『みんなが恋してる』 (1958/イタリア、フランス)

はなまるこ

はなまるこ


●原題:TUTTI INNAMORATI
●監督:ジュゼッペ・オルランディーニ
●出演:ジャクリーヌ・ササール、マルチェロ・マストロヤンニ、ガブリエル・フェルゼッティ、マリサ・メルリーニ 他
●ローマの発電所につとめるジョヴァンニは、妻に死なれて八歳の息子リベロと暮すやもめである。彼には独身の友アルトゥロがあった。ジョヴァンニはある日、図書館で本のページを破り取ろうとしている若い娘アレグラとその仲間の行動の行動を注意するのだが、彼のために図書館から罰金をとられたアレグラは、おせっかいなこの三十男に仕返しをしてやろうと仲間たちと目論むのだったが・・・。



むかし録画していたDVDを整理していたら、10年ほど前にTV放映されたこの映画を発掘(現在もDVD未発売)。1959年の『甘い生活』でブレイクする直前のマルチェッロ・マストロヤンニ、そしてジャクリーヌ・ササール共演の軽~いイタリア式コメディ。



10~20代という輝くような10年間をスクリーンに焼き付けて去っていってしまったササールの初々しさ。

この年齢くらいの美女にありがちな、女王様気取りの気分屋で鼻っ柱の強い生意気な態度の(しかもブルジョア)女子大生アレグラ役がピッタリで、このキャラクターが翌1959年のイタリア映画『激しい季節』にそのまま続いているんじゃないかと錯覚するほどのハマリ役。

対してマストロヤンニは、後に彼が様々な映画で演じていくような「完全な二枚目」でも「お調子者」でもなく、どちらかというと「ハンサムで生真面目なおじさん」という、私の勝手なマストロヤンニ像に一番近い親しみのある男やもめ役でした。






出会いは最悪、折り合いの悪かった男女(しかも年の差&身分差)がいつの間にか恋に落ちて・・・という展開は、ロマンチックの本場イタリアの恋愛コメディなので美男美女が出ているという時点ですべてOKです。見目麗しい主演二人を見られれば、それだけでもう私は幸せ。

以前観た時は「退屈だわー」と思っただけでしたが、年月が経つと見方も少し変わるのかな、と思ったり。







この映画、『みんなが恋してる』というタイトルだけあって、主演二人以外のイイ年をした中年男女の恋模様を追うのも楽しみのひとつです。

幼馴染どうしだけれど、女には目がないアルトゥロと洋裁店を切り盛りするシッカリ者で"職業婦人"のヨランダ。お互い好意を持っているのに素直になれず、痺れを切らしたヨランダがアルトゥロに「ジョヴァンニ(マストロヤンニ)と婚約したのよっ!」と言ってしまう・・・。

強気な女性からダメ男への"バッチーン!"という平手打ち(一発だけじゃない)も健在で、これぞ「イタリア映画」という楽しみもあり。そうそう、1954年のRAI TV放送が始まって以降、一般家庭にテレビが入ってきたばかりの当時の風景も見られる点も興味深いところです。



そして、茶目っ気のある演技で群を抜いてユニークな存在感を放っていたのが、ヨランダのパパ役チェーザレを演じたナンド・ブルーノのおとぼけ振り。

一体どんな役者さんなのだろう?と彼のフィルモグラフィを辿ってみたら、なんとロベルト・ロッセリーニ監督の『無防備都市』やヴィットリオ・デ・シーカ監督の『自転車泥棒』といった、所謂「ネオリアリズモ」の代名詞と言われるイタリア映画史に残る有名作品に出演してきたベテラン俳優さんだったわけです。おぉ!と一人でちょっと感動してしまいました。





この映画の録画DVDと同時に、久々に引っ張り出してきた『マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶』、フェデリコ・フェリーニの『インテルビスタ』『不滅の名優マストロヤンニ(原題:marcello mastroianni, mi ricordo si io mi ricordo)』の懐かしき三作を、ちょうど年始に観直したところでしたので・・・

以前観た時とは全く違った感慨を覚え、暫し「映画の夢」の世界に浸ることが出来ました。
うーんこれなら、むかし大爆睡してしまったフェリーニ監督作品『ボイス・オブ・ムーン』もいけるかもしれない・・・!と、密かに希望を見出した今年のお正月でした。年内には再チャレンジしてみよう!


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