『ONCE ダブリンの街角で』 (2006/アイルランド)

はなまるこ

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ONCE ダブリンの街角で


●原題:ONCE
●監督:ジョン・カーニー
●出演:グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴァ、ヒュー・ウォルシュ ティミー、ゲリー・ヘンドリック、アラスター・フォーリー、ゲオフ・ミノゲ、ビル・ホドネット、ダヌシュ・クトレストヴァ 他
●アイルランドのダブリンを舞台に、地元の男とチェコ移民の若い女がストリートで出会い、音楽を通して心を通わせていくさまを、自然な形で挿入される歌の数々で紡いでいく感動ラブ・ストーリー。主演はアイルランドの人気バンド“ザ・フレイムス”のフロントマン、グレン・ハンサードとチェコのシンガーソングライター、マルケタ・イルグロヴァ。彼らが本作のために楽曲を書き下している。




この映画に関して何かを書こうと思うと胸が詰まってしまって、言葉で表現すること自体が無意味なような気がするんだけれど。きっと、音楽を愛する人、人生を愛する人にとっては堪らない作品。

87分しかない物語のうち、楽器を奏でたり歌を歌う時間を一つも削ることなく、大切に扱ってくれているところに音楽への愛情をいっぱいに感じます。



キス一つもしない、これはラブストーリーなのかな。
でも役名のないこの二人を最後まで見届けたら、涙がこぼれてしまいました。

もしかしたら、パートナーの不在による寂しさや孤独感を埋めるために、二人は頼り合うことが出来たかもしれない。「君の子供と二人でロンドンで暮らそう!」とか「ロマンチックな関係も素敵じゃない?」とか口には出すこともあったけれど、そんな関係にはならなかった。二人の心は音楽を通じることによって、もっと深いところで全てを満たしていた。

二人で仕上げた曲を奏でるたびに、ピアノを弾く度に、きっとそれぞれの人生で満ち足りていたあの瞬間に触れられる。




心の離れた夫のことをまだ愛しているの?と尋ねた男に対して、彼女の返事は "Miluju TEBE".

『ONCE ダブリンの街角で』ではチェコ語で答えたこのセリフにだけ字幕は出てきません。日本語訳を調べようと思えばすぐにわかることだけれど、軽くはぐらかした彼女の姿に心が透けて見えたような気がしました。彼にはわからないように、言葉に出して言ってみた気持ち。

もし彼がチェコ語を理解していたら、二人の関係は何かが変わったのかな。





人が人に惹かれる気持ち。自分にはその人が必要だと思う気持ち。
でも、そんな風に心を奪われても、人生で重なり合う時間はほんの僅かだと分っていること。

もしこの映画を若い時に観ていたら、私は、二人で人生を歩まないことの意味をきっと解らなかっただろうなと思う。人との出会いの中から生まれたもの、共に分かち合った時間、それがほんの僅かな時でも作り上げた何かが出来たのなら、それで二人の関係はパーフェクトなのだと思う。

これほど美しい時間は、人生に幾つも起こることじゃないから。




最も印象的だった曲「Falling Slowly」は、2007年度の様々な映画賞を獲り、映画を飛び出してあちこちのTV番組でも放映されました。

映画で観た名前のない二人が"グレン・ハンサード"と"マルケタ・イルグロヴァ"として歌う「Falling Slowly」。

この動画での歌い終わった二人が見せる表情は、映画の中で描かれた主人公二人の人生がオーバラップしてくるようでまた泣きたくなってしまいました。穴の空いたギターを持った"彼"とピアノを奏でる"彼女"、そこに幸せな二人を見つけたような気がして。

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Comments 2

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宵乃  

>二人の心は音楽を通じることによって、もっと深いところで全てを満たしていた。
>二人で仕上げた曲を奏でるたびに、ピアノを弾く度に、きっとそれぞれの人生で満ち足りていたあの瞬間に触れられる。

これですよね!
この作品がこんなにも心に残るのは、このふたりにとってそういうかけがえのない、魂に刻み込まれたような瞬間だったからなんだなぁと、はなまるこさんの記事を読んでしみじみ思いました。
音楽への愛情も相まって、タイムカプセルのようにメロディと一緒によみがえる作品でした。

>この動画での歌い終わった二人が見せる表情は、映画の中で描かれた主人公二人の人生がオーバラップしてくるようでまた泣きたくなってしまいました。

本当だ~!!
なんて素敵な動画でしょう。映画の感動が波のようにおし寄せてきますね。彼らにとっても特別な映画なんだろうなぁ。
この作品についてはなまるこさんとお話できて嬉しかったです♪

2014/09/29 (Mon) 15:57 | EDIT | REPLY |   
宵乃さんへ★  
はなまるこより

宵乃さん、コメントを残していただきありがとうございました!
おかげで宵乃さんの感想を読ませていただいたあとに、
久々に自分の記事も読み直すことができました^^

>音楽への愛情も相まって、タイムカプセルのようにメロディと一緒によみがえる作品でした。
そうですねぇ!これが「音楽の力」なんでしょうね!
物語を思い出すとメロディが、音楽を耳にすると物語が・・・
この映画はこうやって何度でも思い返すことができますし、
その度に心揺さぶられる思いも甦ってきますね。しみじみ・・・・

>なんて素敵な動画でしょう。映画の感動が波のようにおし寄せてきますね。彼らにとっても特別な映画なんだろうなぁ。
e-259ねぇ、そうでしょうそうでしょう(涙)!
私はこの動画を見た時、完全に映画の中の二人と同化させて見てしまい、
不覚にもポロっと涙が出てしまいましたe-330
恋愛なんてものからはほど遠くなってしまった身で、恋愛もの映画は「けっ」とか思いながら見てしまうようになりましたが(笑)この映画だけは別格でした!

私も宵乃さんのこの映画のお話ができて、ほんっと―――に嬉しかったです♪
コメントをありがとうございましたi-179

2014/09/30 (Tue) 22:05 | EDIT | REPLY |   

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