『息子のしたこと』 (2018/スペイン) ※NETFLIX映画

はなまるこ

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●原題:TU HIJO
●監督、脚本:ミゲル・アンヘル・ビバス
●出演:ホセ・コロナド、アナ・ワヘネル、アシア・オルテガ・レイバ、ポル・モネン、エステル・エクスポシト 他
●クラブの外で襲われひん死の重傷を負った息子のために、外科医の父は暴行に加担した者たちへの復讐を誓い、自らの手で犯人を突き止めようと動き出すのだったが・・・。『悪人に平穏なし』『麻薬王の後継者』主演のホセ・コロナドが、本作の演技を評価され、ゴヤ賞とフェロス賞の主演男優賞にノミネートされたスペイン発の犯罪サスペンス映画。Netflixにて公開中。




キッと相手を射抜くような、鋭い眼光と熱い思いを内に秘めた強面のコロナドおじさま。おじさまの映画は、彼の熱量でどれも熱気ムンムンです、はい。
むっしむしに暑い夏にこそ観なくては~!なんて思って、このスペイン映画『息子のしたこと』を張り切って観始めたのですが、あぁなんということでしょうか。。。最後には胃が締め付けられるような緊張と背筋に氷をぴたりと当てられたような冷たい恐怖感で、ただただ茫然。『悪人に平穏なし』の時もそうだったのですがね、なんという映画をワタシは観てしまったんだろうと落ち込みました。観終えた後は、ただ「辛い」の一言。




コロナドおじさま演じるハイメ・ヒメネスは、職場では人の生死に関わるというだけでなく一人の人間として心から患者を思いやれる頼れる外科医。家では1人で"チン"して食事をとり、年頃の娘と息子マルコスの扱いに戸惑うちょっと不器用な普通のお父さん。寡黙な主人公の人柄や思いが手に取るように伝わってくるのは、きっとそれは特に言葉数の少ないコロナドおじさまから≪日本の古くからの不器用なおやじ≫といった雰囲気が伝わってきて、そうした姿を追うだけで自然と胸に迫るものがあるからだろうな。


ただ、その少ない台詞の中で主人公の表情を追い続けているうちに、彼の真っ直ぐで家族を思う深い愛情から徐々に正気を失った行動へと駆り立てられる姿にもう悪い予感しか覚えなくなるんですよ。それは事件の"真相"が判明してからますます加速していき、常軌を逸しているのでは・・・と息をひそめながら、それでも主人公の心の奥を何とか見ようと努めたのだけれど。ラストシーンには戦慄が走り、私の中に残っていた僅かな希望は粉々に打ち砕かれてしまいました・・・・

この映画を貫くテーマはここにはっきりと描かれていたんですね。


美しかった旋律が徐々に狂っていき、その歪みが最大限にまで達した時。倫理観や正義といった"常識"を吹き飛ばすほど、ハイメの息子への愛情はこれほど深かったのか・・・いや、真実と向き合えない葛藤に彼なりに出した答えがこれだったのか・・・。彼の辿った悲しみ、怒り、憎しみ、無力感、そして絶望。それらと同じほどの感情が、次第に私の中にも湧いてくるのを感じました。そして彼の行動は明らかに間違っていて、だからこそ、彼にそんな決意をさせた"事実"が観る者に重く圧し掛かってくる痛まし過ぎるラストでした。

コロナドおじさまはこういった"狂気"を演じるのが本当に巧いのです。だってこの映画、二度と観たくないくらい心の底から落ち込んでしまいましたから。スペイン発のNetflix映画『Tu hijo』。英語タイトルは『Your son』あなたの息子。邦題は明らかに余計です。それが本当に、本当に残念。

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Posted byはなまるこ

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