2018年、第一印象が悪くて 思わず観直した映画『エンジェル ウォーズ』『マップ・トゥ・ザ・スターズ』

はなまるこ

はなまるこ

今年も師走に入ったところで、大急ぎで2018年に観た映画の総まとめの時期になりました。。

ポツポツと観ていたのに、自分でも驚くほどブログを更新する意欲がわかなかったので、この辺で自分を追い込んでちゃんと書き残しておこうと思います。しかし、再見を含めると84本観ていたので、全て書くのは絶望的ですね・・・・

今日はその中から、一度目に観た後は「なんじゃこりゃ!」と放置状態だったものの、やっぱり気になって再度観直すことになった作品を僅かながら2本up。こういう映画の観方って、Huluなどの動画配信サービスを利用するようになって顕著になりました。ふとした時に「あ、そういえばあの映画、あの部分はどういう意味だったのかな?」ってその場で簡単に観直せるからなんですね。だから再見映画もどんどん増えちゃうのか・・・・

※今回の感想は、私自身の解釈や映画ラストの内容部分に触れている箇所もありますので、注意書きはありますが未見の方はどうぞご注意ください。




『エンジェル ウォーズ』 (2011/アメリカ、カナダ)

●原題:SUCKER PUNCH
●原案、脚本、製作、監督:ザック・スナイダー
●出演:エミリー・ブラウニング、アビー・コーニッシュ、ジェナ・マローン、ヴァネッサ・ハジェンズ、ジェイミー・チャン、オスカー・アイザック、カーラ・グギーノ、ジョン・ハム、スコット・グレン 他
●全てを奪われ精神病院送りとなった少女が、そこで出会った4人の仲間と共に自らの運命を変えるため、空想世界を舞台に壮絶な闘いを繰り広げていく。「300 <スリーハンドレッド>」「ウォッチメン」のザック・スナイダー監督ならではの、こだわりのヴィジュアル表現で描き出すファンタジー・バトル・アクション大作。




出だしは、理不尽な出来事から少女が精神病院送りになるまでのエピソード。続いてそこから場所は娼館に変わり、少女が瞳を開けると今度はなぜか寺院の中。で、急にセーラームーンみたいなスタイルで刀を携え、5つのアイテムを見つけるという「自由への旅」へ!


なんのこっちゃ、なんのこっちゃ!と思っている間に、様々なステージで次から次に現れる強敵(サムライとかゾンビとかナチスとか)相手に、美少女仲間たちと力を合わせてバトルを繰り広げていくというお話に変化していきます。なんのこっちゃ!

主人公のベイビー・ドールちゃんがバッサバッサの睫(メイクで三重!!にしているのだそう)を伏せて目を閉じると場面は【新ステージ】へと変わっていて、「これ映画じゃなくてゲーム画面でしょ!」と、特殊効果バリバリの3ステージ目くらいからは戦闘シーン自体は結構どうでもよくなってくるのですが、【現実世界】での決着の行方がどうしても気になって「いったいこのお話、どうなっちゃうの!?真相はいかにー!」と、なんとかラストシーンまで辿り着いた私。

しかし。最後にそこで言い放たれた結末は「決めるのは・・・アナタ。」
はぁ?
イヤイヤ、ここまできて"It's you!"とか言われてもねぇ、丸投げなんかい!と久々に画面に頭突きしてやりたい衝動に駆られましたが、そこは抑えてもう一度「よかった探し」をすることに。「どんな映画でも何か良い点がひとつはあるでしょう」というポリアンナ的なポリシーです。この映画、何を言いたかったんだ?と再見してみたのです。



※ご注意を!ここからネタバレになります

あれ?結末を知っているだけに、オープニングから観直すとこの映画の視点がガラっと変わっていることに気がつきました。そうか、この映画で主人公だと思ってきたベイビー・ドールちゃんは、実はスイートピーの守護天使だったのではないか?ということ。

原題の『Sucker Punch』とは、<いきなりブン殴る>とか<不意打ちで一発お見舞いする>というような意味があって、つまりそれは、抑圧され虐げられてきた"スイートピー"に「自由になるために立ち上がれ!自分の力で闘うんだ!」とSucker Punchする=鼓舞するために現れ、そして自らは犠牲となって彼女を守り続けた・・・・そう、ベイビー・ドールちゃんは、Guardian angelだったのですね。主人公はスイートピーちゃんの方だったわけです。

そしてこの映画。もう1ステップあるのです。
もう一度よーく考えてみたのですが「必要な武器はすべてそろってる。さぁ、戦って。」というこのラストの言葉。劇中、守護天使(ベイビー・ドール)がスイートピーにかけたセリフでもあったわけですが、つまりラストにこの言葉が観客に向かって投げられるということは、この映画自体が「守護天使からのメッセージ」と解釈することができそうです。

エンジェル ウォーズ


若手女優たちの競演を観る楽しさもありますが、『ドライブ』 『エクス・マキナ』で厭らしさプンプンだったオスカー・アイザックの再びイヤラシイ感じや、『ウォッチメン』で見せたような女性の逞しさと弱さを併せ持つカーラ・グギーノの際どい存在感、良い感じで枯れて欲のない果報な身分のような人になった『羊たちの沈黙』のスコット・グレン。 独特の映像&世界観をガッチリ固めてくれるこれらの名優たちのぶっ飛んだ演技も見ものです。





『マップ・トゥ・ザ・スターズ』 (2014/アメリカ、カナダ、ドイツ、フランス)








