『すべて彼女のために』 (2008/フランス)

はなまるこ

はなまるこ


ラスト3デイズ~すべて彼女のために~


●原題:POUR ELLE / 英題:ANYTHING FOR HER/ラスト3デイズ~すべて彼女のために
●監督:フレッド・カヴァイエ
●出演:ヴァンサン・ランドン、ダイアン・クルーガー、ランスロ・ロッシュ、オリヴィエ・マルシャル、アンムー・ガライア、リリアーヌ・ロヴェール、オリヴィエ・ペリエ、ムーサ・マースクリ、レミ・マルタン 他
●フランス、パリ。国語教師であるジュリアンと編集者であるリザは、一人息子のオスカルと共に平凡ながらも幸せな生活を送っていた。しかし、ある朝、彼らの人生が一変してしまう。警察が突如として家に押し入り、リザが上司を殺した容疑で逮捕され、投獄される。やがて三年の時が経ち、リザに二十年の禁固刑が宣告されてしまう。悩んだ末に、彼がとった行動とは・・・?本国フランスで大ヒットを記録し、ポール・ハギス監督、ラッセル・クロウ主演により『スリーデイズ』としてハリウッド・リメイクされた。





ベタな人情話を持ち込まず、ドライに流す無駄のない潔さのあるフレンチ・サスペンスアクション、最近大好きなんです。無実の罪を被せられた奥さんを助けるために、ご主人いきなり脱走計画にアタマが飛んでしまう!という、あまりにストレートでシンプルな構成。思い切りが良くていいなぁ。



さらに、『プレイ‐獲物‐』の時にも感じたことだけれど、主人公のジュリアンが物凄くフツーのオジサンに見えるところが高得点でした。中盤ブチ切れてからの"なりふり構わず感"が凄まじい。警察の手が伸びてからの緊張感とスピード感はもっとスゴイ。この終盤戦の、都合の良い、とにかく運のいい話運びはやや気になるものの、ここはジュリアンのそれまでの鬱憤を晴らすが如く・・・ですからね!!



一方、いきなり監獄へ入れられた悲劇的な奥様であるダイアン・クルーガーって、美人だけれど情感に乏しくて何だか見ていて「これならナタリー・ポートマンが演じていても気づかないんじゃ?」くらいに感じました。一人息子のことをもっと気にかけてくれよーと本気で心配になりました。無実にもかかわらず犯罪に巻き込まれた悲惨さとか、絶望感、必死さだとかがあまり見えず。やつれても叫んでも美しく、ひっつめ髪でも美しい。美人とはそういうものなのだろうか。あ、でもこれだけの美人奥様だからこそ、ご主人も死にもの狂いになるわけですね。そうか、ワタシじゃだめなんだ!はいはいそうですね、美貌は必要でした



ただ人間ドラマとして一番印象的だったのは、冤罪→脱獄に突っ走るジュリアン実家のご両親の思い。最小限にまで削ぎ落とした親子のセリフ、言葉を交わさず目だけで語るその演技は、ここだけリアリティ満点で胸にぐっと迫りました。脱獄計画を壁に書くお父さんの真似をしていた健気な一人息子のオスカル君、立派に成長してほしいなぁ。





スリーデイズ [Blu-ray]


小さな自分のアパルトメントの部屋で書いたデビュー作『すべて彼女のために』の脚本を結局自分で撮ることになり、その2年後にはラッセル・クロウというような大スターとポール・ハギス監督によってリメイクされ(『スリーデイズ』(2010/アメリカ))、自分が思い描いたキャラクターをクロウが演じるのを見て「まるでSFのようだ」と感じたというフレッド・カヴァイエ監督。(HuffPost Interview: Fred Cavaye Goes Hollywood【HuffPost Entertainment】より)

次は2010年の同監督作品『この愛のために撃て』を観たいと思っています。決して安易に心安らぐハッピーエンドとはせずに終わらせた『すべて彼女のために』を96分でまとめたカヴァイエ監督。『この愛のために撃て』はなんと85分!・・・ラッセル・クロウ版『スリーデイズ』は134分と聞いてかなり尻込みしています(笑)。時間があればぜひ対比させて観てみようかな。



関連記事

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply