『ザ・ディスカバリー』 (2017/アメリカ) ※NETFLIX映画

はなまるこ

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●原題:The Discovery
●脚本、監督:チャーリー・マクダウェル
●出演:ジェイソン・シーゲル、ルーニー・マーラ、ジェシー・プレモンス、ライリー・キーオ、ロバート・レッドフォード 他
●科学者トーマス・ハーパー博士により"死後の世界"が実在することが判明。その結果、現世に絶望した人々が死後の世界に希望を求めて大量の自殺者を出すという事態に。この世界的な混乱に責任を感じたハーパー博士の息子ウィルは、疎遠だった父に会うため故郷の島を訪れるのだったが、その島へ向かう船内でアイラという美女と知り合うことに・・・。




現在,、この映画は配給権を購入した【NETFLIX】にて配信中ですが、もともとは2017年の【サンダンス映画祭】で初上映されたもの。そう、ロバート・レッドフォードが設立した「サンダンス・インスティテュート」による映画祭ですね。しかし、そのレッドフォードも、いよいよこの映画祭から引退することを今年に入って表明しました。


現地時間の1月24日、ユタ州パークシティで第35回サンダンス映画祭が開幕した。開幕に先駆けて行われた記者会見では、これまで映画祭の創設時から同映画祭の顔としてフロントに立ってきたロバート・レッドフォードが引退を表明。現在、82歳のレッドフォードは、映画『The Old Man and The Gun(原題)』(夏公開)を最後に俳優業からの引退も表明しており、「僕は34年間ずっとこの開幕スピーチをやってきたけれど、新しい方向に進む時が来た」と述べた。

サンダンス映画祭開幕!ロバート・レッドフォードが映画祭の顔から引退を表明 【Movie Walker】

レッドフォードは"商業主義"に頼らない、新しい潮流を映画界にもたらし、メジャー系には見向きもされなかったインディペンデント系の作品を数多く世に送り出すチャンスを無名の映画監督たちへと与えてくれました。そのおかげで、私たちは素晴らしい作品に出会うことができたんですね。

この『ザ・ディスカバリー』という映画もその一つ!

この作品で脚本も手掛けたチャーリー・マクダウェル監督は、2014年にも『The One I Love(邦題:ザ・ワン・アイ・ラブ)』という作品でサンダンスに出品し、低予算ながらも独創的なストーリーと世界観に注目され、高い評価を得た若き映画監督です。レッドフォードはサンダンスでマクダウェル監督の『ザ・ワン・アイ・ラブ』を観て『ザ・ディスカバリー』の脚本も気に入り、参加してくれたのだそう。
CS Interview: Charlie McDowell Returns to Sci-Fi with Netflix’s The Discovery 【Coming soon.net】



ちなみに、この映画のオープニングは、レッドフォード演じるハーパー博士のインタビューシーンから始まります。マクダウェル監督は「ハーバー博士のシーンを最初に書いた」と言っています。まだ、他のキャラクターさえ作り上げていない時に!
Netflix’s ‘The Discovery’ Has the Best Opening Scene of the Year 【THE RINGER】

つまり、観客はオープニングのレッドフォードの姿を通して、この映画の世界観と物語の背景にある"核"となる部分を理解していくわけです。・・・・レッド・フォード、とても悲しい役を演じているんですよ。科学者トーマス・ハーパー博士は、"死後の世界"が実在することを科学的に解明して世間に公表しますが、その結果、現世に絶望した、或いは未練のなくなった人々が次々に自殺し始め、倫理的な問題も含めて世界中の人々から強い非難の声に晒されることになります。

年老いてなお、人々からの非難を受けても、それでもやり遂げなければならなかったこと。老科学者の体力的な衰え、頑なさ、哀しさや迷い、傲慢さや過ち。そういったものすべてを、レッドフォードは老いた身で体現してみせました。







『ザ・ディスカバリー』はどこか古風で、恐らくどこにでもあるような風景の中で、時にユーモアも交えながらストーリーが進んでいきます。【SF映画】ですよ、と言われていなければそれに気付かなかったくらいに。


意識がふっと飛んで我に返る瞬間って、きっと誰にでもありますよね。だから、結果から言えばこの映画はとても信じられないような世界観を展開していくにもかかわらず、でも「もしかしたら私にも起こりうるんじゃないか」「もしかしたらこんな世界が存在するのかもしれない・・・・・」と思わせてくれる"身近さ"が常に感じられました。

そして、生真面目で大きな図体のお兄ちゃんと、奔放でも頭の良い妹のような組合せのこの二人を見ていると、「絆」なんていう言葉よりももっと深い、何度巡り合っても必ず惹かれ合ってしまうような二人の不思議な温もりに包まれていくようにも感じられて、静かな気持ちのまま、最後までこの主人公たちの行く末を見守り続けてしまいました。


・・・・・もしかしたら、『シャッターアイランド』的な出だしと主人公の目眩で、映画慣れした人など大体ネタバレに近いところまで気づいてしまうかもしれません。でも、改めて最初から観直してみるとストーリー上の"仕掛け"だけに気をとられることなく、この時、誰がどんな気持ちを込めて何と言っていたのか、何を言いたかったのか。そんな繊細な部分に"発見"があるかもしれません。

人はその意味を知らぬまま死を迎えるからこそ、限りのある"生"に価値があるのでしょう。 人は自分ではなくて、他の誰かを救うために、大切な人を守るために生きていると考えるのなら・・・・・

「もう一度観たい」「もう一度感じたい」と沸き起こってくるこの気持ちは、劇場公開ではなくネット公開だからこそ、この物語の繊細な部分をより味わい深く、一層鮮明に残してくれたのだと思います。

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Posted byはなまるこ

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