『ギャレス・マローンの職場で歌おう!』  原題:The Choir Sing While You Work  Series 1 (2012/イギリス)

はなまるこ

はなまるこ


The Choir: Sing While You Work [DVD] [Import]


●原題:The Choir Sing While You Work  Series 1
●制作:Twenty Twenty Television (イギリス2012年)
第1回:ロンドンのルイシャム病院。外科医、ER医師、看護師、物資運搬係など。
第2回:ブリストルのロイヤルメール。郵便物流管理部門、集配センター、配達部門担当者。
第3回:マンチェスター空港。管制官、警備員、消防隊員、手荷物運搬担当者など。
第4回:コヴェントリーのセバーン・トレント水道会社。上水部門のトップを筆頭に、技術者、掘削や水漏れ検知の作業員、料金徴収担当者など。
第5・6回:予選、本大会
●カリスマ合唱団指揮者のギャレス・マローンが各地を訪ね、一般の人々のグループを“合唱団”に育て上げる人気シリーズ。今回は、病院、郵便事業会社、空港、水道会社で働く人々がそれぞれの職場で合唱団を結成し、“イギリスで最も優れた職場合唱団”の座を競う。ギャレスの情熱的な指導のもと、さまざまな課題を乗り越えた4つのクワイアは、観客の心を揺さぶるパフォーマンスを披露する。





今回「おー、これは書き残しておきたいな!」と思ったのは、BS世界のドキュメンタリーで全6回に渡って放映されたイギリス BBC放送の「The Choir: Sing While You Work」。


Gareth Malone 公式サイト
各合唱団を纏め上げていくギャレスは、欧米人にしては珍しくコドモ顔のお坊ちゃん風でまるでタンタンみたい!細くて白い脚を出した半パン姿で現れたら、皆に「ニワトリの脚より細いわ~!!」と爆笑されていたのには吹いてしまった。

でも、彼のその育ちの良さや、厳しくも的確な指導力、そして何よりもユーモア溢れる温かな存在感が皆にポジティブな力を注いでいるようで、普通のオジサンたちが子どものように無邪気な笑顔を見せてくれたり、その生き生きとした表情を追っていくのがとても楽しいドキュメンタリー番組でした。





ここに登場してくる人々のほとんどが「私が!俺が!」というタイプの人々ではなくて、むしろ恥ずかしがり屋だったり感情表現するのが苦手な人たちで、"団体戦"として徐々に絆を深めていく様子などちょっと日本人の感覚に似ていて、何だか親近感を感じて面白かったです。それまで顔も知らなかった異なる部署の仲間たちが互いの声を聴き、ハーモニーを紡ぎ、質を高め合っていく姿は、合唱だけでなく職場にも良い影響を与えていくんです。
影響し合っていく人間の力って凄い。


Lewisham NHS Trust
普段は冷静で感情をあまり表に出さない医師たちが、一生懸命笑顔で歌おう!と頑張っている姿や、そこへ彼らの科学的感性に訴えようとアプローチしていくギャレスの試みも面白かったです。

それから水道会社の「アンダー・プレッシャー」などは、ソロを歌うシャーロットの人柄・可愛らしさにメロメロでしたし(あ、でも以降のコンテストには姿が見えず、どうも出場していなかったみたい)、まるで一つの大きなうねりを感じさせるような纏まりある素敵なコーラスにもビックリ!唸らされるものがありました。「水漏れを聞き逃さない!」という現場での音に対するカンの良さが、実は合唱でも生きていたのかな!?





Bristol Royal Mail
そんな中、この番組で最も印象的だったのは、郵便会社の「We can work it out」。

歌は正直拙い部分もあって素人然としているものの、その正直で真っ直ぐなメッセージ性に胸打たれてしまいました。リストラと民営化、仕事の合理化などで会社内部が分断されるなど問題が燻っていたこの会社。そんな空気の中で、管理部門というトップの社員と配達現場の職員という人たちが、同じチームという強い結束力で力を合わせ、助け合い、支え合い、「We can work it out (僕らはきっと解決できる)」というメッセージを職場の中に広めていきたいと、前向きな気持ちで団結していく姿にジーンときてしまいました。この歌、私も学生時代スゴく好きだったんだ・・・・

「私たちは社員たちの信念と情熱を見ていなかった」と、合唱から生まれる結束力や熱意はきっと仕事にも活かすことができる!と管理部門が集まるプレゼンテーションで熱く訴えたティムも素敵でしたが、同じテノール仲間で現場配達員のピートが

「合唱団のいいところは、メンバーの間に差がないこと。同じ目的を持った仲間ですから。合唱がみんなを一つにしてくれました。俺たちはチームなんです。一緒に歌うのは本当に楽しい!若造みたいなことを言っちゃいますが、歌が俺たちを変えました。合唱で出来たことが、仕事で出来ないことはないと思うんです」


と感動的なスピーチをした後に、「・・・・・あと、ティムがこんなオエライさんだとは知りませんでした」と笑わせてくれるシーンがとても好きでした。

※そういえば、NHKで放映されたのは全編日本語吹替えで「イギリス英語を聞きたかったなー」なんて思ってましたが、実はこのスピーチシーンがYoutubeにあがっていてワクワクして見てみたら、何かの早回しなのか!?と思うほど、も――のすごいナマリで衝撃を受けた!!NHKの吹替えよ、ありがとう(笑)





もちろんハレの舞台である最終コンテストに向けて情熱を傾けていく様子も良かったけれど、やっぱり一番心に残るのは職場で、各自のユニフォームや普段着で、同僚や家族の前で歌った姿が一番素敵でした。一番伝えたい気持ち、歌声を届けたい人というのは、本当は審査員などではなく、身近な人たちだったんだろうな。普段は気づかないけれど。




■追記:その後の合唱団

ロイヤルメール合唱団は、その後「Xファクター」出身のジョー・マケルダリーと共に「Abide with Me(日暮れて四方は暗く)」をリリース。前立腺癌の予防や治療のためのチャリティ運動に貢献しています。


関連記事

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply