『欲しがる女』 (2016/フランス) ※私なりの解釈。ということで

はなまるこ

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欲しがる女 [DVD]


●原題:IRRÉPROCHABLE / FAULTLESS
●監督、脚本:セバスチャン・マルニエ
●出演:マリナ・フォイス、ジョセフィーヌ・ジャピ、ジェレミー・エルカイム、バンジャマン・ビオレ 他
●40歳のコンスタンスは仕事をしていたパリを離れ、6年ぶりに地元に戻ってくる。若かった時と違い、邪険にされるばかりの彼女は、若く美しいオードリーに嫉妬し・・・・。





以前『雑魚』というスペイン映画で「こんなゲス男!」なんて書きましたが、今回はとんでもない女性を発見しました!いやもう、観ているこちらの理解を越えている【モンスター】発見!です。



6年ぶりにパリから地元へと戻ってきた主人公コンスタンスは、映画の初っ端から「君とは話したくないんだ」とか「会いたくない」とか「君とは働きたくない」とか地元の男性陣にバシバシ言われまくりますが、まったく怯まず、怖気づかず、空気も読まず、とにかくズカズカと人の領域に踏み込んでまいります。とにかく図太い!

お金がないのでお腹も空いていて、食事も缶詰からムシャムシャ食らいつく。髪も染めた金髪の根元が黒くなってきて、アタマは完全にプリンちゃん。ファッションも真っ黄黄のスカートだったり、これはナンジャというような花柄スパッツ。

で、やたらに体力もあって、ジョギングやら筋トレやらを鼻をフー!フー!って言わせながら軍隊の如く鍛えまくり、家ではブンブン腕立て伏せ。



この主演のマリナ・フォイスという女優さん、私初めて見たのですけれどすごいんですよ。
ちょっとこちらが目を背けたくなるような肌のだるーんとした弛みとか、法令線のリアルさとか、目の下のゴルゴ線とか、気合の入っていない口角が下がったお顔なんかが、この映画のホラーテイストを増幅させております。若い娘じゃ絶対できないこの潔さ。

やたらめったら出てくる愛情の欠片もないド迫力のベッドシーンも印象的。格闘技か野獣かプロレス技のよう。すっぽんぽんになるも色気は皆無。清潔感もまったくなしの40歳、無職、独身。・・・・なんか書いていて悲しくなってきた。






で、さすがにここまで書いてしまうと「何か良いところがあるんじゃない?」と二日間くらい洗濯物干しながらとか、ゴミ集積場のネットを張りながらとか考えていたんですけれど・・・・この『欲しがる女』というフランス映画、結局これはコメディというか皮肉というか、何かちょっとだけ考えるべきところがあるんじゃないかなぁと。



確かにコンスタンスのやっていることのほとんどは罪に問われるものばかりで、常識の欠片もなく、あまりに利己的で最低最悪。絶対に許されるべきではないとは思うのですが、でもこの【モンスター】を生み出してしまった要因の一つには、社会の仕組みというものも無関係ではない気がしたのです。


彼女はきっと若い頃はとても美しくて、野心もあって、本能の赴くままに行動できる情熱も行動力も抜群にあった女性だったと思うのです。その勢いもあって、きっとステップアップを目指してパリへ行ったのでしょう。でも、上司との不倫や母親の介護などで仕事を失って帰郷することになってしまったんですよね。

若さもなく、再就職もままならず、失業状態で生活保護。誰からも歓迎されず、疎ましがられ、性欲だけの繋がりで不倫した相手からも罵倒される始末。

それに女性の40歳って、この頃からホルモンバランスの影響もあって、体のあちこちに不調が出てくるんですよ。私はよく知っている!肩とか指が痛いとか、目が霞むとか、頭痛が続くとか、眩暈がするとか、訳もわからずイライラするとか。「ちがうだろー!ちがだろぉぉー!!」とか。これは人によりますが。

別に私は彼女を擁護したいわけではないですけれど、コンスタンスがもし若くて控え目な女性だったら状況は違っていたのかなぁと。そう、恐らく違っていたでしょうねぇ。彼女自身の態度も、周りの男性たちの態度も。若くて、美しくて、男性の求めるまま不倫もできる女性だったら、状況も結末も違っていたでしょう。


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だって、何と言っても、この『欲しがる女』という映画の仏語原題の意味は「IRRÉPROCHABLE」=申し分のない、落ち度のない。英語タイトルも「FAULTLESS」=過失のない、完全無欠な

コンスタンスは自分のことをパーフェクト!だと思いたいんですよ。まだまだイケるって。こんなに頑張っているアタシに何の落ち度があるって言うのよ!って。でも社会から、そういう生き方から少しでも脱線してしまうとこういうモンスターが生まれてくるんですよ~、もしかしたらアナタの隣にいる女性だって、いやこれを見ているアナタだってこうなる可能性が・・・・って、この映画は皮肉を込めて言っている気がします。


・・・・・ま、寝たきりで意識の戻らない"母親"のベッドの傍らで、時々昔を懐かしむような孤独感を滲ませるものの、次の瞬間には「起きやがれー!!」ってベッドを蹴飛ばしまくるというホントただただお近づきにはなりたくないタイプには間違いないんですけどね。

人間、後ろを向いたって若さを取り戻せるわけじゃございませんからね、トシをとったらね、その分だけ成長しているわけですから。これまで培ってきたものと自分を信じて、まっすぐ前を向いていけばよいのです。あ、これは諦めとかではないですよ。自分はモンスターになる心配はない!・・・・と思っていたいなぁ。


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