『マップ・トゥ・ザ・スターズ』


●原題:MAPS TO THE STARS
●監督:デヴィッド・クローネンバーグ
●出演:ジュリアン・ムーア、ミア・ワシコウスカ、オリヴィア・ウィリアムズ、サラ・ガドン、エヴァン・バード、ジョン・キューザック、ロバート・パティンソン、キャリー・フィッシャー 他
●ハリウッドのセレブ一家、ワイス家。父スタッフォードはTV番組も持つ有名なセラピスト。13歳の息子ベンジーも子役としてブレイク中で、典型的なステージママのクリスティーナはマネージャーとして息子の売り出しに余念がない。そんな中、スタッフォードのセラピーを受けている落ち目の女優ハヴァナが、顔に火傷の痕がある少女アガサを個人秘書として雇い入れる。しかし、彼女こそはワイス家が7年前に封印した存在、一家の長女だった・・・。鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督が、夢と欲望の街ハリウッドを舞台に、それぞれに問題を抱えたセレブたちが織り成す悲喜劇をシニカルに描いた群像ドラマ。



「気味悪い」と言ったら身も蓋もないのですが、でもいつもクローネンバーグ作品の鑑賞後に浮かぶのは「気味が悪いんだけど目が離せなくなる。不快。だけどもう一度観てみるか!」なのです。一度観た【気味悪映画】を再見するのは結構な労力が要るわけですが、でも「本当にただの【気味悪映画】だったのだろうか?何がそれほど【気味悪】だったのだろうか?」と自分に問いかけて、再チャレンジしてしまうのです。こうなってくると、私もある意味変態なのかもしれません。


この映画、まず何が怖いって・・・ナニからナニまで晒してしまくるジュリアン・ムーアなんです。精神的不安定な女性を演じれば右に出るものはいないだろう!とは思っていましたが、流石にここまでやるとは思わず、わたくし絶句状態。リメイク版の『キャリ-』でも主役のクロエ・グレース・モレッツよりも先にトップクレジットされているくらいですから、そういった分野では安定感を見せてくれるわけですが、この映画でのムーアはあまりに強烈過ぎる!初見時などは彼女の印象しか残らず、これが【気味悪映画】になった理由その1なのだと思います。



※ご注意を!ここから映画の内容に触れます

ジュリアン・ムーア演じる落ち目の女優ハヴァナの焼死した母親は、出演した映画の中で。病死した少女は荒れる人気子役ベンジーの悪夢の中で。ベンジーの姉で火傷を負っているアガサは、まるで祈りのように度々繰り返し口にする詩。それは、ポール・エリュアールの「自由」でした。


学校のノートの上
勉強机や木立の上
砂の上 雪の上に
君の名を書く

許し与えられた肉体全部の上
僕の友人たちの額の上
さしのべられる一つ一つの手の上に
君の名を書く

「自由」Liberté / ポール・エリュアール Paul Eluard / 安藤元雄訳

亡き母に対して今でも愛を乞いながら恨み続け、挑み続け、それでもなお拒絶されて罵倒される悪夢に蝕まれるハヴァナは「私達は似ている」と火傷跡の痛々しいアガサに運命を感じ、そして母親から言われた「あんたは臭い」という言葉をアガサに投げつけるのです。まるで母親が自分にしたことをそのまま繰り返すかのように。彼女たち、彼らの言葉一つひとつ、其々の行動があまりに高慢で強欲に満ちていて、まるで大罪を全て背負ったかのように皆が死へと一直線に堕ちていくのです。「自由」への詩を口にしながら。息の詰まるような欺瞞に満ちた世界に生きて。

そのため、初見時などは腐りかけていく何かおぞましいものを見せつけられるような、強烈な不快感しか残らなかったのでした。


子役時代からハリウッドで活躍してきたジョン・キューザックは、この映画に出演していること自体、この物語を否定しないのでしょう。

実際、ディズニー出身の若い女優たちや子役から上手く抜け出せない俳優たちが精神のバランスを崩し、事故や事件を起こして人生を破滅させていくいった荒っぽいゴシップ記事を何度でも目にする世界です。それなのに、富や名声、成功に群がる人々は後を絶たないのですね。それがこの映画に漂う不気味さだったりするわけですが、一方で有名な芸能一家に生まれながらもドラッグ依存症と双極性障害を患い、『スター・ウォーズ』の呪いに苦しんだと言われるキャリー・フィッシャーが本人役として登場することにより、彼女の存在がこの映画のどこかにある良心や純粋さを漂わせているような気もするのです。

初見時は登場人物たちの言動にムカムカさせられ、嫌悪感いっぱいいっぱいの感情しか湧いてこなかったのですが、二度目に観た時は感想がまったく異なりました。ウィットに富んだ姉弟の会話は二人の頭の良さと、映画好きな年相応の子どもらしさが滲み出ているようで観ていて切なくなってしまうのです。表層的には、登場人物たちの言動で不快感マックスの映画ではありますが、その内側から聞こえてくる彼らの悲痛な叫びが痛々しく可哀相で可哀相で・・・観直すたびにまったく違った印象を受ける作品なのではないかと思います。


『マップ・トゥ・ザ・スターズ』が迎えるエンディング。
それは、徹底的に父親から拒絶されたアガサが、弟とともに繰り返されようとする"呪い"の運命を断ち切って星(スター)になったようにも見えますし、ハヴァナとその豪邸もまた、惨殺ゴシップをもって永遠にハリウッドの人々の口に上り、これまでスルーされていたであろう【ハリウッドスターの豪邸巡りツアー】でも「Star Map」に載って話題になるのかもしれません。一映画ファンとしては、なんとも複雑な思いのする映画でした。





【おまけ】

我が家のハーブ畑の中に、今年の夏咲いたホウセンカの種が飛んできていたようで、なんと12月4日、ポカポカ陽気の日に咲いてしまったのでした。発芽して伸びてきたなーとは思っていましたが(それもまた季節外れなのですが)、まさか冬だというのに開花しまうとは!こちらも思わず"二度見"してしまいました。


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