマートアクションもの」なのかな?と一瞬思うのですが、ハリウッド的なムダに感動的な人物描写をすることもなく、また彼らの背景部分に時間を割いたりせず、しかもそういった同情感を得ようともせず、誰を主役に据えるということもなく、完全に客観的な視点を伴って、移民や犯罪など社会問題をさり気なーく織り込んだ本格派アクション映画を作り上げてしまったのでした。

こういう"骨太感"が好きだなぁ。


元ネタとも言われるカーペンターの『要塞警察』や、イーサン・ホークの『アサルト13 要塞警察』は未見。比べてみたいなぁ。






THE-NEST03a.jpg
そういえば、この作品。
私にとっては「字幕が頼り!」のフランス映画のハズなのに、時々聞き覚えのある言葉が耳に入ってくるのでアレ?と思っていたら、「ドイツ・イタリア・フランス警察合同」の護衛特殊部隊が登場ということで、伊・仏・英(ほんのちょっと独語)が、話しかける相手や内容によってチャンポンになる(字幕は、外国語&日本語が一緒に出てくる)日本語字幕泣かせのやりとりが随所に見られます。


これは「ドイツ人やロシア人どうしの会話なのに、途中から全員ずっと英語を喋ってる」なんてことが頻繁に起こるアメリカ映画とは違って、言語の使い分けという感覚を自然に持ち込んでいるユーロ圏ならではの的確な表現だなぁと思いました。

アルバニア・マフィアといい、移民社会に生きる若者たちの犯罪模様といい、異文化社会を色濃く映し出すフランス映画には目が離せない魅力を感じます。お気に入りの一本です。




関連記事

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply