『ジョゼと虎と魚たち』 (2003/日本)

はなまるこ

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ジョゼと虎と魚たち


●監督:犬童一心
●出演:妻夫木聡、池脇千鶴 ジョゼ、新井浩文、上野樹里、江口徳子、新屋英子、SABU、大倉孝二、板尾創路 他
●大学生の恒夫はアルバイト先の麻雀屋である噂を耳にする。それは、近所に出没するひとりの老婆のこと。彼女はいつも乳母車を押しているが、その中身を知る者は誰もいないというのだ。そんなある朝、恒夫は店のマスターに頼まれて犬の散歩に出掛けると、坂道を走ってくる例の乳母車と遭遇する。そして、彼が乳母車の中を覗くと、そこには包丁を持った少女がいた。脚が不自由でまったく歩けない彼女は、老婆に乳母車を押してもらい好きな散歩をしていたのだ。これがきっかけで彼女と交流を始めた恒夫は、彼女の不思議な魅力に次第に惹かれていくのだが・・・。






よく「初恋は実らない」と言いますけれど、まぁ、そうなんでしょうね。

・・・って完全に他人事(笑)。


「恋」を"愛"や"情"に変えるには、まだまだ若いうちは無理なんでしょう。だって、刺激も欲求もいっぱいですからね。


恋をしている時に感じるのは、溢れ出すような思いや人を信じる温もり。それからやってくるのは、自己嫌悪するほどの嫉妬心や人を傷つけてしまう痛み。そして、誰かと繋がっていた幸せな記憶と、それを失う辛さ。


こんなことを沢山知っていく中で、少しずつ少しずつ愛情の持ち方、保ち方を覚えていくのかもしれませんね。






私ね、サガンの作品を愛していたジョゼは、きっと恋には"別れ"があるということも知っていたんだと思うんですね。覚悟、というのかな。


フランソワーズ・サガンは、私が10代の頃にとっても影響された作家です。

サガンの物語には、浮気も裏切りも倦怠感も孤独も絶望も、別れに関するほとんどが物語に書かれてあるというのに、読後感はどれも悲しくはないんです。というよりも、人の心は止められないということの切なさ、ほろ苦さ、可笑しさが湧き上がってきて、恋する人間の愛おしさに安心感すら覚えてしまう。


本当は「車イス」を利用することも出来たのに、それを拒否したジョゼはまだ甘えていたかったのだなと思うと、本当に本当にこれは普通の女の子の恋だったんだなぁと思うのです。






この映画、作りこみギリギリのところから漂う"あざとさ"直前の辺りを見事にキープしていて、何とも言えない甘酸っぱい気持ちになりました。自分以外の誰かを傷つけ失って泣いたことのある人は、きっと同じような感情を抱くんじゃないかなぁと思います。


「もう恋なんてしないなんて、言わないよ絶対~」なんて言えない人も(・・・アレ?どっちだ??笑)、いつかまた前を向ける、はず。というラストシーン。サガンの物語にも似た優しさがあります。だから妻夫木くん、泣くことはないんだよ!

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